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良くある男と女
第1話 夢を追いかける、駄目な奴。
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私が、裕之と出会ったのは大学の時。
確か二年の時。
選択授業で、単位の足りない者達が集う授業。
そこで彼は、授業中に必死でPCに向かって、何か文字を打ち込んでいた。
階段教室で、斜め後ろ。
悪いが、私の位置から、PCの中身が丸見えだった。
うーん。内容は、ラブコメかな。
その反応は、女の子としてどうなのかしら?
あーリアルの関係じゃなく。物語。
きっと、この人の理想を書いているんだ。
だと言うことは、世の男の人。根本的に女の子について、お母さんを見ているのかしら?
無償の愛? はんっ。
つい、鼻で笑ってしまった。
タイミング良く授業も終わる。
その瞬間に、何か思いついたようで、いきなり振り返る。
あら、以外と顔は、あっさり系で好み。
開口一番、彼は聞いてくる。
「めし。あっ、ファミレスくらいならおごるから、ノート見せて。俺、これは落とせないんだ」
そう言って、必死な顔。
見ず知らずの、男の人にノートを見せる? 恥ずかしいもの、いやよ。
皆そんな反応。
私は、文章を読ませて貰った手前? いや少し興味が湧いた。
「汚さないなら、見せてあげる」
そう言ってノートを彼に向ける。
「私は、井内 玲(いうち れい)」
「あっ。ぼっぼくは井上 裕之(いのうえ ひろゆき)」
「よろしくね」
そう言ってスマホを出す。
「えっ、番号?」
「番号じゃなくて、通信アプリ。連絡取れないと困るもの」
番号だと、簡単に変えられないけれど、通信アプリならブロックをして削除すれば良い。
「コピーしたら、連絡をください。じゃ」
その日は、それで終わった。
帰って、彼の書いていたペンネームを元に、検索をする。
意外と有名みたいで、星が沢山ついているようだ。
「やっぱり人気があるのね。だとすると、やはり世の男性は、幻想を抱きすぎ。だから実際に恋愛をすると、長続きをしないんだ」
そう、彼とはそんな始まりだった。
彼は今、現在進行形で私の脚にしがみつき、泣きじゃくっている。
あれから四年。
学校を卒業をして、勤めだした会社も相性が悪いと言って、いきなりやめる。
ワナビ? よく分からないけれど、小説家の卵だ。デビューを目指すんだと本人は言っているが、バイトもサボり気味で私の部屋へ転がり込んできた。
なれもあって、真面目そうだった口調も、いつしか命令形となり。
部屋にいるときは、動きもしない。
今現在、私の安い給料で養っている状態。
疲れて帰っても、「めし」。
洗濯物も、脱ぎっぱなし。
浴槽も、お湯さえ抜かれていない。
うちのお母さんは、お父さんは何も出来ないから、安心とは言っていたけれど、今の時代駄目でしょと思う。
友達とのお喋りの中で、彼氏が料理が上手で困っちゃうと言って、自分のお腹をつまみながら、その友人は幸せそうな顔をする。
さすがに、洗濯物は恥ずかしいけれど、それ以外はしてくれても良いじゃ無い。
ずっと家にいるのだから。
そんなこんなで喧嘩となり、「わかれましょ」と言った結果が、今の状態。
「お前に捨てられたら、俺は生きていけない」
そう言って、すがりつく。
「なら動きなさいよ」
「でも俺には夢がある。うまく行けばお前にも。生活は変わるんだ」
「いつなの?」
「えっ」
「うまく行くのは、いつなの?」
「わからんが、もう少し」
そう言ったまま彼は黙り込む。
その後いくつか応募したようだが、箸にも棒にもかからなかったようだ。
やがて諦めたのか、派遣の登録をして細々と暮らしながら、ぼつぼつと応募はしているようだ。
出会って十年が過ぎ、もう三十歳を越えてしまった。
親から、いい加減結婚しなさいと言われ、友人の結婚式も下火になった頃、一つの出版オファーが来たようで、彼は有頂天。
あっさりと、私を捨て姿を消した。
一年後、電話が掛かってくる。
「もしもし俺だ。元気か?」
今更なに? 当然私はそう思う。
返事をせずにいると、彼は少し無言になり、やがて言った言葉がこれだ。
「また一緒に暮らさないか?」
「はっ? 何言っているの? あっさり私を捨てたよね。人のこと不細工だ何だと言って」
「いやあれは、言葉の勢いというか。その」
「もう私、付き合っている人がいるの。じゃあね」
そう言って電話を切る。
当然、そんな人は居ない。
だけど、彼が出ていって、私は、一体なにだったのと絶望し。
ただ生活のために、仕事に向かった日々。
この一年は地獄と虚無。
やっと気持ちが落ち着いたらこれだ。
「彼に言ったように、男を見つける? また外れだったときが怖いわ」
そう。私はすっかり臆病になってしまった。一人で暮らす気楽さ。
自分ですべてをしないといけないので、それは面倒だが、それは二人でも一緒。
最近、ストレス解消にカラオケに行くが、変な才能があったらしく高得点が取れる。
友人達が気を使って誘ってくれて、彼女達のしゃべる旦那の愚痴を酒の肴にやっぱり男は要らないと実感をする。
でだ、店から出るといるんだよ。
「なに、ストーカー?」
「あーいや。お前のことが心配で」
今更? 一年も経ったんですけど。
すると、周りの子達も騒ぎ出す。
「警察を呼ぼう」
「あっいや。顔を見て安心をしたから。それじゃあ」
そう言って彼は逃げていく。
「信じられない。玲。引っ越しをした方が良いわよ」
「そうね」
確か二年の時。
選択授業で、単位の足りない者達が集う授業。
そこで彼は、授業中に必死でPCに向かって、何か文字を打ち込んでいた。
階段教室で、斜め後ろ。
悪いが、私の位置から、PCの中身が丸見えだった。
うーん。内容は、ラブコメかな。
その反応は、女の子としてどうなのかしら?
あーリアルの関係じゃなく。物語。
きっと、この人の理想を書いているんだ。
だと言うことは、世の男の人。根本的に女の子について、お母さんを見ているのかしら?
無償の愛? はんっ。
つい、鼻で笑ってしまった。
タイミング良く授業も終わる。
その瞬間に、何か思いついたようで、いきなり振り返る。
あら、以外と顔は、あっさり系で好み。
開口一番、彼は聞いてくる。
「めし。あっ、ファミレスくらいならおごるから、ノート見せて。俺、これは落とせないんだ」
そう言って、必死な顔。
見ず知らずの、男の人にノートを見せる? 恥ずかしいもの、いやよ。
皆そんな反応。
私は、文章を読ませて貰った手前? いや少し興味が湧いた。
「汚さないなら、見せてあげる」
そう言ってノートを彼に向ける。
「私は、井内 玲(いうち れい)」
「あっ。ぼっぼくは井上 裕之(いのうえ ひろゆき)」
「よろしくね」
そう言ってスマホを出す。
「えっ、番号?」
「番号じゃなくて、通信アプリ。連絡取れないと困るもの」
番号だと、簡単に変えられないけれど、通信アプリならブロックをして削除すれば良い。
「コピーしたら、連絡をください。じゃ」
その日は、それで終わった。
帰って、彼の書いていたペンネームを元に、検索をする。
意外と有名みたいで、星が沢山ついているようだ。
「やっぱり人気があるのね。だとすると、やはり世の男性は、幻想を抱きすぎ。だから実際に恋愛をすると、長続きをしないんだ」
そう、彼とはそんな始まりだった。
彼は今、現在進行形で私の脚にしがみつき、泣きじゃくっている。
あれから四年。
学校を卒業をして、勤めだした会社も相性が悪いと言って、いきなりやめる。
ワナビ? よく分からないけれど、小説家の卵だ。デビューを目指すんだと本人は言っているが、バイトもサボり気味で私の部屋へ転がり込んできた。
なれもあって、真面目そうだった口調も、いつしか命令形となり。
部屋にいるときは、動きもしない。
今現在、私の安い給料で養っている状態。
疲れて帰っても、「めし」。
洗濯物も、脱ぎっぱなし。
浴槽も、お湯さえ抜かれていない。
うちのお母さんは、お父さんは何も出来ないから、安心とは言っていたけれど、今の時代駄目でしょと思う。
友達とのお喋りの中で、彼氏が料理が上手で困っちゃうと言って、自分のお腹をつまみながら、その友人は幸せそうな顔をする。
さすがに、洗濯物は恥ずかしいけれど、それ以外はしてくれても良いじゃ無い。
ずっと家にいるのだから。
そんなこんなで喧嘩となり、「わかれましょ」と言った結果が、今の状態。
「お前に捨てられたら、俺は生きていけない」
そう言って、すがりつく。
「なら動きなさいよ」
「でも俺には夢がある。うまく行けばお前にも。生活は変わるんだ」
「いつなの?」
「えっ」
「うまく行くのは、いつなの?」
「わからんが、もう少し」
そう言ったまま彼は黙り込む。
その後いくつか応募したようだが、箸にも棒にもかからなかったようだ。
やがて諦めたのか、派遣の登録をして細々と暮らしながら、ぼつぼつと応募はしているようだ。
出会って十年が過ぎ、もう三十歳を越えてしまった。
親から、いい加減結婚しなさいと言われ、友人の結婚式も下火になった頃、一つの出版オファーが来たようで、彼は有頂天。
あっさりと、私を捨て姿を消した。
一年後、電話が掛かってくる。
「もしもし俺だ。元気か?」
今更なに? 当然私はそう思う。
返事をせずにいると、彼は少し無言になり、やがて言った言葉がこれだ。
「また一緒に暮らさないか?」
「はっ? 何言っているの? あっさり私を捨てたよね。人のこと不細工だ何だと言って」
「いやあれは、言葉の勢いというか。その」
「もう私、付き合っている人がいるの。じゃあね」
そう言って電話を切る。
当然、そんな人は居ない。
だけど、彼が出ていって、私は、一体なにだったのと絶望し。
ただ生活のために、仕事に向かった日々。
この一年は地獄と虚無。
やっと気持ちが落ち着いたらこれだ。
「彼に言ったように、男を見つける? また外れだったときが怖いわ」
そう。私はすっかり臆病になってしまった。一人で暮らす気楽さ。
自分ですべてをしないといけないので、それは面倒だが、それは二人でも一緒。
最近、ストレス解消にカラオケに行くが、変な才能があったらしく高得点が取れる。
友人達が気を使って誘ってくれて、彼女達のしゃべる旦那の愚痴を酒の肴にやっぱり男は要らないと実感をする。
でだ、店から出るといるんだよ。
「なに、ストーカー?」
「あーいや。お前のことが心配で」
今更? 一年も経ったんですけど。
すると、周りの子達も騒ぎ出す。
「警察を呼ぼう」
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