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第七話 ちびっ子ナイトパーリィ その3「泥試合」
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ローナの部屋という名の処刑場へと集まった一同。
そしてローナは散らかった拷問道具やおもちゃの山からカードの束を取り出した。
「さあ、やるゲームはこれ! 決闘王者カード!」
「それかー」
「面白いよなそれ!!」
「何それ?」
タナカは机の上に置かれた決闘王者カードをまじまじと見る。裏向きなのか、模様らしい模様はなく、ただ真っ黒な背景とその中央に茶色の渦が描かれいてるだけだった。
「これの遊び方は、まあ見てればわかるよ。
順番は概ねさっきと同じだけど、手本を見せるために、アスティとタナカ君の順番を入れ替えてあげる。
じゃあまずはローナちゃんがやるね。いくよ! カードドロー!!」
カードの山札から一枚ひくローナ。そしてそれを天にかざすと、カードが光輝いた。
タナカはその光に目が眩み、腕で顔を覆った。すると、天井からバケツ一杯分の泥の山が落ちてきた。
「な、なんだこれ?」
「泥。正確には幻影の泥」
「なんで泥?」
ローナとタナカが会話してる間にマァチがカードをひいて、ローナと同じように天にかざした。そして同じく光輝いて、泥が落ちてきた。
「またかよ」
「またじゃないよ。マァチの泥は・・・・・・ローナちゃんのより少ない! というわけでローナちゃんの勝ち!」
「ちっ」
「え? なにこれ泥の量を競うゲーム?」
「それ以外に何があるってんだ!! ドロー!!!!」
アストリアは大声高くドローをする。
彼女の出した泥山はローナの背丈、つまり平均的な10歳の子供の身長と同じ高さの量であった。
「よし!! あたりだ!!!」
「あーいいなー」
「アスティって結構運がいい」
「タナカ!! この高さが超えられるか!!!」
「え、ド、ドロー!」
見よう見真似でタナカもカードを引いて天にかざす。
彼が出した泥は自分の背丈のである約170センチと同じぐらいの高さだ。
「おお!? これは大当たりじゃないか!?」
しかし、彼の泥は三人のものと質感が異なっていた。そしてその違いに最初に気づいたのは彼の鼻だった。
「臭っ! なんだこの泥!」
「あーそれは泥じゃなくて馬糞だね」
「馬糞!?」
ローナがタナカのカードを見て言う。タナカも掲げたカードを降ろして見ると、表の面には確かに馬とその近くに落ちてある馬糞の絵があった。
「所謂ハズレのカード。俗に言うババだね」
「なんだよこのクソゲーは!」
汚い言葉が続々出てくるそんなお話、“峻烈のムテ騎士団”。
「ちなみに臭いは出した本人しか嗅げないから私達は安心安全」
「とことんクソみたいな仕様だな!」
「だが安心しろ!! ババを引いたやつは2巡目で“土を耕す農家さん”のカードが引ければ、糞が泥扱いになって逆転できるぞ!!!」
「ええ!?」
とりあえず勝利しなけれならないタナカは、よくわからないまま2巡目に挑戦する。もちろんこの間にも臭いは漂ったままだ。
「よし! ローナちゃんの番だドロー!」
すると、天井から麦わら帽子とツナギとクワを身につけた男が降ってきた。
そして男は
「耕すべー!」
と言いながら先程ローナが召喚した泥を使って、畑を耕し始めた。
「あ、農家さんのカードだ」
「あれがか!? 畜生!逆転のチャンスが!」
「安心しろ!! 同じカードは3枚入ってるからな!!!」
そんな事を話してる間にマァチがまたしてもドローをしていた。そして彼女のカードも農家さんのカードであった。
「耕すべー!」
二人で耕し始める農家さん。
「げっ! あと一枚かよ!」
「私のターン!!! ドロー!!!」
タナカは焦っていた。このまま流れで農家さんカードが出るのではないかと。もしそうだった場合、タナカは屈辱とちゃんとカードシャッフルしろよという感想を抱くだろう。
精一杯“農家さん来るな、農家さん来るな”という、今まで生きてきた中で一度も考えたことのないワードを願うタナカ。そして願いが叶った。
「ヨシ!!! さっきと同じ量の泥だ!!!!」
「ヨシ!」
珍しくアストリアと一緒に喜ぶタナカ。
「タナカ君喜ぶのはいいけど、次に”土を耕す農家さん“が来ないと負けだからね?」
「そ、そうだった。じゃあひくぞ!」
慎重に一番上のカードに触れるタナカ。そしてさっきとは真逆の“農家さん来い”という願いを心の中でめいいっぱい描きながらひいた。
「ドロー!」
そしてカードが輝き運命が決まる瞬間が訪れる。彼の目の前には、なんと! 農家が降り立った。
「や、やった!」
これでタナカの二勝。条件はのまれてタナカの心に平穏が戻るはず・・・・・・だった。
「用を足すべー!」
「え?」
先程のかけ声とは別の台詞を吐く農家さん。そして彼はツナギを脱ぎ始める。
「どういうことだ!?」
「それは“ついでに用を足す農家さん”カード。つまりはさっきと同じでババのカードだよ」
「ババにも種類あるのかよ! ていうかついでじゃなくてトイレ行けちゃんと!」
「とりあえず、今回もアスティの勝利だから次行こ次」
マァチを筆頭に三人ともカードを置いてローナの部屋を出て行く。もちろん、農家さんが用を足す姿を見ないためにだ。
「待てよ! この後どうすんだよ!」
「ビリの人がカードの片付けをするの。ちなみにその幻影が消えないとカードは回収できないから。まああと10分ぐらいで消えると思うよ」
ローナの声が部屋に響く。その間にもタナカの目の前では農家さんが用を足す光景が繰り広げられている。お察しだろうが、用とは大のことである。
「10分もここ閉じ込められるのかよ!? クソとクソ出してるおっさんと一緒に!?」
目を瞑るも音と臭いが襲ってくる。
「そもそも泥出して戦うとかなんも面白くねえんだよ!!!」
そしてローナは散らかった拷問道具やおもちゃの山からカードの束を取り出した。
「さあ、やるゲームはこれ! 決闘王者カード!」
「それかー」
「面白いよなそれ!!」
「何それ?」
タナカは机の上に置かれた決闘王者カードをまじまじと見る。裏向きなのか、模様らしい模様はなく、ただ真っ黒な背景とその中央に茶色の渦が描かれいてるだけだった。
「これの遊び方は、まあ見てればわかるよ。
順番は概ねさっきと同じだけど、手本を見せるために、アスティとタナカ君の順番を入れ替えてあげる。
じゃあまずはローナちゃんがやるね。いくよ! カードドロー!!」
カードの山札から一枚ひくローナ。そしてそれを天にかざすと、カードが光輝いた。
タナカはその光に目が眩み、腕で顔を覆った。すると、天井からバケツ一杯分の泥の山が落ちてきた。
「な、なんだこれ?」
「泥。正確には幻影の泥」
「なんで泥?」
ローナとタナカが会話してる間にマァチがカードをひいて、ローナと同じように天にかざした。そして同じく光輝いて、泥が落ちてきた。
「またかよ」
「またじゃないよ。マァチの泥は・・・・・・ローナちゃんのより少ない! というわけでローナちゃんの勝ち!」
「ちっ」
「え? なにこれ泥の量を競うゲーム?」
「それ以外に何があるってんだ!! ドロー!!!!」
アストリアは大声高くドローをする。
彼女の出した泥山はローナの背丈、つまり平均的な10歳の子供の身長と同じ高さの量であった。
「よし!! あたりだ!!!」
「あーいいなー」
「アスティって結構運がいい」
「タナカ!! この高さが超えられるか!!!」
「え、ド、ドロー!」
見よう見真似でタナカもカードを引いて天にかざす。
彼が出した泥は自分の背丈のである約170センチと同じぐらいの高さだ。
「おお!? これは大当たりじゃないか!?」
しかし、彼の泥は三人のものと質感が異なっていた。そしてその違いに最初に気づいたのは彼の鼻だった。
「臭っ! なんだこの泥!」
「あーそれは泥じゃなくて馬糞だね」
「馬糞!?」
ローナがタナカのカードを見て言う。タナカも掲げたカードを降ろして見ると、表の面には確かに馬とその近くに落ちてある馬糞の絵があった。
「所謂ハズレのカード。俗に言うババだね」
「なんだよこのクソゲーは!」
汚い言葉が続々出てくるそんなお話、“峻烈のムテ騎士団”。
「ちなみに臭いは出した本人しか嗅げないから私達は安心安全」
「とことんクソみたいな仕様だな!」
「だが安心しろ!! ババを引いたやつは2巡目で“土を耕す農家さん”のカードが引ければ、糞が泥扱いになって逆転できるぞ!!!」
「ええ!?」
とりあえず勝利しなけれならないタナカは、よくわからないまま2巡目に挑戦する。もちろんこの間にも臭いは漂ったままだ。
「よし! ローナちゃんの番だドロー!」
すると、天井から麦わら帽子とツナギとクワを身につけた男が降ってきた。
そして男は
「耕すべー!」
と言いながら先程ローナが召喚した泥を使って、畑を耕し始めた。
「あ、農家さんのカードだ」
「あれがか!? 畜生!逆転のチャンスが!」
「安心しろ!! 同じカードは3枚入ってるからな!!!」
そんな事を話してる間にマァチがまたしてもドローをしていた。そして彼女のカードも農家さんのカードであった。
「耕すべー!」
二人で耕し始める農家さん。
「げっ! あと一枚かよ!」
「私のターン!!! ドロー!!!」
タナカは焦っていた。このまま流れで農家さんカードが出るのではないかと。もしそうだった場合、タナカは屈辱とちゃんとカードシャッフルしろよという感想を抱くだろう。
精一杯“農家さん来るな、農家さん来るな”という、今まで生きてきた中で一度も考えたことのないワードを願うタナカ。そして願いが叶った。
「ヨシ!!! さっきと同じ量の泥だ!!!!」
「ヨシ!」
珍しくアストリアと一緒に喜ぶタナカ。
「タナカ君喜ぶのはいいけど、次に”土を耕す農家さん“が来ないと負けだからね?」
「そ、そうだった。じゃあひくぞ!」
慎重に一番上のカードに触れるタナカ。そしてさっきとは真逆の“農家さん来い”という願いを心の中でめいいっぱい描きながらひいた。
「ドロー!」
そしてカードが輝き運命が決まる瞬間が訪れる。彼の目の前には、なんと! 農家が降り立った。
「や、やった!」
これでタナカの二勝。条件はのまれてタナカの心に平穏が戻るはず・・・・・・だった。
「用を足すべー!」
「え?」
先程のかけ声とは別の台詞を吐く農家さん。そして彼はツナギを脱ぎ始める。
「どういうことだ!?」
「それは“ついでに用を足す農家さん”カード。つまりはさっきと同じでババのカードだよ」
「ババにも種類あるのかよ! ていうかついでじゃなくてトイレ行けちゃんと!」
「とりあえず、今回もアスティの勝利だから次行こ次」
マァチを筆頭に三人ともカードを置いてローナの部屋を出て行く。もちろん、農家さんが用を足す姿を見ないためにだ。
「待てよ! この後どうすんだよ!」
「ビリの人がカードの片付けをするの。ちなみにその幻影が消えないとカードは回収できないから。まああと10分ぐらいで消えると思うよ」
ローナの声が部屋に響く。その間にもタナカの目の前では農家さんが用を足す光景が繰り広げられている。お察しだろうが、用とは大のことである。
「10分もここ閉じ込められるのかよ!? クソとクソ出してるおっさんと一緒に!?」
目を瞑るも音と臭いが襲ってくる。
「そもそも泥出して戦うとかなんも面白くねえんだよ!!!」
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