僕は仲間とともに、覇王の道を進む。

久遠 れんり

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第二章 王国兵士時代

第29話 教会と、貴族の暗躍

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 そして少し月日は流れ、一部の人間には不本意だろうが、無理難題を出されるたびにそれをこなし、昇格をする。

 ただ、レオンが大尉となってきた頃から、少し差が生まれる。
 遺跡の功績が大きく、注意してみられているのが意外と大きく、功績が目だつのだろう。
 それと比較をして、他の仲間は平民出の兵。それ以上にはなり得なかった。

「レオンはもう大尉か、気が付けばミヒャルも中尉で抜かれているし」
「でも皆だって、平民出としたら早いんだよ」
「それはそうだけどな。貴族連中なら遊んでいてもポンポン上がるし。後ろ盾は必要だよな」
 最近飲むたびに、そんな話が出てくる。

 そして、突然ダレルが中尉に昇格をする。

 ミヒャルは、皆が後ろ盾に拘ることから、良くない傾向だと。早くから気を付けた方が良いと、そう忠告をしてくれていたのに、無茶振りな任務のおかげで皆が、気を付けていなかった。

 かれに、近寄ったのは教会。

「あなたの才能には目を見張るものがあります。その才能を存分に発揮できるように、我々が少し手助けを行いましょう」
 それを聞き、単純なダレルは手を握ってしまった。

 むろん、気を付けてはいた。
 どうしたって、辺境伯の絡みで今の自分がある。
 そして、敵がいることも知っている。

 だが、教会だ。
 そして、あまり時を置かず、自分だけが昇格をした。
 手助けをすると、言っただけで特に無茶も言われることも無く、ただ昇格をした。

 ――素直な、ダレルは信用し、深みにはまっていく。

「少しお願い事があります」
「何でしょう?」
「司祭様が異動なさるときに、警護をおこなって頂けませんか?」
「それは良いですが、部隊など好き勝手には動かせませんよ」
「受けて頂けるなら、こちらから軍へは依頼を出します」
 そんな簡単で、真っ当な依頼。

 そんな事を受けているうちに、ダレルは大尉になる。
 その時には、レオンは上級大尉となっていたが、他のメンバーは少尉のままだった。

 そして、また依頼がやって来る。
「女好きな王が、ある貴族家の令嬢を、王命で強引に妾として迎える事が決まりました」
「またか」
 思い出される、クリスお嬢様の一件。

「そこで、ここからは内密なのですが、貴族家からは、王都へ娘さんを出します」
 少し近づき小声で話し始める。
 ここは教会の一室で、誰もいないのにその警戒をする姿。
 やばい話だとわかる。

「王都へ、入場後。娘さんを拉致。いや保護をしていただきたい」
「それはあれか、形として約束を守ったと言う体裁か」
 それに返事はせず、ただ頷く。

「そして、我々の使いがひかえておりますので、お渡し頂ければ、こちらで安全なところに保護いたします」
 それを聞いてダレルは悩む。
 大義は結構だが、明確な犯罪。
 それも王命に絡むもの。

「どう考えてもやばい話だ。少し考えさせてくれ」
「承知いたしました。ですが、日がありません。お早めに決断を」
「わかっている」
 少ない時間で回答を促す。詐欺の常套手段。
 まんまと乗ってしまう。


 そんな頃。
「今の仕事に関わってきますが、グレタ=トーンデモ侯爵がケヴィン=ホワイト伯爵にちょっかいを出している件ですが、娘を手土産に王へと依頼を出したようです」
 ミヒャルは、何か資料を見ながら報告をしてくる。

「最初軍へと依頼がきたが、なぜか、派兵に対して、上からストップが出た件だな」
「そうです。おおかた、グレタ=トーンデモ侯爵が手を回したのでしょう。ですが、今回は王命で命令が来るでしょう。止めることは出来ず、奴は焦るでしょうが、だからこそ手を打たないとまずいでしょう。私なら、娘さんの命を奪い。話を無かったことにします。迎え入れれば王家の問題となりますが、その手前なら伯爵令嬢の不幸で終わります。どうなさいます」
「勝手に動くことは出来ない。危険性を進言しよう」

 そうして話を上げると、意外な返事。
「そんな事は想定している。道中にも軍を派遣し完全な警備体制を敷いている。グレタ=トーンデモ侯爵のやりようは王もご存じで、心を痛めている。何かをしてくればそれを理由に懲罰が行える。もう配備はすんでいるから。そうだな、王都で警護でもすれば良い。止めはせん。ただ騎士団が警護責任を持つようだから、ジャマはせんようにな」
 使えない上官だが、今回は意外とまともなようだ。
 意外とグレタ=トーンデモ侯爵は、嫌われているようだ。

 戻って、ミヒャルと計画を練る。

 王城に向かう中央の道。その道沿いの家にかけ合い。兵を待機させて貰う。

 むろん、交差する道にはすべて兵を待機。

 笛を用いて、動きを周りに知らせ、逃走路を潰す計画を練る。
 だが、馬車の周りは、騎士団がバッチリ警護をするようだ。

「出番はないかな」
 そんな声が、兵達からも出る。

 そして、万全な警備で、領内から王都への道中では問題なく到着が行われた。
 門の前で、警備が騎士団へと引き継がれる。

 馬に乗り、馬車の周りを凜とした姿で警備する騎士達。
 沿道の、民衆からも感嘆の声が漏れる。

 そして、王城への行進が始まる。

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