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「書きたい文章量の99倍はインプットしてるのにアイデアが浮かばない」問題

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 文を書こうにもアイデアが虫食い状態。
 とりあえず書こうにも何を書いていいかわからない。
 アイデアを箇条書きしてもピンとこない。
 最終更新が2月4日なのに、2月24日になってもエッセイのアイデアがひらめかない。
 
 そんなときはどうすればいいのか。


●まずすべきこと
 自分が、肉体的・精神的に疲れていないかを考える。
 疲れていたり、緊張状態だとアイデアは出にくい。まずは、自分の身心を回復することに徹しよう。


●肉体or精神的疲れが大のとき
 日常の気がかりや不安から、安全に心を休める、完全な休日をもうける。「休んだはずが、結局疲れている」という事態に陥らないため、徹底的に休む。

 具体的には
・サウナ行く。
・コーヒーのおいしいカフェへ行く。
・行きつけのマッサージ店へ行く。
・アニメや映画を観る。
・読むのが負担にならない、読みやすい本を読む。
 など、何もせずぼーっとしているだけで楽しめるものを、できるだけたくさん用意する。

 逆にヨガや筋トレ、その他レジャーは避ける。能動的な娯楽は、徹底的に避けべきだ。脳や体を使ってしまうので、休息には入らない。
 特に、間違っても創作はしてはならない。
 有意義ではない、完全な休日を過ごすには、相応の覚悟がいる。「十年後に良くなるために今頑張るんだ」という私のような人もいるかもしれない。けれどもぶっちゃけ、無理がたたって一年後筆を折るリスクの方が高い。


●それ以外の時
 アイデアの「きっかけ」が来るまで待つ必要がある。素直に、インプットに徹しよう。
 場所を変えたり、散歩したりしても、必ずしもアイデアが降ってくるとは限らない。アイデア出しとは、走っているのにゴールが全く近づかないマラソンのようなもの。
 誰だって辛いし、自分の無能さを嘆きたくなる気持ちもわかる。
 かといって、自分を追い詰めれば余計に発想力は弱くなってしまう。人間である以上、調子の良し悪しとは切っても切り離せない。プロの作家ですら、書けないときは書けない。
 だから、アイデアが浮かばない自分を責めたりせず、気長に待とう。
 アイデアが浮かぶかどうかは完全に「運」次第なのだから。


●「運」をつかむ
 では、運をつかむには具体的にはどうすればよいのだろうか? 幸運チートがない我々にはどうしようもないのか。

 「運の方程式(著:鈴木 祐)」には、以下のように述べられている。

 科学的な運のつかみ方は、次のようにまとめられる。
 『幸運=(行動×多様+察知)×回復』
 具体的には、以下のような能力が必要になる。

①「行動力」。普段やらないような活動を増やす。
→自らの得意分野を超えたジャンルに興味を抱き、損得勘定を超えて幅広いチャレンジを重ねなければ、どんな才能も生かされずに終わる。具体的には「少し抵抗があるが、頑張ればできるような、やったことのないことをやる」。

②「察知力」。予期せぬ幸運を見逃さず察知する。
→察知力を高めるには「問いを立てる」、「視野を広げる」、「知的謙虚さを持つ」などの方法がある。

③「継続力」。予期せぬ偶然の中身を掘り下げ、行動の質を高める。
→運よく勝利が勝利を産むような人生の確変状態になったときは、確変が終るまでリソースを一点集中する必要がある。その際に、同じことを続ける継続力が必要になる。

④「回復力」。失敗にめげず、コンテニューを繰り返す。
→行動すれば不運も増える。挫折から立ち直るのが早ければ行動量が増える。科学者的マインドセットを持つこと、自己侵襲対策をすることがが推奨されている。

○科学者的マインドセット
・問題を解くためには仮説と検証を繰り返すしかない。
・実験の失敗とは新しく得られたデータの一つでしかない。
・失敗は行動においてごく自然なことであり、自分の能力の低さを示す根拠にはならない。
・失敗の中には将来の改善に役立つ重要な情報が含まれている。
・私達は世界の中で仮説を立て続け、その確からしさを検証しているのだ。
 →このような、科学者的な考え方を持つことが大事。

 このうち「察知力」や「継続力」の訓練は、小説書きなら誰でもしている。ネタ探しから、小説を書き上げるまでのプロセスがまさにソレだからだ。
 今、私たちにできるのは「普段やらないような活動を増やす」一点である。


●では、具体的にはどうすればいいのか
 「予期せぬアイデアを思いつくような状況」を、自分から作り出す必要がある。
 では、それはどんな状況だろう? 私が思うに、次の二点を満たしている状況である。

①アイデアは頭がリラックスしていると、浮かびやすい。
②気分がウキウキだと、浮かんだアイデアを批判せず、出力しやすい。

 それはどういうときか。

 結論から言うと、「ハッピーなイベントのある休日の朝」である。
 「前日の夜は?」と思う方もいるかもしれないが、「夜」はおすすめしない。午前三時かけて人間のメンタルは落ち込んでいくので、夜更かししても自己否定が加速するばかりだ。

●イベントのある休日
 前日は「イベントかぁ。でもかったるいな。体もだるいし、めんどうだな……」と思いながら床につく。
 朝起きてみると、ふしぎなほど気持ちが落ち着いている。期待していたドキドキ・わくわく感はない。
 しかし、家を出て歩き始めてから気づく。「アレ? 妄想がはかどるぞ」と。後は、思いついたことをスマホやら、手帳やらにメモしていけば良い。

 そして、――ここが何より重要なのだが――イベントが始まったら、小説のことなんか忘れて思いっきり楽しむ。
 「全力で楽しんだ経験」は本では得ることができない。後で欲しくなったときに手を伸ばしても、その瞬間はすでに過ぎ去っている。
 小説のために「今この瞬間」をおろそかにすることこそ、小説の質をおとしめる行為に他ならない。
 家に帰ったあとに、好きなだけ体験やアイデアを、ノートやPC、ポメラにタイプすればいい。


●妄想で集中できないときはどうすればいいのか?
 好きなことをしていたとしても、ふとした衝撃で嫌なことは思い浮かぶことがある。余計な考えが浮かんでしまう。
 アイデアの天敵「嫌な妄想」だ。「思い浮かべてはダメだ」と念じる度に、どんどん膨れ上がってしまう。
 そんなときはどうすればいいのか。

①言葉で確認する。
 嫌なことが思い浮かんだら「ああ、嫌なことが思い浮かんだな」と心を見つめる。他にも違和感を感じたら、「疲れを感じているな」「気力が落ちているな」「イライラしているな」というように、客観的に確認する。
 肯定も否定もしない。ただ、言葉で確認するだけ。
 言葉で確認すると、心は落ちつきを取り戻す。

②カラダの感覚を意識する。
 次は、今している「感覚」に意識を向ける。
 「右足、左足、右、左……」と、歩いている感覚に目を向けたり、「息を吸っている、吐いている……」と呼吸の感覚に意識を向け続ける。
 悩みはいつも「心の内側」に生じる。だから、悩みから抜けるには「心の外」にあるカラダ感覚に意識を向けることがベストだ。

 これを繰り返せば、フラッシュバックに襲われても、すぐに楽しい気分に戻れるようになる。


●「ハッピーなイベントのある休日の朝」を作るには準備がいる
 一人でできる娯楽は、ざっと思いつくだけでも以下のようなものがある。

・動物園、水族館、博物館、ゲームセンターなどのレジャー施設
・スケートやボウリング、水泳などのスポーツ
・カラオケ
・同人イベントやライブイベント
・美術展や展覧会
・旅行

 どれもハードルが高い(絶望)。
 疲れているときや、アイデアが浮かばずに悶々としているときに、新体験を設定するのはハードルが高い。自分の心身に余裕があるときに、あらかじめ楽しめるレベルまで体験しておくことが大切である。
 予定を組み込むときも、なるべく早い方が良い。可能であればチケットなどを予約しておくのがおすすめだ。友達がいるのなら、一緒に遊びに行く予定を立てるのもよいだろう。
 後で予定を立てようとしても、休日の直前は精神が病んでそれどころではない。雨の中ずぶ濡れでレインコートを買いに行くようなものである。娯楽の予定を立てるなら、心が晴れているうちに、だ。
(ちなみに、一般的に休まるとされる本屋や図書館、ブックカフェは我々にとって第二の職場と化しているため休まらない。注意しよう)


●良質な小説を書くために「少しでも人生を楽しもう」という姿勢を持とう
 多くの楽しさは、技術的習熟の先にしかない。料理にしても釣りにしても、何に関してもである。私達にとっては半ば「娯楽」だったり「惰性でするもの」である読書でさえ、本を読まない人からすれば「訓練」であり「練習」なのだ。
 大きな充実感を得られるレジャーは、楽しむためのコストが高い。また、金のかからない趣味ほど、技術的習熟が不可欠となる。
 新しい娯楽を開拓するのは、大変だ。ハードルは高い。怖いし、金も時間もかかるし、何より面倒だ。後回しにしても、誰からも攻められはしない。
 しかし、長い時間をかけて手に入れた趣味は、必ずあなたの資産になる。
 そして、その資産はもちろん、小説に生かすことができるのだ。

参考書籍
「発達障害サバイバルガイド(著:借金玉)」
「反応しない練習(著:草薙 龍瞬)」
「運の方程式(著:鈴木祐)」
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