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第5章 獣人国平定
第78話 計画
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「獣王決定戦の屋台、たしか配置図があったであろう」
「はっ、ございます」
例の、ヨシュートとやらの屋敷へ、行った者達全員の動きがおかしい。
王妃様など、何かに浮かれたようにぽーっとしている。
お付きで行った、近衛の二人も妙に気合いが入っている。
隊長として、調査をせねばならぬのでは?
王様と宰相様達は、戻ったときから顔を突き合わせて、屋台の配置をああでもないこうでもないと計画をされているが、まさかあのようなことに王権を発動でもするおつもりか?
商業ギルドと軋轢を生んでしまう。
近衛隊長はそんな事を心配していたが、何も起こらなかった。
もとより、商業ギルド内では連絡が入り、彼の者達に任せよ。然すれば道は開かれん。
などという、怪文書が回ってきた。
だがそれを見た、ギルド長は、恭しくその手紙を扱った。
各組織内部において、今確かに何かが動いている。
下っ端が、不安に思い動いてしまえば、きっとその者は人知れず居なくなるに違いない……
そんな話が出始める。
ヨシュートに触れるな、あれは、何かがある。
そんな話が、目端の利く連中の中でまことしやかに流れ始めた。
そんな中でもバカはいる。
「あん? 『総合商店、光の導き』? しらんなぁ、大型商業施設? 王命ならまだしも、無名の商店にそんな事が、出来るわけないだろう。忙しいんだ、帰れ」
その様子を見ていた一人が、ふと気が付く。
「おい、光のなんとかって……」
「ああ、あそこだ」
そいつはやってしまった。
確かに仕事は出来ないが……
ウン出来ないな。
あいつはきっと、いなくなる。
「ありがたいかもしれない」
そこから、数日。皆がどうなるのか気にしていた、こいつ仕事をしたくないので、貴族の息が掛かったところ以外は断ってしまう。
たいてい、別のルートから力のあるものは回してくるから問題はなかった。
力の無いところは、大きなところに泣き付き、口をきいて貰う形がこいつのおかげで出来上がっていた。
そして、そいつはある日、出勤時に捕まった。
「商業ギルドに与えた損害金、おおよそ王国大金貨十枚分だ。弁済して貰おう」
そう言って、ギルド長が直々にやって来た。
背後には、兵が控えている。
「えっ、ちょっと待ってください、そんな覚えありません」
損害金、損害金……
色々考える。
小さな商会とか、色々断ったが、あれは保証の確認とかが面倒だったし、王国大金貨だと?
普通の大金貨と違って、大手商会の決算くらいじゃないと使わないぞ?
まあ特殊な貨幣だが、一枚で一千万くらいだろう、たいした額ではない。
だが、絶対に個人では返せない。
「先方から確認が来た。どうしても我々が一緒にとお願いをして頼んだ案件、どうしてお前のような小物が断ったんだ。それにより、最低の損害がこれだ。話によると、きちんとすれば、賃料の三パーセントが毎月うちに入ってくる予定だった。それを踏まえれば、白金貨何枚まで行くいくのか想像が付かん」
そう聞いても、ぽかーんとしていたが、思い出した。
半端者の獣人。
猿系の奴が持って来た、聞いたことのない商会。
「あれか?」
「思い出したか良かったな。この計画には王様も乗り気となっている。うちがかまなくとも、すぐに動き出すだろう」
「えっ王様? この商会聞いたこともないのですが……」
そっと言って見るが、呆れられた。
「それはお前が、無知なだけだ」
「ですが、あんな半端者」
そう言ったら睨まれてしまう。
「他の奴らは知らん。だがあのお方達は半端者ではなく、ああいう人種だという事だ。どこから来たのか、王は知っておられるようだ、それと教会のトップだな」
「王、それに教会のトップ? 一体? あいつらは……」
会長が合図を送る。
そうだった、証文。払えるわけなどない……
「これにサインをしろ。詳細を君が知る必要はない、君は大好きな金に囲まれて、これから暮らすのだ、嬉しいだろう」
そういって、会長が笑う。
「金に囲まれて生活? …… えっ、まさか…… いやだああぁ、鉱山はいやだぁ」
叫びながら、逃げようとしたが捕まり、彼は連れて行かれてしまった。
「おかしな奴だな、前に飲み会で金が好きと言ったから、鉄ではなく金へと、便宜を図ったのに。さて、どうすればいいのか、頭が痛いことだ……」
そして……
「あいつ、本当に来なくなったぞ」
「今頃、もうどこかで、モンスターの餌になっているのじゃないか?」
「ああ噂通りなら、この世にはいないだろう。他人事じゃないぜ。会長が泣きながら大回転土下座を決めて、計画の端っこに参画出来たようだからな」
こそこそと話は続く。
そして、計画発表後、そのショッピングモール計画の全容が発表された。
ジャワートラ領領都スラバヤで造った物より大きく、王都の入り口から城の入り口までをカバーして、商施設は二階となる。
馬車などの通行を妨げず、雨が降っても大丈夫。
今回は、市場的な物ではなく、モールと言うだけあって商店街だ。
しかも、壁や柱を効率的に配置をして、従来の建物はそのまま。
立ち退きは必要がない。
二階スペースの購入希望は、一階に家があるものが優先される。
一階も、夜十時まで明るく、それから徐々に暗くなり、十二時が完全消灯だそうだ。
「これは素晴らしい」
無論ワイバーンなどがくるため、二階の天井には鉄板が使われている。
ブレスによる熱も、ハニカム構造のおかげで、二分程度なら耐えるそうだ。
「はっ、ございます」
例の、ヨシュートとやらの屋敷へ、行った者達全員の動きがおかしい。
王妃様など、何かに浮かれたようにぽーっとしている。
お付きで行った、近衛の二人も妙に気合いが入っている。
隊長として、調査をせねばならぬのでは?
王様と宰相様達は、戻ったときから顔を突き合わせて、屋台の配置をああでもないこうでもないと計画をされているが、まさかあのようなことに王権を発動でもするおつもりか?
商業ギルドと軋轢を生んでしまう。
近衛隊長はそんな事を心配していたが、何も起こらなかった。
もとより、商業ギルド内では連絡が入り、彼の者達に任せよ。然すれば道は開かれん。
などという、怪文書が回ってきた。
だがそれを見た、ギルド長は、恭しくその手紙を扱った。
各組織内部において、今確かに何かが動いている。
下っ端が、不安に思い動いてしまえば、きっとその者は人知れず居なくなるに違いない……
そんな話が出始める。
ヨシュートに触れるな、あれは、何かがある。
そんな話が、目端の利く連中の中でまことしやかに流れ始めた。
そんな中でもバカはいる。
「あん? 『総合商店、光の導き』? しらんなぁ、大型商業施設? 王命ならまだしも、無名の商店にそんな事が、出来るわけないだろう。忙しいんだ、帰れ」
その様子を見ていた一人が、ふと気が付く。
「おい、光のなんとかって……」
「ああ、あそこだ」
そいつはやってしまった。
確かに仕事は出来ないが……
ウン出来ないな。
あいつはきっと、いなくなる。
「ありがたいかもしれない」
そこから、数日。皆がどうなるのか気にしていた、こいつ仕事をしたくないので、貴族の息が掛かったところ以外は断ってしまう。
たいてい、別のルートから力のあるものは回してくるから問題はなかった。
力の無いところは、大きなところに泣き付き、口をきいて貰う形がこいつのおかげで出来上がっていた。
そして、そいつはある日、出勤時に捕まった。
「商業ギルドに与えた損害金、おおよそ王国大金貨十枚分だ。弁済して貰おう」
そう言って、ギルド長が直々にやって来た。
背後には、兵が控えている。
「えっ、ちょっと待ってください、そんな覚えありません」
損害金、損害金……
色々考える。
小さな商会とか、色々断ったが、あれは保証の確認とかが面倒だったし、王国大金貨だと?
普通の大金貨と違って、大手商会の決算くらいじゃないと使わないぞ?
まあ特殊な貨幣だが、一枚で一千万くらいだろう、たいした額ではない。
だが、絶対に個人では返せない。
「先方から確認が来た。どうしても我々が一緒にとお願いをして頼んだ案件、どうしてお前のような小物が断ったんだ。それにより、最低の損害がこれだ。話によると、きちんとすれば、賃料の三パーセントが毎月うちに入ってくる予定だった。それを踏まえれば、白金貨何枚まで行くいくのか想像が付かん」
そう聞いても、ぽかーんとしていたが、思い出した。
半端者の獣人。
猿系の奴が持って来た、聞いたことのない商会。
「あれか?」
「思い出したか良かったな。この計画には王様も乗り気となっている。うちがかまなくとも、すぐに動き出すだろう」
「えっ王様? この商会聞いたこともないのですが……」
そっと言って見るが、呆れられた。
「それはお前が、無知なだけだ」
「ですが、あんな半端者」
そう言ったら睨まれてしまう。
「他の奴らは知らん。だがあのお方達は半端者ではなく、ああいう人種だという事だ。どこから来たのか、王は知っておられるようだ、それと教会のトップだな」
「王、それに教会のトップ? 一体? あいつらは……」
会長が合図を送る。
そうだった、証文。払えるわけなどない……
「これにサインをしろ。詳細を君が知る必要はない、君は大好きな金に囲まれて、これから暮らすのだ、嬉しいだろう」
そういって、会長が笑う。
「金に囲まれて生活? …… えっ、まさか…… いやだああぁ、鉱山はいやだぁ」
叫びながら、逃げようとしたが捕まり、彼は連れて行かれてしまった。
「おかしな奴だな、前に飲み会で金が好きと言ったから、鉄ではなく金へと、便宜を図ったのに。さて、どうすればいいのか、頭が痛いことだ……」
そして……
「あいつ、本当に来なくなったぞ」
「今頃、もうどこかで、モンスターの餌になっているのじゃないか?」
「ああ噂通りなら、この世にはいないだろう。他人事じゃないぜ。会長が泣きながら大回転土下座を決めて、計画の端っこに参画出来たようだからな」
こそこそと話は続く。
そして、計画発表後、そのショッピングモール計画の全容が発表された。
ジャワートラ領領都スラバヤで造った物より大きく、王都の入り口から城の入り口までをカバーして、商施設は二階となる。
馬車などの通行を妨げず、雨が降っても大丈夫。
今回は、市場的な物ではなく、モールと言うだけあって商店街だ。
しかも、壁や柱を効率的に配置をして、従来の建物はそのまま。
立ち退きは必要がない。
二階スペースの購入希望は、一階に家があるものが優先される。
一階も、夜十時まで明るく、それから徐々に暗くなり、十二時が完全消灯だそうだ。
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ブレスによる熱も、ハニカム構造のおかげで、二分程度なら耐えるそうだ。
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