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迫り来る脅威
第150話 栄枯盛衰
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平家物語 に次のような一説がある。
『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
遠く異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱异、唐の祿山、これらは皆舊主先皇の政にもしたがはず、樂しみをきはめ、諌めをも思ひ入れず、天下の亂れん事を悟らずして、民間の愁ふるところを知らざつしかば、久しからずして、亡じにし者どもなり。』
あまりにも有名な文章なので、きっと日本人なら国語や古典で習うだろう。
簡単に説明すれば、祇園精舍の鐘の音は、この世のすべては絶えず変化していくものだという響きがある。つまり、随分語り口調の騒がしい鐘のようだ。
娑羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も、必ず衰えるものであるという決まり事をあらわしている。そう、花は咲き誇り、そしてしおれていく。そうじゃないと、実ができないからね。そうそう、それが世の理だよね
世に栄え、うっきゃー、レッツパーティー!! などと叫んでいた者達も、やがて没落をする。それは、浮かれた春の夜に見る幻。まるで、風に吹かれて飛んでいく塵のようだ。花見の席で盛り上がり、風に飛ばされたビニールゴミ。
後日、安価に雇われた人材センターの人が、ため息をつきながら掃除をするという対比。現在日本の問題を詠んだもの…… ではない。
遠い外国を見ると、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の安禄山、これらはみな元の君主や先代皇帝の政治に従わず、栄華を極め、忠告にも深く考えようとはせず、天下が乱れることもわからずに、人々の苦労なども知らなかった? 見て見ぬ振りをしたので、長続きをせずに滅びた者。
そうこれは、書かれている通り。
今まさに、世界の片隅は、その状態となっていた。
たった数十年で稼いだあぶく銭を武器として、色々な国を食い物にしていたある国があった。
「何? 借款が返せないだと?」
「ええ。原因はそちらが連れてきた会社のせいです。開通どころか未だに用地買収すらできていません。当然我が国としては、資金の回収が出来ないのです」
お互いが、お互いの不備を突く。
狸同士の殴り合い…… いや顔は笑って、テーブルの下で蹴り合う感じだが、それが世界中で複数、それも同時に起こり始めると流石にまずい。
今までは、無理を言ってもへいこらとハナシを聞いて、自国の国民を苦しめてでも金を払ってきていた。
まあ払えない場合は、自国の土地を百年などと言う貸借契約をしたりしていたのだが……
ここに来て、こいつらの態度が変わってきた。
「なぜだ。正常じゃ無い。何かが起こっている」
意外と担当官の感は鋭かった。
その事案の裏で、カサコソと暗躍をする者達がいた。
「そうですか。大統領がねぇ…… 内政干渉は行えませんが、我が国としては援助が行えます」
彼は、そう言うと、とても素晴らしい笑顔と共に合図を送る。
すると後ろに控えていた者達が、大量の金塊が入ったアタッシュケースをどさっとテーブルの上にのせる。
「昨今、価格が下がっていますが、まだ十分な価値はあります。如何ですか?」
「こっ、これは、本当によろしいのですか?」
「ええ。これはあなたへのエールです。領収書を頂こうとも思ってはいません。ただ…… 頑張ってください。我々は、応援をいたしております」
そんな秘密のミーティングが、世界中で行われていた。
政府の中は一枚岩ではない。
現政権が共産主義に傾いていても、ある日政権が引っくり返ることがある。
特に不安定な小国では日常茶飯事であり、政権の裏側で暗殺などの危険もある。
「それに、これは我が国が開発をした、特殊アーマーでございます。あなたが今着ておられるグレードⅣよりも強力で、そんなに、もこもことごわつきません。アーマーと違って、頭部も含めて全身を守れます」
そう言ってテーブルに置かれたのは、シンプルなブレスレット。
「これが?」
「ええ。ほら」
横にいたSPの腹に向けて、いきなり一発の弾が発射された。
サプレッサー付きで、あまり大きな音はしなかったのだが……
撃った担当者も本当に大丈夫だった。などと、冷や汗を流しながら、その心は隠して説明を続ける。
「弾が空中で止まっている。なんだこれは?」
「我が国の新型でございます。閣下はモンスターを倒して、新人類となっておられますね」
当然知っているのだが、一応確認をする。
「ああ、前の氾濫の時に、前線で攻撃を行ったからな」
「では、閣下の体内魔力で、二十四時間三百六十五日の使用が行えます。危険のない水とか食事は摂取出来ます。それとこの指輪は、緊急用の聖魔法が組み込まれたリングです。毒や怪我にたいして、瞬時に対応を行います。これでよほどの状態では無い限り閣下のお命はガード出来ます」
ニコニコと説明がされる。
「よほどとは?」
「話では核ミサイルの直撃でも、大丈夫だとか。魔力が切れるまでは水の上にも浮いていられると言っていましたが、全体を包まれた状態で長く居ると内部で酸欠になる事があるそうです」
「判った」
閣下と呼ばれる人物は、まじまじと眺めた後、ブレスレットと指輪をはめる。
「これなら、姿を隠さずに市民の前に出ることが出来るな」
民を鼓舞するには、目の前に姿を見せるのが一番良い。
だが多くは、身の危険があり、出ることがかなわない。
「これさえあれば、一歩も二歩も先んじれる。奴を出し抜くことが出来るぞ」
「おめでとうございます」
「いや、それはすべて終わってからだ。君達の援助。忘れることはない」
そう言って彼は、嬉しそうに両手で握手をしてくる。
そんな動きがあり、到る処でリバーシのように政権が引っくり返る。
その時にばらまかれた金塊は、どこから来てどこへ行くのか?
それは間接的にも、ふんぞり返っていた先進国の首をじわじわと絞めていく。
多くの国は、危機的な状況となった時に、現物として使用出来るように、金の準備高という物が存在をする。
それこそ、先進国では、数千トン単位で持っていると、発表されている。
それが今、すごいスピードで、無価値になっていくことに、今だに気がついていない。
日々価格が変化をする物質なので参考だが、グラム二万円だった物が、いきなり百分の一や下手をすれば千分の一になる。
その差分は国としての損失だ。
希少性がなければ、金は導電性がよく錆びない金属。
それも柔らかいので、銅線を置き換える原料としては最高の素材だろう。
世界の勢力図は、今、大きく変わろうとしていた……
『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
遠く異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱异、唐の祿山、これらは皆舊主先皇の政にもしたがはず、樂しみをきはめ、諌めをも思ひ入れず、天下の亂れん事を悟らずして、民間の愁ふるところを知らざつしかば、久しからずして、亡じにし者どもなり。』
あまりにも有名な文章なので、きっと日本人なら国語や古典で習うだろう。
簡単に説明すれば、祇園精舍の鐘の音は、この世のすべては絶えず変化していくものだという響きがある。つまり、随分語り口調の騒がしい鐘のようだ。
娑羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も、必ず衰えるものであるという決まり事をあらわしている。そう、花は咲き誇り、そしてしおれていく。そうじゃないと、実ができないからね。そうそう、それが世の理だよね
世に栄え、うっきゃー、レッツパーティー!! などと叫んでいた者達も、やがて没落をする。それは、浮かれた春の夜に見る幻。まるで、風に吹かれて飛んでいく塵のようだ。花見の席で盛り上がり、風に飛ばされたビニールゴミ。
後日、安価に雇われた人材センターの人が、ため息をつきながら掃除をするという対比。現在日本の問題を詠んだもの…… ではない。
遠い外国を見ると、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の安禄山、これらはみな元の君主や先代皇帝の政治に従わず、栄華を極め、忠告にも深く考えようとはせず、天下が乱れることもわからずに、人々の苦労なども知らなかった? 見て見ぬ振りをしたので、長続きをせずに滅びた者。
そうこれは、書かれている通り。
今まさに、世界の片隅は、その状態となっていた。
たった数十年で稼いだあぶく銭を武器として、色々な国を食い物にしていたある国があった。
「何? 借款が返せないだと?」
「ええ。原因はそちらが連れてきた会社のせいです。開通どころか未だに用地買収すらできていません。当然我が国としては、資金の回収が出来ないのです」
お互いが、お互いの不備を突く。
狸同士の殴り合い…… いや顔は笑って、テーブルの下で蹴り合う感じだが、それが世界中で複数、それも同時に起こり始めると流石にまずい。
今までは、無理を言ってもへいこらとハナシを聞いて、自国の国民を苦しめてでも金を払ってきていた。
まあ払えない場合は、自国の土地を百年などと言う貸借契約をしたりしていたのだが……
ここに来て、こいつらの態度が変わってきた。
「なぜだ。正常じゃ無い。何かが起こっている」
意外と担当官の感は鋭かった。
その事案の裏で、カサコソと暗躍をする者達がいた。
「そうですか。大統領がねぇ…… 内政干渉は行えませんが、我が国としては援助が行えます」
彼は、そう言うと、とても素晴らしい笑顔と共に合図を送る。
すると後ろに控えていた者達が、大量の金塊が入ったアタッシュケースをどさっとテーブルの上にのせる。
「昨今、価格が下がっていますが、まだ十分な価値はあります。如何ですか?」
「こっ、これは、本当によろしいのですか?」
「ええ。これはあなたへのエールです。領収書を頂こうとも思ってはいません。ただ…… 頑張ってください。我々は、応援をいたしております」
そんな秘密のミーティングが、世界中で行われていた。
政府の中は一枚岩ではない。
現政権が共産主義に傾いていても、ある日政権が引っくり返ることがある。
特に不安定な小国では日常茶飯事であり、政権の裏側で暗殺などの危険もある。
「それに、これは我が国が開発をした、特殊アーマーでございます。あなたが今着ておられるグレードⅣよりも強力で、そんなに、もこもことごわつきません。アーマーと違って、頭部も含めて全身を守れます」
そう言ってテーブルに置かれたのは、シンプルなブレスレット。
「これが?」
「ええ。ほら」
横にいたSPの腹に向けて、いきなり一発の弾が発射された。
サプレッサー付きで、あまり大きな音はしなかったのだが……
撃った担当者も本当に大丈夫だった。などと、冷や汗を流しながら、その心は隠して説明を続ける。
「弾が空中で止まっている。なんだこれは?」
「我が国の新型でございます。閣下はモンスターを倒して、新人類となっておられますね」
当然知っているのだが、一応確認をする。
「ああ、前の氾濫の時に、前線で攻撃を行ったからな」
「では、閣下の体内魔力で、二十四時間三百六十五日の使用が行えます。危険のない水とか食事は摂取出来ます。それとこの指輪は、緊急用の聖魔法が組み込まれたリングです。毒や怪我にたいして、瞬時に対応を行います。これでよほどの状態では無い限り閣下のお命はガード出来ます」
ニコニコと説明がされる。
「よほどとは?」
「話では核ミサイルの直撃でも、大丈夫だとか。魔力が切れるまでは水の上にも浮いていられると言っていましたが、全体を包まれた状態で長く居ると内部で酸欠になる事があるそうです」
「判った」
閣下と呼ばれる人物は、まじまじと眺めた後、ブレスレットと指輪をはめる。
「これなら、姿を隠さずに市民の前に出ることが出来るな」
民を鼓舞するには、目の前に姿を見せるのが一番良い。
だが多くは、身の危険があり、出ることがかなわない。
「これさえあれば、一歩も二歩も先んじれる。奴を出し抜くことが出来るぞ」
「おめでとうございます」
「いや、それはすべて終わってからだ。君達の援助。忘れることはない」
そう言って彼は、嬉しそうに両手で握手をしてくる。
そんな動きがあり、到る処でリバーシのように政権が引っくり返る。
その時にばらまかれた金塊は、どこから来てどこへ行くのか?
それは間接的にも、ふんぞり返っていた先進国の首をじわじわと絞めていく。
多くの国は、危機的な状況となった時に、現物として使用出来るように、金の準備高という物が存在をする。
それこそ、先進国では、数千トン単位で持っていると、発表されている。
それが今、すごいスピードで、無価値になっていくことに、今だに気がついていない。
日々価格が変化をする物質なので参考だが、グラム二万円だった物が、いきなり百分の一や下手をすれば千分の一になる。
その差分は国としての損失だ。
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