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迫り来る脅威
第144話 進化した者
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「ためらうな。先ずはそこからだ。これが出来ねば始まらん」
「ええと…… 司さんですよね」
「そうだ」
今まで見てきた司とは、全く違う何かが居た。
ピリッタは、自然に後ずさる。
怖い。見た目は変わっていないのに……
「アンットさん。こんな感じでやれば。ほら消えるだろ。こいつは普通の生き物じゃなく、ダンジョンが創った模擬生物だから」
マリソルが捕まえてきたゴブリンを、躊躇なくぶん殴る。
その瞬間に暴れまくっていた物が、黒い霧となって消えていく。
「本当だ。一体何なのですかこれ?」
「まあ魔法で創られた生物…… みたいな物?」
「そうなんですね」
長兄のアンットさんが納得をしていると、父親レーヴィが納得をする。
「そうか。昨日の遊園地と言い、ここも同じなんだな。どれだけ地球人は訓練を行うんだ」
そんな事をぼやき始める。
まあ大きくは違っていない。
「まあ、殺ってくれ。それだけで、資格を得ることができる」
「資格?」
「そう。強くなるための第一歩だ」
そう言って、次のゴブリンが前に引っ張りだされる。
「よし行くぞ」
パパさんが棍棒を持ち、殴りつける。
「ためらうな。ほら、苦しんでいるじゃないか」
殴られたことで暴れ方がひどくなる。
「本当にすごいな。どう見ても普通の生き物だ。うりゃ」
今度はまともに棍棒がゴブリンにヒットする。
手には、何かが潰れる感覚が来る。
「うわっ」
元々は農民の息子。
子供の頃に喧嘩もしたが、小動物や鳥くらいしか殺したことは無い。
人型の物を殺すのはやはり少し違う。
だがそれが煙となり、消えていくところを見て少し安心する。
だが……
「ぐわっ…… なんだ。胸がぁ」
「大丈夫。きちんと発動をしたな」
マリソルもちゃんと変化をしたので、大丈夫だとは思ったのだが、あの時はシンがいた。
なにかズルをしたのかなどと少しだけ思っていた。
あの二人は、少しだけシンが改造をしたと言っていたから、普通じゃない。
「ほい。親父さんはそこで休んでいろ。次」
容赦なく、棍棒がバトンのように渡されていく。
当然、こうなって来れば司は止まらない。
「馬鹿野郎。ためらうな。自分が変わるためだ。また一方的な蹂躙を受け入れるのかぁ!!」
「いやです」
「じゃあ、自分が変わるしかない。相手は嫌だと言っても止まらなかっただろう」
「うん」
「殺れ!!」
「はい」
長女アルマも精神的な治療は行ったのだが、今後のために恐怖は残っている。
マリソルの手前、他の獣人とは違い、完全に体は治療が行われている。シンが珍しく勝手に……
そうしてちびっ子にまで、強引にゴブリン殺しをさせて身体の改造を行う。
獣人の中で、この家族だけが新種族へと変化した。
狼系ならフェンリルへの変化と言っても良いだろう。
だが兎。
だけど、マリソルのときにシンが言った。
「兎が菟に成ったな」
「うさぎがうさぎになった? なんだそりゃ」
「馬鹿者。発音が少しだけ違うだろ」
そう言われたが、判らなかった。
「ほらあれだ、因幡の白ウサギと言うのを知らんか?」
「ああ。子どもの頃に読んだ」
「あれは神の使徒となった兎の話しだ」
司と二人話し込んでいると、マリソルが首を突っ込んでくる。
「それって、どんな話ですか?」
「そうだなあ、海を渡ろうとしていて、ドラゴニュートにお願いをするのだが、お前が海の上で動けないことを良い事に、服を剥ぎ取ったと言う話だ。するとお前はどうする?」
「ボコります」
「そう、凶悪な力を得て悪者を退治する。そんな話だ。やはり強くないとな。道は自身の手で切り開かないといかん」
「そうですね」
何か違う気がしたが、納得をしているから良いかとそのままにした司。
後年そんな話が、獣人達の中で語り継がれる事になる。
「己が進む道は、自身により切り開くものである。弱き者は蹂躙されるのみ」
「「「「「おおおぅ」」」」」
な感じで……
司は、ちがうっ!! 言ったのは俺じゃないと叫んだとか。
―― 昨日食事の後。
「お客様、スプーンとか食器は持ち帰らないでください」
「えっ? そんな事を誰が……」
振り返ると、レーヴィさんや子ども達がしっかり持っていた。
「こんな白い皿は見たことがないんだ」
レーヴィさんは、そんな言い訳をする。
「はいはい。見たことがないからと言って、持って来ちゃ駄目です。未開人ですか、あんた達は。すみませんね。この人達、外国から来たもので」
「外国? ああ、帝国の?」
店員さんが嫌そうな顔をする。
「いやちが…… まあそうかな」
悪いが、なすりつけよう。普段の行いが悪いから仕方が無いだろう。
皆は、後で百均へ連れて行ってあげよう。
などと考えていて、思いつく。
あれ? もしかして、皿とかを仕入れて、向こうで売れば大もうけでは?
それを思いついて調べ始めた。
卸で買うと、なんと……
皿の二十五枚セットとかが、三百円くらいだった。
司の目が怪しく光る。
「錬金術だな」
「何がですか?」
「この皿を、向こうで売ると、多分金貨数枚で売れる。元手は一皿十二円だ」
「あっ。大もうけね」
彼女も理解をする。
「そうだろう」
マリソルと司が、「ふっふっふ」「おっほっほっ」と怪しい笑いをしていたとか。
その他にも、アクセサリーとか細工物まで仕入れて、売り始める。
ガラス玉やジルコニアで造られた模造ダイヤなども、結構な値段で売れるのだ。
そう、向こうとは、デザインや加工が全く違う。
司の品物を、レーヴィとピリッタが売りさばき、あっという間に総合商会が出来上がった。
無論約束通り、鉄道も彼等が管理。
司が後ろ盾のため、貴族すら手を出せない。
それに、この家族は全員が、獣王すら子ども扱いをする強者であると噂である。
そう地球での特訓。
あれにより彼等は菟ヘと進化をして、神の使いとなったのだ……
「ええと…… 司さんですよね」
「そうだ」
今まで見てきた司とは、全く違う何かが居た。
ピリッタは、自然に後ずさる。
怖い。見た目は変わっていないのに……
「アンットさん。こんな感じでやれば。ほら消えるだろ。こいつは普通の生き物じゃなく、ダンジョンが創った模擬生物だから」
マリソルが捕まえてきたゴブリンを、躊躇なくぶん殴る。
その瞬間に暴れまくっていた物が、黒い霧となって消えていく。
「本当だ。一体何なのですかこれ?」
「まあ魔法で創られた生物…… みたいな物?」
「そうなんですね」
長兄のアンットさんが納得をしていると、父親レーヴィが納得をする。
「そうか。昨日の遊園地と言い、ここも同じなんだな。どれだけ地球人は訓練を行うんだ」
そんな事をぼやき始める。
まあ大きくは違っていない。
「まあ、殺ってくれ。それだけで、資格を得ることができる」
「資格?」
「そう。強くなるための第一歩だ」
そう言って、次のゴブリンが前に引っ張りだされる。
「よし行くぞ」
パパさんが棍棒を持ち、殴りつける。
「ためらうな。ほら、苦しんでいるじゃないか」
殴られたことで暴れ方がひどくなる。
「本当にすごいな。どう見ても普通の生き物だ。うりゃ」
今度はまともに棍棒がゴブリンにヒットする。
手には、何かが潰れる感覚が来る。
「うわっ」
元々は農民の息子。
子供の頃に喧嘩もしたが、小動物や鳥くらいしか殺したことは無い。
人型の物を殺すのはやはり少し違う。
だがそれが煙となり、消えていくところを見て少し安心する。
だが……
「ぐわっ…… なんだ。胸がぁ」
「大丈夫。きちんと発動をしたな」
マリソルもちゃんと変化をしたので、大丈夫だとは思ったのだが、あの時はシンがいた。
なにかズルをしたのかなどと少しだけ思っていた。
あの二人は、少しだけシンが改造をしたと言っていたから、普通じゃない。
「ほい。親父さんはそこで休んでいろ。次」
容赦なく、棍棒がバトンのように渡されていく。
当然、こうなって来れば司は止まらない。
「馬鹿野郎。ためらうな。自分が変わるためだ。また一方的な蹂躙を受け入れるのかぁ!!」
「いやです」
「じゃあ、自分が変わるしかない。相手は嫌だと言っても止まらなかっただろう」
「うん」
「殺れ!!」
「はい」
長女アルマも精神的な治療は行ったのだが、今後のために恐怖は残っている。
マリソルの手前、他の獣人とは違い、完全に体は治療が行われている。シンが珍しく勝手に……
そうしてちびっ子にまで、強引にゴブリン殺しをさせて身体の改造を行う。
獣人の中で、この家族だけが新種族へと変化した。
狼系ならフェンリルへの変化と言っても良いだろう。
だが兎。
だけど、マリソルのときにシンが言った。
「兎が菟に成ったな」
「うさぎがうさぎになった? なんだそりゃ」
「馬鹿者。発音が少しだけ違うだろ」
そう言われたが、判らなかった。
「ほらあれだ、因幡の白ウサギと言うのを知らんか?」
「ああ。子どもの頃に読んだ」
「あれは神の使徒となった兎の話しだ」
司と二人話し込んでいると、マリソルが首を突っ込んでくる。
「それって、どんな話ですか?」
「そうだなあ、海を渡ろうとしていて、ドラゴニュートにお願いをするのだが、お前が海の上で動けないことを良い事に、服を剥ぎ取ったと言う話だ。するとお前はどうする?」
「ボコります」
「そう、凶悪な力を得て悪者を退治する。そんな話だ。やはり強くないとな。道は自身の手で切り開かないといかん」
「そうですね」
何か違う気がしたが、納得をしているから良いかとそのままにした司。
後年そんな話が、獣人達の中で語り継がれる事になる。
「己が進む道は、自身により切り開くものである。弱き者は蹂躙されるのみ」
「「「「「おおおぅ」」」」」
な感じで……
司は、ちがうっ!! 言ったのは俺じゃないと叫んだとか。
―― 昨日食事の後。
「お客様、スプーンとか食器は持ち帰らないでください」
「えっ? そんな事を誰が……」
振り返ると、レーヴィさんや子ども達がしっかり持っていた。
「こんな白い皿は見たことがないんだ」
レーヴィさんは、そんな言い訳をする。
「はいはい。見たことがないからと言って、持って来ちゃ駄目です。未開人ですか、あんた達は。すみませんね。この人達、外国から来たもので」
「外国? ああ、帝国の?」
店員さんが嫌そうな顔をする。
「いやちが…… まあそうかな」
悪いが、なすりつけよう。普段の行いが悪いから仕方が無いだろう。
皆は、後で百均へ連れて行ってあげよう。
などと考えていて、思いつく。
あれ? もしかして、皿とかを仕入れて、向こうで売れば大もうけでは?
それを思いついて調べ始めた。
卸で買うと、なんと……
皿の二十五枚セットとかが、三百円くらいだった。
司の目が怪しく光る。
「錬金術だな」
「何がですか?」
「この皿を、向こうで売ると、多分金貨数枚で売れる。元手は一皿十二円だ」
「あっ。大もうけね」
彼女も理解をする。
「そうだろう」
マリソルと司が、「ふっふっふ」「おっほっほっ」と怪しい笑いをしていたとか。
その他にも、アクセサリーとか細工物まで仕入れて、売り始める。
ガラス玉やジルコニアで造られた模造ダイヤなども、結構な値段で売れるのだ。
そう、向こうとは、デザインや加工が全く違う。
司の品物を、レーヴィとピリッタが売りさばき、あっという間に総合商会が出来上がった。
無論約束通り、鉄道も彼等が管理。
司が後ろ盾のため、貴族すら手を出せない。
それに、この家族は全員が、獣王すら子ども扱いをする強者であると噂である。
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