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第十三話 ローナちゃんの夜遊び その2「やっぱ駆けようか、うん駆けるぞ!」
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「さーて、次は何して遊ぼ・・・・・・じゃなかった、どこを見廻ろうかなー」
ぬいぐるみで遊びながら月光に照らされるローナ。すると、城の周囲の森がいつもよりも騒がしいことに気づく。
「おやおや、どうしたんだろう」
ローナは森まで飛び、騒々しくなってる場所に行くとそこにはカマキリウサギが群れで吠えていた。
「どうしたんだろう? あ!」
群れの中には、生まれたばかりで羊水で毛を濡らした小さいカマキリウサギが混じっていた。
「ああ、カマキリウサギの生まれる時期に入ったんだ。確か、タナカ君が来た頃に繁殖期だったから、あれから1か月ぐらい経ったんだなー。
よくまあタナカ君、1か月も私たちの生活に耐えたもんだ。褒めてあげよう。本人いないけど」
すると、ローナの存在に気付いた雄のカマキリウサギが、彼女に鎌状の爪を振り下ろす。もちろんすり抜けてしまうが。
「ごめんねお父さん。それ無意味なんだよ。だけど大丈夫! ローナちゃんは襲ったりしないからさ」
言葉が通じないので雄達は何度も爪を振り下ろして、何度もすり抜けさせる。
その内疲れたのか無意味だと学習したのか、現実逃避が出来るほどの知恵があるのかは知らないが、ローナの事を無視し始めた。
「それでいいそれでいい。さてさて、ピョンピーナ隊員。あれがカマキリウサギの赤ちゃんだよー。
"親近感が湧くであります!"
まあ、見た目はウサギぽいけどさー。大人になるとあんな風になるんだよー」
出産の体力を消耗して、襲いかかるだけの気力を失っている母カマキリウサギだが、生まれたての我が子に近づくローナに怒りの形相を向けている。
だが、ローナにとってはそれは他愛もないものなので無視されてしまう。
また、赤ちゃんカマキリウサギには警戒心もなく、足をぷるぷると震わせながら、ローナの持つぬいぐるみに興味津々だ。
「ピョコピョコ~」
「鳴いた~! 超かわいい~!」
何度でも出てくる余談だが、フレミッシュジャイアントという体長が50㎝~70㎝という大きなウサギの品種が現実世界に存在するが、赤ちゃんカマキリウサギもだいたいそのぐらいの大きさである。
「あ~撫でたいな~モフモフしたいなぁ~」
目を輝かせて赤ちゃんを眺めていると、大人のカマキリウサギ達がまた一斉に吠えだした。
「ピョコピョコタン! ピョコピョコタン!」
鳴声が無駄に可愛いので、人によっては癒しの風景になるやもしれんが、とにかく彼らは警戒を強めた。
なぜなら、自分たちの周りを体長10メートルの巨大蛇の群れに囲まれたからだ。
「あれは確かピュートーン。この森にも出るんだ」
カマキリウサギは長い爪を突き出して威嚇し、噛みつこうと襲いかかるピュートーンを八つ裂きにする。
しかし、ピュートーンは普通の蛇よりも知能が発達しており、地面を這っ襲ってくる群れは囮であり、そちらに気を取られている隙に、木を蔦っている群れが上から襲いかかる。それが彼らの狩のスタイルである。
もちろん狙いは中央に固まっている出産直後で動けない母カマキリウサギと生まれたてのカマキリウサギである。
「ピョコターン!」
突如上から襲いくるピュートーンの姿に、愛する家族の最期を悟った父カマキリウサギ達の悲痛な叫びが森の中にこだまする。
しかし、その悲劇は食い止められる事となる。この幽霊少女ローナによって。
「はいはいごめんねー」
ローナはめいいっぱい力を込めた念力で、落下するピュートーンを宙に浮かせる。
「“ねえねえローナ隊長。これは生物同士の生死を賭けた戦いでありますよ? 赤ちゃんがかわいいからってだけで加勢するでありますかい?”
確かに、人間の気分次第で片方に肩入れするのは不平等だけどさぁ。
だけど赤ちゃんだもん。これからいっぱい生きて、そしていっぱい辛い目に合って、生きることの虚しさをいーっぱい味合わせてあげないと!
“成る程であります!”」
人形と遊びながら、宙に浮かせたピュートーン同士の身体を固結びするローナ。
それに怒った地を這うピュートーン達はローナの方に向かう。
「行ってこい! ピョンピーナ隊員!
“ピョとピュの違いを見せつけるであります!“」
人形を念力で射出し、ピュートーン達の前で動かして撹乱させるローナ。
「も一つおまけだ! ごりもちっ!」
相手が気をとられている間に彼女は小さな火種をいくつも生み出して、人魂のように自分の周囲にまとわせる。
「ふはははー畜生どもよー火の神ローナちゃんに恐れおののけー!」
ローナが近づくと、ピュートーン達は火を恐れて後ずさっていく。
「ほれほれー」
羊の群れを囲いに追い込む牧羊犬のように、ローナはピュートーンを追い回して森の外にまで連れていった。
「じゃあねーまたどっかいいとこでいい餌見つかるさー。ローナちゃんの事、恨みたきゃ恨んでいいよー。覚悟のうえでやったからさー。
さてと、もう一度赤ちゃん見に行くか」
ローナがカマキリウサギの元に戻ると、そこでは親達が隊列を組んで待っていた。
「お? やる気か? いいぜ相手になってやるー」
やる気満々のローナだが、カマキリウサギ達は腕を耳元に充てて、左右に腰を揺らし始めた。それはまるで踊りの様であった。
「なにこれ初めて見た。もしかしてローナちゃんのこと歓迎してくれてるの?」
返事こそないものの、襲いかかるでもないその様子にローナは自身が、カマキリウサギに仲間として認められた事を感じ取った。
赤ちゃん達も大人の真似をして踊り始める。
「さあローナちゃんの事をもっと感謝しろー崇めろー跪いてこうべを垂れろー」
浮かれまくりのローナだが、その時朝陽が目に入る。
「ありゃ、もう朝か。そろそろ戻らないと。じゃあねーローナちゃんの下僕共ー。今日みたいな暇な夜に遊びに来るかもねー。
"また会う日までなのであります!"」
「「ピョコピョコタン!」」
いつの間にか下僕まで格を下げられたカマキリウサギ達の見送る声を受けながら、ローナは天の日が差し込むガルガレオスへと戻った。
「みんなおはよー」
食卓ではみなが既に席に着いていた。
「おはよう。どこで遊んでたんだ? 今朝はゆっくりの登場だな」
「おはよう団長。ちょっとねー。
バーベラもおはよう。今日は元気出そう?」
「おはようローナ。ああ、大丈夫だよ」
「ローナ!! なんか私の手黒いぞ!!」
「おはようアスティ。多分、木炭握ったまま寝たからでしょ」
「よくわかったな!!! あ、おはよう言い忘れた!!! おはよう!!!」
「朝からうるせえな」
「タナカ君もおはよう」
「あ、うん、おはよう」
全員におはようを言い終えた時、魔法道具エレベーターからマァチが食事を運んでくる。
「おはようみんな」
「おはようケチなマァチ!」
「ケチは余計」
怒ったマァチがローナに向けて小さい電撃を放つ。しかし、ローナがそれを避けたためにタナカに直撃し、彼の髪が逆立ってしまう。
「うわあ!? なんだこりゃ!?」
「あちゃー。でも当たったのタナカだし、結果オーライ」
「オーライじゃねえよ!」
「けどその髪、似合ってるし、うんオーライ」
「だからオーライじゃねえ!」
「うるさい! 朝飯前に騒ぐな!」
「そうだ!!!!! 団長の言う通りうるさくしちゃダメだぞ!!!!!」
「おまえが一番うるせえよ!」
そんな騒がしい食卓を見て、バーベラがほほ笑む。そしてそれを見たローナは少しだけ虚しさが埋まったように感じた。
「ねえ、みんな! 今日は何して遊ぼうか!」
次回へ続く。
ぬいぐるみで遊びながら月光に照らされるローナ。すると、城の周囲の森がいつもよりも騒がしいことに気づく。
「おやおや、どうしたんだろう」
ローナは森まで飛び、騒々しくなってる場所に行くとそこにはカマキリウサギが群れで吠えていた。
「どうしたんだろう? あ!」
群れの中には、生まれたばかりで羊水で毛を濡らした小さいカマキリウサギが混じっていた。
「ああ、カマキリウサギの生まれる時期に入ったんだ。確か、タナカ君が来た頃に繁殖期だったから、あれから1か月ぐらい経ったんだなー。
よくまあタナカ君、1か月も私たちの生活に耐えたもんだ。褒めてあげよう。本人いないけど」
すると、ローナの存在に気付いた雄のカマキリウサギが、彼女に鎌状の爪を振り下ろす。もちろんすり抜けてしまうが。
「ごめんねお父さん。それ無意味なんだよ。だけど大丈夫! ローナちゃんは襲ったりしないからさ」
言葉が通じないので雄達は何度も爪を振り下ろして、何度もすり抜けさせる。
その内疲れたのか無意味だと学習したのか、現実逃避が出来るほどの知恵があるのかは知らないが、ローナの事を無視し始めた。
「それでいいそれでいい。さてさて、ピョンピーナ隊員。あれがカマキリウサギの赤ちゃんだよー。
"親近感が湧くであります!"
まあ、見た目はウサギぽいけどさー。大人になるとあんな風になるんだよー」
出産の体力を消耗して、襲いかかるだけの気力を失っている母カマキリウサギだが、生まれたての我が子に近づくローナに怒りの形相を向けている。
だが、ローナにとってはそれは他愛もないものなので無視されてしまう。
また、赤ちゃんカマキリウサギには警戒心もなく、足をぷるぷると震わせながら、ローナの持つぬいぐるみに興味津々だ。
「ピョコピョコ~」
「鳴いた~! 超かわいい~!」
何度でも出てくる余談だが、フレミッシュジャイアントという体長が50㎝~70㎝という大きなウサギの品種が現実世界に存在するが、赤ちゃんカマキリウサギもだいたいそのぐらいの大きさである。
「あ~撫でたいな~モフモフしたいなぁ~」
目を輝かせて赤ちゃんを眺めていると、大人のカマキリウサギ達がまた一斉に吠えだした。
「ピョコピョコタン! ピョコピョコタン!」
鳴声が無駄に可愛いので、人によっては癒しの風景になるやもしれんが、とにかく彼らは警戒を強めた。
なぜなら、自分たちの周りを体長10メートルの巨大蛇の群れに囲まれたからだ。
「あれは確かピュートーン。この森にも出るんだ」
カマキリウサギは長い爪を突き出して威嚇し、噛みつこうと襲いかかるピュートーンを八つ裂きにする。
しかし、ピュートーンは普通の蛇よりも知能が発達しており、地面を這っ襲ってくる群れは囮であり、そちらに気を取られている隙に、木を蔦っている群れが上から襲いかかる。それが彼らの狩のスタイルである。
もちろん狙いは中央に固まっている出産直後で動けない母カマキリウサギと生まれたてのカマキリウサギである。
「ピョコターン!」
突如上から襲いくるピュートーンの姿に、愛する家族の最期を悟った父カマキリウサギ達の悲痛な叫びが森の中にこだまする。
しかし、その悲劇は食い止められる事となる。この幽霊少女ローナによって。
「はいはいごめんねー」
ローナはめいいっぱい力を込めた念力で、落下するピュートーンを宙に浮かせる。
「“ねえねえローナ隊長。これは生物同士の生死を賭けた戦いでありますよ? 赤ちゃんがかわいいからってだけで加勢するでありますかい?”
確かに、人間の気分次第で片方に肩入れするのは不平等だけどさぁ。
だけど赤ちゃんだもん。これからいっぱい生きて、そしていっぱい辛い目に合って、生きることの虚しさをいーっぱい味合わせてあげないと!
“成る程であります!”」
人形と遊びながら、宙に浮かせたピュートーン同士の身体を固結びするローナ。
それに怒った地を這うピュートーン達はローナの方に向かう。
「行ってこい! ピョンピーナ隊員!
“ピョとピュの違いを見せつけるであります!“」
人形を念力で射出し、ピュートーン達の前で動かして撹乱させるローナ。
「も一つおまけだ! ごりもちっ!」
相手が気をとられている間に彼女は小さな火種をいくつも生み出して、人魂のように自分の周囲にまとわせる。
「ふはははー畜生どもよー火の神ローナちゃんに恐れおののけー!」
ローナが近づくと、ピュートーン達は火を恐れて後ずさっていく。
「ほれほれー」
羊の群れを囲いに追い込む牧羊犬のように、ローナはピュートーンを追い回して森の外にまで連れていった。
「じゃあねーまたどっかいいとこでいい餌見つかるさー。ローナちゃんの事、恨みたきゃ恨んでいいよー。覚悟のうえでやったからさー。
さてと、もう一度赤ちゃん見に行くか」
ローナがカマキリウサギの元に戻ると、そこでは親達が隊列を組んで待っていた。
「お? やる気か? いいぜ相手になってやるー」
やる気満々のローナだが、カマキリウサギ達は腕を耳元に充てて、左右に腰を揺らし始めた。それはまるで踊りの様であった。
「なにこれ初めて見た。もしかしてローナちゃんのこと歓迎してくれてるの?」
返事こそないものの、襲いかかるでもないその様子にローナは自身が、カマキリウサギに仲間として認められた事を感じ取った。
赤ちゃん達も大人の真似をして踊り始める。
「さあローナちゃんの事をもっと感謝しろー崇めろー跪いてこうべを垂れろー」
浮かれまくりのローナだが、その時朝陽が目に入る。
「ありゃ、もう朝か。そろそろ戻らないと。じゃあねーローナちゃんの下僕共ー。今日みたいな暇な夜に遊びに来るかもねー。
"また会う日までなのであります!"」
「「ピョコピョコタン!」」
いつの間にか下僕まで格を下げられたカマキリウサギ達の見送る声を受けながら、ローナは天の日が差し込むガルガレオスへと戻った。
「みんなおはよー」
食卓ではみなが既に席に着いていた。
「おはよう。どこで遊んでたんだ? 今朝はゆっくりの登場だな」
「おはよう団長。ちょっとねー。
バーベラもおはよう。今日は元気出そう?」
「おはようローナ。ああ、大丈夫だよ」
「ローナ!! なんか私の手黒いぞ!!」
「おはようアスティ。多分、木炭握ったまま寝たからでしょ」
「よくわかったな!!! あ、おはよう言い忘れた!!! おはよう!!!」
「朝からうるせえな」
「タナカ君もおはよう」
「あ、うん、おはよう」
全員におはようを言い終えた時、魔法道具エレベーターからマァチが食事を運んでくる。
「おはようみんな」
「おはようケチなマァチ!」
「ケチは余計」
怒ったマァチがローナに向けて小さい電撃を放つ。しかし、ローナがそれを避けたためにタナカに直撃し、彼の髪が逆立ってしまう。
「うわあ!? なんだこりゃ!?」
「あちゃー。でも当たったのタナカだし、結果オーライ」
「オーライじゃねえよ!」
「けどその髪、似合ってるし、うんオーライ」
「だからオーライじゃねえ!」
「うるさい! 朝飯前に騒ぐな!」
「そうだ!!!!! 団長の言う通りうるさくしちゃダメだぞ!!!!!」
「おまえが一番うるせえよ!」
そんな騒がしい食卓を見て、バーベラがほほ笑む。そしてそれを見たローナは少しだけ虚しさが埋まったように感じた。
「ねえ、みんな! 今日は何して遊ぼうか!」
次回へ続く。
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