1 / 117
悲劇の人生が終焉、そして俺は幸せになり…
悲劇は突然に
しおりを挟む
「ほら、ひろ君。飛び出さないの」
信号が青になり、いち早く動き出した三歳の息子。
その手を取るため、妻も飛び出す。
そう信号は青になり、横の車も動き出していた。
だが、その車達を蹴散らし、一台の車が横切ってきた。
それは一瞬だった。
横にいた人たちも、一緒にはね飛んでいく。
おれは、飛び出し…… 数メートルも飛んでいった妻と子どもに駆け寄る。
だが、色んな所の形は変わり、頭の中が見えていた……
「うわあああぁ」
俺は止まった車に駆けより、運転手の若者を殴り倒した。
彼は、日本語が分からないようで何かを叫ぶ。
ひとしきり殴った所で、救急車を呼ぼうとスマホを取り出す。
妻達の所へ向かいながら、電話を開始。
「はい、119番消防署です。火事ですか? 救急ですか?」
「救急です」
「救急車が必要ですか?」
「早く、妻と息子が撥ねられて…… あっ……」
その瞬間に、俺の視界が回転をした。
そうさっき殴った相手、そいつはあろうことか車に乗り込み、俺に向かってアクセルを踏み込んだ。
周囲では叫び声が上がったようだが、俺の耳にはもう聞こえなかった。
「―― もしもーし。聞こえる?」
なぜか、見たことのない女の人に抱っこされていた。
意識は覚醒をしたが、手足の感覚がない。
そもそも、景色は見えるが、目で見ている感じでもない。
「あなた何したの? 次元の狭間でバラバラになっていたわよ」
次元の狭間? バラバラ…… 俺は死んだのか?
「集めるのに苦労をしたんだからね。感謝をして。あそこで彷徨っていたならフリーでしょうから私の資源。好きにさせて貰うけれど、どこの世界から来た魂かしら? まあ良いわ。何か望みはある?」
口はないから、願うことにする。
『今度こそ…… 幸せになりたい。それと、車に轢かれても平気な体が欲しい』
そう願うと、きょとんとした顔をされる。
「うんまあ、わかったわ。幸せと、丈夫な体ね」
だがこの女神、車を知らなかった。
丈夫…… じょうぶ、ねえ。
彼女は、自分の管理する世界を思い出す。
まあ、ドラゴン辺りにふまれても、平気にすれば良いかしら?
それと幸せねぇ、そんな物、人それぞれだし…… 他人から好まれるようにして、一単位くらい生きれば、幸せも見つかるかしら。
一単位と言うのは、神の世界においての査定期間。
およそ千年。
たまたま彼女の世界において、人種が多かったので、人種を選択。
長命種としては、エルフなども居たが、あちらは精霊種のため魂の形が少し合わなかった。
そうして彼は、その世界初のハイヒューマンとして体を創られ、地上に降ろされた。
そう、ドラゴンに踏まれても平気で、幸せを掴むために、多種多様な能力を詰め込まれて、千年を生る化け物が、今この世界。
エリザヴェータコスチュトキナ、主星ゲラーシモヴナに生誕した……
「行ってらっしゃい」
そうして、十六歳くらいの体で、森の中に送り込まれた。
一応、服は着せられたようだ。
「地上のことはたまに見ているから、あれで大丈夫なはず」
良い事をしたと、彼女はご機嫌で自分の居場所。
管理世界の管制室に座り込む。
彼女は暇つぶしに、色々な所をみていた。
そう、よその宇宙。
その途中で妙な波動を感じると、魂が一つ、次元の狭間で消えていこうとしていた。
なぜ彼が、あんな所にいたのかは不明。
ただ元の世界、輪廻からははじかれて、あぶれていたのは確か。
寿命が尽きる予定ではないのに、少し目を離した隙に死んでしまった手違いを、地球側の担当者が隠蔽でもしたくらいしか、原因としてはないが……
「まさかそんな事、しないわよねぇ」
バッテリーから繋がるターミナルは、周りの車を突っ切ったときに切断されていた。
だが、ケースがぼろで漏電。
起動しないはずの車が起動をして、走ってしまった。
全てはあり得ない不幸の連鎖。
「やっべぇ、査定が近いのに」
輪廻を巡る、魂の数はカウントされている。
多くても少なくとも原因究明、調査が必要となる。
新神の彼は、輪の中から、それを見つけてつまむと、ぽいっと廃棄した。
そのおかげで、異世界転生をする羽目になってしまった彼。
それは彼にとって幸せか、不幸か、それはまだ判らない。
その世界において、規格ハズレな人間は、幸せになれるのか?
彼の希望は、亡くなったおじいさんのように、親族に見送られ悔やまれながら亡くなり、悲しみの中で見送られたその光景。
中学校くらいだったが、その光景になぜか憧れた。
おじいさんは、大きな事はしなかった。だがいい人で、皆に見送られた平凡な人生。
ただこれから、彼を待ち受ける人生が、幸せになるかどうかを覗こうではないか。
ただねぇ、寿命の違いは結構な辛さを伴うのだが……
いつまでも、年を取らないとか、ひたすら愛するものを見送る人生。
恐怖だよねぇ……
さてさて、どうなることか。
信号が青になり、いち早く動き出した三歳の息子。
その手を取るため、妻も飛び出す。
そう信号は青になり、横の車も動き出していた。
だが、その車達を蹴散らし、一台の車が横切ってきた。
それは一瞬だった。
横にいた人たちも、一緒にはね飛んでいく。
おれは、飛び出し…… 数メートルも飛んでいった妻と子どもに駆け寄る。
だが、色んな所の形は変わり、頭の中が見えていた……
「うわあああぁ」
俺は止まった車に駆けより、運転手の若者を殴り倒した。
彼は、日本語が分からないようで何かを叫ぶ。
ひとしきり殴った所で、救急車を呼ぼうとスマホを取り出す。
妻達の所へ向かいながら、電話を開始。
「はい、119番消防署です。火事ですか? 救急ですか?」
「救急です」
「救急車が必要ですか?」
「早く、妻と息子が撥ねられて…… あっ……」
その瞬間に、俺の視界が回転をした。
そうさっき殴った相手、そいつはあろうことか車に乗り込み、俺に向かってアクセルを踏み込んだ。
周囲では叫び声が上がったようだが、俺の耳にはもう聞こえなかった。
「―― もしもーし。聞こえる?」
なぜか、見たことのない女の人に抱っこされていた。
意識は覚醒をしたが、手足の感覚がない。
そもそも、景色は見えるが、目で見ている感じでもない。
「あなた何したの? 次元の狭間でバラバラになっていたわよ」
次元の狭間? バラバラ…… 俺は死んだのか?
「集めるのに苦労をしたんだからね。感謝をして。あそこで彷徨っていたならフリーでしょうから私の資源。好きにさせて貰うけれど、どこの世界から来た魂かしら? まあ良いわ。何か望みはある?」
口はないから、願うことにする。
『今度こそ…… 幸せになりたい。それと、車に轢かれても平気な体が欲しい』
そう願うと、きょとんとした顔をされる。
「うんまあ、わかったわ。幸せと、丈夫な体ね」
だがこの女神、車を知らなかった。
丈夫…… じょうぶ、ねえ。
彼女は、自分の管理する世界を思い出す。
まあ、ドラゴン辺りにふまれても、平気にすれば良いかしら?
それと幸せねぇ、そんな物、人それぞれだし…… 他人から好まれるようにして、一単位くらい生きれば、幸せも見つかるかしら。
一単位と言うのは、神の世界においての査定期間。
およそ千年。
たまたま彼女の世界において、人種が多かったので、人種を選択。
長命種としては、エルフなども居たが、あちらは精霊種のため魂の形が少し合わなかった。
そうして彼は、その世界初のハイヒューマンとして体を創られ、地上に降ろされた。
そう、ドラゴンに踏まれても平気で、幸せを掴むために、多種多様な能力を詰め込まれて、千年を生る化け物が、今この世界。
エリザヴェータコスチュトキナ、主星ゲラーシモヴナに生誕した……
「行ってらっしゃい」
そうして、十六歳くらいの体で、森の中に送り込まれた。
一応、服は着せられたようだ。
「地上のことはたまに見ているから、あれで大丈夫なはず」
良い事をしたと、彼女はご機嫌で自分の居場所。
管理世界の管制室に座り込む。
彼女は暇つぶしに、色々な所をみていた。
そう、よその宇宙。
その途中で妙な波動を感じると、魂が一つ、次元の狭間で消えていこうとしていた。
なぜ彼が、あんな所にいたのかは不明。
ただ元の世界、輪廻からははじかれて、あぶれていたのは確か。
寿命が尽きる予定ではないのに、少し目を離した隙に死んでしまった手違いを、地球側の担当者が隠蔽でもしたくらいしか、原因としてはないが……
「まさかそんな事、しないわよねぇ」
バッテリーから繋がるターミナルは、周りの車を突っ切ったときに切断されていた。
だが、ケースがぼろで漏電。
起動しないはずの車が起動をして、走ってしまった。
全てはあり得ない不幸の連鎖。
「やっべぇ、査定が近いのに」
輪廻を巡る、魂の数はカウントされている。
多くても少なくとも原因究明、調査が必要となる。
新神の彼は、輪の中から、それを見つけてつまむと、ぽいっと廃棄した。
そのおかげで、異世界転生をする羽目になってしまった彼。
それは彼にとって幸せか、不幸か、それはまだ判らない。
その世界において、規格ハズレな人間は、幸せになれるのか?
彼の希望は、亡くなったおじいさんのように、親族に見送られ悔やまれながら亡くなり、悲しみの中で見送られたその光景。
中学校くらいだったが、その光景になぜか憧れた。
おじいさんは、大きな事はしなかった。だがいい人で、皆に見送られた平凡な人生。
ただこれから、彼を待ち受ける人生が、幸せになるかどうかを覗こうではないか。
ただねぇ、寿命の違いは結構な辛さを伴うのだが……
いつまでも、年を取らないとか、ひたすら愛するものを見送る人生。
恐怖だよねぇ……
さてさて、どうなることか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる