不運だけど、快楽と無双を武器に、異世界を生きていく。

久遠 れんり

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第3章 貴族兼教祖時代

第26話 恐ろしい

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「おまえたち、真の神教国の者だな? 何をしに来た? 答えよ」
 副官ロニー=ウィルが前に出て、黒ずくめの集団に聞く。

「ふん。我らはそこの御仁に用事があって来た。テレーザは一体どうなったのだ? ひどく痙攣をしているが」
 そう言いながら、男達は近寄って来る。

「お下がりください男爵様」
 その瞬間に、連中の動きが止まる。

「男爵様だと? 冒険者では?」
「手柄を立て、叙爵された。現在は男爵様だがすぐに陞爵しょうしゃくをされるであろう」
 なぜかそう言い放ち、ロニーが胸を張る。

 何か集まって話をしているが、また近寄ってきた。
 ヨシュートは、前に出ていたロニーを、横にずらす。

 針や剣が俺に向かってくる。
 だが、俺の着ている村人装備は、そんなものは通さない。
 ロニーに着替えるように言われたが、人々が貴族と分かれば気を使うから嫌だと言って、躱したのが役に立つ。

「なっ、刺さらん。ならば」
 別の男が、霧を吐く。

 毒だな。
 少し目が痛い。

「だが効かん。ほれ」
 ラリアット風に手を伸ばして振り回しただけで、肋骨からべきべきと音を立てながら、三人ほど吹っ飛ぶ。

 それを見ていた男、一人だけ図体のでかい奴が、突っ込んでくる。
 だが、テレーザを踏んづけて転ぶ。
 そしたら、倒れている男をユキがプチッと踏んでしまった。
 首が、ゴキッとか言って痙攣を始める。
 ユキって大きくなって、最近クマ並みだから結構重いんだよな。

「ひえっ、これはあきまへんわ。せやけど。行きますわ」
 右手から、そでに隠していた剣が撃ち出され、刃が飛んでくる。躱すかどうか悩んでいると、男の左手に握ったナイフが突き出されてきた。
 同時にはたき落とす。

「ほれ、触れおった。その剣には毒がたっぷり塗ってある。あんさんこれで即死や……」
 男は嬉しそうに言うが……

「うん?」
「その毒はな、皮膚から吸収されて、即死…… ええっ? なんでやの?」
 驚き、棒立ち。
 デコピンをすると、バク転をした。

「まあ、一応捕まえろ、暗器を持っているようだから脱がせよ」
「はっ」

 テレーザとやらも、踏まれて肋骨が折れたようだから、治療をする。

「あっという間に……」
 話術のサロメと奇蹟の肢体カリーネは考える。

「あの…… お強い、ヨシュート様。私たち別にあなたに危害を与えようとか、思っているわけではなくてですね」
 話術のサロメが、なんとか場を納めようと話し始めるのだが、普通は、取り入ることが彼女の役目。
 事後の証拠が満載で、場を治めるなど不可能に近い。

 当然、ヨシュートは首をひねりながら、剣とかを指さす。
「あーそうですね。少しこの連中はおバカでして、勇み足というか……」
 俺は使いたくなかったが、自分の意思で初めて技を使う。
 ちょっと手招きをする。
「はい何でしょう?」

 少し警戒中だが、彼女が間合いに入る。
 一瞬で手を取り、背後から抱えるように彼女を回転させる。
「うっきゃあぁぁ」
 足から力が抜けカクンとなる。
 だが離さない。

「お前達、私に会いに来た様だが、どのような要件で来た?」
「ひっ。うっはっ。しょにょ……」
 カリーネが叫ぶ。
「サロメ」
 喋ろうとするのを、静止したかったのだろうが、聞かない。
 人間、快楽には弱い。

「あにゃたを、殺しに……」
「なぜだ?」
「教会に、逆らったから…… ああああっ。だめっだめっ。あああっ」
 もう彼女は足から力が抜けて、ガクガクしている。

 それを見て、カリーネが逃げようとするが、いつの間にかベルトーネが横に立ち、不可視のボディブローが炸裂。

 彼女は、意識はある様だが、カクンと糸が切れたように崩れ落ちた。

 そう、遠距離をわざわざやって来て、わずか五分ほどで全滅。

 女性三人を別々にして、俺が個別に聞いた。
 ベルトーネさん監修の元なので、最後までやっていないが、効果はてきめん。
 意識次第で、その達し方のコントロールができるようだ。

「私たちの時って、手加減されているんだ」
 ベルトーネとヴァレリーは生唾を飲みながら、気が付けば自分で股間に手が行っていた。

 そう手が触れるだけで、彼女達は達しまくる。
 そして質問され、言い分に違いがないことも確認された。


「おねがい。最後まで……」
 そんな事を望む彼女達。
 だが、ベルトーネとヴァレリーは冷たい目をして、彼女達を見た後、扉が閉まる。

 だが彼女達にとって最悪はそこからだった、自分でどうやっても満足ができない、あの強烈な快感が記憶に残り、どうやっても中途半端。
 そこから、泣き暮らすことになる。

 いたずら者の兵が数人相手をした様だが、当然満足などできない。余計に苦しむことになった。

「懲罰を、ぜひ教国へ遠征を行いましょう」
 そう、一人燃え上がるロニー君。

「だが、兵を連れて行くと、国に迷惑がかからんか?」
「国王を説得をしに行ってきます」
 いきなりロニーが立ち上がる。

「王というのはそんなに簡単に会えるのか?」
 そう言うと、ロニーの目が怪しく光る。

「会えぬなら、会うようにするのみです」
 そう言って彼は、握りこぶしを握る。

「何か判らんがやめろ」
 ものすごく、嫌な予感がしたので止める。
 なんだろう。最近、こいつから狂信者的な雰囲気を感じる。

 ロニーといい、テルミヌスセクド町長コンラート=ヤンケと言い、周りの奴らがおかしい。
 男は抱いてないんだけどな……

 ひょっとして抱けば、あの三人のようになるのだろうか? 
 少し不毛な考えが、脳裏に浮かんだが、頭を振って振り払う。


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