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依頼者シュザンヌ嬢は微笑む
第6話 穴
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明るくなってから、行動開始。
岩山から、少し東へ行くと群生地があった。
周囲には大量の骨。
スケルトンでも沸きそうだが、魔石がなかった。
「誰か来て取っているのか?」
そういえば、ギルドへ依頼が来ると、来る奴らも居るんだったな。
今は時期では無いらしく、花は咲いていない。
手袋をして、葉の部分を切り取る。
土を掘り返すと、ワームだよ。
「うげっ」
革の手袋に噛みつきやがった。
ナイフで切り、残った口も跳ね飛ばす。
少し考えて、剣をスコップにして掘り起こす。
いくつかは、葉を引っ張りながら剣を差しこんで採取。
その後、葉を切ることで簡単に採れた。
だがその方法、怪我をして葉が触ると、普通即死する。
だから先に葉を切るのだが、なんとか上手くいけたようだ。
十個ほど取り喜んでいると、ガサガサガリガリという音が聞こえる。
振り返ると奴がいた。
そうオオムカデ……
小さなやつでも嫌いなんだよ。
「うわああ」
つい声を上げて、逃げてしまった。
階段とは逆に……
つまり、少し先は行き止まりとなる。
崩れてきて積み上がった岩達、だが上までは当然届かない。
ムカデ君は平気で追いかけてくる。
「どこか、無いか」
逃げるのに必死で、倒すという選択肢を忘れていた。
奴が入ってこられない、岩の隙間へと体を押し込む。
ものすごく危険な行為。絶対よい子はマネしちゃいけない。
意外と奥がある。うねうねと隙間を狙い、中へ入ってく。
すると、広いところに抜けた。
後ろからは、来ていないようだ。
だが、前には居た。
別の個体が幾つもこっちを見ている。
天井は岩を…… 骨が支えている?
これって、何かでかい動物の死体?
隙間から光が差しこみ、空間的には美しい。
だがムカデたち。
「嫌だあ、火はまずそうだから…… 水。水を収束してどうだ」
結構な水圧が掛かっているようだが、頭ではじかれる。
周囲に虹が発生をする。
「ああっ、綺麗だ…… 言っている場合か」
自分で言って自分で突っ込む。
結構忙しい。
「水で駄目ならこれでどうだ」
手頃な石を掴み、投げる。
ゴンと音がして、どこかへ飛んでいった。
「さっきの水のほうが綺麗だったな。石はつまらんし効かん」
剣は効くかも知れないが、近寄るのが嫌だよな。
ムカデって、頭を潰してもしばらく生きているし。
声は出ないが、シャギャーという感じで顎が開く。
とっさに、せっかく採った球根を投げ込む。
おやっと言う感じで、ムカデの動きが止まる。
その後、ビクンビタンと暴れていたが、動きが止まった。
効いたようだ、だがまだ一匹だけ。
周りにはまだ四匹か五匹か。
決めた。最小の火力だ。頭だけをピンポイントで焼き尽くす。
そうして、イメージを決めて火球を放つ。
イメージは槍のような鋭さを持たせて、一点から焼き尽くせ。
一気に五本発動。
炎は槍となり飛んでいく。
自分でやって驚いた。
イメージが、思い通りに形となる。
つい楽しくなり、魔法を使って遊んでいると周囲が暑くなり、空気が薄くなる。
こうなるとやばいから、さっき最小で攻撃をしたのに、遊びで温度を上げてしまった。
「やべえ。ううん。おバカな私……」
ただ自分と魔法。
以外と親和性が良いというか、俺ってすごいんじゃねと考える。
そう彼は、初めてまともに使ってみて、そのすごさと自分のイメージ通りに使えることで気分を良くする。
ふと思い出す、偉大な漫画家が描いていた光の槍。
あれをやりたくて、棒きれを投げて修行をした若き日。
父親がファンで全巻揃っていた。
そう、若返りの魔法を使い、数千年を生る主人公。
手の平に光を出す。
そして、高出力のレーザー……
波長をそろえて効率を…… できるかぁ。
なんか、効率が悪いというか、ショボい。
あれは光じゃないのか?
指先から、光を出してムカデの死体に当ててみる。
「わあ、まるでレーザーポインターみたい…… 言ってる場合か!!」
一人で居ると、つい独り言が増えるのはどうしてだろう?
誰も回りに居ないから、独り言なんだろうと、昔突っ込まれたことがある。
あの時は、つい疑問を独白しただけだったのに、突っ込まれた。
「思い出すと、なんだか悔しいな」
そんな事を考えていたら、昨夜寝ていなかったから寝てしまった。
大丈夫、石の上です。
ワームには噛まれない。
いや、それは良いんだよ。良くないけれど……
ムカデに頭を噛まれていなければ……
なんかもぞもぞするから、ユスティかと思ったんだよ。
で、手を伸ばすとグニョッと……
目を開けた。
いやあ随分寝たのかな? 頭はすっきりだが、目の前で凶悪そうな顎がシャギャシャギャと動いているんだ。
いやあ俺は、ピンときたね。
こいつはムカデだと……
「いやああああぁ」
つい、力一杯でぶん殴った。
するとだ、拳は奴の固い殻を突き抜けやがった。
気持ち悪い感触、暴れるムカデ、阿鼻叫喚とはこのことだ。
そして周りには、こいつ以外にもムカデたち……
「嫌だぁ、ムカデにモテたくない」
パリッと、体の周りにエネルギーが吹きだした。
そう雷の様な、空気分子とかが励起したような、自由電子が飛び交っていますの様な、明確な意思が投影されていない状態。
言わば、魔力エネルギー? その状態を保ちつつ周りにまき散らす……
あー感電をした感じだな。雷魔法だったか。
これでは、僕を三つ連れた少年じゃないか。
エネルギー衝撃波だったっけ?
自由電子を集めて、槍の形へ。
投げてみる。
音速を超え、衝撃波と空気を切り裂く音。
「何者だお前?」
ついセルフ突っ込みを行う。
そして、水を出して手を洗う。
右手と頭をかじられて、なんか粘液が匂う。
怪我は無い。
意外とあのムカデは弱いようだ……
「そんな事あるかい!!」
思わず突っ込む。
「私は一体何者なんだ……」
そうぼやきながら、岩の上に立ち。
左手は右肘の下、右手は眉間を指さす感じ。
考えているように見えるかな?
ポーズを決めるが、一人だから誰も突っ込んでくれない。
ただ周りのムカデは、以外と香ばしく、美味しそうな匂いが周囲に充満している。
「飯にするか……」
岩山から、少し東へ行くと群生地があった。
周囲には大量の骨。
スケルトンでも沸きそうだが、魔石がなかった。
「誰か来て取っているのか?」
そういえば、ギルドへ依頼が来ると、来る奴らも居るんだったな。
今は時期では無いらしく、花は咲いていない。
手袋をして、葉の部分を切り取る。
土を掘り返すと、ワームだよ。
「うげっ」
革の手袋に噛みつきやがった。
ナイフで切り、残った口も跳ね飛ばす。
少し考えて、剣をスコップにして掘り起こす。
いくつかは、葉を引っ張りながら剣を差しこんで採取。
その後、葉を切ることで簡単に採れた。
だがその方法、怪我をして葉が触ると、普通即死する。
だから先に葉を切るのだが、なんとか上手くいけたようだ。
十個ほど取り喜んでいると、ガサガサガリガリという音が聞こえる。
振り返ると奴がいた。
そうオオムカデ……
小さなやつでも嫌いなんだよ。
「うわああ」
つい声を上げて、逃げてしまった。
階段とは逆に……
つまり、少し先は行き止まりとなる。
崩れてきて積み上がった岩達、だが上までは当然届かない。
ムカデ君は平気で追いかけてくる。
「どこか、無いか」
逃げるのに必死で、倒すという選択肢を忘れていた。
奴が入ってこられない、岩の隙間へと体を押し込む。
ものすごく危険な行為。絶対よい子はマネしちゃいけない。
意外と奥がある。うねうねと隙間を狙い、中へ入ってく。
すると、広いところに抜けた。
後ろからは、来ていないようだ。
だが、前には居た。
別の個体が幾つもこっちを見ている。
天井は岩を…… 骨が支えている?
これって、何かでかい動物の死体?
隙間から光が差しこみ、空間的には美しい。
だがムカデたち。
「嫌だあ、火はまずそうだから…… 水。水を収束してどうだ」
結構な水圧が掛かっているようだが、頭ではじかれる。
周囲に虹が発生をする。
「ああっ、綺麗だ…… 言っている場合か」
自分で言って自分で突っ込む。
結構忙しい。
「水で駄目ならこれでどうだ」
手頃な石を掴み、投げる。
ゴンと音がして、どこかへ飛んでいった。
「さっきの水のほうが綺麗だったな。石はつまらんし効かん」
剣は効くかも知れないが、近寄るのが嫌だよな。
ムカデって、頭を潰してもしばらく生きているし。
声は出ないが、シャギャーという感じで顎が開く。
とっさに、せっかく採った球根を投げ込む。
おやっと言う感じで、ムカデの動きが止まる。
その後、ビクンビタンと暴れていたが、動きが止まった。
効いたようだ、だがまだ一匹だけ。
周りにはまだ四匹か五匹か。
決めた。最小の火力だ。頭だけをピンポイントで焼き尽くす。
そうして、イメージを決めて火球を放つ。
イメージは槍のような鋭さを持たせて、一点から焼き尽くせ。
一気に五本発動。
炎は槍となり飛んでいく。
自分でやって驚いた。
イメージが、思い通りに形となる。
つい楽しくなり、魔法を使って遊んでいると周囲が暑くなり、空気が薄くなる。
こうなるとやばいから、さっき最小で攻撃をしたのに、遊びで温度を上げてしまった。
「やべえ。ううん。おバカな私……」
ただ自分と魔法。
以外と親和性が良いというか、俺ってすごいんじゃねと考える。
そう彼は、初めてまともに使ってみて、そのすごさと自分のイメージ通りに使えることで気分を良くする。
ふと思い出す、偉大な漫画家が描いていた光の槍。
あれをやりたくて、棒きれを投げて修行をした若き日。
父親がファンで全巻揃っていた。
そう、若返りの魔法を使い、数千年を生る主人公。
手の平に光を出す。
そして、高出力のレーザー……
波長をそろえて効率を…… できるかぁ。
なんか、効率が悪いというか、ショボい。
あれは光じゃないのか?
指先から、光を出してムカデの死体に当ててみる。
「わあ、まるでレーザーポインターみたい…… 言ってる場合か!!」
一人で居ると、つい独り言が増えるのはどうしてだろう?
誰も回りに居ないから、独り言なんだろうと、昔突っ込まれたことがある。
あの時は、つい疑問を独白しただけだったのに、突っ込まれた。
「思い出すと、なんだか悔しいな」
そんな事を考えていたら、昨夜寝ていなかったから寝てしまった。
大丈夫、石の上です。
ワームには噛まれない。
いや、それは良いんだよ。良くないけれど……
ムカデに頭を噛まれていなければ……
なんかもぞもぞするから、ユスティかと思ったんだよ。
で、手を伸ばすとグニョッと……
目を開けた。
いやあ随分寝たのかな? 頭はすっきりだが、目の前で凶悪そうな顎がシャギャシャギャと動いているんだ。
いやあ俺は、ピンときたね。
こいつはムカデだと……
「いやああああぁ」
つい、力一杯でぶん殴った。
するとだ、拳は奴の固い殻を突き抜けやがった。
気持ち悪い感触、暴れるムカデ、阿鼻叫喚とはこのことだ。
そして周りには、こいつ以外にもムカデたち……
「嫌だぁ、ムカデにモテたくない」
パリッと、体の周りにエネルギーが吹きだした。
そう雷の様な、空気分子とかが励起したような、自由電子が飛び交っていますの様な、明確な意思が投影されていない状態。
言わば、魔力エネルギー? その状態を保ちつつ周りにまき散らす……
あー感電をした感じだな。雷魔法だったか。
これでは、僕を三つ連れた少年じゃないか。
エネルギー衝撃波だったっけ?
自由電子を集めて、槍の形へ。
投げてみる。
音速を超え、衝撃波と空気を切り裂く音。
「何者だお前?」
ついセルフ突っ込みを行う。
そして、水を出して手を洗う。
右手と頭をかじられて、なんか粘液が匂う。
怪我は無い。
意外とあのムカデは弱いようだ……
「そんな事あるかい!!」
思わず突っ込む。
「私は一体何者なんだ……」
そうぼやきながら、岩の上に立ち。
左手は右肘の下、右手は眉間を指さす感じ。
考えているように見えるかな?
ポーズを決めるが、一人だから誰も突っ込んでくれない。
ただ周りのムカデは、以外と香ばしく、美味しそうな匂いが周囲に充満している。
「飯にするか……」
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