管理世界が発展しないから、お前ら何とかしろと言う駄女神

久遠 れんり

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第1章 壊された生活と異世界の村

第23話 意図はそれぞれ

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 取り合えず。
 皆に、殺人犯の事をお願いして、俺は放心状態で家へ帰った。

 留守中に、変わりがなかった説明を、たぶん聞いたと思う。
 部屋に戻り。
 布団に倒れこむ。

 この布団は、日本の物と違い重いのだが、お日様のにおいがする。
 俺が出かけていた間に、3人が干してくれたのだろう。

 寝ている間に、誰かに頭をなでられた気がする。
 周りにいる妖精から、警告はないから大丈夫だろう。


 どのくらいの時が経ったのだろう。
 外がにぎやかになって、村人の声が聞こえる。

 俺は、村長の家に行こうと起き上がる。
 顔を上げると、4人とも不安そうにこちらを見ていた。

「大丈夫?」
 久美に聞かれる。
「さっきよりは落ち着いた。村長の家に行ってくる」
 そう返事をする。

「顔は、洗っていった方がいいわよ」
 久美に、そう言われる。

「ずいぶん泣いたのね」
 言っている本人も、泣きそうな顔をしながら、優しく微笑んでくれた。

 顔を洗って、涙の後を消す。
 そして、家を出た。

 村長の家に行くと、見慣れない若い男が、うなだれたまま座っている。
 だが、その顔はひどく腫れて、ひどいモノだった。

「おお。佐藤君来てくれたのか。ちょっと治してやってくれ」
 村長に言われて、治療魔法を掛ける。
「治療魔法?」
 そう言って、捕まっている。男が声を上げる。

「ああ。魔法が、使えなかったんだろう」
「そうなんです。あのチャラ女神。使えるって言ったのに」

 それを聞き。
 みんなが、ああという顔をする。

「とりあえず。話は聞いたんですか?」
「いや、まだだ」
「じゃあ、君。名前とざっとの経緯を聞いてもいいかな?」
 俺がそういうと、その男は、ぽつりぽつりと話し始めた。

「僕の名前は、永峰一也。中3です。学校で、ずっといじめられていたんです。でも我慢して勉強も頑張って。やっと、推薦をもらえるという話が来たんです。喜んでいたら。どこからともなく。その話が漏れたらしくて、ナマイキだって奴らが言いだして。僕をいじめても、あまり応えないようだから、妹をさらって。写真でもばらまくかっていう話をしていたのを、たまたま聞いたんです」
 泣きながら語るのだが、辛くて言葉が詰まるようだ。

「それで、実行日もわからず、妹には気を付けるように言っていたんですが。あいつら昼休みに攫いに行ったらしくて、気が付けなくて妹の同級生から話を聞いて探しに行ったんです。そしたら、体育館の準備室で。あいつらの騒ぐ声が聞こえて、飛び込んだら。制服なんかも半分破かれて、泣いている妹が居たんです」
 ぐっとこぶしを握り。話を続ける。

「カッと来て、なぜか足もとに金属バットがあって、妹に襲い掛かっていたやつをぶんなぐって。その後、携帯で撮影していたやつをぶんなぐって。最後の奴はナイフを持っていたんですが、そのままぶんなぐって。気が付くとみんな、息してなくて。妹に俺のシャツを着せて、先生を呼びに行かせて。その間に、撮影していた携帯を壊して、落ちていたナイフで、自分の首を切りました」

 彼は、泣きながら。
「でも。気が付けば雲の上で、変な建物の前に派手な女の人が居て。お前たちは死んだから、自由に使う。魔法も使えるから、バイバイって。それで、こっちへ来て。気が付いた後。なぜか、目の前にいた、あいつらに殴られて、必死で逃げました。山の中を逃げ回っていたんですが、さっき、あの変な動物から助けてもらって、ここへ来ました」


「要所要所が、不自然だ。絶対女神が介入しているな」
 ついボソッと、言ってしまった。隣にいた長尾さんが
「やっぱり。君もそう思うかい? 実は、俺の時もおかしかったんだ」

「彼の話も。都合よく、話が双方向で当事者に漏れるし、都合良く足元に金属バットが転がっているっていうのも、ありえないでしょ」

 すると、永峰くんが、気がついたようだ。
「そういえば、あいつらは? 皆さんに、迷惑をかけるかもしれません」
 そう叫んだ。

 だが、村長が。
「ああ確かに、迷惑を掛けられて、私も殴られた。だが、彼らは、もういない。彼らは、死んでしまったから、安心していい」
「奴らが来たんですか。えっ、死んだ?」

 仕方がないから、俺が言葉を紡ぐ。
「ああ。村長に暴行していたから、殴ったら、死んでしまった」

 永峰くんは、目を見開いて驚いたが、すぐに力が抜けたようになり。その場へ、へたり込んだ。

「さてと。中学3年なら、家事も怪しいもんだな。きみ、料理とかできるかい?」
「授業でちょっと習ったくらいで、できません」
 村長が悩んでいる。そうだよな。しばらくは、目が多いほうが、よさそうな気がするな。
 でもうちは、女性が4人だ。どうするかな?

「俺が見ましょう」
 長尾さんが、手を挙げた。

「俺は一人で一軒使っていますから、人が増えても大丈夫です」
 そう、言ってくれた。

 その後村長に、西の山を越えたところに結構な平野があることと、探査隊の痕跡はなかった事。温泉も見当たらなかったことを説明する。

 すると、何日か前に。大きな音と地鳴りがしたことを聞かれ説明をする。
 川があり、その中腹が崩落したことを教える。

 途中まで道を作って、川に橋をかけたことを説明しておく。

「佐藤くん。列車に期待しておくよ」
 微笑みながら、お願いされる。やっぱり必要だよな。
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