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この世界に平和と愛を
第90話 報告
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「えーカグラでございます。よく分からないが、イーデン王国が滅び、そこの王妃様の願いでフロール王国へと向かいます。女帝と会えと言うことです」
そう、こちらも王が亡くなりイメルダが摂政として立ち、宰相ドミトリー=アダーモが監禁されていたので助け合いながら政を行うことになった。
その時、カグラの使った奇蹟を見て、お願いをされた。
イーデン王国の南側。
中央山脈の端を抜けるとフロール王国があり、現在女帝であるユメミルダ=アラマッティ。二十四歳が国を治めている。
フロール王家は、政敵を怖がり血縁内部で近親婚を行った。そのために遺伝病が発現。それにより短命である。そのため、若くして王を亡くして女帝となった。
王子はまだ七歳。王子様はヨッヘム。王に似て少し残念な顔。
近親婚は親が劣等性遺伝子をともに持っている確率が高くなり、それが発現しやすくなる。
ヨーロッパ統治で有名な貴族。ハプスブルク家は、政治的理由から身内による政略結婚を繰り返した。結果、受け口で顎が長い遺伝子を代々受け継いだために一族に同様の長い顎が現れた。無論病気も発現をして比較的短命だった。
彼女の出自であるアラマッティ家は、少し遠くなるがそれよりも近い王族は病気の発現により家が絶えてしまった。
そんな状態で、ユメミルダ=アラマッティの持病や、王子の持病を何とか出来ないかとお願いをされてしまった。
話しを聞いて、遺伝病だとカグラは理解。
少し悩んだが来ることになった。
そう、この国。どうやらカカオが採れるようだ。
「クスリとして飲んでおります。苦いのですが滋味があり栄養が豊富であります」
「へー、種なの? カグラの種も苦いけれど効果……」
つまらないことを言いそうになって、ディアナの口が塞がれる。
「まあ行ってみないと分からんな」
そう言って、また軍団で移動を開始。
「いや半数には帰れと言ったのだが……」
彼等兵は、ただ異国に出向き、兵糧で美味いものが食えて、ものすごく楽しかった。
そして、カグラの兵だというと、なぜか大盤振る舞いで持てなしてくれる。
なぜか、どこへ行っても、決して敵対をしてはならないと触れが密かに出るのだ。
そうして、イーデン王国へ行くと、思わぬ出逢いが待っていた。
その娘エーレは、ニコ国にあるエルンスト商会の娘として生まれた。商会は主に穀物問屋で、いくつかの国を跨いで仕入れと販売を行っていた。
その仕入れの旅にエーレも付いていった。
母親は早く死に、今は継母が家を切り盛りしているのだが、相性が悪かったため、家に居たくなかったのだ。
そして道中で盗賊に襲われて父親は殺された。それからのおぞましい生活。それを助けてくれたのはカグラ達。だがそれからどうするのかを考えたとき、戻っても継母とは、上手くいっていない。
仲がよくなった冒険者ヴィカ達とともにヴァーラ国へと向かうことに決めた。無論カグラのホームが、ヴァーラ国ズィクムントの町にあるからと聞いて下心満載で決めたのだが、彼は帰ってこなかった。
エーレは薬処安心堂、店主アバドンを頼り、結局薬の行商を始めた。
此処の名産である特殊な薬は高く売れて、遠くの国からも依頼がやって来る。
そう、イーデン王国王家の奇病。
それの治療のため、虹色草の雫を買い求めるために兵達がやって来た。
日数を掛けて雫を集め、彼女達は出発をした。
そうその時には、確かに瓶の中に液体が入っていた。
だが、時間を掛けて到着したときには、乾燥したのか跡形もなかった。
無論言い訳をする暇もなく、彼女は投獄をされる事になる。
まあ幾ら奇蹟の薬でも、遺伝子改変までは行ってはくれないから、どちらにしろ投獄はされたのだろうが。
そしてカグラ達は、イメルダからの書状をもち、国境を越えてフロール王国内を爆走する。
要所要所で止められたのだが、各領主が出す触れよりもカグラ達の方が早く各地で騒動が起こる。
そして、王城へと着いたのだが、王都内へ全兵が付いて行くわけにも行かず町の外で待機中。
カグラは、書状のおかげか患者となる王子様ヨッヘムと素直に会う。
やった事は無いが、彼をスキャンする。だが……
このガキ態度が悪い。
顔も悪い。
七歳とはいえ、やって良いことと悪い事がある。
こいつは王子様だが、カグラは王である。
ディアナとヴァイオレットも付いてきたのだが、侍女か何かと勘違いをしたのだろうか、抱っこしろだの足が痛いからマッサージしろだのやかましい。
母親の女帝ユメミルダ=アラマッティはいま二十四歳。
子どもを産んですぐに王が亡くなり、御無沙汰なのは分かるが…… カグラを見た瞬間から女の顔をしている。
「こら、王子様おやめ。ください」
ディアナは一生懸命上品に喋ろうと努力中。
「変なの。母様と違って胸が無い」
「このガキぶっていい?」
切れるディアナ。
病弱なこともあり、甘やかされているのか、言うことを聞かない。
いや七歳くらいなら、こんな感じなのか?
「どうでしょうか?」
「うーんまあ、遺伝病だと思う」
「遺伝病?」
当然遺伝子などは、一般的ではないのだが、王家の血筋という物は理解をされている。それを使って、説明をする。
「王家の血は優秀なところもありますが、良くないものもあります。近縁での婚姻を繰り返すと、こういう感じで呪いの様になる事がある」
「まあ呪い。近縁…… では近縁ではない血筋を入れれば大丈夫なのでしょうか?」
「危険度は下がります」
「では、では、かならず王にさせますので、あなた様の種を……」
そこまで女帝さんが言ったとき、ヴァイオレットが口を挟む。
「では、フロール王国が精霊国の傘下に収まればよい。カグラ王如何ですか?」
「カグラ王?」
女帝様、変な顔がさらに変な顔になった。
「ええ。こんな小さき国とは違い、大陸を統治しておられます」
ヴァイオレットの笑顔が怖いし、これ幸いでマウントを取り始めた。
嘘は言っていない。人数は少ないが、おまけで霊獣たちも従えているから、一匹で人一千人くらいとして計算すれば大国?
「治療師だと、書状には書かれておりましたが?」
「治療もできる。ですわね」
あーあれだ、氷の微笑とはこれだな。ヴァイオレットの笑顔にゾクッと来た。
そう、こちらも王が亡くなりイメルダが摂政として立ち、宰相ドミトリー=アダーモが監禁されていたので助け合いながら政を行うことになった。
その時、カグラの使った奇蹟を見て、お願いをされた。
イーデン王国の南側。
中央山脈の端を抜けるとフロール王国があり、現在女帝であるユメミルダ=アラマッティ。二十四歳が国を治めている。
フロール王家は、政敵を怖がり血縁内部で近親婚を行った。そのために遺伝病が発現。それにより短命である。そのため、若くして王を亡くして女帝となった。
王子はまだ七歳。王子様はヨッヘム。王に似て少し残念な顔。
近親婚は親が劣等性遺伝子をともに持っている確率が高くなり、それが発現しやすくなる。
ヨーロッパ統治で有名な貴族。ハプスブルク家は、政治的理由から身内による政略結婚を繰り返した。結果、受け口で顎が長い遺伝子を代々受け継いだために一族に同様の長い顎が現れた。無論病気も発現をして比較的短命だった。
彼女の出自であるアラマッティ家は、少し遠くなるがそれよりも近い王族は病気の発現により家が絶えてしまった。
そんな状態で、ユメミルダ=アラマッティの持病や、王子の持病を何とか出来ないかとお願いをされてしまった。
話しを聞いて、遺伝病だとカグラは理解。
少し悩んだが来ることになった。
そう、この国。どうやらカカオが採れるようだ。
「クスリとして飲んでおります。苦いのですが滋味があり栄養が豊富であります」
「へー、種なの? カグラの種も苦いけれど効果……」
つまらないことを言いそうになって、ディアナの口が塞がれる。
「まあ行ってみないと分からんな」
そう言って、また軍団で移動を開始。
「いや半数には帰れと言ったのだが……」
彼等兵は、ただ異国に出向き、兵糧で美味いものが食えて、ものすごく楽しかった。
そして、カグラの兵だというと、なぜか大盤振る舞いで持てなしてくれる。
なぜか、どこへ行っても、決して敵対をしてはならないと触れが密かに出るのだ。
そうして、イーデン王国へ行くと、思わぬ出逢いが待っていた。
その娘エーレは、ニコ国にあるエルンスト商会の娘として生まれた。商会は主に穀物問屋で、いくつかの国を跨いで仕入れと販売を行っていた。
その仕入れの旅にエーレも付いていった。
母親は早く死に、今は継母が家を切り盛りしているのだが、相性が悪かったため、家に居たくなかったのだ。
そして道中で盗賊に襲われて父親は殺された。それからのおぞましい生活。それを助けてくれたのはカグラ達。だがそれからどうするのかを考えたとき、戻っても継母とは、上手くいっていない。
仲がよくなった冒険者ヴィカ達とともにヴァーラ国へと向かうことに決めた。無論カグラのホームが、ヴァーラ国ズィクムントの町にあるからと聞いて下心満載で決めたのだが、彼は帰ってこなかった。
エーレは薬処安心堂、店主アバドンを頼り、結局薬の行商を始めた。
此処の名産である特殊な薬は高く売れて、遠くの国からも依頼がやって来る。
そう、イーデン王国王家の奇病。
それの治療のため、虹色草の雫を買い求めるために兵達がやって来た。
日数を掛けて雫を集め、彼女達は出発をした。
そうその時には、確かに瓶の中に液体が入っていた。
だが、時間を掛けて到着したときには、乾燥したのか跡形もなかった。
無論言い訳をする暇もなく、彼女は投獄をされる事になる。
まあ幾ら奇蹟の薬でも、遺伝子改変までは行ってはくれないから、どちらにしろ投獄はされたのだろうが。
そしてカグラ達は、イメルダからの書状をもち、国境を越えてフロール王国内を爆走する。
要所要所で止められたのだが、各領主が出す触れよりもカグラ達の方が早く各地で騒動が起こる。
そして、王城へと着いたのだが、王都内へ全兵が付いて行くわけにも行かず町の外で待機中。
カグラは、書状のおかげか患者となる王子様ヨッヘムと素直に会う。
やった事は無いが、彼をスキャンする。だが……
このガキ態度が悪い。
顔も悪い。
七歳とはいえ、やって良いことと悪い事がある。
こいつは王子様だが、カグラは王である。
ディアナとヴァイオレットも付いてきたのだが、侍女か何かと勘違いをしたのだろうか、抱っこしろだの足が痛いからマッサージしろだのやかましい。
母親の女帝ユメミルダ=アラマッティはいま二十四歳。
子どもを産んですぐに王が亡くなり、御無沙汰なのは分かるが…… カグラを見た瞬間から女の顔をしている。
「こら、王子様おやめ。ください」
ディアナは一生懸命上品に喋ろうと努力中。
「変なの。母様と違って胸が無い」
「このガキぶっていい?」
切れるディアナ。
病弱なこともあり、甘やかされているのか、言うことを聞かない。
いや七歳くらいなら、こんな感じなのか?
「どうでしょうか?」
「うーんまあ、遺伝病だと思う」
「遺伝病?」
当然遺伝子などは、一般的ではないのだが、王家の血筋という物は理解をされている。それを使って、説明をする。
「王家の血は優秀なところもありますが、良くないものもあります。近縁での婚姻を繰り返すと、こういう感じで呪いの様になる事がある」
「まあ呪い。近縁…… では近縁ではない血筋を入れれば大丈夫なのでしょうか?」
「危険度は下がります」
「では、では、かならず王にさせますので、あなた様の種を……」
そこまで女帝さんが言ったとき、ヴァイオレットが口を挟む。
「では、フロール王国が精霊国の傘下に収まればよい。カグラ王如何ですか?」
「カグラ王?」
女帝様、変な顔がさらに変な顔になった。
「ええ。こんな小さき国とは違い、大陸を統治しておられます」
ヴァイオレットの笑顔が怖いし、これ幸いでマウントを取り始めた。
嘘は言っていない。人数は少ないが、おまけで霊獣たちも従えているから、一匹で人一千人くらいとして計算すれば大国?
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