神の都合と俺の都合

久遠 れんり

文字の大きさ
26 / 55
第二章 異世界暮らし

第26話 知らなくて良かったこと

しおりを挟む
「収容されていたのに、なかなか、元気そうだな。安心をしたよ」

 旦那がしゃがむ。
 目線を合わせて、奥さんと話す。だがあわせたはずの、旦那の目は、どこかへ行っている。
 この時、彼は脳内で、出会ったときに戻っていたらしい。

「隣村のシェリーよ」
「うちの村に来てくれて歓迎をするよ」
「普通にご飯が食べられるなら、頑張ります」
 そう言って笑っていたのは、ほんの五年ほど前のこと。

 そういえば、初めての時も痛くないと言っていたっけ。
 そうかそんなに、俺のは貧相だったのか……
 まあ、男のプライドをえぐる、きつい一言。
 意外と気になり始めると、気になる一言だな。

「ナイフ無いか?」
「あるよ」
 受け取ると奥さんを刺すのかと思ったら、自分の首を切ろうとしやがった。
 ちょっと、切れたから治療。

「おまえなあ、せっかく来たのに」
「しかし……」
「まああれだ、もういらんだろ。吊っとこう」
 そう奥さんの話。おもしろいから壁をぶち抜いて、上半身は壁の向こう、お尻だけこちらへ向けて固定した。
 気が付けば誰か使うだろ。
 ちょっと兵のものが、流れ出しているけど。

 そして次から次へ、兵隊は好みの女を作っていたらしく、見張りもせずに遊んでいた。

 そして恐ろしいことに、シェリーと同じ様なことをみんなが言っていた。
 風土病でもあるのかもしれない、こいつらの村には近寄らないようにしよう。
 先天性なのか、後天性なのかそこが問題だ。

「はい、旦那と暮らしたい人」
 手を上げさせて、そいつらだけを連れて帰る。

 なんだかね、水に環境ホルモン的に何かが混ざっていて、とか、何かの影響で男性ホルモンの分泌が抑制とか与野が言っていた。

 まあ原因は不明。異世界だから何でもありそうだが、第二次成長期にホルモンの分泌を抑える何かが水にでも混ざっていたのかも知れないとのことだ。
 俺にはよくわからん。

 まあ村には帰らないし、かわいいのが良いという奴も出てくるかもしれない。
 そう思ったら、上級神八重様降臨。

「私に見せなさい、さてどのくらいが良いの?」
 そう言ってなんか、ぴかーってしていた。

 段々、こいつ隠さなくなってきたな。
 その作業は、皆の眼前で行われた。
 そのおかげなのか、他の村から来ていた娘が、幾人かとくっ付いたようだ。

 おもしろいのは、業力 研ごうりき きわむ、コイツは筋肉馬鹿なのだが、こいつ八重の前で脱ごうとしやがった。
 異世界のかわいそうな男達は仕方がないと思ったが、業力の場合なんかむっときてど突いてしまった。

 なぜかは俺にも分からんが、八重が少しかわいそうな顔をして光ったから希望を聞いたようだ。
 こいつ趣味が筋トレなのは、そういう願望を忘れるためとか、なんかあるのかな?

 そうそう村人さん達、有名なあの赤いウインナーくらいしかなかった。
 絶対何かある。
 そしてそんな村で、子どもが生まれているのが、代々とすると、まあ、近親婚はないな。

 そうして、こそこそと国境を越えて戦場へ戻る。
 まだやっていたが、明らかにファースティナ王国の兵は減っていた。

「戦闘どうなりました?」
「うん大量だよ。今入植地の振り分けをやっているから」
 レオポルド=アウグス侯爵も随分丸くなった。

 ただ、戦闘の状態が、大量ってなんだよと思ったのは、俺だけではないはず。

「じゃあ、終わらせますか?」
「そうだな遠見殿が作ってくれた、鉄砲というものを試すか。おい」

 陣地の裏に積んであった箱が開かれる。

 先込めではなく後ろから弾と火薬を詰める。
 火薬を紙でくるんで一回分に分けてある。
 薬莢方式はもう少しでできる予定。
 弾も砲弾型でライフリング付き。

「それじゃあ、構えて…… 撃てぇ」
 乾いた良い感じの音が戦場に響く。

 そしたら、敵の馬が一斉に逃げ始める。
 そうこっちの馬たちは音になれたが、最初は大変だった。

 あわてた馬たちには、人など関係ないようだ。
 そう混乱。
 そして敵兵達も混乱。

 聞き慣れない音がして、仲間達が倒れた。
「新魔法かも知れない、気を付けろ」
 そう言いながら、なぜか空を見る。

 そう、魔法と言えば、一般的なひょろひょろファイヤーボールが、イメージとしてあるのだろう。

 弾込めが終わり、次弾発射。
 黒色だから、盛大に煙があがる。

 早いとこニトロセルロースを作らないと、暴発が怖い。
 エステル化がどうとか、みんなが言っていた。

 まあ敵軍は、兵を切り取られ、銃の試し撃ちという最悪な状況で壊滅をした。

 幾人か逃げたようだが、ある程度は情報が伝わってほしい。
 これで、後がなければ万々歳だが、あの王だとどうかな?

「なに? また全滅だと。しかもセコンディーナ王国相手に…… ええい一体どうなっておる」
「新型の武器です。やかましい音がして、金属のつぶてを飛ばしてきます」
「矢ではないのか?」
「違います。矢と言えば、敵の矢の方が射程距離が長いです」
「ええい。そんなもの材料を工夫をして、改良をしろ」

 そう、まだ諦めてないようだ。

「おお? これが本当なのか?」
「ねっ、もう無理」
「もう一回」
「もう……」

 新規開拓村では、プワーナ王国から来た夫婦が励んでいたが、正常なサイズとなり旦那が喜び張り切る。

 奥さんは、その変わりように、喜びはしたがうんざりもしていた。
 だがその数日後、本当の快楽を知ることになる。
 そう中での……
「あっあっ。何これぇ…… 頭が真っ白に…… なにか、はじけるぅ……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

処理中です...