峻烈のムテ騎士団

いらいあす

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第四話 ピクニック日和 その3「楽しい楽しいボール遊び」

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「ねえねえアスティ、ローナちゃんボール持ってきたからこれで遊ぼうよ」 
「わかった! マァチと団長もやるか!!」
「私はいい。片づけた後、デザートの準備したい」
「じゃあ我はマァチを手伝おう。あんまり遠くに行きすぎるんじゃないぞ、二人とも」
「はーい」
「わかったー!!」

ローナとアストリアはボールを抱えて戦場へと向かっていった。これはつまり、ピクニックエリアが拡張されたということである。

「ボールあてっこしようよ。ボールを投げあって体に当たったら負けのやつ」
「いいぞ!! じゃあ私から投げる!!」

勢いよくアストリアから投げられたボールがローナの元へと向かう。もちろんローナだって大人しく当たるのを待っているわけもなく、ボールを避けた。
しかし避けたボールは後ろで戦う兵士の後頭部に直撃し、彼は倒れてしまった。

「じゃあ今度はこっちの番」

ローナは念力でボールを浮かべ、そして投げた。その勢いはアストリアの球威に負けず劣らずである。
だが、アストリアだって大人しく当たるのを待つわけがなく、近くにいた兵士を掴んで盾にし、身を防いだ。

「名付けてそこら辺にいたやつシールドだ!!」

そこら辺にいたやつシールドは顔にボールが当たってしまい、これまた気絶してしまった。
そして落ちたボールをアストリアが広い、また勢いよく投げる。

「だったらこっちは憑りつかれシールドだ!」

ローナは近くの兵士に取り憑くと、ボールの前まで歩みよりその体で受け止めさせた。 
今回は頭でなくお腹に当たったので気絶はしなかったが、ローナが憑依を解除した瞬間に、彼はものすごい腹痛に襲われるのであった。


「おいローナ!! 取り憑いたらお前に当てられないだろ! ずるいだろ!!」
「ごめんごめーん」

そもそも幽霊の体に、ボールが当たらないことにアストリアはまだ気づいていない。そんな アスティに向かってローナが再度ボールを投げる。

「そこら辺にいたやつシールド2号を食らえー!!」

アストリアはまたしてもそこら辺にいた兵士を掴むと、今度はシールドではなくバットの様にスイングしてボールを打ち返した。
そこら辺にいたやつシールド2号はもちろんのこと、打ち返された球が別の兵士にあたり、そしてそれが跳弾してまた別の兵士に当たるという連鎖反応で次々と気絶者が増えていく。
こうして二人のボール遊びでどんどん兵士が戦地で倒れていくのであった。 

一方そのころ、ピクニックシートではデーツが皿を布で拭き、マァチは杖から出る冷風でボウルを冷やしながら生クリームを泡立てていた。

「クリームを混ぜるぐらいなら我がやってやろう。だから遊んできてもいいのだぞ」
「いい。 運動は好きじゃないし。それにクリームを泡立てるのにもコツがいる」
「むう、我だって料理はできるのだがな」
「いい」 

デーツはやれやれといった表情で、目を伏せたマァチの顔を見た。

「私の顔に何かついてる?」
「ああ、跳ねたクリームがほっぺたに」

するとデーツは、マァチの頬についたクリームをそっとキスするように舐めとった。その行為に思わずマッチは顔を赤らめる。

「バカ」
「はははははは」 

その時バーペラが戻ってきた。

「おや、楽しそうだね二人とも」
「あぁ、だいぶ楽しんじゃった。それよりタナカはどうだった?」
「案の定カマキリウサギに襲われていたよ。でも彼なら大丈夫だと思う」
「そうかそうか」

デーツはバーベラの言葉を聞いて、何やら満足そうな表情を浮かべた。
一方、マァチが何かを探しているのかバスケットの中を覗き込んでいた。

「どうした?」
「忘れ物したみたい」
「僕が取ってこようか」
「いや、いい。 借りてくる」

マァチも戦場の方へと向かっていった。

「ふうん。まあ、いっか。それより団長、ちょっと疲れたから横になってもいい?」
「んー? はいはい、どうぞ」

バーベラの言う横になるという意味に隠れたもう一つの欲求を察し、デーツは胡坐をかいていた状態から正座へと姿勢を変え、その太ももの上にバーベラが頭を乗せて横になった。
彼女は膝枕をしてほしかったのである。

「ああ、すごい安定感」
「伊達にムチムチしてるわけではない」
「ナイスムチムチー。この寝心地、疲れが吹き飛ぶよ」
「昨晩から、あの店の子から戦争の情報を聞きだしたりと、忙しかったもんな。お疲れさん」 
「あそこの店は兵士とか傭兵がよく来るみたいでさ。適当に指名しただけでも、結構な情報握っている子と会えるんだよね」 
「規模の小さい争いでよかったよ。これなら多少の妨害で戦争が中断できる。
だけど、まさか合戦の日が今日行われるとは、運がいいのか悪いのか」 
「僕にとって運がいいか悪いかは、好みの子とヤれるかどうかだから別にどうでも」

そして二人で笑いあった。そんな二人の様子は、見る人によっては恋人同士にも、親友同士にも、親子や姉妹と様々な形に見えるだろう。

「それよりもあのタナカっていうの、いつまで置いておく気だい?
みんなあなたの命令ならなんでも従うけど、でも賊を飼うなんてことはやったことなかったろ?
ローナとアストリアは新しいおもちゃが増えた感覚だろうけど、マァチなんかは結構警戒してるし」
「マァチの人間嫌いは我もよくわかってるさ。 だが、タナカはしばらく置いておく」
「気に入ったのかい?」
「気に入るというか、少し気になる点があってな。
まあ強いて気に入ったというなら、薔薇の手入れが終わったあと、あいつの目が輝いていたのだ。 まるで初めて生きる意味を持ったかのような目。いやそれは言い過ぎか」 
「ふうん。なんでもいいや。僕たちはあなたが何を考えていようと、あなたのことが大好きだからね」
「ああ、我もみんなのことが大好きさ」
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