異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり

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第四章 経済共和制の国

第52話 ここでも、ふざけたことが

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 火のダンジョン。
 情報の通り、溶岩が流れていて暑い、いや熱い。
「さすがに暑いですね」
 そう言いながら、何故か二人とも俺に張り付いている。

「さて、暑いからと言って、水を掛けると、水が一気に沸騰して気化し周辺が高温になる。これはとても危険だ。だから、全体的に温度を下げる」
 そう宣言をして、魔法を使い。温度を下げる。
 冷却系って、なにげに使いやすい魔法だな。

 周囲で揺らいでいた陽炎などが収まり、どんどん赤かった岩肌が黒ずんでくる。
 岩に張り付いていた、火トカゲなどが、はがれて落ち始める。

 周囲で飛んでいた、人魂のような物もモンスターだったようだ。どんどん消えていく。
 一メートルほどの、ドラゴンぽい物も、墜落を始める。

 流れる溶岩の表面も、色が変わってきた頃、中から出てこようとしていたゴーレムやワームなども出てきた瞬間に、そのまま変色をして動きが止まり、崩れ始める。

 ある程度、冷えた所で水を出し、さらに効率的に温度を下げる。
「もう、大丈夫かな?」
「はい、涼しくなりました」
 道があるため、それに沿って、歩いて行く。

 その背後を、こそこそと、一人のハンターが後をつけていく。
 今朝、ギルドに顔を出し、良い依頼が無いかと探していたら、カウンターの奥から出てきたヴェロニクと目が合った。とっさにそらしたが、ときすでに遅く、気がつけば彼女は隣に居た。

「仕事探しだろう。良いのがある」
「良いの?」
「ああ。三段目の火のダンジョンへ行って、今攻略中のハンターが何をしているのか見てきて欲しい。お前さん目も耳も鼻も良いだろ」
「そりゃ、そうだけどよ。見るだけなのか?」
「ああ、それでいい。報告に金貨一枚出してやる」
「本当か。やる」
 銀級ハンター、ミレーヌは、狼系だが、少しおっちょこちょいで、この前も剣を刃こぼれさせてしまい。研ぎに出したばかり。以外と金が掛かり、現在金欠だった。

 ヴェロニクの浮かべていた、少しかわいそうな目を見ずに、受けてしまい、火のダンジョンへひた走る。

 ミレーヌがこれから見るだろう、少し非常識な出来事で、精神的なショックを受けることは分かっていた。ヴェロニクはそこに思い当たったが、銀級ハンターを一人潰しても、その情報は欲しい。

 珍しく、協会の玄関まで出て、走って行くミレーヌの背中を眺める。

 火のダンジョン近くで、目の前を歩くハンターに追いつく。あれが、担当のハンターだろう。
 亜人じゃないか。雄と雌二匹。何を見ろって言うんだ? ああそうか、ずるをしないように見張れば良いのか。ヴェロニクも大変だなあ。
 勘違いと思い込みで、ついヴェロニクを擁護する。
 

 ダンジョンへ入り、通路出口でとどまったまま、何かをしゃべっている。
 まさか暑いから、何もせずに帰るのか?

 すると、周囲の気温が下がり始め、赤かった世界が暗くなり始める。
 何だ? 何が起こっている?

 やがてすっかり薄暗くなると、ダンジョン内に雨が降り始める。
 やがて温度は、肌寒い所まで下がる。
 まさかそんな。魔法なのか?
 ダンジョン内のフロア全体を? そんな馬鹿な。
 だが実際、気温は適温まで下がった。

 歩き出した三人を追いかけ、ダンジョン内へ足を踏み入れれば、モンスターたちが死んでいる。普通は、倒せば消えるが、冷えて固まり。変質したせいか消えずに残っている。

 こんな事って。
 自分たちの、普段やっている苦労は何なのか?
 暑い中苦労して、飛んでくるモンスターを切り伏せ、ときに空振って剣の刃を欠けさせ苦労しているのに。

 いまは、火のダンジョンと思えない、岩だらけの適温の道を歩くのみ。

 やがて、下への階段。
 戦闘などは、一度もやっていない。

 追いかけて、階段を下るとまた、立ち止まっていた。

 そして、また歩き始める。

 それを繰り返し、地下五階層。
 このダンジョンは若いため。此処が、最下層のようだ。

 あっさりとクリスタルを手に取り、それが消える。
 よく見ると、脇にある彫刻は五メートルはあるサラマンダー。

 そして、ヒト型の何かが現れる、燃える炎のようだが、亜人の男はそれを抱きしめる。
 少しすると、その何かは離れ、礼をして消えていった。

 こちらへ向き直り、帰りだしたので、あわてて脇道に隠れる。

 その帰り道、本来は流れる溶岩の脇へ、彼らは降りていき姿を見失う。
「しまった。見失った」
 探すが見当たらない。

「しまったな。まあ良い。出口は一つ。先回りをしよう」
 そう言って、ミレーヌは走っていく。

「行ったな」
「何者でしょう?」
「ギルドのお目付だろう」
「なるほど、探査の速さが異常ですからね」
 崖下の窪地に隠れ、土魔法で壁を作って隠れていた。
 ギルドのお目付が居なくなって、ふと見ると丁度良さそうな窪地。

 魔法を使い、お湯を溜めてみると良い感じ。
 そう、ずっと風呂には入れず。モヤモヤしていた。
 最後入ったのは、チトセに居たとき。
「風呂に入ろう」
 普段は躊躇するが、気にせず服を脱ぎ、魔法でかけ湯をして中へ浸かる。

「あ゛あ゛っ。これだよ。これ」
 それを見て、いそいそと二人も服を脱ぎ、かけ湯を催促してくる。
 魔法で、滝のようなお湯を出す。
 そして、そっと入ってくる。

「温かいお湯に浸かるのは、気持ちの良いものですね」
「シルヴィたちは、入ったことが無いのか?」
「ありません」
「それは随分損をしたな。気持ち良いだろう」
「そうですね」

 それから、色々堪能して、三人はさらに仲良くなった。
 結局、一時間以上経って、外へ出る。
 一瞬、狼系のハンターがこっちへ来そうになりながら、ピタッと止まり、逃げていった。

 ミレーヌは一瞬。出てきた三人に、遅いじゃないかと文句を言いそうになった。
 今回は、途中で気がつき、踏みとどまったが。早く帰って報告をしなければ。そう思い、ミレーヌは急ぎギルドへ帰って、ヴェロニクを呼び出す。

「ミレーヌ。何を見た?」
 応接室に通された、ミレーヌは水を飲んでいて、いきなり横で聞こえた声に驚きむせ込む。

「あれは、非常識だ。何だあいつらは?」
 何とか答える。

「非常識なのは知っている。それはいい。聞いているのはこちらだ」
 ヴェロニクの声が低くなる。
「すまない」
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