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楽しみが積みあがる毎日 5
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リューイは無言のままだ。
ウィリディスは言葉がでない。何度か声をかけようとするもやはりなにも言えなかった。
リューイとフィーディスが出掛けてから少ししてどうやら自分は寝てしまったらしい。
しかも子供達と一緒に。
目を覚まして寝ていたことがわかったその直後に立ち尽くすリューイと目があった。
「やっぱり俺いかないほうがよかったじゃん」
小さくつぶやいたリューイは身を翻して上のフロアに行ってしまう。
失敗した、とウィリディスは頭をかかえた。レックスが先生、と袖を引っ張ってくる。
顔をそちらに向ければシルバともども眉を下げて見つめている。二人はどうやらリューイの言葉を聞いていたらしい。
「ごめんなさい。俺たちも寝ちゃったから」
「リュー兄が帰ってきたら起こせたのに」
「いいや。大丈夫だ。リューイを怒らせてしまったな」
ウィリディスは苦笑した。
二人の頭を交互に撫でてやればクラルスを起こした。
まだ少し眠たそうに眼をこするクラルスはウィリディスの腕の中でもぞもぞと体を動かす。
「すまないな。あまり勉強を教えてやれなかった」
「ううん。大丈夫だよ。先生、リューちゃんと…」
「今日は話せないだろうな。上に戻るといい」
「先生、ごはんどうするの」
「リューイが作ってくれた弁当がある。それでも食べよう」
クラルスはあくびを漏らしているものの自分の足でしっかりと立っていた。レックスが何度も振り向きつつシルバとクラルスとともに上にあがっていく。
クッションを適当に片付ければソファに毛布を置いて座り込んだ。
大きなため息をついていた。ぐるぐると考えが回る。
「どうしたものか…きちんと謝らなければならないな」
だがきっと今行ったところでリューイは顔を合わせてはくれないだろう。
しばらくぼんやりとしていたものの軽く頭を振れば立ち上がって冷蔵庫に向かう。
中から弁当箱を出してはふたを開けて中を見つめた。しっかりと火の通った卵焼きにほうれん草の炒め物、ごはんには鰹節のふりかけがのっている。
数種類の野菜を肉で巻いたものも入っていた。
「頭が上がらないとはこのことだろうか」
耐熱容器であったためにレンジでいれてあたためる。
ついでにお湯を沸かしてインスタントのスープを用意した。
チンッ、と軽い音を立てて温めが終わったことを告げる。それを取り出せば静かな食卓で食べ始めた。食べながら、リューイが作ったものであるはずなのに味気ないことに気づく。
どうしてだろうかと考えて理由に気づけば手が止まった。静かすぎるのだ。
ウィリディスが実家を出てからほぼ十年以上これが当たり前だった。何しろ一人だったから。食事も適当に済ませていた。
それがリューイたちと食事をとるようになってその食事の時間が変化したのだ。レックスとシルバがその日あったことを話してくれ、リューイとフィーディスが行儀悪いとたしなめる。
自分はにぎやかな彼らを目の前で見ては長く経験しなかったものを遅ればせながら経験していたと思う。
「そういえばまともに食事とっていないような…?レナータたちも呆れた顔をしていたが」
『教授、きちんと食事と睡眠をとってください!』
『ていうか教授、ちゃんと家に戻ってるんですか。あの少年たちに心配かけまくってそうだけど』
「そういうことか…」
食事を終えてタッパーとスープのカップを洗った。ウィリディスは着替えとタオルをもって浴室に向かう。
寝たからか少し頭がすっきりとしていた。シャワーを浴びてから体を洗う。浴室に身を沈めれば長く長く息を吐き出した。
濡れた前髪をかきあげれば浴槽の縁に腕を乗せる。目を閉じてしばらく浸かっていれば外でかすかに音がした。
体を起こして浴槽からドアを開ける。ドアに手をかけようとしていたリューイが立っていた。
「どうした、リューイ。食事は」
「とった」
「風呂は」
「フィーディスがほかの子と入ってる」
「何をしに来た?」
「ウィルがあまりにも静かだから様子を見に来たに決まってんだろ!」
リューイの叫びが浴室に響き渡る。物音がしたときからなんとなく予想していた答えにウィリディスは笑っていた。
リューイはなぜ笑われているのか理解はできない。ほほを膨らませてそっぽを向いてしまう。倒れるならば倒れてしまえばいいとすら思っていた。
だが、リューイ、と名前を呼ばれればそちらについ顔を向けてしまう。
湯煙の中、濡れた肌を見せたままのウィリディスはリューイに瞳を向けている。
「まだ風呂に入っていないなら背中を流してくれないか」
「もうそこにいるってことは体も洗っただろ。必要ないじゃん」
「そんなことを言わずに」
「いやだって言ったら」
「言われてしまったら仕方がないからこのままここで倒れる」
強く拒否などできるわけがないと思っていたからこその言葉だった。リューイはしばらく言葉を探すかのように視線をさまよわせた挙句大きなため息をついた。
ドアを勢いよく閉めてそれから服を脱ぐ。タオルは余分にウィリディスが持ってきたらしい。
自分の分の着替えはないがタオルを巻いて上のフロアに上がれば十分だろうと判断する。
「ウィル、さっさと出てきて。洗うから」
「あぁ」
ドアを開けて浴室内に入ればウィリディスは嬉しそうに笑う。毒気を抜かれてリューイは少し戸惑った。
自分の前に座り背中を向けるウィリディス、リューイはボディソープを手に出せば泡立てて背中へと手を滑らせた。しばらくリューイが体を洗う音と時折シャワーから落ちる水滴の音しかしない。
首筋から背中までを洗い終えると再度ボディソープを手に出して後ろから抱き着くように体をつけウィリディスの胸元へと手を滑らせた。
「ここまでしてくれるのか?」
「嫌ならいいけど」
ウィリディスの耳元で拗ねた声がする。
体を滑る手を見つめてからウィリディスは少し顔を回した。すぐそばにリューイの顔がある。
「リューイ」
「う、動くなよ、ウィル」
「いやだ」
「いやだって……んっ?!」
リューイの腕をつかみ腰を少し動かしてリューイに口づける。リューイは目を丸くし体を放そうとするもののウィリディスはそれを許さなかった。
無理やり唇を割って舌を入れればリューイは掴まれていない手でウィリディスの体をたたく。それをものともせずにリューイの舌を引きずり出して絡めた。叩いていた手から力がなくなりウィリディスが唇を放した時にはリューイはのぼせたような状態になっていた。
「すまない」
「…なに、が」
「このひと月、お前や、子供たちに心配をかけた」
「レックスたちにそう言えって言われた?」
「違う」
リューイは唇を尖らせてウィリディスを見上げる。
文句を言いたそうであった。どんな文句でもウィリディスは聞くつもりでいた。
「ウィルが…何のために研究しているのか知ってるから、止められなかった。朝も夜も、ほとんどここに戻ってこなくてごはんとか、寝るのとかどうしてるんだろうって思って。起きて待ってようと思ったんだ。でも、止めるな、って言われるのも怖かった」
ウィリディスから視線を落としたリューイはそう告げた。
もしかしたらリューイはリューイなりにたくさん考えて、ウィリディスのために自分が気づかないところで何かいろいろとしてくれていたのかもしれない。
遅く戻ってきてベッドまで行けずソファで寝た日もあったが朝方起きるときには体に毛布がかかっていたときもあった。脱ぎ捨てたはずのジャケットがハンガーにかけられていたこともあった。
止められなかったというリューイは彼なりにウィリディスを支えていたらしい。
「時折俺に毛布をかけたり、脱いだ服を整えていたな?」
「風邪ひいたら研究所行けないでしょ」
「あぁ…」
「ウィルは…大事な人のために、大切な研究をしているんでしょう?だったら自分をもっと大事にして。もしウィルが病気になったらどうするの?それで死んだら?研究所の人だけじゃない、クロエさんだってきっと悲しむ。アクティナさんもアカテスさんもお兄さんだって、フォートもクラートも、先生を大事に思ってる人みんなが悲しむよ」
掴んでいたリューイの腕を放せば今度はウィリディスの腕をリューイがつかんだ。
顔を寄せリューイは泣きそうになりながらも言葉を紡ぐ。
「俺は信じてる。ウィルならきっと見つけられるって。だからそんなに焦らないでよ。今はいっぱい難しいことがあってうまくいかないだろうけど絶対に見つかるから!実験体がいないなら、ウィルは嫌がったけど俺がなるから!」
リューイの言葉にウィリディスは口を開けてしまった。なんという間抜けた顔をしていたことだろうか。
リューイはウィリディスの反応がないことを察すればつかんでいた手を放した。自分にそれは望まれていないことはわかっている。
「リューイ…それはいいと言っただろう」
静かな声にリューイは目の前の緑色を見つめた。
少しだけ悲しそうな色を宿している。先日同じことを告げたときにも同じ色を見た。
「確かに俺は焦っている。方法が見つからないことも、そのせいでどんどん死んでいる者がいることにも。だが、俺はそのために誰かの命を危ない目にあわせていいとは思っていない。誰が望んでも、申し出ても、俺は絶対に誰かの体で実験はしない」
「でも、そうしないとウィルの研究は進まないんでしょ?Ωの体の中に入ったαの細胞を、どうにかしないと治らない病気なんだろう?だったら」
「ほかの方法を考える。お前に今一度そんなことを言わせてしまうほどに、心配をかけてしまっていたとは考えもしなかった」
すまない、とウィリディスは告げた。リューイを抱きしめて濡れた手で頭を撫でる。
子供ではない、と反論したかったがされるままになった。
「…俺、ウィルが貸してくれた本読み終わったよ。まだ全然理解するには何もかも足らないからさ。もっとここにいる間俺に勉強教えて。Ωの俺がどこまでできるかわからないけど、俺もウィルの研究を手伝いたい。それならいい?」
「そうだな。それならばかまわない」
ウィリディスの言葉を聞いたリューイの顔に笑みが浮かぶ。半ば飛びつくように抱き着けば体勢を崩したウィリディスは壁に頭をぶつける。
後頭部を抑えて言葉の出ないウィリディスに慌てつつリューイはおかしくなって笑い出した。
冷やさないと、とシャワーの温度を一番冷たくし体には当たらないように気を付けつつ頭に水の勢いを弱めたシャワーを当てる。
火照った身体が冷めていき少し震えた。
「ごめんね、ウィル」
「まったくだ…」
たんこぶにはならなさそうだと判断する。体を起こしたウィリディスを見つめてリューイは口を開いた。
「またお風呂に入りなおす?」
「いや。十分入った」
「そっか」
「お前は?」
「大丈夫」
首を振れば体に残っている泡を流し切り二人一緒に浴室を出た。リューイがかいがいしくウィリディスの体を拭いていった。
それを見ながらもう一枚タオルを手にしたウィリディスは目の間にリューイがきたとき、手にしたタオルをリューイの肩にかけた。
きょとん、とこちらを見上げるリューイの濡れた肩を拭いてから顔を寄せ口づけた。
リューイは抵抗せずにそれを受け入れた。こうして口づけるのは出会ってから何度目だろうか。
リューイの目に宿る欲情もウィリディスの体の奥にともる熱情も、出会って半年も経っていないとは思えないほどに強い。
「明日、休みなの?」
「お前にまた心配をかけるわけにはいかない。みんなに連絡をいれる」
「…明日は一緒にいていい?」
「お前がそうしたいのなら」
「違うよ。ウィルがどこかに行かないように俺が見張るの」
「そうか。ならばそういうことにしてくれ」
ウィリディスの言葉にリューイは喜んだ。もう一度二人で口づければもう止まらなかった。
ウィリディスの背中に腕を回して求めるように自分から唇を押し付ける。自分は決して身長の低いほうではないと思っているがウィリディスのほうが頭一つ分は余裕で背が高い。
研究職のくせに肩幅も広い。厚みのある胸元に触れると少し彼の体に力が入った。
息を荒くして唇を放せば軽くウィリディスに唇を食まれ、背中に爪を立ててしまう。
ウィリディスの体に身を寄せるリューイを抱きしめて肩口に口を押し当てる。首輪を外させたいという欲求が湧き上がるもそれをなんとか理性で押しとどめる。代わりに肩口に吸い付いて赤く跡を残した。
「今日は気絶させるなよ?」
「一月ぶりだからな。わからない」
「ウィルはいつも激しいから」
「煽るのはお前だろう」
リューイはほほを膨らませるとウィリディスの胸元をいじる。
三十代とは思えない体つきである。その間にもウィリディスの手はリューイの背中をすべりゆっくり尻に回る。
双丘を割り開き、すぼまりに指を当てた。固く閉じたそこはウィリディスの指を容易には飲み込まない。
少し指の腹で撫でていたが久しぶりともなれば潤滑剤が必要なようでる。
「少し待っていろ」
「なに、いまいいところだったのに」
腹筋を撫でウィリディスの胸の突起にさわろうとしたとたんに体が離れればリューイは不満そうな声を出す。
苦笑してからボディソープを少量手に出せば指に塗って戻る。
再び体を寄せれば閉じた孔にボディソープを塗りシワを伸ばすようになでた。ソープのぬるつきにリューイのそこはよりすぼまるも、顔をあげさせ口付ければとろけていく。
力の抜けたそこにゆっくり指を押し入れる。ボディソープのぬめりが助けとなり抵抗なく飲み込んだ。リューイも痛みは感じていないようだった。
「…少しほぐすからそのまま抱きついていろ」
「うん」
リューイはウィリディスの首に腕を回して体を密着させる。心臓の音がやけに大きく聞こえるなかリューイは自分の体の中で動く指を感じていた。
一か月の間αを受け入れなかった体は少し抵抗がありきついものだった。肉壁をこすりゆっくりと内部を広げていく。リューイは首に回した腕に力を込めた。意識しているのかしていないのかウィリディスの指はリューイのより感度を得る場所を擦っていく。
奥のほうから蜜が溢れてくるのがわかった。ウィリディスの指を濡らし、開いた部分からリューイの太ももを流れていく。
「お前はすぐに濡れるな」
「だ、だって…きもちぃ…今までこんな感じなかったのに」
「ほかの、αではここまで濡れなかったのか」
「体が自然に反応はするけどこんな…」
赤くなるリューイを見つめウィリディスは一本しかいれなかった指を増やして一度に三本押し込んだ。
ひゅっ、と息を吸い込んだリューイの膝が折れる。ウィリディスは腰に片腕を回して支えリューイを見下ろしていた。リューイはなかなかに苦しそうな顔をしている。開いた口から覗く舌に引き寄せられて唇を重ねた。
舌を絡め自分の唾液を飲ませればリューイの体は震える。指を引き抜いてリューイの目の前にもっていけばボディソープとは異なる滑りがてかっていた。
「もういれても平気そうだな」
「ここで…?」
「そうだな。ベッドまでは俺が我慢できなさそうだ」
額へと唇を寄せてリューイの体を支えつつ脱衣所の壁へと手をつけさせる。
自分のそれもぱんぱんに張って痛いほどだった。リューイが肩越しに振り向いた。
不安と期待が見え隠れする彼を見つめわずかに笑んだ。それから視線をうなじ、背中、腰へとすべらせ尻へと向ける。
柔らかな尻たぶに手を添え割り開けば先ほど解した孔が待ち構えている。己の熱を持ちリューイのそこに当てる。
「ウィル…」
「大丈夫だ。ベッドに行かねばならないから一度で終える」
「大丈夫って何がだよ」
憎まれ口をたたくリューイを見てから孔に当てたそれを押し込む。
興奮していると自覚もしていた。たぎる熱はリューイを貫き、ウィリディスに快感を伝えてくる。
根元まで納めきれば一息ついた。内部は熱くうねり締め付けてくる。リューイは壁についた手を握り締めて耐えているようだった。
深い呼吸に合わせて内壁が蠢く。静かに引き抜けばリューイの脇腹が震えた。まだ水滴の残る肌を撫でてウィリディスは動き出した。
腰を撫でていた手を太ももへと移動させリューイの熱にふれる。その先端からはとろり、と透明な蜜が流れ出していた。
それを指に絡めてリューイ自身を握ればリューイのあげる声はより高くなる。
「お前の声はいいな」
「そんな、こと、ないっ、だろ」
「憎まれ口を叩くのも、我慢しきれない喘ぎがこぼれるのも、たまらなくいい。もっと喘がせたくなる」
「男の喘ぎなんて、聞いてもおもしろくない、のに…」
体を曲げ背中に口付ければ吐精感が増した。腰の動きを早めればリューイの声がますますあがる。
顔がみたいと思った。名を呼べばわずかに顔が後ろを向いた。
体を寄せ密着すると中に納めていた熱がリューイの敏感な部分を掠めたか、さらに蜜を垂らした。
ほほを上気させ口を開きっぱなしの顔はしまりがない。
「リューイ、いい顔をしてるな」
そんなことをつぶやけば少し目付きが鋭くなる。苦笑して顔を固定し口付けた。リューイの声を飲み込むようにし、熱をしごく強さを増せばリューイの体に力が入り達する。
手に吐き出された欲をリューイ自身に塗りつけ顔を寄せたまま自分も上り詰めるべく腰を大きく打ち付けた。
強い突き上げにリューイはつま先立ちになり壁に体を押しつける。
顔を固定するウィリディスの手があるから痛くはないだろうが少し呼吸がしにくそうである。
手を伝い床にリューイの精液が流れる。リューイと瞳がかちあえばウィリディスも中に吐き出した。
声もなく震える体を抱き締める。何度かリューイの内部で熱が跳ねた。引き抜けば足らないといわんばかりに硬さを保ったままの自身がある。
「立てるか」
「たてる」
リューイは引き抜かれると同時に支えを失いしゃがみこんだ。
立てるとはいいつつもまだ絶頂からは抜けきれないのかたてないでいる。
「…リューイ、そのままそこにいるならここで二戦目にいくか」
「やだ。痛いもん」
壁を支えにしたリューイが立つ。
脱衣所上部にある収納を開けるとそこにしまってある大型のタオルを出す。
リューイをそれでくるめばウィリディスを見上げてきた。
「俺が出したものが垂れたら掃除が面倒だろう」
「ここでしなきゃよかった話では…?」
「ほら、いくぞ」
リューイの言葉を聞かない振りをする。腰にタオルを巻けば今だ硬度をたもつそれがタオルを持ち上げた。
リューイはそれを直視してしまい慌てて目をそらす。タオルをしっかり体に巻き付け孔を意識して締めた。
先に部屋に向かうウィリディスを追いかけていく。
風呂に入ったのにな、と思うものの一晩中喘がされるわけだし仕方ないか、と思い直して部屋に踏み込んだ。
ウィリディスは言葉がでない。何度か声をかけようとするもやはりなにも言えなかった。
リューイとフィーディスが出掛けてから少ししてどうやら自分は寝てしまったらしい。
しかも子供達と一緒に。
目を覚まして寝ていたことがわかったその直後に立ち尽くすリューイと目があった。
「やっぱり俺いかないほうがよかったじゃん」
小さくつぶやいたリューイは身を翻して上のフロアに行ってしまう。
失敗した、とウィリディスは頭をかかえた。レックスが先生、と袖を引っ張ってくる。
顔をそちらに向ければシルバともども眉を下げて見つめている。二人はどうやらリューイの言葉を聞いていたらしい。
「ごめんなさい。俺たちも寝ちゃったから」
「リュー兄が帰ってきたら起こせたのに」
「いいや。大丈夫だ。リューイを怒らせてしまったな」
ウィリディスは苦笑した。
二人の頭を交互に撫でてやればクラルスを起こした。
まだ少し眠たそうに眼をこするクラルスはウィリディスの腕の中でもぞもぞと体を動かす。
「すまないな。あまり勉強を教えてやれなかった」
「ううん。大丈夫だよ。先生、リューちゃんと…」
「今日は話せないだろうな。上に戻るといい」
「先生、ごはんどうするの」
「リューイが作ってくれた弁当がある。それでも食べよう」
クラルスはあくびを漏らしているものの自分の足でしっかりと立っていた。レックスが何度も振り向きつつシルバとクラルスとともに上にあがっていく。
クッションを適当に片付ければソファに毛布を置いて座り込んだ。
大きなため息をついていた。ぐるぐると考えが回る。
「どうしたものか…きちんと謝らなければならないな」
だがきっと今行ったところでリューイは顔を合わせてはくれないだろう。
しばらくぼんやりとしていたものの軽く頭を振れば立ち上がって冷蔵庫に向かう。
中から弁当箱を出してはふたを開けて中を見つめた。しっかりと火の通った卵焼きにほうれん草の炒め物、ごはんには鰹節のふりかけがのっている。
数種類の野菜を肉で巻いたものも入っていた。
「頭が上がらないとはこのことだろうか」
耐熱容器であったためにレンジでいれてあたためる。
ついでにお湯を沸かしてインスタントのスープを用意した。
チンッ、と軽い音を立てて温めが終わったことを告げる。それを取り出せば静かな食卓で食べ始めた。食べながら、リューイが作ったものであるはずなのに味気ないことに気づく。
どうしてだろうかと考えて理由に気づけば手が止まった。静かすぎるのだ。
ウィリディスが実家を出てからほぼ十年以上これが当たり前だった。何しろ一人だったから。食事も適当に済ませていた。
それがリューイたちと食事をとるようになってその食事の時間が変化したのだ。レックスとシルバがその日あったことを話してくれ、リューイとフィーディスが行儀悪いとたしなめる。
自分はにぎやかな彼らを目の前で見ては長く経験しなかったものを遅ればせながら経験していたと思う。
「そういえばまともに食事とっていないような…?レナータたちも呆れた顔をしていたが」
『教授、きちんと食事と睡眠をとってください!』
『ていうか教授、ちゃんと家に戻ってるんですか。あの少年たちに心配かけまくってそうだけど』
「そういうことか…」
食事を終えてタッパーとスープのカップを洗った。ウィリディスは着替えとタオルをもって浴室に向かう。
寝たからか少し頭がすっきりとしていた。シャワーを浴びてから体を洗う。浴室に身を沈めれば長く長く息を吐き出した。
濡れた前髪をかきあげれば浴槽の縁に腕を乗せる。目を閉じてしばらく浸かっていれば外でかすかに音がした。
体を起こして浴槽からドアを開ける。ドアに手をかけようとしていたリューイが立っていた。
「どうした、リューイ。食事は」
「とった」
「風呂は」
「フィーディスがほかの子と入ってる」
「何をしに来た?」
「ウィルがあまりにも静かだから様子を見に来たに決まってんだろ!」
リューイの叫びが浴室に響き渡る。物音がしたときからなんとなく予想していた答えにウィリディスは笑っていた。
リューイはなぜ笑われているのか理解はできない。ほほを膨らませてそっぽを向いてしまう。倒れるならば倒れてしまえばいいとすら思っていた。
だが、リューイ、と名前を呼ばれればそちらについ顔を向けてしまう。
湯煙の中、濡れた肌を見せたままのウィリディスはリューイに瞳を向けている。
「まだ風呂に入っていないなら背中を流してくれないか」
「もうそこにいるってことは体も洗っただろ。必要ないじゃん」
「そんなことを言わずに」
「いやだって言ったら」
「言われてしまったら仕方がないからこのままここで倒れる」
強く拒否などできるわけがないと思っていたからこその言葉だった。リューイはしばらく言葉を探すかのように視線をさまよわせた挙句大きなため息をついた。
ドアを勢いよく閉めてそれから服を脱ぐ。タオルは余分にウィリディスが持ってきたらしい。
自分の分の着替えはないがタオルを巻いて上のフロアに上がれば十分だろうと判断する。
「ウィル、さっさと出てきて。洗うから」
「あぁ」
ドアを開けて浴室内に入ればウィリディスは嬉しそうに笑う。毒気を抜かれてリューイは少し戸惑った。
自分の前に座り背中を向けるウィリディス、リューイはボディソープを手に出せば泡立てて背中へと手を滑らせた。しばらくリューイが体を洗う音と時折シャワーから落ちる水滴の音しかしない。
首筋から背中までを洗い終えると再度ボディソープを手に出して後ろから抱き着くように体をつけウィリディスの胸元へと手を滑らせた。
「ここまでしてくれるのか?」
「嫌ならいいけど」
ウィリディスの耳元で拗ねた声がする。
体を滑る手を見つめてからウィリディスは少し顔を回した。すぐそばにリューイの顔がある。
「リューイ」
「う、動くなよ、ウィル」
「いやだ」
「いやだって……んっ?!」
リューイの腕をつかみ腰を少し動かしてリューイに口づける。リューイは目を丸くし体を放そうとするもののウィリディスはそれを許さなかった。
無理やり唇を割って舌を入れればリューイは掴まれていない手でウィリディスの体をたたく。それをものともせずにリューイの舌を引きずり出して絡めた。叩いていた手から力がなくなりウィリディスが唇を放した時にはリューイはのぼせたような状態になっていた。
「すまない」
「…なに、が」
「このひと月、お前や、子供たちに心配をかけた」
「レックスたちにそう言えって言われた?」
「違う」
リューイは唇を尖らせてウィリディスを見上げる。
文句を言いたそうであった。どんな文句でもウィリディスは聞くつもりでいた。
「ウィルが…何のために研究しているのか知ってるから、止められなかった。朝も夜も、ほとんどここに戻ってこなくてごはんとか、寝るのとかどうしてるんだろうって思って。起きて待ってようと思ったんだ。でも、止めるな、って言われるのも怖かった」
ウィリディスから視線を落としたリューイはそう告げた。
もしかしたらリューイはリューイなりにたくさん考えて、ウィリディスのために自分が気づかないところで何かいろいろとしてくれていたのかもしれない。
遅く戻ってきてベッドまで行けずソファで寝た日もあったが朝方起きるときには体に毛布がかかっていたときもあった。脱ぎ捨てたはずのジャケットがハンガーにかけられていたこともあった。
止められなかったというリューイは彼なりにウィリディスを支えていたらしい。
「時折俺に毛布をかけたり、脱いだ服を整えていたな?」
「風邪ひいたら研究所行けないでしょ」
「あぁ…」
「ウィルは…大事な人のために、大切な研究をしているんでしょう?だったら自分をもっと大事にして。もしウィルが病気になったらどうするの?それで死んだら?研究所の人だけじゃない、クロエさんだってきっと悲しむ。アクティナさんもアカテスさんもお兄さんだって、フォートもクラートも、先生を大事に思ってる人みんなが悲しむよ」
掴んでいたリューイの腕を放せば今度はウィリディスの腕をリューイがつかんだ。
顔を寄せリューイは泣きそうになりながらも言葉を紡ぐ。
「俺は信じてる。ウィルならきっと見つけられるって。だからそんなに焦らないでよ。今はいっぱい難しいことがあってうまくいかないだろうけど絶対に見つかるから!実験体がいないなら、ウィルは嫌がったけど俺がなるから!」
リューイの言葉にウィリディスは口を開けてしまった。なんという間抜けた顔をしていたことだろうか。
リューイはウィリディスの反応がないことを察すればつかんでいた手を放した。自分にそれは望まれていないことはわかっている。
「リューイ…それはいいと言っただろう」
静かな声にリューイは目の前の緑色を見つめた。
少しだけ悲しそうな色を宿している。先日同じことを告げたときにも同じ色を見た。
「確かに俺は焦っている。方法が見つからないことも、そのせいでどんどん死んでいる者がいることにも。だが、俺はそのために誰かの命を危ない目にあわせていいとは思っていない。誰が望んでも、申し出ても、俺は絶対に誰かの体で実験はしない」
「でも、そうしないとウィルの研究は進まないんでしょ?Ωの体の中に入ったαの細胞を、どうにかしないと治らない病気なんだろう?だったら」
「ほかの方法を考える。お前に今一度そんなことを言わせてしまうほどに、心配をかけてしまっていたとは考えもしなかった」
すまない、とウィリディスは告げた。リューイを抱きしめて濡れた手で頭を撫でる。
子供ではない、と反論したかったがされるままになった。
「…俺、ウィルが貸してくれた本読み終わったよ。まだ全然理解するには何もかも足らないからさ。もっとここにいる間俺に勉強教えて。Ωの俺がどこまでできるかわからないけど、俺もウィルの研究を手伝いたい。それならいい?」
「そうだな。それならばかまわない」
ウィリディスの言葉を聞いたリューイの顔に笑みが浮かぶ。半ば飛びつくように抱き着けば体勢を崩したウィリディスは壁に頭をぶつける。
後頭部を抑えて言葉の出ないウィリディスに慌てつつリューイはおかしくなって笑い出した。
冷やさないと、とシャワーの温度を一番冷たくし体には当たらないように気を付けつつ頭に水の勢いを弱めたシャワーを当てる。
火照った身体が冷めていき少し震えた。
「ごめんね、ウィル」
「まったくだ…」
たんこぶにはならなさそうだと判断する。体を起こしたウィリディスを見つめてリューイは口を開いた。
「またお風呂に入りなおす?」
「いや。十分入った」
「そっか」
「お前は?」
「大丈夫」
首を振れば体に残っている泡を流し切り二人一緒に浴室を出た。リューイがかいがいしくウィリディスの体を拭いていった。
それを見ながらもう一枚タオルを手にしたウィリディスは目の間にリューイがきたとき、手にしたタオルをリューイの肩にかけた。
きょとん、とこちらを見上げるリューイの濡れた肩を拭いてから顔を寄せ口づけた。
リューイは抵抗せずにそれを受け入れた。こうして口づけるのは出会ってから何度目だろうか。
リューイの目に宿る欲情もウィリディスの体の奥にともる熱情も、出会って半年も経っていないとは思えないほどに強い。
「明日、休みなの?」
「お前にまた心配をかけるわけにはいかない。みんなに連絡をいれる」
「…明日は一緒にいていい?」
「お前がそうしたいのなら」
「違うよ。ウィルがどこかに行かないように俺が見張るの」
「そうか。ならばそういうことにしてくれ」
ウィリディスの言葉にリューイは喜んだ。もう一度二人で口づければもう止まらなかった。
ウィリディスの背中に腕を回して求めるように自分から唇を押し付ける。自分は決して身長の低いほうではないと思っているがウィリディスのほうが頭一つ分は余裕で背が高い。
研究職のくせに肩幅も広い。厚みのある胸元に触れると少し彼の体に力が入った。
息を荒くして唇を放せば軽くウィリディスに唇を食まれ、背中に爪を立ててしまう。
ウィリディスの体に身を寄せるリューイを抱きしめて肩口に口を押し当てる。首輪を外させたいという欲求が湧き上がるもそれをなんとか理性で押しとどめる。代わりに肩口に吸い付いて赤く跡を残した。
「今日は気絶させるなよ?」
「一月ぶりだからな。わからない」
「ウィルはいつも激しいから」
「煽るのはお前だろう」
リューイはほほを膨らませるとウィリディスの胸元をいじる。
三十代とは思えない体つきである。その間にもウィリディスの手はリューイの背中をすべりゆっくり尻に回る。
双丘を割り開き、すぼまりに指を当てた。固く閉じたそこはウィリディスの指を容易には飲み込まない。
少し指の腹で撫でていたが久しぶりともなれば潤滑剤が必要なようでる。
「少し待っていろ」
「なに、いまいいところだったのに」
腹筋を撫でウィリディスの胸の突起にさわろうとしたとたんに体が離れればリューイは不満そうな声を出す。
苦笑してからボディソープを少量手に出せば指に塗って戻る。
再び体を寄せれば閉じた孔にボディソープを塗りシワを伸ばすようになでた。ソープのぬるつきにリューイのそこはよりすぼまるも、顔をあげさせ口付ければとろけていく。
力の抜けたそこにゆっくり指を押し入れる。ボディソープのぬめりが助けとなり抵抗なく飲み込んだ。リューイも痛みは感じていないようだった。
「…少しほぐすからそのまま抱きついていろ」
「うん」
リューイはウィリディスの首に腕を回して体を密着させる。心臓の音がやけに大きく聞こえるなかリューイは自分の体の中で動く指を感じていた。
一か月の間αを受け入れなかった体は少し抵抗がありきついものだった。肉壁をこすりゆっくりと内部を広げていく。リューイは首に回した腕に力を込めた。意識しているのかしていないのかウィリディスの指はリューイのより感度を得る場所を擦っていく。
奥のほうから蜜が溢れてくるのがわかった。ウィリディスの指を濡らし、開いた部分からリューイの太ももを流れていく。
「お前はすぐに濡れるな」
「だ、だって…きもちぃ…今までこんな感じなかったのに」
「ほかの、αではここまで濡れなかったのか」
「体が自然に反応はするけどこんな…」
赤くなるリューイを見つめウィリディスは一本しかいれなかった指を増やして一度に三本押し込んだ。
ひゅっ、と息を吸い込んだリューイの膝が折れる。ウィリディスは腰に片腕を回して支えリューイを見下ろしていた。リューイはなかなかに苦しそうな顔をしている。開いた口から覗く舌に引き寄せられて唇を重ねた。
舌を絡め自分の唾液を飲ませればリューイの体は震える。指を引き抜いてリューイの目の前にもっていけばボディソープとは異なる滑りがてかっていた。
「もういれても平気そうだな」
「ここで…?」
「そうだな。ベッドまでは俺が我慢できなさそうだ」
額へと唇を寄せてリューイの体を支えつつ脱衣所の壁へと手をつけさせる。
自分のそれもぱんぱんに張って痛いほどだった。リューイが肩越しに振り向いた。
不安と期待が見え隠れする彼を見つめわずかに笑んだ。それから視線をうなじ、背中、腰へとすべらせ尻へと向ける。
柔らかな尻たぶに手を添え割り開けば先ほど解した孔が待ち構えている。己の熱を持ちリューイのそこに当てる。
「ウィル…」
「大丈夫だ。ベッドに行かねばならないから一度で終える」
「大丈夫って何がだよ」
憎まれ口をたたくリューイを見てから孔に当てたそれを押し込む。
興奮していると自覚もしていた。たぎる熱はリューイを貫き、ウィリディスに快感を伝えてくる。
根元まで納めきれば一息ついた。内部は熱くうねり締め付けてくる。リューイは壁についた手を握り締めて耐えているようだった。
深い呼吸に合わせて内壁が蠢く。静かに引き抜けばリューイの脇腹が震えた。まだ水滴の残る肌を撫でてウィリディスは動き出した。
腰を撫でていた手を太ももへと移動させリューイの熱にふれる。その先端からはとろり、と透明な蜜が流れ出していた。
それを指に絡めてリューイ自身を握ればリューイのあげる声はより高くなる。
「お前の声はいいな」
「そんな、こと、ないっ、だろ」
「憎まれ口を叩くのも、我慢しきれない喘ぎがこぼれるのも、たまらなくいい。もっと喘がせたくなる」
「男の喘ぎなんて、聞いてもおもしろくない、のに…」
体を曲げ背中に口付ければ吐精感が増した。腰の動きを早めればリューイの声がますますあがる。
顔がみたいと思った。名を呼べばわずかに顔が後ろを向いた。
体を寄せ密着すると中に納めていた熱がリューイの敏感な部分を掠めたか、さらに蜜を垂らした。
ほほを上気させ口を開きっぱなしの顔はしまりがない。
「リューイ、いい顔をしてるな」
そんなことをつぶやけば少し目付きが鋭くなる。苦笑して顔を固定し口付けた。リューイの声を飲み込むようにし、熱をしごく強さを増せばリューイの体に力が入り達する。
手に吐き出された欲をリューイ自身に塗りつけ顔を寄せたまま自分も上り詰めるべく腰を大きく打ち付けた。
強い突き上げにリューイはつま先立ちになり壁に体を押しつける。
顔を固定するウィリディスの手があるから痛くはないだろうが少し呼吸がしにくそうである。
手を伝い床にリューイの精液が流れる。リューイと瞳がかちあえばウィリディスも中に吐き出した。
声もなく震える体を抱き締める。何度かリューイの内部で熱が跳ねた。引き抜けば足らないといわんばかりに硬さを保ったままの自身がある。
「立てるか」
「たてる」
リューイは引き抜かれると同時に支えを失いしゃがみこんだ。
立てるとはいいつつもまだ絶頂からは抜けきれないのかたてないでいる。
「…リューイ、そのままそこにいるならここで二戦目にいくか」
「やだ。痛いもん」
壁を支えにしたリューイが立つ。
脱衣所上部にある収納を開けるとそこにしまってある大型のタオルを出す。
リューイをそれでくるめばウィリディスを見上げてきた。
「俺が出したものが垂れたら掃除が面倒だろう」
「ここでしなきゃよかった話では…?」
「ほら、いくぞ」
リューイの言葉を聞かない振りをする。腰にタオルを巻けば今だ硬度をたもつそれがタオルを持ち上げた。
リューイはそれを直視してしまい慌てて目をそらす。タオルをしっかり体に巻き付け孔を意識して締めた。
先に部屋に向かうウィリディスを追いかけていく。
風呂に入ったのにな、と思うものの一晩中喘がされるわけだし仕方ないか、と思い直して部屋に踏み込んだ。
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