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第四章 世界との関わり
第29話 相談
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「それでは魔王様、リギュウムディから魔道具の販売をしていただけると」
ウーベル=ナーレ辺境伯は目を輝かせる。
「そうですね。ですが、魔王はやめていただきたい。もう魔王国には新魔王が就任しているはずですので」
「はあ。そうでございましょうか?」
辺境伯は報告を思い出す。確かに、魔王国の侵攻が止まったという話は聞いた。
ただ、その後については、伝わってきていない。
だが再び来れば、きっと寄付を募るために、王国からも使いがやってくるはず。
だが、あれから一度も来ていない。確かあれは、そう半年以上前だ。
うん? そう言えば、勇者召喚という禁忌の魔法はどうなったのだろう?
余所の世界から、力あるものを引き寄せる。
それが後に、災いの種となるため注意しろとあったはず。
ふふっ。
勇者管理一〇箇条か。馬鹿らしい。
勇者召喚には、どうしたって力を持つものを召喚するのが当然となる。
呼んでしまったときにモンスターなら、速やかに殺す。
来たばかりの時には、力が制限されているから。
そして、男なら見目良い女を付け監視せよ。とか、帰還を餌にする場合は、魔王を倒せば自動で帰れるとか、嘘で固めて使い倒し、役目が終われば縛り殺す。呼ばれた方もとんだ災難。こちらの都合のみ。まあだから禁忌なのだが。
うん? そう言えば、勇者召喚の際に、肉体に刻まれる拘束魔法があったはず。
あれは確か、「シギリウム=アク=コイベだったか?」つい、口に出してしまう。
当然この場では、何も起こらない。
だが、その聞こえた文言に、ふと興味を持った者が一人。
「この者。神の力を持って拘束せよって何?」
当然、望である。
体に掛かっていた、呪いとも言えるものは、神水により分解されている。
呪文の意味を、理解されるとは思っていなかった辺境伯。
「あっいえ。メリディアム国が半年以上前に勇者召喚を行ったはずですが、それから音沙汰がなく。
それで、先ほどの呪文は、召喚されたもの。勇者と呼ばれる者が悪さをしたときに拘束する呪文でございます。かれらは、力を持つと強力で、人類の敵となりますからね。いざというときにはこれを唱え、拘束をするのでございます」
それを聞いて、当然だが望の表情が曇る。
「それは、こっちへ来てから施すの?」
「いいえ。召喚陣に刻まれています。肉体に植え付けると聞いております」
それを聞いて、おやっと、首をひねる?
「何だったかな? もう一度言ってみて?」
「それでは。『シギリウム=アク=コイベ』」
辺境伯は唱え終わって、満足そうだ。
「それは合っているの?」
「えっ。ええ。もちろんです。とっさの時に唱えられるように、為政者というか、町の管理者で主だった者は、覚えさせられました」
私は完璧です。そんな感じで胸を張る辺境伯。
「そうなんだ。それで勇者さんは何で呼んだの?」
一応確認をしておく。
辺境伯は、聞かれてさすがに困った顔になる。
呼んだ意味。そいつはいま、目の前でお茶を飲んでいる。
「あっあの。魔王軍の侵攻を停止させ、そのう、魔王を倒すためと聞いております」
何とか言い切る。
上目遣いで、魔王と望を見る。
「ほら見ろ、お前が考えなしに侵攻などするから。余所の世界にまで迷惑を掛けたようだぞ」
しらっと横にいる魔王を叱る。
「はい。反省しておりますです」
魔王が頭を下げる。
丁度その頃。
勇者を呼んだメリディアム国は困っていた。
先祖の残した、碑文に従い勇者召喚を行った。
だが何故か、魔王軍は来なくなり、時間と金を掛けたチームは、ダンジョンでぼつぼつと狩りを行っている。
魔王領へ行き、間者が話を聞くと、侵攻を指揮していた魔王は倒されたと言う事で、今度新魔王選定の戦いが執り行われると通知が来た事が分かり、調査報告が来た。
周辺国まで巻き込み、金と人、時間を掛けた計画。
目的が消失し、存在意義はもうなくなった。
いま魔王国へ侵攻すれば、むこうが本気になる。
侵攻してきたから、それを倒し、魔王領深くまで侵攻するのと、こちらが侵攻を始めるのとでは意味合いが変わってくる。それも、勇者チームでひっそりと行うから良いのだ。大軍を率いれば国同士の戦争となる。勇者チームだけなら、血気盛んな若者の暴走として責任を取らせば良い。当然娘は替え玉にすり替える。
幸い勇者は馬鹿なようで、疑いもなく姫と戯れ、モンスターを倒す生活を謳歌しているようだ。
望むが望んだ生活。それはいま勇者の元に。
いつまでそれが持つかは不明だが、今から手を打ち、何とかしなければいけない。
そんな陰謀が、水面下で始まっていた。
当然、その時一緒に現れた二人など、記録にも記憶にも残っていない。
約二名の記憶以外には。
「もう半年。生きているのか死んでいるのか?」
女騎士クリスティーヌは、いきなり綺麗になった教会を見に、女性神官マリー=アンジュと共に見に来ていた。
勇者召喚と同時に、何故か組む事が多くなった。
この世界、教会は謎の施設であり、便乗した怪しい団体が、管理と称して教会組織を作っている。そのため、構成人数は少ない。
「ご覧ください。中まで綺麗になって、まるで死にかかった施設が息を吹き返したようです」
神官マリー=アンジュは、本当に嬉しそうに手を広げてクルクルと舞い踊る。
「マリー=アンジュ危ないぞ。お前はどこででも転ぶのが得意だからな」
「虐めないでください。クリスティーヌ」
「おまえな。同じ孤児院出身でも、今は、私は騎士なのだ。言葉遣いにきをつけ……」
そんな二人の前に、突然現れた霊的な存在。
「おや? 二人ですか? では迎え入れましょう」
無表情に、碧は手を軽く振るう。
そうして、二人は消え。メリディアム王国。王城内にある教会は、立ち入り禁止となった。
「ここは?」
呆然とする二人。
「はい。新人さんね。もう大丈夫だから。神様と精霊様が救ってくださいます。此処に名前と、歳を書いて。その後、家を斡旋するから。あっ得意なものも書いてね。字が書けないのなら、あのお方のところへ並んでね」
全く訳も分からず、二人は受付が指さす方向を見る。
そこには、見覚えある女の子が、代筆を行っていた。
そっちも気になるが、二人とも字は書ける。
名前と年齢、特技を記入する。
クリスティーヌ 二一歳 特技剣技。
身長一六六センチメートルくらい。軽くウエーブで、うす赤色の掛かったローズブロンド。目はブルー。胸はDくらい?。性格きつそう。
マリー=アンジュ 二二歳 清掃活動、料理。
身長、一六二センチメートルくらい? 清爽な感じでほんわかしているが、目付きは時に鋭く、ブラウンの目。髪色も薄いブラウン系。胸は服の問題ではっきり見えず。
受付のベスティアが、ささっと特徴をメモしていく。
ベスティアは、元々四天王のモンスター使い。
二日前。いなくなった魔王様と、見た目はかわいい感じだが、あふれ出す魔力が化け物の二人が枕元に立つ。
警戒すると、「神民になれ」。たった一言、魔王が告げる。
そう言われ、少しの会話だけで、好きなモンスターたちを戦争に向かわせなくて良いならと、あっさりと受け入る。それでまあ、教養もあるので、今は受付をしている。
「あの女の子は、ここの住人なのか?」
むろん指さす先は、好実。
「ああ王妃様? あれ、婚約者様だっけ?」
中途半端だが十分な情報。
「「えっ?」」
そして、その事よりも大きな衝撃の言葉を聞く。
「そう。この国リギュウムディの」
「なっ」
クリスティーヌは息をのむ。
「ひぃ」
マリー=アンジュは恐れ、跪く。
そう彼女が、呼ばれた理由。
教会へ入ると、神のために教会の世話というのは分かっていたつもり。
だが、思いついたら、適当に清掃する程度。
教会の上層部は事あるごとに、神という単語を出して寄付を募る。
大部分は自身の手数料として取り込み、少額を孤児院や教会の修繕へと回す。
それを彼女は悔い。嘆いていた。
「お願いがございます。私を神様のお世話係にしてください」
「えー。お妃候補に立つのか?」
「えっ?」
ウーベル=ナーレ辺境伯は目を輝かせる。
「そうですね。ですが、魔王はやめていただきたい。もう魔王国には新魔王が就任しているはずですので」
「はあ。そうでございましょうか?」
辺境伯は報告を思い出す。確かに、魔王国の侵攻が止まったという話は聞いた。
ただ、その後については、伝わってきていない。
だが再び来れば、きっと寄付を募るために、王国からも使いがやってくるはず。
だが、あれから一度も来ていない。確かあれは、そう半年以上前だ。
うん? そう言えば、勇者召喚という禁忌の魔法はどうなったのだろう?
余所の世界から、力あるものを引き寄せる。
それが後に、災いの種となるため注意しろとあったはず。
ふふっ。
勇者管理一〇箇条か。馬鹿らしい。
勇者召喚には、どうしたって力を持つものを召喚するのが当然となる。
呼んでしまったときにモンスターなら、速やかに殺す。
来たばかりの時には、力が制限されているから。
そして、男なら見目良い女を付け監視せよ。とか、帰還を餌にする場合は、魔王を倒せば自動で帰れるとか、嘘で固めて使い倒し、役目が終われば縛り殺す。呼ばれた方もとんだ災難。こちらの都合のみ。まあだから禁忌なのだが。
うん? そう言えば、勇者召喚の際に、肉体に刻まれる拘束魔法があったはず。
あれは確か、「シギリウム=アク=コイベだったか?」つい、口に出してしまう。
当然この場では、何も起こらない。
だが、その聞こえた文言に、ふと興味を持った者が一人。
「この者。神の力を持って拘束せよって何?」
当然、望である。
体に掛かっていた、呪いとも言えるものは、神水により分解されている。
呪文の意味を、理解されるとは思っていなかった辺境伯。
「あっいえ。メリディアム国が半年以上前に勇者召喚を行ったはずですが、それから音沙汰がなく。
それで、先ほどの呪文は、召喚されたもの。勇者と呼ばれる者が悪さをしたときに拘束する呪文でございます。かれらは、力を持つと強力で、人類の敵となりますからね。いざというときにはこれを唱え、拘束をするのでございます」
それを聞いて、当然だが望の表情が曇る。
「それは、こっちへ来てから施すの?」
「いいえ。召喚陣に刻まれています。肉体に植え付けると聞いております」
それを聞いて、おやっと、首をひねる?
「何だったかな? もう一度言ってみて?」
「それでは。『シギリウム=アク=コイベ』」
辺境伯は唱え終わって、満足そうだ。
「それは合っているの?」
「えっ。ええ。もちろんです。とっさの時に唱えられるように、為政者というか、町の管理者で主だった者は、覚えさせられました」
私は完璧です。そんな感じで胸を張る辺境伯。
「そうなんだ。それで勇者さんは何で呼んだの?」
一応確認をしておく。
辺境伯は、聞かれてさすがに困った顔になる。
呼んだ意味。そいつはいま、目の前でお茶を飲んでいる。
「あっあの。魔王軍の侵攻を停止させ、そのう、魔王を倒すためと聞いております」
何とか言い切る。
上目遣いで、魔王と望を見る。
「ほら見ろ、お前が考えなしに侵攻などするから。余所の世界にまで迷惑を掛けたようだぞ」
しらっと横にいる魔王を叱る。
「はい。反省しておりますです」
魔王が頭を下げる。
丁度その頃。
勇者を呼んだメリディアム国は困っていた。
先祖の残した、碑文に従い勇者召喚を行った。
だが何故か、魔王軍は来なくなり、時間と金を掛けたチームは、ダンジョンでぼつぼつと狩りを行っている。
魔王領へ行き、間者が話を聞くと、侵攻を指揮していた魔王は倒されたと言う事で、今度新魔王選定の戦いが執り行われると通知が来た事が分かり、調査報告が来た。
周辺国まで巻き込み、金と人、時間を掛けた計画。
目的が消失し、存在意義はもうなくなった。
いま魔王国へ侵攻すれば、むこうが本気になる。
侵攻してきたから、それを倒し、魔王領深くまで侵攻するのと、こちらが侵攻を始めるのとでは意味合いが変わってくる。それも、勇者チームでひっそりと行うから良いのだ。大軍を率いれば国同士の戦争となる。勇者チームだけなら、血気盛んな若者の暴走として責任を取らせば良い。当然娘は替え玉にすり替える。
幸い勇者は馬鹿なようで、疑いもなく姫と戯れ、モンスターを倒す生活を謳歌しているようだ。
望むが望んだ生活。それはいま勇者の元に。
いつまでそれが持つかは不明だが、今から手を打ち、何とかしなければいけない。
そんな陰謀が、水面下で始まっていた。
当然、その時一緒に現れた二人など、記録にも記憶にも残っていない。
約二名の記憶以外には。
「もう半年。生きているのか死んでいるのか?」
女騎士クリスティーヌは、いきなり綺麗になった教会を見に、女性神官マリー=アンジュと共に見に来ていた。
勇者召喚と同時に、何故か組む事が多くなった。
この世界、教会は謎の施設であり、便乗した怪しい団体が、管理と称して教会組織を作っている。そのため、構成人数は少ない。
「ご覧ください。中まで綺麗になって、まるで死にかかった施設が息を吹き返したようです」
神官マリー=アンジュは、本当に嬉しそうに手を広げてクルクルと舞い踊る。
「マリー=アンジュ危ないぞ。お前はどこででも転ぶのが得意だからな」
「虐めないでください。クリスティーヌ」
「おまえな。同じ孤児院出身でも、今は、私は騎士なのだ。言葉遣いにきをつけ……」
そんな二人の前に、突然現れた霊的な存在。
「おや? 二人ですか? では迎え入れましょう」
無表情に、碧は手を軽く振るう。
そうして、二人は消え。メリディアム王国。王城内にある教会は、立ち入り禁止となった。
「ここは?」
呆然とする二人。
「はい。新人さんね。もう大丈夫だから。神様と精霊様が救ってくださいます。此処に名前と、歳を書いて。その後、家を斡旋するから。あっ得意なものも書いてね。字が書けないのなら、あのお方のところへ並んでね」
全く訳も分からず、二人は受付が指さす方向を見る。
そこには、見覚えある女の子が、代筆を行っていた。
そっちも気になるが、二人とも字は書ける。
名前と年齢、特技を記入する。
クリスティーヌ 二一歳 特技剣技。
身長一六六センチメートルくらい。軽くウエーブで、うす赤色の掛かったローズブロンド。目はブルー。胸はDくらい?。性格きつそう。
マリー=アンジュ 二二歳 清掃活動、料理。
身長、一六二センチメートルくらい? 清爽な感じでほんわかしているが、目付きは時に鋭く、ブラウンの目。髪色も薄いブラウン系。胸は服の問題ではっきり見えず。
受付のベスティアが、ささっと特徴をメモしていく。
ベスティアは、元々四天王のモンスター使い。
二日前。いなくなった魔王様と、見た目はかわいい感じだが、あふれ出す魔力が化け物の二人が枕元に立つ。
警戒すると、「神民になれ」。たった一言、魔王が告げる。
そう言われ、少しの会話だけで、好きなモンスターたちを戦争に向かわせなくて良いならと、あっさりと受け入る。それでまあ、教養もあるので、今は受付をしている。
「あの女の子は、ここの住人なのか?」
むろん指さす先は、好実。
「ああ王妃様? あれ、婚約者様だっけ?」
中途半端だが十分な情報。
「「えっ?」」
そして、その事よりも大きな衝撃の言葉を聞く。
「そう。この国リギュウムディの」
「なっ」
クリスティーヌは息をのむ。
「ひぃ」
マリー=アンジュは恐れ、跪く。
そう彼女が、呼ばれた理由。
教会へ入ると、神のために教会の世話というのは分かっていたつもり。
だが、思いついたら、適当に清掃する程度。
教会の上層部は事あるごとに、神という単語を出して寄付を募る。
大部分は自身の手数料として取り込み、少額を孤児院や教会の修繕へと回す。
それを彼女は悔い。嘆いていた。
「お願いがございます。私を神様のお世話係にしてください」
「えー。お妃候補に立つのか?」
「えっ?」
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