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この世界に平和と愛を
第82話 出会い
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流れ込む記憶。
ユージーンには見えていないようだが、ヴァイオレットの記憶自体もおかしな事になっている。
カグラにより改ざんをされていて、それをやったカグラも覚えていないのだから話しにならないのだが、それプラス、彼女による乙女補正がかかっていて、主にピンク色の記憶が流れ込んでくる。
そう、自分のことを奇妙なフィルター越しに客観的に見せられると、かなり恥ずかしい。
なんでここでこんな事を…… もう少し言いようがあっただろうとか、データの移動は圧縮をされて一瞬だが、常人では無いため詳細に理解はできた。
「あー確かに親しい関係者だ」
真っ赤になった状態で、そう宣言をしながら記憶を整理する。
「次私ぃ」
ディアナが手を上げる。
「ディアナは良いだろう?」
そう言ってジト目で見るが、反撃を喰らう。
「どこまで覚えているの?」
そう聞かれて困る。
「あーいや。やろうか」
結局、見せられることに。
ディアナの場合、場面場面に気持ちの抑揚が流れ込んでくる。
それが、うっきゃーとかうっひゃーとか、その変化が激しい。
「あー。はいはい。よく分かった」
少しこめかみをグリグリしがらカグラが落ち込んでいると、そっと、魔導具が脇から出てくる。
なぜか菩薩のような、和やかな顔をしたヒモロギ。
一瞬だけ、オッサン顔が重なって見えた。
「あれ?」
「はい。母上に伝えないと」
「あーそうだな」
そこで、無駄に記憶が残っている、地球での常識が悪さをして、葛藤が生まれる。
罪悪感が半端ない。
結婚をした後に、元カノに会ったから、そっちとよりを戻すよ。そんな感じだからな。非常に気まずい……
逃げちゃ駄目だ。そう言い聞かせながら通話を開始する。
「あーそっちはどうだ、変わりは無いか?」
「無事に着きましたか? そのお声。目的の方々とはお会いしました?」
「ああ会った。おれは記憶をなくしていたが…… その二人から記憶を貰って」
その言葉を聞いて反応してくれる。
「お二人ですね。分かりました」
「えっ?」
「迎え入れるのでしょう? ヒト族の命は短いのです。ためらっている時間はないでしょう」
そう送り出すときには、ある程度決めていたこと。
子供が出来て、彼女の中に余裕ができていた。
元々王族の気構えもある。
「ありがとう」
そう言って通信を切る。
「二人とも来てくれるのか?」
「もちろんです」
「行く。もう会えないと思っていたの。今度は離れないからね」
そんな事をしていたとき、周囲では物事が動いていた。
「何巨大な船団?」
「はい。中には兵が乗っていたようです」
領主である侯爵は考え込む。
「だが町の皆は迎え入れたのじゃな」
「はい」
領主であるオレガノ=ハーブ侯爵は、時代が荒れ始めた時。自領の中で奇妙な発展をしている港町に目を付けた。
彼は、シェーンバリと綿密に連絡を取っていた。
そこに現れた船団。
クロムウェル王国かと思ったが、あそこは海岸線が崖で使えないはず。
では何処のものかと気にしていた。
危険ではあるが、町の対応も気になるし、本人自らが町へとやって来た。
カグラ本人はそんな政治には関わる気は無く、昔自分がやろうとしていたことを思い出しながら、整備をしていく。
鰹節や乾物。
すぐに理解ができたし、久しぶりにカレーを食べて泣いた。
なぜか、ヒモロギも泣いていた。
「子どもには辛すぎたか?」
「懐かしくて」
その言葉には当然疑問符が?
「はっ? 懐かしい」
「あっいえいえ。お気になさらず」
我が息子ながらおかしい。
カグラの中で奇妙な不安が膨らむ。
中身は俺と同じでオッサンでは? 全く偶然だが、そんな核心を突くことに。
そう自分に起こったこと、それが自分だけと言う事は無いのかもしれない。
「そなたがあの船団の代表か?」
カグラは知らなかったが、ディアナ達がおこした商会はかなり大きくなりある程度の顔役となっていた。
彼女達は話しを聞いてすぐに理解をして、カグラの元へオレガノ=ハーブ侯爵を連れてきた。
彼はやって来たときに、ただならぬ威圧を受けて引っくり返りそうになる。
屈強そうな者達。
その中心で、魔導具だろうかああでもないこうでもないと調整をしている男。
その横には、美女と、彼と同じ顔をした子ども。
見た目は少し立派そうだが、精霊族の衣装は簡素なものであり、ひょっとして平民だろうかと侯爵は考えた。
船団の規模を考えて国かと思ったのだが、有力な私設船団なのか?
彼は悩むが、上からで言葉をかける。
「誰だあんた?」
カグラは、相手が貴族だとすぐに分かったのだが、態度を変えない。
「この方は、この地を治める領主様。たしか侯爵位だっと思います」
先日までと違った、凜とした佇まいをしたヴァイオレット。
王族へと返り咲いた彼女は、すぐに振る舞いをそれに戻した。
幼き頃から行っていた行儀作法の方が、本人は意外と楽だったりする。
「そうか。断りもなくこの地へと入り申し訳が無い。精霊国王である。カグラだよろしく頼む」
ババーンと言う感じで、威圧では無いが覇気がその場に充満をする。
王族であるプライドというか、気高さを見せる。
スタージアからの指導である。
「王。精霊国…… これは失礼をいたしました」
当然、侯爵は礼を取り、幾度か会った時に感じた、ヴァイオレットの違和感を今理解した。
勘違いだけど……
ユージーンには見えていないようだが、ヴァイオレットの記憶自体もおかしな事になっている。
カグラにより改ざんをされていて、それをやったカグラも覚えていないのだから話しにならないのだが、それプラス、彼女による乙女補正がかかっていて、主にピンク色の記憶が流れ込んでくる。
そう、自分のことを奇妙なフィルター越しに客観的に見せられると、かなり恥ずかしい。
なんでここでこんな事を…… もう少し言いようがあっただろうとか、データの移動は圧縮をされて一瞬だが、常人では無いため詳細に理解はできた。
「あー確かに親しい関係者だ」
真っ赤になった状態で、そう宣言をしながら記憶を整理する。
「次私ぃ」
ディアナが手を上げる。
「ディアナは良いだろう?」
そう言ってジト目で見るが、反撃を喰らう。
「どこまで覚えているの?」
そう聞かれて困る。
「あーいや。やろうか」
結局、見せられることに。
ディアナの場合、場面場面に気持ちの抑揚が流れ込んでくる。
それが、うっきゃーとかうっひゃーとか、その変化が激しい。
「あー。はいはい。よく分かった」
少しこめかみをグリグリしがらカグラが落ち込んでいると、そっと、魔導具が脇から出てくる。
なぜか菩薩のような、和やかな顔をしたヒモロギ。
一瞬だけ、オッサン顔が重なって見えた。
「あれ?」
「はい。母上に伝えないと」
「あーそうだな」
そこで、無駄に記憶が残っている、地球での常識が悪さをして、葛藤が生まれる。
罪悪感が半端ない。
結婚をした後に、元カノに会ったから、そっちとよりを戻すよ。そんな感じだからな。非常に気まずい……
逃げちゃ駄目だ。そう言い聞かせながら通話を開始する。
「あーそっちはどうだ、変わりは無いか?」
「無事に着きましたか? そのお声。目的の方々とはお会いしました?」
「ああ会った。おれは記憶をなくしていたが…… その二人から記憶を貰って」
その言葉を聞いて反応してくれる。
「お二人ですね。分かりました」
「えっ?」
「迎え入れるのでしょう? ヒト族の命は短いのです。ためらっている時間はないでしょう」
そう送り出すときには、ある程度決めていたこと。
子供が出来て、彼女の中に余裕ができていた。
元々王族の気構えもある。
「ありがとう」
そう言って通信を切る。
「二人とも来てくれるのか?」
「もちろんです」
「行く。もう会えないと思っていたの。今度は離れないからね」
そんな事をしていたとき、周囲では物事が動いていた。
「何巨大な船団?」
「はい。中には兵が乗っていたようです」
領主である侯爵は考え込む。
「だが町の皆は迎え入れたのじゃな」
「はい」
領主であるオレガノ=ハーブ侯爵は、時代が荒れ始めた時。自領の中で奇妙な発展をしている港町に目を付けた。
彼は、シェーンバリと綿密に連絡を取っていた。
そこに現れた船団。
クロムウェル王国かと思ったが、あそこは海岸線が崖で使えないはず。
では何処のものかと気にしていた。
危険ではあるが、町の対応も気になるし、本人自らが町へとやって来た。
カグラ本人はそんな政治には関わる気は無く、昔自分がやろうとしていたことを思い出しながら、整備をしていく。
鰹節や乾物。
すぐに理解ができたし、久しぶりにカレーを食べて泣いた。
なぜか、ヒモロギも泣いていた。
「子どもには辛すぎたか?」
「懐かしくて」
その言葉には当然疑問符が?
「はっ? 懐かしい」
「あっいえいえ。お気になさらず」
我が息子ながらおかしい。
カグラの中で奇妙な不安が膨らむ。
中身は俺と同じでオッサンでは? 全く偶然だが、そんな核心を突くことに。
そう自分に起こったこと、それが自分だけと言う事は無いのかもしれない。
「そなたがあの船団の代表か?」
カグラは知らなかったが、ディアナ達がおこした商会はかなり大きくなりある程度の顔役となっていた。
彼女達は話しを聞いてすぐに理解をして、カグラの元へオレガノ=ハーブ侯爵を連れてきた。
彼はやって来たときに、ただならぬ威圧を受けて引っくり返りそうになる。
屈強そうな者達。
その中心で、魔導具だろうかああでもないこうでもないと調整をしている男。
その横には、美女と、彼と同じ顔をした子ども。
見た目は少し立派そうだが、精霊族の衣装は簡素なものであり、ひょっとして平民だろうかと侯爵は考えた。
船団の規模を考えて国かと思ったのだが、有力な私設船団なのか?
彼は悩むが、上からで言葉をかける。
「誰だあんた?」
カグラは、相手が貴族だとすぐに分かったのだが、態度を変えない。
「この方は、この地を治める領主様。たしか侯爵位だっと思います」
先日までと違った、凜とした佇まいをしたヴァイオレット。
王族へと返り咲いた彼女は、すぐに振る舞いをそれに戻した。
幼き頃から行っていた行儀作法の方が、本人は意外と楽だったりする。
「そうか。断りもなくこの地へと入り申し訳が無い。精霊国王である。カグラだよろしく頼む」
ババーンと言う感じで、威圧では無いが覇気がその場に充満をする。
王族であるプライドというか、気高さを見せる。
スタージアからの指導である。
「王。精霊国…… これは失礼をいたしました」
当然、侯爵は礼を取り、幾度か会った時に感じた、ヴァイオレットの違和感を今理解した。
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