不運だけど、快楽と無双を武器に、異世界を生きていく。

久遠 れんり

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第3章 貴族兼教祖時代

第27話 禁断

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「へえ。おもしろいかも」
 ヴァレリーは、興味芯々で嬉しそうな顔。

「うん。試すだけなら良いわよ。でも本当にするのは嫌よ。どうしてもって言うなら…… あの三人なら良いけれど」
 ベルトーネはそっと ―― 男達を指さす。

 考えてしまったのだよ。
 王国を動かさず、その教国とやらを何とかしようと……

 彼らに聞くと、我らは最強の戦力だと言う。
 なら彼らに任せれば良いじゃん。
 そんな考えが、湧いてしまった。

 そう、この時でも魅了とか暗示が多分使えた。
 だが、無知とは恐ろしいもの。
 そう、俺は目で見て知った、快楽であやつろうと…… 考えてしまったのだよ。

「真の神教国を滅ぼしてくれない?」
 彼女達の目付きが変だけれど聞いてみた。

「そんな勿体ない、ヨシュート様を祀る国にしてみます」
 ちょっと会わないだけで、女の子達が変わっていた。

 ちょくちょく、ロニーが会いに来ていたのは知っている。

 まあいい、話は簡単だった。
「すみません。出発前に確認をさせてくださいますか…… お手を」
「「私も」」
 まあいいかと、手を出す。
 がばっと、ちょっと引くぐらいの勢いで皆が飛んできた。
 彼女達は、おれの手を愛おしむ様にそっと掴み、さらになぜか涙を流す。

「あああっ。理解をいたしました。これが本当の愛なのですね」

 ―― 彼の手を掴んだ瞬間に分かった。
 流れ込んでくる温かい何か。
 最初に会ったときには、こちらの身体が汚れていたから、きっと快楽へと全振りをした。

 今、穏やかな心で触れると、心が浄化され、満たされていく。
 これ以上ない幸福感。
 そう身体の幸福など浅い喜び。
「「「そうなんだ」」」

 むろん、彼女達の勘違い。単純にレベルを抑えたから。
 最初の時には、理由を聞こうと、快楽で脳を焼くくらいに制御した。
 今は、あんな事になってはいけないので抑えた。

 ただ、彼女達は、そんな事を知らない。
 だけど、確かに心を満たす何かを感じ、飢餓状態だった心が満たされた。そうそれで良い。

 当然、部分的にはぐっしょぐしょだったが……

 さて男達の方だ。
 だがこちらも、目付きが穏やか。
「お話は、ロニー様から伺いました。ですが、もう少しだけ奇蹟をわかりやすい形でお見せいただければ」
 そう言って皆が頭を下げる。

 ちょっとだけ、為してみる。
 そう快楽モード。
 スイッチン。

「んなぁーーーーーーー」
 その瞬間、ジャンフランコの目が白目になる。
 彼の下履きの中では、いきなり元気になり、どぴゅぴゅぴゅと連射された。
 強烈な快楽は脳を焼き、彼は宇宙を見た。

 そう小銃を、フルオートで連射した感じ。
 限界を超えた分が、弾がなくなったために、血液のままで吹きだした。
 当然、ぱったりと倒れて痙攣を始める。
 匂いもすごいので、浄化と修復が光となって降りそそぐ。

 次は……
「あっはい」
 そう言ったまま、彼は黙り込む。

 ジャンフランコが、駄目だと首を振って居るのに、カルレロはそのとき、確かに太陽を見て感じた、体に降りそそぐ灼熱は、身を焼き脳は沸騰をした。

 また光が降りそそぐ。

 すべてが終わったとき、彼らは、超越した何かを悟ったようだ。
 まるで、菩薩のような笑み。

「神よ、すべてをお任せください」
 そう言って、彼らは旅立っていった。


 その後、教国では、既得権益を抱えたものが、ぱたぱたと謎の死を迎えることになる。

 そして急遽、教皇が町にやって来た。
 それはすでに、ヨシュートと彼らの出逢いから半年と少しのちの事。

 先月、最後の司祭、アスモデウスが亡くなった。
 それにより、教皇は謎のお勤めからも解放された。

 彼女は、ストレスにより女性ホルモンの卵胞ホルモンエストロゲン分泌異常を起こし、月のものすら止まっていた。
 そう自己で妊娠を否定していた。


 生まれて始めての旅行、責め苦のようなお勤めからの解放。
 彼女の肌つやは、輝きを取り戻し始める。

「ヨシュート=ヒトーノ男爵様、お初にお目にかかります」
 流石に今回は、町の入り口ではなく、応接室。
 謁見の間はあるが、ヨシュートが拒否をした。
 一応相手は、国の王と同等。
 非礼は駄目だろうとロニーを説得した。

 そして立ち上がって彼女を迎えたため、またロニーに嫌そうな顔をされる。

 だが、うっかりと…… 握手がそれを引き起こす。
「わっわたくし、抱いてくださーい」
「あっ?」
 教皇、マリーナ=デルリオ=アプロディーテー。
 一八歳の若さで、応接用のテーブルを飛び越えて、ヨシュートに抱きつく。

「あぅ。でも、そうだ、私汚されて」
 俺からの快楽を振り切り、正気に戻る彼女。

「うん? 何があったんだい? 言ってごらん」
 その後、教国の真実が語られ、彼女は俺と触れ合っているために、喜びもだえながら泣き始める。

 浄化をして、体調も悪そうだし体を治す。
「ああ、これは一体? 止まっていた月のものが」
 とまあ少し大騒ぎになる。

 だけど、光と体調の復活。
 彼女は彼が神だというのを信じた。

 そう、教皇と、十人の導く者達。
 彼らが、一気に国を変えてしまう。
 真の神と真の奇蹟。
 真の神教が、いつの間にか既得権益をむさぼる奴らに蝕まれていたと発表をして、今現世に現人神が降臨されていると、勝手に発表をしてくれやがった……

 そう、このせいで、王から呼び出しを喰らうことになる。

 だが最悪はもっと近くに居た。
「王め、来いとはなんだ」
 ロニーは手紙を読んでご立腹。
 勝手に、用事があるなら来いと、手紙を返したらしい。

 そう、俺の知らないうちに……

 そして、まだ名前の決まっていない町は、王国軍に囲まれる事になる。

「なんだこりゃぁ……」
「呼んだから、王が来たのでしょ」
 ロニーは、満足そうに腕を組み頷いている。

 そう、気が付けばここへ来てから、一年が過ぎていた。
 それは、夏の始まる、ある暑い日の出来事でした。

「余がベルンハルト王国国王、アレクサンデル=エーヴァストである」
 またも、応接室。
 ロニーはおれに、謁見の間で受けさせようとしやがった。

「このお方が、真の神教国で祀られておらられる現人神であり、この国では不遇な扱いを受けているヨシュート=ヒトーノ様であらせられる」
 ロニーは、男爵に力を入れて発言をする。

「頭が高い」
 王に対して、言いやがったぁ……
 言い切りやがったよ…… どうなる俺?
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