ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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迫り来る脅威

第149話 そして……

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 何年か前にAiの発達により、ソフトウェア開発などが簡単になり、Aiに置き換えられると騒がれて、テック企業の株価が暴落した事があった。

 だが、それどころではない事態が、世界中の企業を震撼させた。
 極東から出てきた技術。
 錬金術と言っても良いだろう。
 新型の魔導具は材料を流し込み、配合比を設定する。
 それだけで、素材や合金が創られる。

 その製錬速度は速く、各種金属の価値は暴落をした。
 一時期帝国が発展途上時に需給を考えずに製品を造り、暴落をさせたのだが、それどころではない。
 原理は判らないのだが、材料は何でも良く、その辺りの土が金属に変わる恐怖。
 建築の残土が原料となるのだ……

 それを知ったとき関連企業は跪き、天を仰いで祈ったという。
 文明の終焉を迎えたのだと……

 旧文明はこれで終わり、新しい人類と共に新しい世界がやって来たのだと……

 だがその事実は、同盟国以外にはさらなる悲劇としておそい掛かる。
 価格の下落。
 それは、経済の終焉を意味する。


「くそう。すべての技術は長年にわたりすべて盗み、我が国のものとしたはずなのに。それがすべて過去の物となっただと?」
「はい。完全に終わらせたはずでした」
「鉄鋼も液晶も家電も果物も半導体もぉ。高速列車も車もだ。すべて我が国の物として、安価に供給をして日本企業は潰したではないか」
 かの国が発展する中で、日本は良いよと言って愚かにも技術を教えた。
 だがその御礼は、日本企業の敗北という形で、多くの企業が破産。そして分解された。

「大きな国と仲良くしないと、戦争になったら国民が困るだろう」
 その当時の政治家達はそんな事を言っていたのだが、彼等は稼いだ金で軍備を整えて、言いがかりをつけて国土を乗っ取りに来はじめた。

 それは幻想ではない。
 すぐ側のルシアン帝国すら経済的に土地を買われて国土を減らし続けている。

 その元になったのは、旧連邦時代に自国だった国を、独立なんか許さない。などと言いがかりをつけて、武力により取り返そうとしたのだが、思った以上に抵抗が大きく経済的な困窮が発生。
 その金を援助して貰い、結局自国が削られていく矛盾。
 愚かとしか思えない。


 事の始まりは、小惑星群を技術者と共に探査中の出来事だった。
「どれもこれも、単なる鉄ばかりですね」
 サンプルを採取して、希少金属などがあれば採掘用の魔導具を放つ。

「ええっ? もしかしてこの宙域全部なのか?」
「このベルトが発生した、要因を考えるとそうかもしれませんね」
 普段は宇宙軍の予算稼ぎに行っている行動ではあるのだが、暇つぶしに司が乗っていた。その目が光る。

 もう少し運転に慣れれば、船を民間企業に貸し出して、勝手に採掘を行って貰うことになっている。
 すでに、獣人の星ムンダス=ビスタリウム星と精霊族のプアネタウ・ビィスピリ・タスビビュント星については民間が入っている。ただ一般の搭乗は出来ずに自衛隊と政府関係者。そして、指定企業の関係者のみではある。

 ただし、船自体は攻撃用装備を搭載しているため、自衛隊員は必ず乗っている。
 言わば移行期と言えるだろう。

 これは勝手に進めたわけではなく民間企業との話し合いの中で出てきた希望で、国だけが独占するのはズルいなどと言われたためだ。

「じゃあ。自分たちで船を造れば良いじゃん」
 などという意見もどこかから出てきたのだが、安保も含めて管理上それもまずいということで、貸与することとなった。その結果、一部の関係者だけが星を渡り始めることになる。

 そして、その発展に便乗する形で商社が家電などを売り、鉱物資源を買って帰るという商売が始まった。

 その中で敏感な者達が感じ取った異変。
「採掘量が異常です」
「そうだよな」
 すでに、日本の商社関係者には、獣人国における採掘量は把握されてデータ管理されている。

 自分たちが現在輸入している量は、ストック分を含めてかなりの量だ。
 地球では、資源を政治に使う国がいるために、安定的に製品を造ろうと思えば年単位の材料ストックが必要となる。
 この世の中には、浅はかな者達が存在をする。彼等は、嫌いだから輸出しないなどと平気で言ってくる。

 そのたびに、技術革新や他国での採掘や精錬を日本は行ってきた。
 それは日本だけではなく、アメリカなどもグリーンランドを帝国依存から脱却させるために騒ぎを起こしたりした。


 そんな世の中で、ソーマを飲みながらのトップ会談が行われた。
 まあ、ダンジョン六階にある社での茶飲み話。
 
「なあダンジョン内にさあ、宝石とか金とかあるじゃん。あれってどこかから持ってくるの?」
 司がシンに聞いた内容だが、実は寝物語に亜矢から聞かれたこと。

 彼女達が貧乏な頃、河原で石を積みながら、宝石を集めていた。
 当然ながら、どこから流れてくるのか気になって、上流へ行くのだが、普通の赤土から宝石の粒が路頭していた。赤土は地殻変動により酸化した証拠。地質学的にはおかしなことではないのだが。

「それでな。やっぱり欲をかいて掘ったんだよ。貧乏だったし、結衣達と一緒に」
「そうなのか?」
「うん。あの頃はとにかく貧乏だったし、欲しいものも沢山あったし」
 彼女達の実家はそんなに裕福では無く、下宿代と学費それだけで精一杯だったし、そのために高校生の時もお小遣いは少なかった。

 大学に入ってからアルバイトをして、少しずつ買い物が出来るようになると、やはり綺麗な物やかわいいものが目に付くと買ってしまう。
 今までほしくても買えなかった反動なのか、おかげで少しくらい稼いでも貧乏だったのだ。

「掘り尽くしても、翌日には宝石が出てきてたんだ。それで、ひょっとしたら、赤土が宝石にかわってないかって思って? ずっと不思議だったんだよね」
「あーまあ、聞いてみる」
 そんな事があった。


「なんだ。そんな事か。この世界の存在する物、すべて素材は一つ。どのように変化をさせるかはその条件さえ知ればたやすい。お前なら魔法で変化出来るだろう。試してみるが良い」
 そんな事があり、試した。
 出来た。 

 小惑星がじゃまなら、錬金すれば良いじゃん。
 魔導具創った。
 今ここである。

 そんな安易に創った物が、いま、世界の常識を破壊する。
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