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第6章 魔人族大陸平定
第111話 静かなる戦い
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魔王城では、今夜も戦いが始まっていた。
導かれし者達。
ついにマドゥラとヨルーオは魔王城へやって来た。
実は、ヨルーオが、なぜここへ来たがったのか、マドゥラは知らなかった。
彼女は強く、魔王の呼びかけをレジストしたからだ。
周囲に蠢く変異体達は、手下達に任せて城へと乗り込んでいく。
行く先のドアは開かれ、導かれるようにまっすぐ進む。
二階三階と進む内雑魚どもはでてこなくなった。
そうして、謁見の間。
観音開きの豪奢な扉。
それに手を掛けて開く。
その部屋は静かで、ただ一つの気配。
王座に座る魔王。
サイドに置かれた、ワインボトルにグラス。
そして、つままれている何か。
その部屋へ足を踏み入れたときから、マドゥラの体は震えていた。
隣に立つヨルーオとは違う、圧倒的な強者の匂い。
そう喜んでいた。
彼に抱かれたい、彼の子どもが欲しい。
快楽によりゆがめられた感情とは違う、圧倒的な強者への憧れ。
体が震え、彼の元に走りたい。
だが判る。
今駆け寄れば、あそこのつまみに加わるだけ。
ならば、答えは一つ。
「ヨルーオ、ナニをしているの? 行きなさいよ」
「あっああ」
ヨルーオ、彼は彼で感じていた。
絶対やばい。
意気揚々とやって来たが、本物が持つ力、それも圧倒的なもの。
ここに居るだけで、膝を屈してしまいたくなる。
魔王は考えていた。
女の方は強い。
ふむ、子をなすのも良いかもしれん。
心の内なる欲望は魔王にもある。
対象となるものが、いなかっただけ。
少し考える。
横の奴と番ならば、殺すと恨まれるか?
いや、嫌がられようと、このレベル差なら押さえ込んでやることは出来る。
だが、我が子を成した状態で、母体共々死なれると困るな……
さてどうするか……?
「お前が王か?」
一応声をかける。
相手の実力を感じて、すっかりヘタレとなったヨルーオ。
「うん? ああそうだ」
一応この答えなら、問題はあるまい。
「なっ……」
言おうとしたのは、何だと? ではなく、ならば俺と戦えであるが、その言葉は出てこない。
その横では、ナニをしているのよ。
さっさと、突っ込んでいって死になさいよ。
そうすれば責任を取りなさいと言って、旦那にするのに。
この時点で、ヨルーオへの愛情はなくなっているようだ。
マドゥラの頭の中では、強いオスが目の前にいる。
あの人に貫かれたい。
どんな感じでやるのかしら?
そんな想像をして、一部からすでに、だらだらと液体が流れ出していた。
魔王城の謁見の間。
ワンフロアは、緊急時に兵が潜めるように、かなりの広さがある。
そう、おおよそバレーボールコートくらいはあるだろう。
だが、その中に三人。
そのコート、いや、戦場の中では、ただならぬ緊迫感が漂っていた。
言わば一人の女を巡る戦い。
魔王は、ヨルーオを殺せばよかった。
いつもなら、躊躇なくそうしていただろう。
だがなんの迷いか、いきなり躊躇してしまった。
そこで、この妙な空気が生まれてしまった。
そして、動き出したのはヨルーオ。
握っていた小石に、魔力を込めて投げる。
必殺技、魔石への過剰魔力補給。
子どもの頃にやっていた遊び。
よく、川の中へと放り込み、魚をとった。
水中で、数メートルの水柱が立ち上がる威力。
それが、三つほど空中に舞う。
魔王は、動き出したヨルーオを目で追っていた。
向かって左、つまり、彼女から離れるように右へと彼は走った。
「何のつもりだ?」
そう彼は、ヨルーオの弱さを感じて気を抜いてしまった。
つまらない思考を巡らし、動きのみを追ってしまった。
瞬間、眼前で起こる爆発。それは意外と威力があり、魔王の頭を揺らす。
そこに飛び込んでくる、ヨルーオ。
渾身のパンチが、魔王の顔を捉える。
そのパンチに込められた気迫、体重、ひねり、魔力。
全ては、此処しかないタイミングで完璧だった。
「やった」
ヨルーオは、その言葉を口に出してしまった……
悪魔の言葉、それは時にフラグとも呼ばれる凶悪なワード。
状態により、千差万別な言葉がある。
軽快な音を立て、拳が砕ける。
「あっ!!」
「ふんヌルいわ」
無造作に、ハエでも払うように魔王の左手が動く。
ヨルーオは左半身の肋骨が、ベキベキと折れていくのを感じる。
とっさに、右へとジャンプをする。
広い室内を転がり、滑り、壁へとぶち当たる。
「がひゅ」
肺の中に、残っていた空気が押し出される。
息ができない。
体が、動かない。
そしてそんな所に、声が聞こえる。
「女こっちへ来い。子を成そうぞ」
「はい喜んで、もう準備は出来ています」
そんな声が聞こえ、躊躇なく行為が始まる。
体は動かないが、目は見え耳は聞こえる。
彼は自分の弱さに腹が立ち、悔しさが心の中にどす黒く渦巻き始めた。
そう怨嗟の心。それは邪神の大好物。
魔王が、瘴気を吸い魔人となるように、邪神に魅入られたものは肉体を邪神へと貸し与えることができる。
多くの歴史上、魔王は魔人となり、最後に邪神となり暴れ回った。
今回は、マドゥラのおかげで何かが狂ったようだ。
今、魔王城の謁見の間に、邪神が降臨をした。
一所懸命腰を振っているマドゥラの視界、その端に動く物が感じられた。
まだ生きていたの?
そんな感じだった。
もう心はない。
欲しいのは、魔王の愛。
「んぎゃ」
彼女は、魔王の膝の上から転がり落ちた。
だが彼女には、全く何が起こったのか、判らなかった。
判っていたのは……
「なんか、やばいもんが現れた」
王都から少し離れた場所を移動している集団。
その中で、二人のみであった。
導かれし者達。
ついにマドゥラとヨルーオは魔王城へやって来た。
実は、ヨルーオが、なぜここへ来たがったのか、マドゥラは知らなかった。
彼女は強く、魔王の呼びかけをレジストしたからだ。
周囲に蠢く変異体達は、手下達に任せて城へと乗り込んでいく。
行く先のドアは開かれ、導かれるようにまっすぐ進む。
二階三階と進む内雑魚どもはでてこなくなった。
そうして、謁見の間。
観音開きの豪奢な扉。
それに手を掛けて開く。
その部屋は静かで、ただ一つの気配。
王座に座る魔王。
サイドに置かれた、ワインボトルにグラス。
そして、つままれている何か。
その部屋へ足を踏み入れたときから、マドゥラの体は震えていた。
隣に立つヨルーオとは違う、圧倒的な強者の匂い。
そう喜んでいた。
彼に抱かれたい、彼の子どもが欲しい。
快楽によりゆがめられた感情とは違う、圧倒的な強者への憧れ。
体が震え、彼の元に走りたい。
だが判る。
今駆け寄れば、あそこのつまみに加わるだけ。
ならば、答えは一つ。
「ヨルーオ、ナニをしているの? 行きなさいよ」
「あっああ」
ヨルーオ、彼は彼で感じていた。
絶対やばい。
意気揚々とやって来たが、本物が持つ力、それも圧倒的なもの。
ここに居るだけで、膝を屈してしまいたくなる。
魔王は考えていた。
女の方は強い。
ふむ、子をなすのも良いかもしれん。
心の内なる欲望は魔王にもある。
対象となるものが、いなかっただけ。
少し考える。
横の奴と番ならば、殺すと恨まれるか?
いや、嫌がられようと、このレベル差なら押さえ込んでやることは出来る。
だが、我が子を成した状態で、母体共々死なれると困るな……
さてどうするか……?
「お前が王か?」
一応声をかける。
相手の実力を感じて、すっかりヘタレとなったヨルーオ。
「うん? ああそうだ」
一応この答えなら、問題はあるまい。
「なっ……」
言おうとしたのは、何だと? ではなく、ならば俺と戦えであるが、その言葉は出てこない。
その横では、ナニをしているのよ。
さっさと、突っ込んでいって死になさいよ。
そうすれば責任を取りなさいと言って、旦那にするのに。
この時点で、ヨルーオへの愛情はなくなっているようだ。
マドゥラの頭の中では、強いオスが目の前にいる。
あの人に貫かれたい。
どんな感じでやるのかしら?
そんな想像をして、一部からすでに、だらだらと液体が流れ出していた。
魔王城の謁見の間。
ワンフロアは、緊急時に兵が潜めるように、かなりの広さがある。
そう、おおよそバレーボールコートくらいはあるだろう。
だが、その中に三人。
そのコート、いや、戦場の中では、ただならぬ緊迫感が漂っていた。
言わば一人の女を巡る戦い。
魔王は、ヨルーオを殺せばよかった。
いつもなら、躊躇なくそうしていただろう。
だがなんの迷いか、いきなり躊躇してしまった。
そこで、この妙な空気が生まれてしまった。
そして、動き出したのはヨルーオ。
握っていた小石に、魔力を込めて投げる。
必殺技、魔石への過剰魔力補給。
子どもの頃にやっていた遊び。
よく、川の中へと放り込み、魚をとった。
水中で、数メートルの水柱が立ち上がる威力。
それが、三つほど空中に舞う。
魔王は、動き出したヨルーオを目で追っていた。
向かって左、つまり、彼女から離れるように右へと彼は走った。
「何のつもりだ?」
そう彼は、ヨルーオの弱さを感じて気を抜いてしまった。
つまらない思考を巡らし、動きのみを追ってしまった。
瞬間、眼前で起こる爆発。それは意外と威力があり、魔王の頭を揺らす。
そこに飛び込んでくる、ヨルーオ。
渾身のパンチが、魔王の顔を捉える。
そのパンチに込められた気迫、体重、ひねり、魔力。
全ては、此処しかないタイミングで完璧だった。
「やった」
ヨルーオは、その言葉を口に出してしまった……
悪魔の言葉、それは時にフラグとも呼ばれる凶悪なワード。
状態により、千差万別な言葉がある。
軽快な音を立て、拳が砕ける。
「あっ!!」
「ふんヌルいわ」
無造作に、ハエでも払うように魔王の左手が動く。
ヨルーオは左半身の肋骨が、ベキベキと折れていくのを感じる。
とっさに、右へとジャンプをする。
広い室内を転がり、滑り、壁へとぶち当たる。
「がひゅ」
肺の中に、残っていた空気が押し出される。
息ができない。
体が、動かない。
そしてそんな所に、声が聞こえる。
「女こっちへ来い。子を成そうぞ」
「はい喜んで、もう準備は出来ています」
そんな声が聞こえ、躊躇なく行為が始まる。
体は動かないが、目は見え耳は聞こえる。
彼は自分の弱さに腹が立ち、悔しさが心の中にどす黒く渦巻き始めた。
そう怨嗟の心。それは邪神の大好物。
魔王が、瘴気を吸い魔人となるように、邪神に魅入られたものは肉体を邪神へと貸し与えることができる。
多くの歴史上、魔王は魔人となり、最後に邪神となり暴れ回った。
今回は、マドゥラのおかげで何かが狂ったようだ。
今、魔王城の謁見の間に、邪神が降臨をした。
一所懸命腰を振っているマドゥラの視界、その端に動く物が感じられた。
まだ生きていたの?
そんな感じだった。
もう心はない。
欲しいのは、魔王の愛。
「んぎゃ」
彼女は、魔王の膝の上から転がり落ちた。
だが彼女には、全く何が起こったのか、判らなかった。
判っていたのは……
「なんか、やばいもんが現れた」
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