堕ちたαの罪と愛

おはぎのあんこ

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第2章

12.番になれない

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 理斗は哀しそうな顔で聞く。

「イヤ?俺と番つがいなんて…」
「そういうわけじゃないけど、なんで今?ってのはある」
「だよね…」

 しょんぼりした顔をしている理斗に龍我は聞く。
「何があったか俺に話してよ。理斗の力になりたい」

 その言葉に理斗は少し元気を取り戻す。

「夏に俺、制服盗まれたじゃん?その犯人が分かったんだよね。目撃した人がいて、この前教えてくれた…」
「へえ、良かったじゃん」
「で、その犯人と話したんだけど…」

 理斗は少し間を置く。

「なんか俺が好きで、番になりたいって…」
「は?何それ?」
「よく分からない。面識もない人だし、年下だし…」
「年下?」

 
 龍我は、2人が初めて関係を持った日にトイレで会った男子生徒のことを思い出す。

「あー、あいつか」
「え?」
「多分だけど、俺とお前が教室でヤったのを見たヤツだと思う…」

 理斗の頰が赤くなる。

「うん…そうなんだ。そう言ってた。悪いヤツではなさそうなんだけど、なんか変なヤツで…」
「そいつの望みは理斗と番になりたい、ってことだけなのか?」

「そうだと思う。録画とかはしてないし、脅したりはしない、って…でも、なんか気持ち悪いし、あの子と番になんてなりたくない…この際、俺が龍我と番になったら、あの子と離れられるかな、って…」


 そこまで言って、理斗はハッとする。

「ごめん…龍我。番ってそんな軽い気持ちでなるものじゃないよね…」
「いや、俺のことそう思ってくれてたのは嬉しいよ。でも…」


 透き通るように白い理斗のうなじを見ながら龍我は言う。

「俺、まだ理斗と番にはなれないよ。だって、理斗は本当にすごいんだもん…俺は理斗に助けられてばかりで、何も返せてない。そんな俺が理斗を番にして一生縛り付けるなんて、したくない…」

 立ち上がって部屋を出ようとする理斗に龍我も立ち上がる。

「番にはならなくても、この件は俺が解決するから。理斗は心配しないで!」



 翌日の昼休み。
 あの日ぶりに中等部の校舎に入る。

 最上階の一番奥にある教室。
 友達数人と喋っている目的の彼に話しかける。


「高須将大たかすまさとくん…ちょっと話があるんだけど」

 声をかけられた彼は、嬉しそうに笑う。
「うん、俺もあんたと話したかった」
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