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レプスウィークス編
兎、見つかった
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「「うわぁぁあぁああ!!」」
ドラゴンの声が背後からかかり、俺たち親子は悲鳴を上げた。
が、振り返ってみればそこには同じ兎人族の少年が立っていた。
予想だにしない展開に両目が点になり、口は再び開かれる。
「「うわぁあああ!」」
「うわぁあああ!」
なぜか驚かしてきた本人も驚いている。
手には大きな角のようなものが握られていた。
「急に大きな声だすなよびっくりするなぁ」
少年は心底びっくりしたと僕らに文句を言った。
しかしドラゴンに怯えている最中、背後から突然知らない人に声をかけられても驚くな、と言われても無理な話である。
「いやだって、いきなり背後に現れるから……」
「二人ともっ、今は隠れて!ドラゴンがまだ周辺うろついてるかもしれないだろ!?」
バンコが俺と少年をひっぱって無理やり茂みの中へとおいやる。
瞬時に伏せたバンコは、ぷるぷる震えては上空を睨み続けていた。
ドラゴンとはそれほどの存在なのだろうけど、そのときの俺の目には情けなく映っていたのもまた事実であった。
「ちょっ、なにすんだよオッサン」
「ったく、近くにいたならドラゴンの声が聞こえただろ!?頼むから静かにしていてくれ!」
「あ、大丈夫だよ。それドラゴンじゃなくて俺の声だし」
「「ええっ!?」」
「ま、正確には俺の持つ笛の音なんだけどね」
そういって少年は持っている大きな角を見せ付けてくる。
俺やバンコの眼前にある大きな角、そこにはいくつかの穴が開いており、確かに笛の様相を呈していた。
しかしこの笛からあのドラゴンの底鳴りするような声が出せるとは、にわかには信じがくもあった。
「面白いだろ?」
そういって少年は笑った。
その笑顔に俺はすっかりやられ、それがきっかけで抱いていた警戒心は瓦解していった。
「でもこの笛からドラゴンの声なんて出せるかな?」
「んー、近くで聞けばドラゴンの声には程遠いんだけどな。笛と知らずに聞けば、遠くでドラゴンが威嚇してるときの声に似てるらしいんだ。仕組みはわかんねーけど」
ドラゴンと言って最初に思い出されるのは俺が殺してしまった銀白色の竜だが、鳴き声自体で言えば実はもっと以前にも聞いたことはある。
兎人族の村には人間もたまに訪れるそうなのだが、地竜は前世での馬や車のような、いわば乗り物に該当するらしい。
地竜は人間たちの前では大人しくしていたが、それ以外ではよく鳴き声を上げていた。
そのときのドラゴンの声と、少年が出したと言う笛の音がそっくりだったのだ。
「へー」
「もともとは人間から奪った物なんだ。質屋に出そうと思ったら全然安くて渋々引き取ったやつなんだけど、使ってみると割と役に立つんだよなーこれ」
なんて話をしていると、バンコが少年のことを呼んだ。
父親としてお礼が言いたいのだろう。
そこで俺は自身がまだお礼を伝え忘れていたことに気づかされた。
ドラゴンのことに無意識にも動転してしまっていたらしい。
「ありがとう。君のおかげで僕と息子のカイセルは命を救われたよ」
「俺からも礼を言わせてくれ。本当にありがとう」
両側から挟むようにして褒められた少年は、あまり褒められ慣れていないのか、顔を真っ赤にしてあからさまに照れた。
頬を掻く仕草からも、その心情は表れていた。
「いいっすよ。当然のことをしたまでですから」
その様子がなんとも可愛らしく思えた。
といっても、俺も同年代なわけだが……。
「僕はバンコ、息子はカイセルというんだ。君の名前はなんていうんだい?」
そう訊ねると、少年は若干の戸惑いを見せつつ、こう名乗った。
「俺は将来、大金持ちになる男。アルバだ!」
名刺代わりとでもいうかのように、少年はニカッとに笑って見せた。
ドラゴンの声が背後からかかり、俺たち親子は悲鳴を上げた。
が、振り返ってみればそこには同じ兎人族の少年が立っていた。
予想だにしない展開に両目が点になり、口は再び開かれる。
「「うわぁあああ!」」
「うわぁあああ!」
なぜか驚かしてきた本人も驚いている。
手には大きな角のようなものが握られていた。
「急に大きな声だすなよびっくりするなぁ」
少年は心底びっくりしたと僕らに文句を言った。
しかしドラゴンに怯えている最中、背後から突然知らない人に声をかけられても驚くな、と言われても無理な話である。
「いやだって、いきなり背後に現れるから……」
「二人ともっ、今は隠れて!ドラゴンがまだ周辺うろついてるかもしれないだろ!?」
バンコが俺と少年をひっぱって無理やり茂みの中へとおいやる。
瞬時に伏せたバンコは、ぷるぷる震えては上空を睨み続けていた。
ドラゴンとはそれほどの存在なのだろうけど、そのときの俺の目には情けなく映っていたのもまた事実であった。
「ちょっ、なにすんだよオッサン」
「ったく、近くにいたならドラゴンの声が聞こえただろ!?頼むから静かにしていてくれ!」
「あ、大丈夫だよ。それドラゴンじゃなくて俺の声だし」
「「ええっ!?」」
「ま、正確には俺の持つ笛の音なんだけどね」
そういって少年は持っている大きな角を見せ付けてくる。
俺やバンコの眼前にある大きな角、そこにはいくつかの穴が開いており、確かに笛の様相を呈していた。
しかしこの笛からあのドラゴンの底鳴りするような声が出せるとは、にわかには信じがくもあった。
「面白いだろ?」
そういって少年は笑った。
その笑顔に俺はすっかりやられ、それがきっかけで抱いていた警戒心は瓦解していった。
「でもこの笛からドラゴンの声なんて出せるかな?」
「んー、近くで聞けばドラゴンの声には程遠いんだけどな。笛と知らずに聞けば、遠くでドラゴンが威嚇してるときの声に似てるらしいんだ。仕組みはわかんねーけど」
ドラゴンと言って最初に思い出されるのは俺が殺してしまった銀白色の竜だが、鳴き声自体で言えば実はもっと以前にも聞いたことはある。
兎人族の村には人間もたまに訪れるそうなのだが、地竜は前世での馬や車のような、いわば乗り物に該当するらしい。
地竜は人間たちの前では大人しくしていたが、それ以外ではよく鳴き声を上げていた。
そのときのドラゴンの声と、少年が出したと言う笛の音がそっくりだったのだ。
「へー」
「もともとは人間から奪った物なんだ。質屋に出そうと思ったら全然安くて渋々引き取ったやつなんだけど、使ってみると割と役に立つんだよなーこれ」
なんて話をしていると、バンコが少年のことを呼んだ。
父親としてお礼が言いたいのだろう。
そこで俺は自身がまだお礼を伝え忘れていたことに気づかされた。
ドラゴンのことに無意識にも動転してしまっていたらしい。
「ありがとう。君のおかげで僕と息子のカイセルは命を救われたよ」
「俺からも礼を言わせてくれ。本当にありがとう」
両側から挟むようにして褒められた少年は、あまり褒められ慣れていないのか、顔を真っ赤にしてあからさまに照れた。
頬を掻く仕草からも、その心情は表れていた。
「いいっすよ。当然のことをしたまでですから」
その様子がなんとも可愛らしく思えた。
といっても、俺も同年代なわけだが……。
「僕はバンコ、息子はカイセルというんだ。君の名前はなんていうんだい?」
そう訊ねると、少年は若干の戸惑いを見せつつ、こう名乗った。
「俺は将来、大金持ちになる男。アルバだ!」
名刺代わりとでもいうかのように、少年はニカッとに笑って見せた。
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