130 / 135
第7章 宇宙(そら)へ
第130話 ラグナロク -終末の日-
しおりを挟む
ミロスラフ=クリシュトフ王には、なぜ教会関係者が撃たれたのか理解できない。
だがそれを見ても、顔色を変えないヨシュート達。
それでもまあ不都合はない……
調印の会場へと進んでいく。
途中幾人かのスナイパー達が、また空を飛びたくなったようだが、気にするほどの事はない。
そんな穏やかな光景の裏で、徹底抗戦を選択した国にお告げが降る。
『善良なる神民よ、その土地は神の子となる事を拒んだ、その地から離れよ。三日の後、その地は浄化の炎が吹き荒れる。智あるもの達は海岸へ。船を与えよう。急ぎなさい』
「もう少しやりようがあっただろう」
「ですが時間がかかります。力を見せるのも一つの手ですよ。民は救うのですし、浄化後はアデル様が、麦などを生やしてくれるそうですから」
ロニーはなんだか嬉しそうだ。
「むう……」
アデルめ力は減っても、やりたい放題か。
さすが創造神。
じゃあ、船を出さなくても、土地でも創れば良かったんじゃないか?
考えただけなのに、人の思考を読みやがった。
「そうすると、国の状況と再生の奇蹟が見られません」
どうやら、人々を乗せた後、上空から燃えていく様と、その後の再生を一気見させるようだ。
「仰っていた、エンターテイメントです」
「そうかぁ?」
海岸へ向かう人の流れ、その中である地点から進めなくなる人々が現れる。
そう、思考解析付きシールド。
神民は善良でなくてはいけない。
悪意を持った者達は、そこから先へ進めなくなる。
「畜生ふざけんな」
ある若者は、手近な人を捕まえて強引に進もうとする。
だが、次の瞬間晴天の空から雷が一つ。
「あがっ」
捕まっていた人には影響がない、微妙なコントロール。
アデルにはどういう景色が見えているのか、当然ヨシュートにはマネができない。
神としてのランクが違っているようだ。
最近はめっきり、魂の繋がりと称する行為に、どっぷりはまってはいるが、さすが神である。
そう、アデルは行為の時、こそこそと力を取り返していた。
無論ヨシュートの事が嫌いとか、そう言うわけではない。
問題はユキ。
こいつの方が、絶対的な力が強いのが許せない。
あなたの愛が、私に力を与えてくれるのぉ、とまあ吸い取っている。
さてさて、無事にクリシュトフ王国での調印が終わり、落ち着いた頃。
空にスクリーンが現れる。
どこという明示はない。
だが、明らかにどこかの大陸。
空には、神々の船が浮かび、様子を俯瞰している様子。
それは突然始まった。
雷が隙間無く降り注ぎ、地が沸き立ち燃え上がる。
生きとし生けるもの、全てを焼き尽くす勢い。
だが微生物や小動物植物などは全て、一瞬で亜空間へと避難。
焼き尽くされたのは愚かな人々のみ。
欲にまみれた罪人達。
「これは?」
王が誰に聞くともなく発した言葉……
「終末の日」
アデルはにっこりと笑いながら答える。
「愚者の終焉です」
「愚者の…… 終焉ですか……」
今回調印を行わなければ、こうなっていた事を理解した王は青くなる。
まあ無論、無差別に行ったわけではない。
滅された連中、薬物の常用と精神的に、そう…… 闇へと落ちていた。
情報を集めて、救いはないと判断された。
そして、それを行っていたのが、教会だよ……
国境を特権で自由に行き来して、各国の指導者を洗脳して悪意をはびこらせていた。
それはもう…… 救えない事はなかったが、滅してしまおうと決まった。
聖書にも書かれている、飴と鞭。
粛正と救済。
これこそが神とまあ……
「良いんじゃ無いでしょうか?」
なぜかユキまで、そんな事を……
皆がロニー化している?
まあそうではなく、ヨシュートのこと意外に興味が無いだけ。
その日、惑星エマージはでは、国同士の争いは消え、ものすごい量の無線が飛び交った。
少なくとも、三つの大国が消え去った。と言うもの。
空に浮かんでいた船の事は知っている。
世界中どこでも、今も主都の近くに浮いているのだ。
「どっ、どうすれば……」
「王様、もし仮に神でなくとも和平をお結びください。あの船、我が国など一瞬で消し去ることが出来るようでございます。神でも悪魔でも問題ありません。生き残る為でございます」
そんな話が、一気にまとまったようだ。
さて国がなくなった大陸。
船から何が起こったのかを見ていた民達。
降下を始めた船から見ていると、いきなり焼け野原だった所が一気に芽吹く。
遠くまで焼けただれ、岩石だけだった。
それは一面色とりどりの花が咲き乱れ、山を源流とする静謐な水が川を創り、流れ始める。
まとまって、木々が生え始めて、森が形成される。
気がつけば、動物たちが、何があったのかという感じでオロオロしている。
平野部の一角に、いきなり街が生えてきた。
その周囲には、びしっと区画整理されて畑が出来上がり、そこにも家がいくつか建ち並ぶ。
滅ぼす前の状況をある程度把握して、整備しながら元のように直していく。
街道も、高低差なくびしっと整備。
そうヨシュートの得意技を、一段階昇華して建設していく。
今、力を使っているのは、アデルである。
情報解析の力、創造力全てが私の方が上よ。
そんな感じで胸を張る。
面白くないのはユキ。
どこからか、舌打ちが聞こえる。
だがそれを見ても、顔色を変えないヨシュート達。
それでもまあ不都合はない……
調印の会場へと進んでいく。
途中幾人かのスナイパー達が、また空を飛びたくなったようだが、気にするほどの事はない。
そんな穏やかな光景の裏で、徹底抗戦を選択した国にお告げが降る。
『善良なる神民よ、その土地は神の子となる事を拒んだ、その地から離れよ。三日の後、その地は浄化の炎が吹き荒れる。智あるもの達は海岸へ。船を与えよう。急ぎなさい』
「もう少しやりようがあっただろう」
「ですが時間がかかります。力を見せるのも一つの手ですよ。民は救うのですし、浄化後はアデル様が、麦などを生やしてくれるそうですから」
ロニーはなんだか嬉しそうだ。
「むう……」
アデルめ力は減っても、やりたい放題か。
さすが創造神。
じゃあ、船を出さなくても、土地でも創れば良かったんじゃないか?
考えただけなのに、人の思考を読みやがった。
「そうすると、国の状況と再生の奇蹟が見られません」
どうやら、人々を乗せた後、上空から燃えていく様と、その後の再生を一気見させるようだ。
「仰っていた、エンターテイメントです」
「そうかぁ?」
海岸へ向かう人の流れ、その中である地点から進めなくなる人々が現れる。
そう、思考解析付きシールド。
神民は善良でなくてはいけない。
悪意を持った者達は、そこから先へ進めなくなる。
「畜生ふざけんな」
ある若者は、手近な人を捕まえて強引に進もうとする。
だが、次の瞬間晴天の空から雷が一つ。
「あがっ」
捕まっていた人には影響がない、微妙なコントロール。
アデルにはどういう景色が見えているのか、当然ヨシュートにはマネができない。
神としてのランクが違っているようだ。
最近はめっきり、魂の繋がりと称する行為に、どっぷりはまってはいるが、さすが神である。
そう、アデルは行為の時、こそこそと力を取り返していた。
無論ヨシュートの事が嫌いとか、そう言うわけではない。
問題はユキ。
こいつの方が、絶対的な力が強いのが許せない。
あなたの愛が、私に力を与えてくれるのぉ、とまあ吸い取っている。
さてさて、無事にクリシュトフ王国での調印が終わり、落ち着いた頃。
空にスクリーンが現れる。
どこという明示はない。
だが、明らかにどこかの大陸。
空には、神々の船が浮かび、様子を俯瞰している様子。
それは突然始まった。
雷が隙間無く降り注ぎ、地が沸き立ち燃え上がる。
生きとし生けるもの、全てを焼き尽くす勢い。
だが微生物や小動物植物などは全て、一瞬で亜空間へと避難。
焼き尽くされたのは愚かな人々のみ。
欲にまみれた罪人達。
「これは?」
王が誰に聞くともなく発した言葉……
「終末の日」
アデルはにっこりと笑いながら答える。
「愚者の終焉です」
「愚者の…… 終焉ですか……」
今回調印を行わなければ、こうなっていた事を理解した王は青くなる。
まあ無論、無差別に行ったわけではない。
滅された連中、薬物の常用と精神的に、そう…… 闇へと落ちていた。
情報を集めて、救いはないと判断された。
そして、それを行っていたのが、教会だよ……
国境を特権で自由に行き来して、各国の指導者を洗脳して悪意をはびこらせていた。
それはもう…… 救えない事はなかったが、滅してしまおうと決まった。
聖書にも書かれている、飴と鞭。
粛正と救済。
これこそが神とまあ……
「良いんじゃ無いでしょうか?」
なぜかユキまで、そんな事を……
皆がロニー化している?
まあそうではなく、ヨシュートのこと意外に興味が無いだけ。
その日、惑星エマージはでは、国同士の争いは消え、ものすごい量の無線が飛び交った。
少なくとも、三つの大国が消え去った。と言うもの。
空に浮かんでいた船の事は知っている。
世界中どこでも、今も主都の近くに浮いているのだ。
「どっ、どうすれば……」
「王様、もし仮に神でなくとも和平をお結びください。あの船、我が国など一瞬で消し去ることが出来るようでございます。神でも悪魔でも問題ありません。生き残る為でございます」
そんな話が、一気にまとまったようだ。
さて国がなくなった大陸。
船から何が起こったのかを見ていた民達。
降下を始めた船から見ていると、いきなり焼け野原だった所が一気に芽吹く。
遠くまで焼けただれ、岩石だけだった。
それは一面色とりどりの花が咲き乱れ、山を源流とする静謐な水が川を創り、流れ始める。
まとまって、木々が生え始めて、森が形成される。
気がつけば、動物たちが、何があったのかという感じでオロオロしている。
平野部の一角に、いきなり街が生えてきた。
その周囲には、びしっと区画整理されて畑が出来上がり、そこにも家がいくつか建ち並ぶ。
滅ぼす前の状況をある程度把握して、整備しながら元のように直していく。
街道も、高低差なくびしっと整備。
そうヨシュートの得意技を、一段階昇華して建設していく。
今、力を使っているのは、アデルである。
情報解析の力、創造力全てが私の方が上よ。
そんな感じで胸を張る。
面白くないのはユキ。
どこからか、舌打ちが聞こえる。
1
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる