泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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人の縁とは不思議なもの

第5話 罰

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「その、高橋 京哉たかはし きょうやという人も調べてみるか」
「ええ。あの溺死は…… おっと。いやありがとう。できればその日記を預かりたいのだがいいかね」
「はあ」


 警察が、調べ初めてすぐに情報が集まる。
「高橋 京哉。一度結婚後離婚。妻の親族経営だった会社を退社。自信で起業をして、リサイクル系と古物でそこそこ上手く行っていたようだが、最近潰したんだな」
「そうですね。地面師ですかね。建物を造れない土地を高値で購入。その後盗品を扱っているのがバレて会社が潰れたと。これ恨みでも買ってはめられましたね」
「ああタイミングが良すぎる…… おいこれ」

 またも調査書類に見たことのある名前。
「お嬢ちゃんの母親ですね」
「ああ。内縁の妻状態だが、突き落としたときにいた男というのは高橋か?」

「それと、斉藤 広樹さいとう ひろき。こいつ高橋が潰した会社と関わりがあって不渡りですね。古物絡みですかね。どうもやばいところから借りていて、詰められていたようです」
「あーなんだ。全部身内の問題か?」
「ええまぁ。あの彼。田中家の本家みたいですよ」
「えっ? 大地主じゃないか。あちゃぁ」

 そう。憲雄はマンションだけではなく多くの土地と建物を相続をして、相続税の工面で最近まで泣いていた。

 最近法律が変わって、土地の名義も速やかに変更をしないと罰金が来るのだ。だが筆の変更にかなりの金額が必要である。


 警察は速やかに京哉達を捕まえに行った。
 平行で斉藤の事も調べていて、憲雄のお母さんである由美子に付きまとっていたことを知る。
 ただ突き落とした証拠はなく、事件現場から逃走をしていた姿は近所の防犯カメラに写っていた。
 被疑者はすでに死亡……

 でまあ、京哉達に関しては、あわてた感じで動いた様だ。
 で、捕まえてみれば、よくある保険金が目当て。
 彼等は、幸せを掴んだが、親はどいつもこいつも最悪だったようだ。

 そして、そう。
 導希のお父さん。
 菩薩のような顔をしながら、命が短いと知ったときに、彼等に復讐を行った。

 あの地面師のような事件。
 裏で糸を引いて、すべてを終わらせた怖い人だった。
 無論。警察には知られていない。

 導希が真面目にアパートを引き払い、引っ越し荷物をまとめていたときに小さなノートパソコンが出てきた。

「あれ? こんなパソコン見たことが…… あるわ。病室で本を読むのに使っていた奴」
「結構新しいな」
 意外と機械に明るかったようで、ローカルアカウントで、自動ログインを設定していた。

 でだ、導希がよく分からないというので、見ていたらCドライブの直下に、不可視にしてお掃除プランというフォルダーがあった。

 そこには、各関係者の名前は伏せられていたが、計画に関する綿密な設計図が書かれていた。

「これはあれだな。お父さんかなりお怒りだったようだな」
「そうね。どこまでも優しい人だったのに」
「賢い人ほど優しくて穏やかなんだよ。怒ると怖いみたいだけれど」
「そうね」
 そう答えながら、何でもできて、心穏やかな人が、今横に居ることに私は気がつく。

 あれから、少し我が儘になってしまった自分。

 彼の財産を知って、退職願を出してしまった自分。
 そっと報告をする。

「あのね。仕事を辞めたの」
「やめた? 事件は片がついたし、もう大丈夫だろ」
「それがさあ、上司がひどいの。足のヒビだって私が好きでなったわけじゃないのにさ……」
 そう言いながら、彼にじゃれつく私。


「お父さんのおかげで、ステキな人と一緒になれました」
 お父さんのお墓にお参りをする。

 少し離れたところでは彼が大きなお墓を掃除しているが、彼はお母さんのことについて、少し見方が変わったようだ。
 普通ではなく、かなり破天荒な人だった。
 そして日記が本当ならば、私を殺そうとした人が自分の父親。
 その事について謝ってくれたのだが、その事については私は何ともいえなかった。

「今回、事件のおかげであなたと知りあって、私は嬉しいの。それで良いじゃない。子どもにはきちんと教育をしましょう」
 そう言ってお腹をさすったら驚かれた。
「できたのか?」
「えっまだ」
「だけど、そのお腹」
 そう言われて引きつる私。

「ストレスから解放されたし、そのせいかなぁ?」
 つつっと冷たい汗が流れる。
 仕事を辞めて、足も痛かったし食っちゃ寝状態が……

「ちょっとダイエットをする」
「できるのか?」
 彼からたまにやって来る冷たい目。

「うー。エッチするとダイエットになるわ。頑張ろう」
 彼には言えないけれど、最近良くなってきて楽しいし。
「おまえなあ」





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お読みくださりありがとうございます。
もっと事件の方に焦点を当てた、ミステリー的な物を書きたかったのですが意外と難しいですね。
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