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第1章 新しい人生の始まり
第4話 お金が必要
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しばらく歩くと、壁が見えてきた。
壁だということは、城郭都市という奴だな。
問題は言葉だが、どうだろう。
そう思いつつ、何も言わずに門を抜けようとすると……
「止まれ」
いきなり槍を突きつけられる。
うーん言葉。通じないといやだなあ。
とりあえず、手を上げる。
だけどユキが唸るので、手を上げたばかりだがしゃがんで首に腕を回し、飛びかからないようにする。
「どこから来た。その狼はお前のか?」
その事で文句は言われなかったが、今だに槍はこっちを向いている。
だけど、やっと気が付いた。
「うん? 言葉が通じる? どこかと言われると、高知です」
つい素直に答えてしまった。
「コーチュー? 何処だそれは。まあいい。その狼はお前のか?」
ちらっと、ユキを見て聞いてくる。
よく見れば、兵隊さん腰が引けている。
こんなにかわいいのに……
「ええ、かわいいでしょ。こっちに来てから、そう彼女は家族のようなモノです」
大仰に手を広げたので、ユキから俺の手が離れた。
それを見て、兵隊さんが後ずさる。
「おおっ…… そっそうか。人に迷惑をかけん様にな。それで、町へ入るなら、入場料がいる」
入場料?
「どこかに住みたいのですが」
そう言うと、困った顔になる。
「うーん。なら仕事を見つけて、税金を払う必要がある。簡単なのは冒険者ギルドだな」
そう言って、門から見える建物を指さす。
レンガ造りの二階建て?
「あそこなんですね。ありがとうございます」
そう言って、中へ入ろうとするが、当然だが入らせてもらえない。
そう、三歩までは入れた。
だが、槍が目の前に。
「入るなら入場料」
「あそこに行かないと、お金が払えません」
そう言って、じっと見つめてみる。
「ぐっ。それはそうだが……」
意外となんとかいける?
「そうだ、お金を稼ぐまで、ユキをお預けいたします」
何どうしたの? そんな感じで首をひねるユキ。
「此処で待っていて」
ユキに説明をして、足を踏み出す。
「だー。わかったから、銀貨一枚稼いでこい。必ずだぞ」
「ありがとうございます」
御礼を言って中へ入る。
その時俺は、まだ銀貨一枚の重さを知らなかった。
いや重量は、二十四グラムくらいかな、分厚く大きさは五百円くらい。
だがこれが簡単に銀貨一枚と言ったが、これが大体二十五ピクニア。
日本円なら、二千五百円くらい。
なんだけれど格差が大きい。
宿基準で行くと二千五百円くらいの感覚だけど、食い物基準だと二万五千円相当? じゃあ二万五千円でいいのか?
ピクニアは、古い言葉で貨幣を示すらしい。
銀貨と銅貨の下に、鉄貨があり一パルブム。百枚で銅貨一枚とのこと。
パルブムは小さいを意味するらしい。
それでこの辺り、一日に銅貨三枚あれば暮らせる。と言うか最低限食える。
そう…… モノが安いということは、稼ぐのが大変ということ。
「すみません」
こそこそと入ったが、ざわっとなり。
周囲の空気が変わる。
いきなり飛んできた矢を掴む。
狙いは、ユキだ。
ユキをかばうように身を低くして、矢を武器として構えて、全体を睨み付ける。
そうこの時には、自分が危険だと知らなかった。
人を見たのは街道を歩き出してからで、話したのはさっきだし。
森で会ったのは人ではなかったし。
そんな事を考えていたら、ユキが俺の肩にペシッと手を置いて首をふるふると振る、それで気が付いた。
食堂側にいた冒険者が、なぜか卒倒をしていた。
構えを解き、見えているカウンターへ向かう。
字は読めた。
『受付』と書かれたところで、聞いてみる。
「登録をしたいのですが、できますか?」
「えっはい」
意外とお姉さんは、平気そうだった。
そう冒険者達の大部分は、俺が発した一瞬の殺気を受けて気を失った。
だけど、お姉さんは少し冷や汗くらい。
何で作ったのかわからない紙。
それに、インクで書く木製?のペン。
かなり引っかかるが書き込む。
だが……
「この字は何と書いてあります?」
そう読めていたから、普通に日本語で書いた。
だけど、現地人は読めないらしい。
「すみません、代筆をお願いできますか」
「はい、よろしいですよ。皆さん基本、字が書けませんから」
「名前は、よしと」
「ヨシュートさんですね」
なんか勝手に変わった。
「出身は高知」
「コーチューっと」
「歳は、三十二歳」
「歳は、さんじゅ…… ヨシュートさん。嘘はいけません。うーん、十六歳にしておきましょう」
なんか歳を適当に決められた。
「それと、犬がいるんですが、登録が必要ですか?」
「犬ですか?」
カウンター越しに覗き込んできた。
素晴らしいことに、台の上に、丁度胸がぽよんと乗っている。
だが、一瞬で消える。
「あれ?」
「そっそれ、犬じゃ無いです。狼系です。手足の大きさが犬と違うじゃ無いですかぁ」
カウンターの奥から、声だけが聞こえる。
「ええと、ベルトーネさん」
机のところにある、名札を読んでみる。
「はい」
「出てきてください」
「きちんと捕まえていてくださいね」
そっと、目までが出てきた。
「登録などは必要ありませんが、何かあれば飼い主の責任ですからね」
念を押されて、飼っていることが分かる様にと、馬用の鈴を首につけた。
牛はカランカランと音がするやつで、馬はシャンシャン言う奴だが、ユキはチリチリとなる鈴を一個。
「カードは金属ですので、文字を打つのに最低一日かかります。それまではこの紙製の仮りカードを持っていてください。登録料が、銀貨一枚。カードが銀貨一枚。保証料が銀貨一枚。あわせて、七十五ピクニア。それと此処で住むようになれば、人頭税百ピクニアが必要です」
そう言って、お皿が出てくる。
ほれ、払えという感じで。
「すみません。今お金がありません」
「じゃあ借用書に、拇印をお願いします」
そう言って、皿の上に小型のナイフが乗る。
定型文書の書類に、数字と俺の名前が書かれて、ぺいっと渡される。
「私は、ギルドに対して、以下金額を借用しております。期限は上記より一月。元本に小銀貨一枚を加えた額を返済します。なお払えない場合、奴隷落ちも承知しております……」
その文言で、固まって居ると声がかかる。
「ああそれ? 払う気があれば大丈夫でしょ。目安は新月になる頃に、金利分の銀貨は納めてください。途切れると奴隷ですよ」
わずかな間に、一〇万以上の借金。
泊まるところなし。
新世界。俺の未来には暗雲が広がる……
壁だということは、城郭都市という奴だな。
問題は言葉だが、どうだろう。
そう思いつつ、何も言わずに門を抜けようとすると……
「止まれ」
いきなり槍を突きつけられる。
うーん言葉。通じないといやだなあ。
とりあえず、手を上げる。
だけどユキが唸るので、手を上げたばかりだがしゃがんで首に腕を回し、飛びかからないようにする。
「どこから来た。その狼はお前のか?」
その事で文句は言われなかったが、今だに槍はこっちを向いている。
だけど、やっと気が付いた。
「うん? 言葉が通じる? どこかと言われると、高知です」
つい素直に答えてしまった。
「コーチュー? 何処だそれは。まあいい。その狼はお前のか?」
ちらっと、ユキを見て聞いてくる。
よく見れば、兵隊さん腰が引けている。
こんなにかわいいのに……
「ええ、かわいいでしょ。こっちに来てから、そう彼女は家族のようなモノです」
大仰に手を広げたので、ユキから俺の手が離れた。
それを見て、兵隊さんが後ずさる。
「おおっ…… そっそうか。人に迷惑をかけん様にな。それで、町へ入るなら、入場料がいる」
入場料?
「どこかに住みたいのですが」
そう言うと、困った顔になる。
「うーん。なら仕事を見つけて、税金を払う必要がある。簡単なのは冒険者ギルドだな」
そう言って、門から見える建物を指さす。
レンガ造りの二階建て?
「あそこなんですね。ありがとうございます」
そう言って、中へ入ろうとするが、当然だが入らせてもらえない。
そう、三歩までは入れた。
だが、槍が目の前に。
「入るなら入場料」
「あそこに行かないと、お金が払えません」
そう言って、じっと見つめてみる。
「ぐっ。それはそうだが……」
意外となんとかいける?
「そうだ、お金を稼ぐまで、ユキをお預けいたします」
何どうしたの? そんな感じで首をひねるユキ。
「此処で待っていて」
ユキに説明をして、足を踏み出す。
「だー。わかったから、銀貨一枚稼いでこい。必ずだぞ」
「ありがとうございます」
御礼を言って中へ入る。
その時俺は、まだ銀貨一枚の重さを知らなかった。
いや重量は、二十四グラムくらいかな、分厚く大きさは五百円くらい。
だがこれが簡単に銀貨一枚と言ったが、これが大体二十五ピクニア。
日本円なら、二千五百円くらい。
なんだけれど格差が大きい。
宿基準で行くと二千五百円くらいの感覚だけど、食い物基準だと二万五千円相当? じゃあ二万五千円でいいのか?
ピクニアは、古い言葉で貨幣を示すらしい。
銀貨と銅貨の下に、鉄貨があり一パルブム。百枚で銅貨一枚とのこと。
パルブムは小さいを意味するらしい。
それでこの辺り、一日に銅貨三枚あれば暮らせる。と言うか最低限食える。
そう…… モノが安いということは、稼ぐのが大変ということ。
「すみません」
こそこそと入ったが、ざわっとなり。
周囲の空気が変わる。
いきなり飛んできた矢を掴む。
狙いは、ユキだ。
ユキをかばうように身を低くして、矢を武器として構えて、全体を睨み付ける。
そうこの時には、自分が危険だと知らなかった。
人を見たのは街道を歩き出してからで、話したのはさっきだし。
森で会ったのは人ではなかったし。
そんな事を考えていたら、ユキが俺の肩にペシッと手を置いて首をふるふると振る、それで気が付いた。
食堂側にいた冒険者が、なぜか卒倒をしていた。
構えを解き、見えているカウンターへ向かう。
字は読めた。
『受付』と書かれたところで、聞いてみる。
「登録をしたいのですが、できますか?」
「えっはい」
意外とお姉さんは、平気そうだった。
そう冒険者達の大部分は、俺が発した一瞬の殺気を受けて気を失った。
だけど、お姉さんは少し冷や汗くらい。
何で作ったのかわからない紙。
それに、インクで書く木製?のペン。
かなり引っかかるが書き込む。
だが……
「この字は何と書いてあります?」
そう読めていたから、普通に日本語で書いた。
だけど、現地人は読めないらしい。
「すみません、代筆をお願いできますか」
「はい、よろしいですよ。皆さん基本、字が書けませんから」
「名前は、よしと」
「ヨシュートさんですね」
なんか勝手に変わった。
「出身は高知」
「コーチューっと」
「歳は、三十二歳」
「歳は、さんじゅ…… ヨシュートさん。嘘はいけません。うーん、十六歳にしておきましょう」
なんか歳を適当に決められた。
「それと、犬がいるんですが、登録が必要ですか?」
「犬ですか?」
カウンター越しに覗き込んできた。
素晴らしいことに、台の上に、丁度胸がぽよんと乗っている。
だが、一瞬で消える。
「あれ?」
「そっそれ、犬じゃ無いです。狼系です。手足の大きさが犬と違うじゃ無いですかぁ」
カウンターの奥から、声だけが聞こえる。
「ええと、ベルトーネさん」
机のところにある、名札を読んでみる。
「はい」
「出てきてください」
「きちんと捕まえていてくださいね」
そっと、目までが出てきた。
「登録などは必要ありませんが、何かあれば飼い主の責任ですからね」
念を押されて、飼っていることが分かる様にと、馬用の鈴を首につけた。
牛はカランカランと音がするやつで、馬はシャンシャン言う奴だが、ユキはチリチリとなる鈴を一個。
「カードは金属ですので、文字を打つのに最低一日かかります。それまではこの紙製の仮りカードを持っていてください。登録料が、銀貨一枚。カードが銀貨一枚。保証料が銀貨一枚。あわせて、七十五ピクニア。それと此処で住むようになれば、人頭税百ピクニアが必要です」
そう言って、お皿が出てくる。
ほれ、払えという感じで。
「すみません。今お金がありません」
「じゃあ借用書に、拇印をお願いします」
そう言って、皿の上に小型のナイフが乗る。
定型文書の書類に、数字と俺の名前が書かれて、ぺいっと渡される。
「私は、ギルドに対して、以下金額を借用しております。期限は上記より一月。元本に小銀貨一枚を加えた額を返済します。なお払えない場合、奴隷落ちも承知しております……」
その文言で、固まって居ると声がかかる。
「ああそれ? 払う気があれば大丈夫でしょ。目安は新月になる頃に、金利分の銀貨は納めてください。途切れると奴隷ですよ」
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