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第2章 冒険者時代
第13話 家を借りる
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まあ、あのベルトーネさんが、カウンターの中で百面相をしている。
時折、でへっとなり、なんというか色っぽい顔にいきなり変わり、うふふと笑い出す。
まあ、どこからどう見てもおかしい。
―― 彼女は、昨日のことを思い出していた。
ギルドの受付は、日の暮れと共に終了をする。
町の門が閉まるため、どっちにしろ出入りができなくなるせいだ。
食堂の方は、これからの方が忙しいが、受付には関係ない。
手が足りないときに応援を頼まれるが、絶対に女性職員は遅くまで残ってはいけない決まりになっている。
たまに馬鹿な冒険者がいるためだ。
ベルトーネも幾度か襲われた経験があり、基本男が怖い。
当然撃退をして、マスターを呼んだが。
だが、ヨシュートさんは、何かが違う。
そう、他の人だったら、絶対にお金を使い込んだりしない。
もしとがめられたら、その時は体で返そう……
そんなばかなことを、彼女は考えていた。
だけど、キルドマスター権限でチーム?
それは良くあることだけど、何もあの人と。
男女混合でチームを組んでいると、色々とトラブルになる。
無論襲われたと言う事も。
そう言うときには、ギルドマスター権限でチームを解散させて、他のチームを紹介したりする。
そう、女の子とヨシュートがチームを組み、一緒に仕事。
笑顔で手を繋ぎ、二人が草原を走る姿が幻視される。
そのまま縺れ合うように倒れ込み、そして…… だめよ、そんなの。
なぜか判らない。
奇妙な感情が、心の中を埋め尽くす。
そこへいそいそと、マスターが降りてくる。
「いよ。お疲れ。お前も早く帰れ」
などと言いながら、右手をシュパッと挙げる。
変に上機嫌、それが気に食わない。
「ギルドマスター。話があります」
すっくと立ち上がり、声をかける。
「なんだ」
そう言いながら、ベルトーネの表情を見て、立ち止まるのをやめた。
少し速度を上げながら、ギルドを出て行く。
それに負けじと、ベルトーネも追いかける。
競歩のような二人、あっという間に店へと着いてしまった。
「いいですかマスター、もっとベテランで人手の足りないチームがあるでしょう。別に男性でしかもソロの……」
横でうだうだ言うベルトーネ、なんとかせねばそう思っていると、丁度良い人物を見つける。
「おっヨシュート居たか。よかったお前からも説明をしてくれ。職権乱用だと言われて、困っているんだ」
「職権乱用? 何が?」
ヨシューとさんが、じっと見てくる。
「なにがって、そのう……」
彼を見た瞬間に、鼓動が跳ね上がる。
だけど、その横にあの子が……
何あの惚けた表情、それに距離感。
姦通やがったなぁ。
「お前達でチームを組ませたのが、許せないらしくてな。羨ましいこった」
「羨ましい?」
「ああ。コイツもおまえぐわぁぁ」
馬鹿なことを言い出すマスターに、すべての怒りを拳に乗せて放つ。
そう、ベルトーネは身を守るため、体術や剣術をずっと習っている。
冒険者からは見えないが、背中側。
腰の所にベルトで、刃渡り四〇センチのナイフは、ずっと装備をしている。
足から発生した力を、螺旋を描くように伝播させ、拳へと繋ぐ。
インパクトの瞬間に、その力を相手の体内に置いてくる。
それは相手の体を内側から破壊する、奥義ともいえる技。
油断をしていたギルドマスターは筋肉が緩んでいた。
耐えられるわけがない。
彼の下半身は力を失い、ストンと膝は床に着いてしまった。
きっとマスターは、焼け付くような痛みを感じているだろう。
そして、彼らを見張らなければ、そんな感情が芽生える。
一度くらいなら、そう、男の人だもの。
自然形で、話題を……
そうだ。
「わあ、それきっと、ヨシュートさんが獲ってきたアルーですよ。私もたのもう」
上手く、できた。
きっと自然だったはず。
そして優しいヨシュートさんが、エールを冷やしてくれた。
ヴァレリーさんはおバカな姿を…… そんな姿を見せてもいいほどなの?
いつの間に? いえ、二人が出会ったのは、昨日の話だったはず、そうか彼はすべてを許してくれるから甘えて…… 羨ましい……
「いい、ベルトーネ。男の人は粗暴で雑だけど、危険な町の外で頑張ってくれているの。家の中でくらい、甘やかしてあげるの。いいわね」
母親はそう言っていた。
でもそれは、母さんの周りが悪かっただけじゃ。
お父さんは怖い。
商店を守るため必死なのは判るけれど、何かがあれば手が出る。
私は流石に殴られないけれど、それは私を高く売るため。
お店のために。
酔い潰れたヴァレリーさんを小脇に抱えて、狼と一緒に帰り始める。マスターもいるけれど……
なんでマスターの家?
緊急連絡をするため、いつも来る家。
私は、見張るため、足を踏み入れてしまった。
だけど……
そう、帰ってきて早々にお風呂に入ろうと、彼の手を引っ張り出すヴァレリー。
「親しくもないのに、そんな手を掴んではしたない」
私はつい言ってしまう。
だけどそれに対して、彼女の答えは私を愕然とさせる。
「親しいよ。一晩ずっとエッチしたし。すごく気持ちよかった」
そう言って惚けた顔をするヴァレリー。
「エッチをした……」
そう聞いて、つい彼を見る。
どうしてそんなにすぐに、そんなにしたかったのなら、言ってくれれば良かったのに……
「なぜなんです? 私の気持ちは……」
つい気持ちが言葉に……
「はっ? 私の気持ち?」
聞き返えされてはっとなる。
私ナニを……
「あっいえ、その…… 一方的に……」
そう言って、俺の手を取る。
繋がっていたヴァレリーの手は、じゃまだし当然のように払う。
その瞬間に流れ込んでくる何か…… そのかわりというか、私の心から彼への気持ちがあふれ出る。
彼に触れたい、抱かれたい。
気持ちが止まらない。
キスをするともうだめ。
彼が欲しい、彼と愛し合いたい。
欲望が、私そんな性格じゃないのに、この人を……
欲しいの…… そう思い始めるともう、止まらなかった。
彼と繋がるともう、その気持ち、そして知識として知っていた快楽は想像不足。
その幸せさは……
そう駄目そうな男にまで、くっ付いている駄目な女達。
そうなってしまう気持ちが理解できる。
愛したい、愛されたい。
気持ちがあふれて止まらない。
気持ちよくって、体も止まらない。
彼女がしているのが羨ましいけれど、腰が抜けてだめ……
私、駄目になっていく。
もう彼しか見られない……
「さて、相談がある。マスターにもいい加減迷惑をかけるから、家を借りよう」
マムの店で、その晩落ち合い話をした。
私も一緒に住むらしい。
うふふふっ……
時折、でへっとなり、なんというか色っぽい顔にいきなり変わり、うふふと笑い出す。
まあ、どこからどう見てもおかしい。
―― 彼女は、昨日のことを思い出していた。
ギルドの受付は、日の暮れと共に終了をする。
町の門が閉まるため、どっちにしろ出入りができなくなるせいだ。
食堂の方は、これからの方が忙しいが、受付には関係ない。
手が足りないときに応援を頼まれるが、絶対に女性職員は遅くまで残ってはいけない決まりになっている。
たまに馬鹿な冒険者がいるためだ。
ベルトーネも幾度か襲われた経験があり、基本男が怖い。
当然撃退をして、マスターを呼んだが。
だが、ヨシュートさんは、何かが違う。
そう、他の人だったら、絶対にお金を使い込んだりしない。
もしとがめられたら、その時は体で返そう……
そんなばかなことを、彼女は考えていた。
だけど、キルドマスター権限でチーム?
それは良くあることだけど、何もあの人と。
男女混合でチームを組んでいると、色々とトラブルになる。
無論襲われたと言う事も。
そう言うときには、ギルドマスター権限でチームを解散させて、他のチームを紹介したりする。
そう、女の子とヨシュートがチームを組み、一緒に仕事。
笑顔で手を繋ぎ、二人が草原を走る姿が幻視される。
そのまま縺れ合うように倒れ込み、そして…… だめよ、そんなの。
なぜか判らない。
奇妙な感情が、心の中を埋め尽くす。
そこへいそいそと、マスターが降りてくる。
「いよ。お疲れ。お前も早く帰れ」
などと言いながら、右手をシュパッと挙げる。
変に上機嫌、それが気に食わない。
「ギルドマスター。話があります」
すっくと立ち上がり、声をかける。
「なんだ」
そう言いながら、ベルトーネの表情を見て、立ち止まるのをやめた。
少し速度を上げながら、ギルドを出て行く。
それに負けじと、ベルトーネも追いかける。
競歩のような二人、あっという間に店へと着いてしまった。
「いいですかマスター、もっとベテランで人手の足りないチームがあるでしょう。別に男性でしかもソロの……」
横でうだうだ言うベルトーネ、なんとかせねばそう思っていると、丁度良い人物を見つける。
「おっヨシュート居たか。よかったお前からも説明をしてくれ。職権乱用だと言われて、困っているんだ」
「職権乱用? 何が?」
ヨシューとさんが、じっと見てくる。
「なにがって、そのう……」
彼を見た瞬間に、鼓動が跳ね上がる。
だけど、その横にあの子が……
何あの惚けた表情、それに距離感。
姦通やがったなぁ。
「お前達でチームを組ませたのが、許せないらしくてな。羨ましいこった」
「羨ましい?」
「ああ。コイツもおまえぐわぁぁ」
馬鹿なことを言い出すマスターに、すべての怒りを拳に乗せて放つ。
そう、ベルトーネは身を守るため、体術や剣術をずっと習っている。
冒険者からは見えないが、背中側。
腰の所にベルトで、刃渡り四〇センチのナイフは、ずっと装備をしている。
足から発生した力を、螺旋を描くように伝播させ、拳へと繋ぐ。
インパクトの瞬間に、その力を相手の体内に置いてくる。
それは相手の体を内側から破壊する、奥義ともいえる技。
油断をしていたギルドマスターは筋肉が緩んでいた。
耐えられるわけがない。
彼の下半身は力を失い、ストンと膝は床に着いてしまった。
きっとマスターは、焼け付くような痛みを感じているだろう。
そして、彼らを見張らなければ、そんな感情が芽生える。
一度くらいなら、そう、男の人だもの。
自然形で、話題を……
そうだ。
「わあ、それきっと、ヨシュートさんが獲ってきたアルーですよ。私もたのもう」
上手く、できた。
きっと自然だったはず。
そして優しいヨシュートさんが、エールを冷やしてくれた。
ヴァレリーさんはおバカな姿を…… そんな姿を見せてもいいほどなの?
いつの間に? いえ、二人が出会ったのは、昨日の話だったはず、そうか彼はすべてを許してくれるから甘えて…… 羨ましい……
「いい、ベルトーネ。男の人は粗暴で雑だけど、危険な町の外で頑張ってくれているの。家の中でくらい、甘やかしてあげるの。いいわね」
母親はそう言っていた。
でもそれは、母さんの周りが悪かっただけじゃ。
お父さんは怖い。
商店を守るため必死なのは判るけれど、何かがあれば手が出る。
私は流石に殴られないけれど、それは私を高く売るため。
お店のために。
酔い潰れたヴァレリーさんを小脇に抱えて、狼と一緒に帰り始める。マスターもいるけれど……
なんでマスターの家?
緊急連絡をするため、いつも来る家。
私は、見張るため、足を踏み入れてしまった。
だけど……
そう、帰ってきて早々にお風呂に入ろうと、彼の手を引っ張り出すヴァレリー。
「親しくもないのに、そんな手を掴んではしたない」
私はつい言ってしまう。
だけどそれに対して、彼女の答えは私を愕然とさせる。
「親しいよ。一晩ずっとエッチしたし。すごく気持ちよかった」
そう言って惚けた顔をするヴァレリー。
「エッチをした……」
そう聞いて、つい彼を見る。
どうしてそんなにすぐに、そんなにしたかったのなら、言ってくれれば良かったのに……
「なぜなんです? 私の気持ちは……」
つい気持ちが言葉に……
「はっ? 私の気持ち?」
聞き返えされてはっとなる。
私ナニを……
「あっいえ、その…… 一方的に……」
そう言って、俺の手を取る。
繋がっていたヴァレリーの手は、じゃまだし当然のように払う。
その瞬間に流れ込んでくる何か…… そのかわりというか、私の心から彼への気持ちがあふれ出る。
彼に触れたい、抱かれたい。
気持ちが止まらない。
キスをするともうだめ。
彼が欲しい、彼と愛し合いたい。
欲望が、私そんな性格じゃないのに、この人を……
欲しいの…… そう思い始めるともう、止まらなかった。
彼と繋がるともう、その気持ち、そして知識として知っていた快楽は想像不足。
その幸せさは……
そう駄目そうな男にまで、くっ付いている駄目な女達。
そうなってしまう気持ちが理解できる。
愛したい、愛されたい。
気持ちがあふれて止まらない。
気持ちよくって、体も止まらない。
彼女がしているのが羨ましいけれど、腰が抜けてだめ……
私、駄目になっていく。
もう彼しか見られない……
「さて、相談がある。マスターにもいい加減迷惑をかけるから、家を借りよう」
マムの店で、その晩落ち合い話をした。
私も一緒に住むらしい。
うふふふっ……
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