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第四章 経済共和制の国
第58話 開放
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宿へ帰り、宿泊はいつものことだが、お願いをする。
「すまないが、野菜とかを、売ってくれないか?」
「どうしたんだい?」
「ここじゃ、野菜一つに金貨が必要そうでね」
そう言うと、簡単に納得してくれた。
「明日仕入れに行くときに、多めに買ってくるよ。何がいるんだい?」
「塩漬けとかにしても大丈夫そうな葉物野菜とか、焼くだけで食べられそうな根菜があれば嬉しい。日持ちがするものを頼みます」
そう言って、金貨を渡す。
「余ったら、お礼ということで」
「馬鹿だね、野菜でこんなに買ったら大騒ぎになっちまうよ」
「ですから、僕たちに便宜を図ってくれたお礼です」
「あーうん。そんなつもりは無かったんだが、他に何か必要な物は無いかい?」
「では小分けできるように、袋があれば嬉しいですね」
「分かったよ。ただまあ、袋もいきなりだと何枚買えるか分からないよ」
「ええ結構です」
翌日はギルドへ行き、ヴェロニクを呼び出す。
随分疲れた感じで、部屋へ入ってきた。
「今日はどうした?」
「知らせておこうかと思って」
「何をだ? まさか出ていくのか?」
「それはもう少し後。ダンジョンに入ったのだが、構造からすると多分シンクホールと呼ばれる浸食による穴だと思う」
「何だそれは?」
ヴェロニクの疲れていた顔が、さらに疲れた感じになる。
「あの穴は、自然現象だと思う」
「なに? 呪いではないのか?」
「ダンジョン化しているから、呪いもあるのかもな」
お茶を、一口のみ聞いてくる。
「それで、何が言いたい?」
「すぐにどうこうはないが、住宅が建っているところまで、一気に崩落。つまり崩れるかもしれないという事だ」
「なんだと、どうしてだ?」
ちょっと小馬鹿にした雰囲気だな。
「雨の時とかの水の流れで、浸食されている」
「浸食とは何だ?」
「水の流れで、土が削られること。それと階下に繋がっている部分は、縦坑が塞がっているだけだ。大雨とか降ったら、上から下まで抜ける可能性がある。下に人がいたら危険だな」
「どうしろと?」
「天井に補強くらいかな?」
「ふうむ。だが、今までは平気だったぞ」
そう言って、ソファーにもたれかかり腕組みをする。
「それが、今後も続けば良いな。言いたいことは言った、後は地図を在るだけくれ」
「全部か?」
「ああ。料金はこっちから引いてくれ」
商業ギルドのカードを渡す。
少しするとヴェロニクは、地図を抱えてきた。
「本当に良いのか?」
「ああ」
「二層から四層は、前に言ったように倍々だが、五層は一本銀貨二百枚で、六層は五百枚もするぞ」
「いいさ」
地図を分けながら、説明をしてくる。
「二層と三層が六本、四層五本、五層が三本、六層は一本だ」
「何階あるかは、知らないのだよな」
「知らん」
「分かった、買おう」
「お前の持っているのは王国の貨幣だからな。えーと大金貨ではなく王金貨五枚と金貨一枚、銀貨九十三枚と銅貨十枚だな。ちょっと待ってろ」
そう言って、部屋を出て行く。
そして、帰ってくると、あわあわしている。
「あれだけ出したのに、残りが増えている。お前何者だぁ」
「ハンターです。それじゃあ」
カードを奪い取り、そう言って部屋を出る。
その晩、野菜なども受け取り、少しゆっくりした後。外へ出る。
もう宿の食堂も終わっているので、周囲はしずかだ。
作っておいた縄ばしごで、窓から出る。
縄ばしごは、屋根の上へ、投げておいて。
こそこそと、ダンジョンへ向かう。
いや、住宅地へ向かう。
穴の上に掛かった橋を持ち上げて、縄ばしごを下ろす。
ハンドサインで伝え、下へ降りる。
例の横穴へ入り、壁を崩す。
様子をうかがうが、見張りの一人もいない。
出入りをしていた、天井からの階段を土魔法で塞ぐ。
そして、ガッチガチに石化をする。
牢を壊し、静にさせながら順に脱出させていく。
ところがだ、その中に奴がいて叫ぶわけだ。
「テレザぁ。ぐふっ」
速攻で黙らせる。
「こいつどうしようか? そのままだと、俺達のことがばれそうだな」
「原初の呪いへ放り込みます?」
テレザが怖い。
「いや縛り上げて、連れて行こう。見られた以上、俺達も出発をしないと駄目かもしれないが」
そう言っていると、亜人の中から返事が聞こえる。
「僕たちが、なんとかします」
「おっ、ありがとう。じゃあ任せた」
彼らは、ハンター仲間なのだろうか? 縛り上げたタキドゥを担いでいく。
皆を縄ばしごを上がらせて、町の外まで送っていく。
袋に小分けした野菜と、燻製の魚と肉を持たせて、チトセまでの道を教える。
見送った後、速やかに宿へ戻る。こそこそと。
「これにて一件落着だな。疲れたよ」
「お疲れ様です」
そう言って、三人で仲良く寝る。
翌日、少し騒がしい出店の前を抜け、ダンジョンへ入る。
地図を見比べながら、どんどんと進む。
モンスターは、大したことがない。酔っ払ったようなゴブリンが出るくらい。
休憩をしながら、どんどん進む。
残念ながら、今進んでいるダンジョンは、五層までの地図しかなかったが、奥へ進み、他と違うガレ場、つまり大きめの石がゴロゴロしている場所を探す。
「此処だな」
そう言って、場所を確認すると、軽く魔法を撃ち込む。
塞がっていた所が抜け、ぽっかりと穴が開く。
くるりと、穴のふちに沿って螺旋階段を作りながら、下へ降りていく。
どんどんと、階段を作りながら降りていき、塞がれば魔法で撃ち抜く。
下へ、到着したようで、地下水脈が穴の向こうにある。
ここから下には、壁がなく足下は空洞。水脈の天井部分。
「さて、どうしよう?」
「少し上に、横道がありました」
「じゃあ、そこから行こうか」
そして、放水口だったのか、かなり広い横穴を抜け、暗い穴の底へ立つ。
「空が青いな」
つい上を見て、目をそらしたとき、反対側に立つ不気味な黒い影が出てきたようだ。
「主様、あそこ」
テレザが発した、その声を聞いた瞬間。強力な魔法が俺達を襲った。
「すまないが、野菜とかを、売ってくれないか?」
「どうしたんだい?」
「ここじゃ、野菜一つに金貨が必要そうでね」
そう言うと、簡単に納得してくれた。
「明日仕入れに行くときに、多めに買ってくるよ。何がいるんだい?」
「塩漬けとかにしても大丈夫そうな葉物野菜とか、焼くだけで食べられそうな根菜があれば嬉しい。日持ちがするものを頼みます」
そう言って、金貨を渡す。
「余ったら、お礼ということで」
「馬鹿だね、野菜でこんなに買ったら大騒ぎになっちまうよ」
「ですから、僕たちに便宜を図ってくれたお礼です」
「あーうん。そんなつもりは無かったんだが、他に何か必要な物は無いかい?」
「では小分けできるように、袋があれば嬉しいですね」
「分かったよ。ただまあ、袋もいきなりだと何枚買えるか分からないよ」
「ええ結構です」
翌日はギルドへ行き、ヴェロニクを呼び出す。
随分疲れた感じで、部屋へ入ってきた。
「今日はどうした?」
「知らせておこうかと思って」
「何をだ? まさか出ていくのか?」
「それはもう少し後。ダンジョンに入ったのだが、構造からすると多分シンクホールと呼ばれる浸食による穴だと思う」
「何だそれは?」
ヴェロニクの疲れていた顔が、さらに疲れた感じになる。
「あの穴は、自然現象だと思う」
「なに? 呪いではないのか?」
「ダンジョン化しているから、呪いもあるのかもな」
お茶を、一口のみ聞いてくる。
「それで、何が言いたい?」
「すぐにどうこうはないが、住宅が建っているところまで、一気に崩落。つまり崩れるかもしれないという事だ」
「なんだと、どうしてだ?」
ちょっと小馬鹿にした雰囲気だな。
「雨の時とかの水の流れで、浸食されている」
「浸食とは何だ?」
「水の流れで、土が削られること。それと階下に繋がっている部分は、縦坑が塞がっているだけだ。大雨とか降ったら、上から下まで抜ける可能性がある。下に人がいたら危険だな」
「どうしろと?」
「天井に補強くらいかな?」
「ふうむ。だが、今までは平気だったぞ」
そう言って、ソファーにもたれかかり腕組みをする。
「それが、今後も続けば良いな。言いたいことは言った、後は地図を在るだけくれ」
「全部か?」
「ああ。料金はこっちから引いてくれ」
商業ギルドのカードを渡す。
少しするとヴェロニクは、地図を抱えてきた。
「本当に良いのか?」
「ああ」
「二層から四層は、前に言ったように倍々だが、五層は一本銀貨二百枚で、六層は五百枚もするぞ」
「いいさ」
地図を分けながら、説明をしてくる。
「二層と三層が六本、四層五本、五層が三本、六層は一本だ」
「何階あるかは、知らないのだよな」
「知らん」
「分かった、買おう」
「お前の持っているのは王国の貨幣だからな。えーと大金貨ではなく王金貨五枚と金貨一枚、銀貨九十三枚と銅貨十枚だな。ちょっと待ってろ」
そう言って、部屋を出て行く。
そして、帰ってくると、あわあわしている。
「あれだけ出したのに、残りが増えている。お前何者だぁ」
「ハンターです。それじゃあ」
カードを奪い取り、そう言って部屋を出る。
その晩、野菜なども受け取り、少しゆっくりした後。外へ出る。
もう宿の食堂も終わっているので、周囲はしずかだ。
作っておいた縄ばしごで、窓から出る。
縄ばしごは、屋根の上へ、投げておいて。
こそこそと、ダンジョンへ向かう。
いや、住宅地へ向かう。
穴の上に掛かった橋を持ち上げて、縄ばしごを下ろす。
ハンドサインで伝え、下へ降りる。
例の横穴へ入り、壁を崩す。
様子をうかがうが、見張りの一人もいない。
出入りをしていた、天井からの階段を土魔法で塞ぐ。
そして、ガッチガチに石化をする。
牢を壊し、静にさせながら順に脱出させていく。
ところがだ、その中に奴がいて叫ぶわけだ。
「テレザぁ。ぐふっ」
速攻で黙らせる。
「こいつどうしようか? そのままだと、俺達のことがばれそうだな」
「原初の呪いへ放り込みます?」
テレザが怖い。
「いや縛り上げて、連れて行こう。見られた以上、俺達も出発をしないと駄目かもしれないが」
そう言っていると、亜人の中から返事が聞こえる。
「僕たちが、なんとかします」
「おっ、ありがとう。じゃあ任せた」
彼らは、ハンター仲間なのだろうか? 縛り上げたタキドゥを担いでいく。
皆を縄ばしごを上がらせて、町の外まで送っていく。
袋に小分けした野菜と、燻製の魚と肉を持たせて、チトセまでの道を教える。
見送った後、速やかに宿へ戻る。こそこそと。
「これにて一件落着だな。疲れたよ」
「お疲れ様です」
そう言って、三人で仲良く寝る。
翌日、少し騒がしい出店の前を抜け、ダンジョンへ入る。
地図を見比べながら、どんどんと進む。
モンスターは、大したことがない。酔っ払ったようなゴブリンが出るくらい。
休憩をしながら、どんどん進む。
残念ながら、今進んでいるダンジョンは、五層までの地図しかなかったが、奥へ進み、他と違うガレ場、つまり大きめの石がゴロゴロしている場所を探す。
「此処だな」
そう言って、場所を確認すると、軽く魔法を撃ち込む。
塞がっていた所が抜け、ぽっかりと穴が開く。
くるりと、穴のふちに沿って螺旋階段を作りながら、下へ降りていく。
どんどんと、階段を作りながら降りていき、塞がれば魔法で撃ち抜く。
下へ、到着したようで、地下水脈が穴の向こうにある。
ここから下には、壁がなく足下は空洞。水脈の天井部分。
「さて、どうしよう?」
「少し上に、横道がありました」
「じゃあ、そこから行こうか」
そして、放水口だったのか、かなり広い横穴を抜け、暗い穴の底へ立つ。
「空が青いな」
つい上を見て、目をそらしたとき、反対側に立つ不気味な黒い影が出てきたようだ。
「主様、あそこ」
テレザが発した、その声を聞いた瞬間。強力な魔法が俺達を襲った。
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