92 / 124
水も滴るなんとやら。濡れた素肌に唇を寄せて 4
しおりを挟む
忘れ物をしたなんて嘘だ。
アクティナもアカテスもわかっていただろう。
そうでなければ、『見つかったら迎え行かせるから連絡してね?プールに落としたのならライトがついてるから探しやすいはずよ』なんて言い残さない。
フィーディスが苦々しげな顔をしていた。
たくさん遊んで眠たげな弟たちを放っても置けずフィーディスは一緒に一足先に帰った。
「っ、ウィル…」
「急かすな、リューイ」
プールサイドにあるライト以外の明かりはない。周囲は暗く、音もない。
二人、プールに残ってキスを交わした。
水中でのキスが癖になりそうだった。ライトの光がゆらぐ水面を背景にウィリディスの顔を見る。
「まったく…昨日もあれだけ抱かれたのに足らないのか?」
「足る足らないじゃなくてほしいの」
「ほしい…」
「ウィルに、愛してるって言われてから、ずっとうずく。もっと染めて、ウィルのにおいにしてって思う」
深さのあるところでリューイを抱きかかえながら見つめ合う。
濡れた髪が首筋に張り付いている。首筋を指でなぞり、濡れて透けたTシャツから見える肌に唇を寄せた。
「ウィル…もっと…ちゅーってして」
「ちゅーがいいのか」
「ん…ちゅーしたい。ウィル、だめ?」
「だめじゃない」
リューイを抱えてざぶざぶと深い場所へと行く。水の浮力のおかげか普段よりもリューイの重さを感じることはない。
ウィリディスでちょうどいい深さまで進めばリューイを少し抱え上げた。
困惑した顔でウィリディスを見下ろしてくる。
「リューイ、この場では一度だけだ。今夜は弟たちと寝るのだろう?俺も普通とは違うこの状況に昂っている。あまり煽ってくれるな」
リューイは口を尖らせた。不満が見え隠れしているがウィリディスとしてもそこは譲れないところである。
ふたたび進みだせばプールサイドにリューイを座らせた。ヘリに手をついてリューイを見上げる。
「リューイ、愛してる…今文字通り二人きりだ…いくらでも声を上げていいぞ」
「ん…恥ずかしい」
「誘ったのはお前だろう。ちゅーして、なんて珍しい」
「いやだった?」
リューイが不満げに尖らせた唇に指をあてる。少し体を伸ばしてかすめるだけのキスをすれば間近で瞳をあわせてほほ笑んだ。
それにすべての答えが入っている。
「…あい、してる」
「あぁ」
「愛してる…ウィリディス、愛してるんだ…」
リューイの腕が伸びてきてウィリディスの首元に絡みつく。そのまま体を預けてきたリューイを支えたがバランスを崩し再び水に沈む。
強く抱き着いて離れないリューイを抱え水面に浮かび上がる。足すら腰に絡めてきては身動き一つとることができない。
「どうした、リューイ」
「…愛してる…俺、ウィリディスが好きなんだ」
リューイを抱えてプールサイドへと上がる。昼間母が横たわっていたチェアに腰を下ろせばそのままリューイを撫でる。
水か涙かわからないがほほを伝うものを指で静かに拭った。
「ごめん…俺、ウィリディスを振り回してるのわかってる。愛してるって、言葉でも体でも、全部で俺に教えてくれる…首輪を外してくれって言われたとき、俺すごくうれしかったんだよ…」
「知っている。泣きそうになりながら笑顔になっていたな…」
「うん。だって、あの時にはもうウィリディスが好きだったんだもん。そう言われて、嬉しくないはずがないだろ?でも…好きなのに答えられなくてごめん…俺、フィーディスのところに行くよりも何よりも俺は番になる前にやることがあるんだ」
「やること」
リューイはウィリディスの胸元にすり寄りながらも言葉を濁した。
何よりも大事なことだろうか。聞きたいことではあったがウィリディスは無理強いはしなかった。
顔にはりつく髪をどかし、優しく額に口づける。
「振り回されてもいい。それもまた甘美だと思う自分がいる」
低く笑えばリューイはほほを膨らませてウィリディスを見上げている。
リューイを抱きしめ肩に顔を埋めれば甘い香りがウィリディスを包む。
あまりにも考え込みすぎではないだろうか。
「リューイ…今はただお前とこうしていられるだけでいい。番のことは気にするな。まだお前が俺から離れるまでわずかでも時間があるだろう。それまでにフィーディスとの約束を破るほどに俺にのめりこませる」
「そ…そんなこというなよ。できるわけないだろ…ウィリディスのくせに」
「できる。今ですら俺が欲しいというリューイなんだ。できる。やってみせよう…俺は、お前も、研究結果も手に入れて見せる」
「……無理、ウィル…そんな強いこと言われたら、俺それだけでだめになりそう」
「ならば、ダメになってくれ。リューイ…お前を抱きたい」
耳元でささやかれた率直な欲望にリューイは腰が砕けたように思えた。
弟たちが待っている、そんなことすら頭から抜けて出ていった。すりっと顔をウィリディスに寄せる。
頭に手が回り顔を上げれば待ち望んだ唇が降ってくる。何度も口づけられ、舌を吸われればリューイはたまらなくなる。
ふたたび抱き上げられれば二人でプールに向かった。プールサイドの明かりだけが照らす中、ウィリディスの首に抱き着いてリューイは口づけを交わす。先ほどからウィリディスの手がリューイの肌を撫でていた。
水の中のはずなのにその手の熱さがしっかりと伝わってくる。
「ウィル…俺に興奮してくれてるの?」
「当たり前だ。俺自身驚いているんだ。お前を前にするとどうしようもなくほしくなる。何度だってお前の中に吐き出してお前を俺で汚したくなる」
ウィリディスに見つめられリューイは体の奥がキュッと締まったのを感じた。
水着に押さえつけられている自分の熱も硬くなる。ウィリディスに抱き着いていた腕を片方そろそろと水中にいれる。
何も言わないのをいいことにウィリディスの腹筋を指でなぞってから水着に指をかけた。
残念なことに腰付近まではライトの明かりは届かない。水着の縁をなぞりドキドキと心臓が音を立てるのを感じながら腿に触れゆっくりと内股へと指を進める。
そこに触れた時ウィリディスが少し息を止めた。どんな顔をしているのか見たい気持ちもある。しかしリューイは顔を上げずにゆっくりと水着を盛り上げるそこを指でなぞった。
「すごい…水の中なのにこんな熱くて…太くて…」
「興奮しているんだと言っただろう」
つむじに唇が落ちたのを感じる。
水着を脱がせたいのにうまく行かない。もどかしく思っていればウィリディスのものより先に自分の水着が引き下ろされた。
臀の丸みを確かめるように手のひらが滑り、割れ目に指が滑り込む。ウィリディスの胸元に顔を埋めたリューイはこらえきれない吐息を漏らした。
「あぁ…水の中は嫌か」
「違う…から、もっとさわって」
リューイの言葉に背中を押され口づけては漏れる声を飲み込みながらウィリディスは指をそこに沈めた。
ほんのわずかな隙間から水も入り込む。
水の冷たさと内部の熱さにウィリディスは震えが走る。
リューイも冷たさを感じているのか眉を寄せている。
「こんなところでセックスするとはな」
「俺も、初めて」
「そうか…」
中に入れた指は一本、ゆっくりと中にはいりこんだ水とともにかき混ぜる。
水のせいか、ゆるい快感が続きリューイはもっと刺激を求めてしまう。
「もっと…ウィル…」
「…お前を抱くのは何度目だろうな。こんなにも一人に固執したのは久しぶりだ。俺にはクロエだけだと思っていたのだが」
「わかんない。数えてないし」
「数えきれないほどお前を抱いていたか…」
リューイはウィリディスの顎の下を噛む。
咥えこんだウィリディスの指を締め付けては水の中で腰を揺する。
ウィリディスは指を増やして水中で孔を開いた。リューイは入り込んできた水に背が泡立った。
ぞくぞくと快感が体を走る。ウィリディスはリューイを支えたままわずかに笑った。気持ちいいと声を上げるリューイの顔を見られるのは自分だけなのだ。
「たらない…ウィル、もっと…これ、挿れて」
リューイの手が水着越しにウィリディスの熱を触る。
水着が貼りつきしっかりとその形がわかる。
リューイの手が上下に動く。はっきりとした目的をもって擦られウィリディスの閉じた唇がわずかに開き快楽に染まった声が漏れた。
リューイは今度こそ顔を上げた。ベッドの上でしか見ることのないウィリディスの顔がある。
リューイが手でしごくたびにウィリディスは閉じた瞳を震わせている。
「ウィル、気持ちいい?俺の中に挿れたらもっと気持ちいいよ…」
「知っている…お前のここも我慢できなさそうだしな」
指を引き抜いたウィリディスはリューイの手をどかせ水着を下ろす。体を寄せるリューイの足を持ち上げ縁に背中を預ける。リューイのシャツから透けて見える胸元を撫で、指先でつまめばリューイは甘く啼く。
臀の割れ目に己の熱を当て前後に腰を揺すればそれだけでもたまらなかった。
リューイは胸元に与えられる快楽を逃がそうとウィリディスの手をつかむ。しかしウィリディスは止めなかった。
「だめ…こんなの、気持ちよすぎて、服着れなくなっちゃう…そんなの恥ずかしい…」
「家の中では何も着ないままになるか」
「無理…そんな、変態なことできない」
「そうだな…裸のままで家の中をうろうろされたら四六時中お前に発情していそうだ」
反論が出かけた口から代わりに嬌声が上がる。
水とともに押し入ってきたウィリディスの熱をリューイのそこは歓喜して出迎えた。
根本はきつく、奥に行くにつれて柔らかくウィリディスを包み込む。
リューイは待ち望んだ熱に蕩けきる。リューイの熱はウィリディスの腹部に擦れて痛いほどに張っている。
リューイの足を両手で抱えなおせばじゃぶじゃぶと音を立てて上下に揺する。
そのたびにリューイのそこを水も出入りして普段とは違う快感が襲う。
「んんー…ぅあッ…あああっ… 」
「っはぁ……リューイ…」
「うぃ、る…きもちぃ?俺、熱くて、きもちいい…」
ウィリディスにしだれかかりリューイはキスをしてくる。
リューイを受け止めては吐息ごと唇を奪う。水が動きを邪魔してくるせいなのか、いつもよりも絶頂への道が長い気がしていた。
昔の自分であれば、こんな夜のプールなどでΩを抱くなんて考えもしなかっただろう。目の前で喘ぐ一人のΩにのめりこんで己を忘れることなどなかったはずだ。
「リューイ…愛してる…気持ちいい」
「え…へへ…嬉しい」
リューイの言葉よりもその体が如実に物語る。
ウィリディスから精を搾り取ろうとする動きに変わった。奥へといざない、根本から吸い上げる。
幾人もΩを抱いた。しかしリューイ以上に、己というαの存在を確かなものにするものをウィリディスは知らなかった。
「う、ああ、あ、ぅあッ…ああっ、ん…」
「ちゃんとイかせてやるから存分に喘げ。誰もいない。俺とお前だけだ」
強く己を押し込みリューイを幾度も貫く。
息を切らすウィリディスをリューイは愛おし気に見つめていた。
喘ぐ間にウィリディスの快楽に歪む顔を見つめる。クロエに嫉妬していた、なんていつか言ってみようか。
ウィリディスの心の奥深いところを占めているクロエをリューイはうらやましく思っている。愛していると、言葉も気持ちもくれる。それは確かなことで、リューイは疑っていない。
それでも時折ウィリディスの後ろにクロエの影がちらつく気がした。
「んはぅ…んんっ、んあっアッ…」
「リューイ、イけそうだな。ぐいぐいと俺のを飲み込んでいくようだ」
「ん、イける…ちょーだい?」
リューイの体をより強く抱きしめればリューイの熱が二人の体に挟まれて強く圧迫される。
ひゅっと息をのんだリューイをしり目にウィリディスは己の腰とリューイの腰を強く押し付けた。
奥のほうに精液を吐き出しながら息を乱したリューイと口づける。離れ際にリューイの唇を舐めればリューイは笑みを浮かべた。
「ウィルの…奥でびゅっびゅって跳ねてる…たまらない」
「そうか…」
ゆっくりと己を引き抜けば水面に白いものが浮かんでくる。
明日利用されることはないだろうがどのくらいでこの水は浄化されるのだろうか。つらつらとそんなことを考えながら力の抜けたリューイを支えてプールから上がる。
少し時間をかけすぎてしまった。
小屋に戻ればリューイの体を厚手のタオルでくるんでから先にその体を拭う。
風邪を引かないように拭き残しがないのを確認すれば水着から普通の服へと着せ替える。
水分補給のためのボトルと小さなビスケットを差し出してそれを食べる間にウィリディスは自分の処理をした。
「あぁ…忘れ物なら見つかった。迎えが…十分ほどだな。わかった。体を冷やしても困るから小屋の中にいる。着いたらまた連絡をしてくれ」
着替えを終えたウィリディスは連絡を入れた。
十分ほどで迎えに来るという。リューイはビスケットを食べてほっと一息ついている。
「大丈夫か、リューイ」
「うん、大丈夫」
「楽しかったか」
「うん、すごく楽しかった。俺プールなんて学校の授業ぐらいだよ」
「休みの間は友達と出かけなかったのか」
「プールはいかなかったな。俺わりと他よりも体が細いから見られたくなかったってのもあるかも」
リューイは言葉を切って複雑な表情を浮かべるウィリディスを見た。
鍛えようとしても筋肉がつかなかった。心のどこかで自分はΩなんじゃないかと不安になっていた。
だから、他人の裸を見るプールが苦手だった。
「でも今日は最高に楽しかった。レックスとシルバが泳いでいる姿を見て、クラルスが浮き輪に掴まってかわいく浮かんでいる姿を見て、フィーディスが弟たちに泳ぎを教えてる姿を見て……あんたが、それを見て笑顔を浮かべていた。すごく楽しかったよ」
「…そうか」
「……ねぇ、明日牧場行くと思うんだけど、そうなると多分明後日帰るんでしょ」
「その予定だ。いつまでも研究を止めることはできないから」
ウィリディスの言葉にリューイは膝を抱えてそこに顔を埋めた。
何か言いたいことでもあるのだろうか。
「……明日…さ、ウィルがよかったら、なんだけど…あの、東屋で、また俺を抱いてほしい…ってのはあり?」
リューイの小さな言葉にウィリディスはこれ以上ないほどに目を丸くした。
アクティナとアカテスは帰宅の前日、つまりに明日の夜に使用人たちも参加できるパーティをすると言っていた。
シルバたちに体に合わせた子供のスーツを着せて、たくさんのカラフルな料理と楽しい音楽とともに最後の思い出を作るのだろう。
リューイはもちろんそのことを知らない。どうしたものかとウィリディスは考えた。
「……なんとか時間を作ろう」
「いいの?!」
「お前の願いをかなえてやりたい。あの東屋で、というのならば二人で抜け出そう」
「うん!」
リューイは笑顔を浮かべてウィリディスに抱き着いた。
リューイを優しく撫でて再度連絡が入った端末を開く。迎えが来たようである。
リューイを促して立たせればウィリディスは二人一緒に迎えの車へと向かっていった。
運転席にいた執事は軽食を二人のために用意している。すでに食事を終えたレックスたちがリューイとお風呂に入りたくて待っているという。
「じゃぁ今夜はせんせーも一緒だね」
「俺も?」
「レックスたちが背中を流してくれると思うよ」
「そうか。では戻ったらすぐに風呂へ行こう」
「うん」
二人並んで座る後部座席で手をつないで寄り添う。屋敷までのわずかな時間を二人は目を閉じて過ごしていた。
アクティナもアカテスもわかっていただろう。
そうでなければ、『見つかったら迎え行かせるから連絡してね?プールに落としたのならライトがついてるから探しやすいはずよ』なんて言い残さない。
フィーディスが苦々しげな顔をしていた。
たくさん遊んで眠たげな弟たちを放っても置けずフィーディスは一緒に一足先に帰った。
「っ、ウィル…」
「急かすな、リューイ」
プールサイドにあるライト以外の明かりはない。周囲は暗く、音もない。
二人、プールに残ってキスを交わした。
水中でのキスが癖になりそうだった。ライトの光がゆらぐ水面を背景にウィリディスの顔を見る。
「まったく…昨日もあれだけ抱かれたのに足らないのか?」
「足る足らないじゃなくてほしいの」
「ほしい…」
「ウィルに、愛してるって言われてから、ずっとうずく。もっと染めて、ウィルのにおいにしてって思う」
深さのあるところでリューイを抱きかかえながら見つめ合う。
濡れた髪が首筋に張り付いている。首筋を指でなぞり、濡れて透けたTシャツから見える肌に唇を寄せた。
「ウィル…もっと…ちゅーってして」
「ちゅーがいいのか」
「ん…ちゅーしたい。ウィル、だめ?」
「だめじゃない」
リューイを抱えてざぶざぶと深い場所へと行く。水の浮力のおかげか普段よりもリューイの重さを感じることはない。
ウィリディスでちょうどいい深さまで進めばリューイを少し抱え上げた。
困惑した顔でウィリディスを見下ろしてくる。
「リューイ、この場では一度だけだ。今夜は弟たちと寝るのだろう?俺も普通とは違うこの状況に昂っている。あまり煽ってくれるな」
リューイは口を尖らせた。不満が見え隠れしているがウィリディスとしてもそこは譲れないところである。
ふたたび進みだせばプールサイドにリューイを座らせた。ヘリに手をついてリューイを見上げる。
「リューイ、愛してる…今文字通り二人きりだ…いくらでも声を上げていいぞ」
「ん…恥ずかしい」
「誘ったのはお前だろう。ちゅーして、なんて珍しい」
「いやだった?」
リューイが不満げに尖らせた唇に指をあてる。少し体を伸ばしてかすめるだけのキスをすれば間近で瞳をあわせてほほ笑んだ。
それにすべての答えが入っている。
「…あい、してる」
「あぁ」
「愛してる…ウィリディス、愛してるんだ…」
リューイの腕が伸びてきてウィリディスの首元に絡みつく。そのまま体を預けてきたリューイを支えたがバランスを崩し再び水に沈む。
強く抱き着いて離れないリューイを抱え水面に浮かび上がる。足すら腰に絡めてきては身動き一つとることができない。
「どうした、リューイ」
「…愛してる…俺、ウィリディスが好きなんだ」
リューイを抱えてプールサイドへと上がる。昼間母が横たわっていたチェアに腰を下ろせばそのままリューイを撫でる。
水か涙かわからないがほほを伝うものを指で静かに拭った。
「ごめん…俺、ウィリディスを振り回してるのわかってる。愛してるって、言葉でも体でも、全部で俺に教えてくれる…首輪を外してくれって言われたとき、俺すごくうれしかったんだよ…」
「知っている。泣きそうになりながら笑顔になっていたな…」
「うん。だって、あの時にはもうウィリディスが好きだったんだもん。そう言われて、嬉しくないはずがないだろ?でも…好きなのに答えられなくてごめん…俺、フィーディスのところに行くよりも何よりも俺は番になる前にやることがあるんだ」
「やること」
リューイはウィリディスの胸元にすり寄りながらも言葉を濁した。
何よりも大事なことだろうか。聞きたいことではあったがウィリディスは無理強いはしなかった。
顔にはりつく髪をどかし、優しく額に口づける。
「振り回されてもいい。それもまた甘美だと思う自分がいる」
低く笑えばリューイはほほを膨らませてウィリディスを見上げている。
リューイを抱きしめ肩に顔を埋めれば甘い香りがウィリディスを包む。
あまりにも考え込みすぎではないだろうか。
「リューイ…今はただお前とこうしていられるだけでいい。番のことは気にするな。まだお前が俺から離れるまでわずかでも時間があるだろう。それまでにフィーディスとの約束を破るほどに俺にのめりこませる」
「そ…そんなこというなよ。できるわけないだろ…ウィリディスのくせに」
「できる。今ですら俺が欲しいというリューイなんだ。できる。やってみせよう…俺は、お前も、研究結果も手に入れて見せる」
「……無理、ウィル…そんな強いこと言われたら、俺それだけでだめになりそう」
「ならば、ダメになってくれ。リューイ…お前を抱きたい」
耳元でささやかれた率直な欲望にリューイは腰が砕けたように思えた。
弟たちが待っている、そんなことすら頭から抜けて出ていった。すりっと顔をウィリディスに寄せる。
頭に手が回り顔を上げれば待ち望んだ唇が降ってくる。何度も口づけられ、舌を吸われればリューイはたまらなくなる。
ふたたび抱き上げられれば二人でプールに向かった。プールサイドの明かりだけが照らす中、ウィリディスの首に抱き着いてリューイは口づけを交わす。先ほどからウィリディスの手がリューイの肌を撫でていた。
水の中のはずなのにその手の熱さがしっかりと伝わってくる。
「ウィル…俺に興奮してくれてるの?」
「当たり前だ。俺自身驚いているんだ。お前を前にするとどうしようもなくほしくなる。何度だってお前の中に吐き出してお前を俺で汚したくなる」
ウィリディスに見つめられリューイは体の奥がキュッと締まったのを感じた。
水着に押さえつけられている自分の熱も硬くなる。ウィリディスに抱き着いていた腕を片方そろそろと水中にいれる。
何も言わないのをいいことにウィリディスの腹筋を指でなぞってから水着に指をかけた。
残念なことに腰付近まではライトの明かりは届かない。水着の縁をなぞりドキドキと心臓が音を立てるのを感じながら腿に触れゆっくりと内股へと指を進める。
そこに触れた時ウィリディスが少し息を止めた。どんな顔をしているのか見たい気持ちもある。しかしリューイは顔を上げずにゆっくりと水着を盛り上げるそこを指でなぞった。
「すごい…水の中なのにこんな熱くて…太くて…」
「興奮しているんだと言っただろう」
つむじに唇が落ちたのを感じる。
水着を脱がせたいのにうまく行かない。もどかしく思っていればウィリディスのものより先に自分の水着が引き下ろされた。
臀の丸みを確かめるように手のひらが滑り、割れ目に指が滑り込む。ウィリディスの胸元に顔を埋めたリューイはこらえきれない吐息を漏らした。
「あぁ…水の中は嫌か」
「違う…から、もっとさわって」
リューイの言葉に背中を押され口づけては漏れる声を飲み込みながらウィリディスは指をそこに沈めた。
ほんのわずかな隙間から水も入り込む。
水の冷たさと内部の熱さにウィリディスは震えが走る。
リューイも冷たさを感じているのか眉を寄せている。
「こんなところでセックスするとはな」
「俺も、初めて」
「そうか…」
中に入れた指は一本、ゆっくりと中にはいりこんだ水とともにかき混ぜる。
水のせいか、ゆるい快感が続きリューイはもっと刺激を求めてしまう。
「もっと…ウィル…」
「…お前を抱くのは何度目だろうな。こんなにも一人に固執したのは久しぶりだ。俺にはクロエだけだと思っていたのだが」
「わかんない。数えてないし」
「数えきれないほどお前を抱いていたか…」
リューイはウィリディスの顎の下を噛む。
咥えこんだウィリディスの指を締め付けては水の中で腰を揺する。
ウィリディスは指を増やして水中で孔を開いた。リューイは入り込んできた水に背が泡立った。
ぞくぞくと快感が体を走る。ウィリディスはリューイを支えたままわずかに笑った。気持ちいいと声を上げるリューイの顔を見られるのは自分だけなのだ。
「たらない…ウィル、もっと…これ、挿れて」
リューイの手が水着越しにウィリディスの熱を触る。
水着が貼りつきしっかりとその形がわかる。
リューイの手が上下に動く。はっきりとした目的をもって擦られウィリディスの閉じた唇がわずかに開き快楽に染まった声が漏れた。
リューイは今度こそ顔を上げた。ベッドの上でしか見ることのないウィリディスの顔がある。
リューイが手でしごくたびにウィリディスは閉じた瞳を震わせている。
「ウィル、気持ちいい?俺の中に挿れたらもっと気持ちいいよ…」
「知っている…お前のここも我慢できなさそうだしな」
指を引き抜いたウィリディスはリューイの手をどかせ水着を下ろす。体を寄せるリューイの足を持ち上げ縁に背中を預ける。リューイのシャツから透けて見える胸元を撫で、指先でつまめばリューイは甘く啼く。
臀の割れ目に己の熱を当て前後に腰を揺すればそれだけでもたまらなかった。
リューイは胸元に与えられる快楽を逃がそうとウィリディスの手をつかむ。しかしウィリディスは止めなかった。
「だめ…こんなの、気持ちよすぎて、服着れなくなっちゃう…そんなの恥ずかしい…」
「家の中では何も着ないままになるか」
「無理…そんな、変態なことできない」
「そうだな…裸のままで家の中をうろうろされたら四六時中お前に発情していそうだ」
反論が出かけた口から代わりに嬌声が上がる。
水とともに押し入ってきたウィリディスの熱をリューイのそこは歓喜して出迎えた。
根本はきつく、奥に行くにつれて柔らかくウィリディスを包み込む。
リューイは待ち望んだ熱に蕩けきる。リューイの熱はウィリディスの腹部に擦れて痛いほどに張っている。
リューイの足を両手で抱えなおせばじゃぶじゃぶと音を立てて上下に揺する。
そのたびにリューイのそこを水も出入りして普段とは違う快感が襲う。
「んんー…ぅあッ…あああっ… 」
「っはぁ……リューイ…」
「うぃ、る…きもちぃ?俺、熱くて、きもちいい…」
ウィリディスにしだれかかりリューイはキスをしてくる。
リューイを受け止めては吐息ごと唇を奪う。水が動きを邪魔してくるせいなのか、いつもよりも絶頂への道が長い気がしていた。
昔の自分であれば、こんな夜のプールなどでΩを抱くなんて考えもしなかっただろう。目の前で喘ぐ一人のΩにのめりこんで己を忘れることなどなかったはずだ。
「リューイ…愛してる…気持ちいい」
「え…へへ…嬉しい」
リューイの言葉よりもその体が如実に物語る。
ウィリディスから精を搾り取ろうとする動きに変わった。奥へといざない、根本から吸い上げる。
幾人もΩを抱いた。しかしリューイ以上に、己というαの存在を確かなものにするものをウィリディスは知らなかった。
「う、ああ、あ、ぅあッ…ああっ、ん…」
「ちゃんとイかせてやるから存分に喘げ。誰もいない。俺とお前だけだ」
強く己を押し込みリューイを幾度も貫く。
息を切らすウィリディスをリューイは愛おし気に見つめていた。
喘ぐ間にウィリディスの快楽に歪む顔を見つめる。クロエに嫉妬していた、なんていつか言ってみようか。
ウィリディスの心の奥深いところを占めているクロエをリューイはうらやましく思っている。愛していると、言葉も気持ちもくれる。それは確かなことで、リューイは疑っていない。
それでも時折ウィリディスの後ろにクロエの影がちらつく気がした。
「んはぅ…んんっ、んあっアッ…」
「リューイ、イけそうだな。ぐいぐいと俺のを飲み込んでいくようだ」
「ん、イける…ちょーだい?」
リューイの体をより強く抱きしめればリューイの熱が二人の体に挟まれて強く圧迫される。
ひゅっと息をのんだリューイをしり目にウィリディスは己の腰とリューイの腰を強く押し付けた。
奥のほうに精液を吐き出しながら息を乱したリューイと口づける。離れ際にリューイの唇を舐めればリューイは笑みを浮かべた。
「ウィルの…奥でびゅっびゅって跳ねてる…たまらない」
「そうか…」
ゆっくりと己を引き抜けば水面に白いものが浮かんでくる。
明日利用されることはないだろうがどのくらいでこの水は浄化されるのだろうか。つらつらとそんなことを考えながら力の抜けたリューイを支えてプールから上がる。
少し時間をかけすぎてしまった。
小屋に戻ればリューイの体を厚手のタオルでくるんでから先にその体を拭う。
風邪を引かないように拭き残しがないのを確認すれば水着から普通の服へと着せ替える。
水分補給のためのボトルと小さなビスケットを差し出してそれを食べる間にウィリディスは自分の処理をした。
「あぁ…忘れ物なら見つかった。迎えが…十分ほどだな。わかった。体を冷やしても困るから小屋の中にいる。着いたらまた連絡をしてくれ」
着替えを終えたウィリディスは連絡を入れた。
十分ほどで迎えに来るという。リューイはビスケットを食べてほっと一息ついている。
「大丈夫か、リューイ」
「うん、大丈夫」
「楽しかったか」
「うん、すごく楽しかった。俺プールなんて学校の授業ぐらいだよ」
「休みの間は友達と出かけなかったのか」
「プールはいかなかったな。俺わりと他よりも体が細いから見られたくなかったってのもあるかも」
リューイは言葉を切って複雑な表情を浮かべるウィリディスを見た。
鍛えようとしても筋肉がつかなかった。心のどこかで自分はΩなんじゃないかと不安になっていた。
だから、他人の裸を見るプールが苦手だった。
「でも今日は最高に楽しかった。レックスとシルバが泳いでいる姿を見て、クラルスが浮き輪に掴まってかわいく浮かんでいる姿を見て、フィーディスが弟たちに泳ぎを教えてる姿を見て……あんたが、それを見て笑顔を浮かべていた。すごく楽しかったよ」
「…そうか」
「……ねぇ、明日牧場行くと思うんだけど、そうなると多分明後日帰るんでしょ」
「その予定だ。いつまでも研究を止めることはできないから」
ウィリディスの言葉にリューイは膝を抱えてそこに顔を埋めた。
何か言いたいことでもあるのだろうか。
「……明日…さ、ウィルがよかったら、なんだけど…あの、東屋で、また俺を抱いてほしい…ってのはあり?」
リューイの小さな言葉にウィリディスはこれ以上ないほどに目を丸くした。
アクティナとアカテスは帰宅の前日、つまりに明日の夜に使用人たちも参加できるパーティをすると言っていた。
シルバたちに体に合わせた子供のスーツを着せて、たくさんのカラフルな料理と楽しい音楽とともに最後の思い出を作るのだろう。
リューイはもちろんそのことを知らない。どうしたものかとウィリディスは考えた。
「……なんとか時間を作ろう」
「いいの?!」
「お前の願いをかなえてやりたい。あの東屋で、というのならば二人で抜け出そう」
「うん!」
リューイは笑顔を浮かべてウィリディスに抱き着いた。
リューイを優しく撫でて再度連絡が入った端末を開く。迎えが来たようである。
リューイを促して立たせればウィリディスは二人一緒に迎えの車へと向かっていった。
運転席にいた執事は軽食を二人のために用意している。すでに食事を終えたレックスたちがリューイとお風呂に入りたくて待っているという。
「じゃぁ今夜はせんせーも一緒だね」
「俺も?」
「レックスたちが背中を流してくれると思うよ」
「そうか。では戻ったらすぐに風呂へ行こう」
「うん」
二人並んで座る後部座席で手をつないで寄り添う。屋敷までのわずかな時間を二人は目を閉じて過ごしていた。
0
あなたにおすすめの小説
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる