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魔神討伐
第110話 救済の日
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黄昏が迫る頃。
非常識な奴らはその相手に出会い、自分が普通だと理解をする。
ユージーン達が張ったシールドにぶつかり、受肉をした悪魔達の馬車が爆散をする。
「なんじゃこりゃぁ」
当然リリス達の戦闘から、身を守るための気合いの入ったシールド。
そこに高速でぶつかったアスモデ、アグラット、ルクスリア達も空を飛ぶ。
ああ意図的ではなく、慣性の法則により仕方が無く。
そして、戦闘の余波で焼かれそうになり、あわててシールドを張りつつ、リリスの所へ向かう。
だが彼等が思っていた予想と違い、相手は一人。
あいつらではない。
「あれは何だ?」
そいつの周りは超高温で焼かれて、真っ赤になっている。
そう岩石すら溶けているのだ。
それなのに、まるで平気。
その姿は、数千年の時を生きる有名漫画の主人公、髪の毛が緑色をした超能力者のように立っている。
まあカグラなら、エネルギー吸収ボールとか創れそうだが、彼は思いつかなかったようだ。
ただ、シールドを張っていると攻撃が出来ない。
リリスから一方的な攻撃を受けているのは、外せば熱そうだと思い、今はその対策を思案中だった。
意外と相手の魔力が尽きてこなくて、なんて非常識な奴なんだと彼は考えていた。
それは、リリスも同じ。
まだ平気で立っている。なんて非常識な存在なの?
この前の三人と言い、この世界に一体何が起こっているの?
もしかして、この世界の神が干渉でもしているのか?
そんなことを考えていると、仲間達がやってきた。
「あれは何だ? お前何と戦っているんだ?」
「よく分からない。ただこの前の奴らはあそこにいる。だから多分奴らの仲間」
いい加減リリスも疲れ、その限界が近くなってきていた。
カグラは考える。
あいつらなんで平気で飛んでいるんだ?
ああっ、この空が飛べたら。
ふと、昔聞いた歌が頭の中で流れる。
「このままじゃじり貧だし…… 飛ぶ? どうやって? 重力というのは物質間の引力で質量の大きな方へと引かれるから…… 分からない」
そう基本カグラは、魔法を使うときに物理的な知識を使っている。
原住民のように、火の神に願いなどとは考えない。
そうこの世界、魔法を覚えやすいように詠唱なるものも存在をする。
普通の民は教育などを受けていないし、きっちりした物理や化学の概念も存在しない。
そのため、魔法を習うときにはその手順を詠唱という形で習う。
ただまあ、理解されていない所は神への祈りへとしてごまかされているがそれでも発動する様だ。
まあ基本は術者のイメージだから、火とはこう言うものとか水はこういう物と分かっていれば大丈夫なようだ。
だが、カグラは物理知識で魔素を魔法という現象へと変換をする。
リリスは、多分イメージのごり押しだろう。
その差が、きっと両者の違いで、カグラが余裕を持っていられる状態が作られている。
「なぜ沈まないのぉ」
リリスは、いい加減疲れていた。
そこへやって来た援軍。
「あんた達、早く手伝いなさいよ」
彼女は叫ぶ。
普段なら、
『任せなさいよ』
『私の獲物に手を出さないで』
『何を勝手なことをするのよ』
そんな感じで、怒鳴り散らすリリス。
そんな彼女が見せた弱気。
「随分かわいいことを言うじゃないの」
アスモデウスが彼女を揶揄う。
リリスから、無言で魔法が飛んでくる。
「やめなさいよ。危ないわね」
文句を言いながら、攻撃に加わる。
―― その時でございました……
絶好調ぉー、と弾けてカグラへと攻撃を行っていた者達。
―― その夕暮れの空が、何の前兆か、少ししらけてきたのです。
そうカグラは、どうやっても重力を理解ができなかった。
だから、いつもの様に浄化を行う。
ただ、いつもの様に自身の方から白い物を発射するのではなく。
エリア指定をしてみた。ものすごく大雑把に……
そうこの辺り全体を浄化する。
普通の人間なら、怪我が治ったり、汚れが落ちたり、まあ問題はないだろう。
そんな考えの元……
―― その日、大陸グレゴワールは、神の光に包まれた。
そんな黙示録が記録に残っている。
そうちょっとした力の入れすぎ。
だがそれを浴びた各地の病人達が息を吹き返したり、怪我が治ったり……
―― 奇蹟の日。
そう記されていた。
問題は、その奇蹟が神によるもとして、少しだけ教会の権威が復活をした。
炎に包まれ、シールドの中で色々考えていたが、まあやってみようと安易な気持ちでやってみた。
収束をさせてないから力を込めて、「えぃ」とか言う感じで。
夕日が沈む間際、その光点はぽつんと現れて、次の瞬間に同心円状に広がる。
その異様な景色と、暗くなりかけた空がいきなり明るく、それも白き光の中にキラキラとした金色の粒が雪のように地上へと降り注ぐ。
人々は、光に導かれて屋外へと出て、様子をうかがう。
そして初めて見る美しい光景に、空を仰ぎながら涙をこぼし始める。
その光の粒を浴びるだけで、辛い体どころか気持ちまでが軽くなっていく。
そうそれは、カグラによる魂の救済。
その奇蹟は、リリス達を焼く。
「ぎゃー。何これ?」
彼等はとっさにシールドを張ったのだが、光の届く所は影響を受ける。
空には逃げ場がなかった。
魔のかたまりである彼等の体が、煙を噴き上げ焼けはじめる。
「やべえ、逃げるぞ」
彼等は光の当たるエリアから脱出を始める。
数時間後、彼等は魔大陸の海岸でため息を付いていた。
そう、瘴気の吹き上げる大陸。
この地が、彼等にとっては最後の砦となる。
非常識な奴らはその相手に出会い、自分が普通だと理解をする。
ユージーン達が張ったシールドにぶつかり、受肉をした悪魔達の馬車が爆散をする。
「なんじゃこりゃぁ」
当然リリス達の戦闘から、身を守るための気合いの入ったシールド。
そこに高速でぶつかったアスモデ、アグラット、ルクスリア達も空を飛ぶ。
ああ意図的ではなく、慣性の法則により仕方が無く。
そして、戦闘の余波で焼かれそうになり、あわててシールドを張りつつ、リリスの所へ向かう。
だが彼等が思っていた予想と違い、相手は一人。
あいつらではない。
「あれは何だ?」
そいつの周りは超高温で焼かれて、真っ赤になっている。
そう岩石すら溶けているのだ。
それなのに、まるで平気。
その姿は、数千年の時を生きる有名漫画の主人公、髪の毛が緑色をした超能力者のように立っている。
まあカグラなら、エネルギー吸収ボールとか創れそうだが、彼は思いつかなかったようだ。
ただ、シールドを張っていると攻撃が出来ない。
リリスから一方的な攻撃を受けているのは、外せば熱そうだと思い、今はその対策を思案中だった。
意外と相手の魔力が尽きてこなくて、なんて非常識な奴なんだと彼は考えていた。
それは、リリスも同じ。
まだ平気で立っている。なんて非常識な存在なの?
この前の三人と言い、この世界に一体何が起こっているの?
もしかして、この世界の神が干渉でもしているのか?
そんなことを考えていると、仲間達がやってきた。
「あれは何だ? お前何と戦っているんだ?」
「よく分からない。ただこの前の奴らはあそこにいる。だから多分奴らの仲間」
いい加減リリスも疲れ、その限界が近くなってきていた。
カグラは考える。
あいつらなんで平気で飛んでいるんだ?
ああっ、この空が飛べたら。
ふと、昔聞いた歌が頭の中で流れる。
「このままじゃじり貧だし…… 飛ぶ? どうやって? 重力というのは物質間の引力で質量の大きな方へと引かれるから…… 分からない」
そう基本カグラは、魔法を使うときに物理的な知識を使っている。
原住民のように、火の神に願いなどとは考えない。
そうこの世界、魔法を覚えやすいように詠唱なるものも存在をする。
普通の民は教育などを受けていないし、きっちりした物理や化学の概念も存在しない。
そのため、魔法を習うときにはその手順を詠唱という形で習う。
ただまあ、理解されていない所は神への祈りへとしてごまかされているがそれでも発動する様だ。
まあ基本は術者のイメージだから、火とはこう言うものとか水はこういう物と分かっていれば大丈夫なようだ。
だが、カグラは物理知識で魔素を魔法という現象へと変換をする。
リリスは、多分イメージのごり押しだろう。
その差が、きっと両者の違いで、カグラが余裕を持っていられる状態が作られている。
「なぜ沈まないのぉ」
リリスは、いい加減疲れていた。
そこへやって来た援軍。
「あんた達、早く手伝いなさいよ」
彼女は叫ぶ。
普段なら、
『任せなさいよ』
『私の獲物に手を出さないで』
『何を勝手なことをするのよ』
そんな感じで、怒鳴り散らすリリス。
そんな彼女が見せた弱気。
「随分かわいいことを言うじゃないの」
アスモデウスが彼女を揶揄う。
リリスから、無言で魔法が飛んでくる。
「やめなさいよ。危ないわね」
文句を言いながら、攻撃に加わる。
―― その時でございました……
絶好調ぉー、と弾けてカグラへと攻撃を行っていた者達。
―― その夕暮れの空が、何の前兆か、少ししらけてきたのです。
そうカグラは、どうやっても重力を理解ができなかった。
だから、いつもの様に浄化を行う。
ただ、いつもの様に自身の方から白い物を発射するのではなく。
エリア指定をしてみた。ものすごく大雑把に……
そうこの辺り全体を浄化する。
普通の人間なら、怪我が治ったり、汚れが落ちたり、まあ問題はないだろう。
そんな考えの元……
―― その日、大陸グレゴワールは、神の光に包まれた。
そんな黙示録が記録に残っている。
そうちょっとした力の入れすぎ。
だがそれを浴びた各地の病人達が息を吹き返したり、怪我が治ったり……
―― 奇蹟の日。
そう記されていた。
問題は、その奇蹟が神によるもとして、少しだけ教会の権威が復活をした。
炎に包まれ、シールドの中で色々考えていたが、まあやってみようと安易な気持ちでやってみた。
収束をさせてないから力を込めて、「えぃ」とか言う感じで。
夕日が沈む間際、その光点はぽつんと現れて、次の瞬間に同心円状に広がる。
その異様な景色と、暗くなりかけた空がいきなり明るく、それも白き光の中にキラキラとした金色の粒が雪のように地上へと降り注ぐ。
人々は、光に導かれて屋外へと出て、様子をうかがう。
そして初めて見る美しい光景に、空を仰ぎながら涙をこぼし始める。
その光の粒を浴びるだけで、辛い体どころか気持ちまでが軽くなっていく。
そうそれは、カグラによる魂の救済。
その奇蹟は、リリス達を焼く。
「ぎゃー。何これ?」
彼等はとっさにシールドを張ったのだが、光の届く所は影響を受ける。
空には逃げ場がなかった。
魔のかたまりである彼等の体が、煙を噴き上げ焼けはじめる。
「やべえ、逃げるぞ」
彼等は光の当たるエリアから脱出を始める。
数時間後、彼等は魔大陸の海岸でため息を付いていた。
そう、瘴気の吹き上げる大陸。
この地が、彼等にとっては最後の砦となる。
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