124 / 135
第7章 宇宙(そら)へ
第124話 神の降臨
しおりを挟む
阿鼻叫喚の議会場。
いきなりのブラックアウト。
昼間で天気は良い。
それなのに、闇に包まれて暗くなる。
見ていた国民は、あまりのひどい画だったので中継が切られたと思った。
だが、その予想は外れることになる。
『暗い世の中に、一筋の光。その煌めきは、人々の希望の糸。今混沌とした世の中に神が自ら力をお貸しくださる』
台詞にそって、光の柱が降りてくる。
その光、周囲にも雪のような煌めきがあり、そこに小さな天使が舞い降りてくる。
そこへゆっくりとヨシュート達が降りてくる。
無論、転移の一種と自身の体を浮かべる重力魔法。
前にやったとおり、頭へ一気に血が上る。
だが笑顔。
会議場の床にヨシュート達が降り立った瞬間、光が会議場を埋め尽くす。
そう…… 神降臨の一幕。
脚本ロニー=ウィル
演出ヨシュート=ヒトーノ。
演出補助、ユキ。初等女神候補、女神眷属のフェリシアナ=グロリア=ラミレス=ケサダ=アクエリアス。
同じく演出補助、女神アデルミラ=ヘルトルディス=アバスカル=デルリオ=アプロディーテー。
主演ヨシュート=ヒトーノ。
謎のテロップが流れる。
そう神降臨をいかに演出をするのか、ロニーは考えた。
その結果が、暗雲立ちこめる世界に光あれ……
まあ今の景色。
だが、その演出は驚かれる。
この星に行きる者達、自然発生なだけあって、魔力回路を持っていない言わば地球型の人類。
そこにやって来たのは、神の意図が盛り込まれた人種。
根本が違う。
言ってしまえば、種族的にもアデルミラ星系に住んでいる者の方が強い。
「さて…… ファビタブルの諸君。我は来た。この世界を統治するために…… 紹介しよう。この世界の創造神、女神アデルミラ=ヘルトルディス=アバスカル=デルリオ=アプロディーテーだ。ひれ伏すが良い」
この時、ドキドキだった。
暴動が起きたら面倒になる。
だが、アデルは神威を発動。
彼女の姿を見ただけで、幸福感に満たされ、涙が止まらなくなる。
状態だけ見ると、質の悪い花粉症だが、心に訴え掛ける物がある。
「「「「おおお、神が」」」」
人々は意外と信じる。
だが、この星にも、古来からの教会がある。
女神伝説。
我らに言葉を与えてくれたお方。
今まさに降臨中だが、諸手を挙げて喜ぶわけにはいけない。
彼らには彼らの都合があるのだ。
そう彼らの心は、上位に行けば行くほど真っ黒だった。
だが彼らは神と名乗り、不思議な力まで見せる。
「おい誰か居るか?」
「はっ」
「議会会場に赴き奴らを捕まえろ。神の名をかたる者達だ」
「ですが教皇様、彼の者達は不思議な力を持ち、その…… 皆神だと認めて……」
「ほう、お前は私の言葉より、あの者達を信じるというのだな?」
教皇は、今まで散々儲けたのに、まだ今の既得権益を守ろうと欲をだした。
そこを、ロニーに付け込まれて、教会自体が一度解体されることになる。
ヨシュート達は、議員達が総辞職をした後、この星系の経済的な流れ、仕組みの聴取を行っていた。
そして部外者であったため、その切り口はしがらみなど無く、すっぱりと行く。
それに付いて苦情があれば、耳を傾けそれにより判断を覆すこともあった。
「さすが神だ、この膨大な案件をあっという間に処理していく」
行政系の人間は驚いたが、当然と言えば当然。
事態を、ドラスティックに変更するなら、専制的な政治形態のほうが早い。
危険なのは、その君主が壊れたり無能だった場合。
ヨシュートは、人間に見えるが寿命は長い、これから千年は安泰だろう。
だがそんな化け物に、教会が苦情を言ってくる。
「あれが神だと? あれは手品だ。そんな者に皆が踊らされるなど」
「では、どうしろと?」
担当の行政官はうんざりした顔になる。
確かに、教会は心傷ついた人々の救いにはなる。
だが、古くからある組織で横の繋がりが多くの問題ごとを解決もするが、より複雑にもする。
必要悪と言えばそうだが、あのお方達にご迷惑になることは避けたい。
そうだ、本人と家族の安寧のために教会が引き受けている難病の人達。
言い方は悪いが利用させていただこう。
ロニー様が言っておられた、ヨシュート様にお願いをすればどんな病人もけが人も治る。
そう仰られて、国からお願いをして、幾人かのアスリートを治していただいた。
希望の星だった選手が、事故により半身不随になっていた。
この国の最新医療でも、切断された神経を繋ぐことは出来なかった。
そして、機械を付けてやっと生きていた選手は、今、涙を流しながら喜び鍛え直している。まだ報道はしていない。
彼のお方に、やって貰ったのは、病室に足をお運びいただき、奇蹟の光をくださった。
それだけだ。
あれこそ本当に神のお力。
ふっと、笑顔が出てしまう。
「ならば教会におられる、病人達。彼らも救いが欲しいでしょう、お願いを行ってみますので、当然あなた方もお力を見せるのでしょう?」
「ぬっ…… そうだな」
早急に話しは上へと上がり、全国放送特番。『この世界に降臨されたヨシュート様のお力。我々は、あのお方によるお力、本当の奇蹟を見る事になるだろう』そんな番組が放送された。
教会から来た千人を超える病人。
実は終末期の治療として使われていたのは、麻薬。
痛み止めの代わり。
もう、通常の痛み止めでは、効かない患者ばかり。
テロップでは、個人情報に配慮しつつ、症状と病名が流れている。
そして、そんな人々が集められた建物では、よく言う終末期、末期の匂いが感じられる。
「では、手前側の人々をお願いいたします」
厳かな雰囲気で、告げられる。
「ひどいなこれは」
ヨシュートは、一言そうつぶやくと、浄化と治癒の光が辺りを包んだ。
いきなりのブラックアウト。
昼間で天気は良い。
それなのに、闇に包まれて暗くなる。
見ていた国民は、あまりのひどい画だったので中継が切られたと思った。
だが、その予想は外れることになる。
『暗い世の中に、一筋の光。その煌めきは、人々の希望の糸。今混沌とした世の中に神が自ら力をお貸しくださる』
台詞にそって、光の柱が降りてくる。
その光、周囲にも雪のような煌めきがあり、そこに小さな天使が舞い降りてくる。
そこへゆっくりとヨシュート達が降りてくる。
無論、転移の一種と自身の体を浮かべる重力魔法。
前にやったとおり、頭へ一気に血が上る。
だが笑顔。
会議場の床にヨシュート達が降り立った瞬間、光が会議場を埋め尽くす。
そう…… 神降臨の一幕。
脚本ロニー=ウィル
演出ヨシュート=ヒトーノ。
演出補助、ユキ。初等女神候補、女神眷属のフェリシアナ=グロリア=ラミレス=ケサダ=アクエリアス。
同じく演出補助、女神アデルミラ=ヘルトルディス=アバスカル=デルリオ=アプロディーテー。
主演ヨシュート=ヒトーノ。
謎のテロップが流れる。
そう神降臨をいかに演出をするのか、ロニーは考えた。
その結果が、暗雲立ちこめる世界に光あれ……
まあ今の景色。
だが、その演出は驚かれる。
この星に行きる者達、自然発生なだけあって、魔力回路を持っていない言わば地球型の人類。
そこにやって来たのは、神の意図が盛り込まれた人種。
根本が違う。
言ってしまえば、種族的にもアデルミラ星系に住んでいる者の方が強い。
「さて…… ファビタブルの諸君。我は来た。この世界を統治するために…… 紹介しよう。この世界の創造神、女神アデルミラ=ヘルトルディス=アバスカル=デルリオ=アプロディーテーだ。ひれ伏すが良い」
この時、ドキドキだった。
暴動が起きたら面倒になる。
だが、アデルは神威を発動。
彼女の姿を見ただけで、幸福感に満たされ、涙が止まらなくなる。
状態だけ見ると、質の悪い花粉症だが、心に訴え掛ける物がある。
「「「「おおお、神が」」」」
人々は意外と信じる。
だが、この星にも、古来からの教会がある。
女神伝説。
我らに言葉を与えてくれたお方。
今まさに降臨中だが、諸手を挙げて喜ぶわけにはいけない。
彼らには彼らの都合があるのだ。
そう彼らの心は、上位に行けば行くほど真っ黒だった。
だが彼らは神と名乗り、不思議な力まで見せる。
「おい誰か居るか?」
「はっ」
「議会会場に赴き奴らを捕まえろ。神の名をかたる者達だ」
「ですが教皇様、彼の者達は不思議な力を持ち、その…… 皆神だと認めて……」
「ほう、お前は私の言葉より、あの者達を信じるというのだな?」
教皇は、今まで散々儲けたのに、まだ今の既得権益を守ろうと欲をだした。
そこを、ロニーに付け込まれて、教会自体が一度解体されることになる。
ヨシュート達は、議員達が総辞職をした後、この星系の経済的な流れ、仕組みの聴取を行っていた。
そして部外者であったため、その切り口はしがらみなど無く、すっぱりと行く。
それに付いて苦情があれば、耳を傾けそれにより判断を覆すこともあった。
「さすが神だ、この膨大な案件をあっという間に処理していく」
行政系の人間は驚いたが、当然と言えば当然。
事態を、ドラスティックに変更するなら、専制的な政治形態のほうが早い。
危険なのは、その君主が壊れたり無能だった場合。
ヨシュートは、人間に見えるが寿命は長い、これから千年は安泰だろう。
だがそんな化け物に、教会が苦情を言ってくる。
「あれが神だと? あれは手品だ。そんな者に皆が踊らされるなど」
「では、どうしろと?」
担当の行政官はうんざりした顔になる。
確かに、教会は心傷ついた人々の救いにはなる。
だが、古くからある組織で横の繋がりが多くの問題ごとを解決もするが、より複雑にもする。
必要悪と言えばそうだが、あのお方達にご迷惑になることは避けたい。
そうだ、本人と家族の安寧のために教会が引き受けている難病の人達。
言い方は悪いが利用させていただこう。
ロニー様が言っておられた、ヨシュート様にお願いをすればどんな病人もけが人も治る。
そう仰られて、国からお願いをして、幾人かのアスリートを治していただいた。
希望の星だった選手が、事故により半身不随になっていた。
この国の最新医療でも、切断された神経を繋ぐことは出来なかった。
そして、機械を付けてやっと生きていた選手は、今、涙を流しながら喜び鍛え直している。まだ報道はしていない。
彼のお方に、やって貰ったのは、病室に足をお運びいただき、奇蹟の光をくださった。
それだけだ。
あれこそ本当に神のお力。
ふっと、笑顔が出てしまう。
「ならば教会におられる、病人達。彼らも救いが欲しいでしょう、お願いを行ってみますので、当然あなた方もお力を見せるのでしょう?」
「ぬっ…… そうだな」
早急に話しは上へと上がり、全国放送特番。『この世界に降臨されたヨシュート様のお力。我々は、あのお方によるお力、本当の奇蹟を見る事になるだろう』そんな番組が放送された。
教会から来た千人を超える病人。
実は終末期の治療として使われていたのは、麻薬。
痛み止めの代わり。
もう、通常の痛み止めでは、効かない患者ばかり。
テロップでは、個人情報に配慮しつつ、症状と病名が流れている。
そして、そんな人々が集められた建物では、よく言う終末期、末期の匂いが感じられる。
「では、手前側の人々をお願いいたします」
厳かな雰囲気で、告げられる。
「ひどいなこれは」
ヨシュートは、一言そうつぶやくと、浄化と治癒の光が辺りを包んだ。
1
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる