恋愛 短編集

noraneko

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恋愛未満

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ぶっきらぼうで、愛想が悪くて、見た目だってかっこよくない。


なんで、私は彼と付き合ったのだろうか?


あんまり笑わないし、私と居ても楽しそうでもないし、それでもいつも隣にいて私の話を静かに聞いている。


告白されて、別に好きな人も居なかったから付き合ってみたけれど、恋人というよりも付き人な彼は私に自分から好きだとも言わなければ、私をほめるような言葉さえ言わない。


「ねぇ? 私と居て楽しい? 」

「楽しいよ」

「私のこと好き? 」

「うん」

「どこが好き? 」

「……」


沈黙が長い。


好きな所も分からないのに付き合っている意味はあるんだろうか。

「あのさ……これ」

彼は鞄から何かを取り出した。

彼の太い指の間から私が気に入っている柴犬のマスコットぬいぐるみがこちらを向いている。

「うわっ、これ私が好きなやつだ」

「あげる」

彼とぬいぐるみの顔を交互に見るが、彼は恥ずかしそうにうつむいていた。

「嬉しい。ありがとう」

受け取ったぬいぐるみはキーホルダーになっていた。
私は鞄にすぐにつけた。

「好きなの知ってたの? 」

「うん」

「私が好きだから買ってきてくれたの? 」

「そうだよ」

彼の顔は少し赤くなっていた。

恥ずかしがりやなんだろうか。

「私のことすき? 」

「さっきも言ったよ。もちろん」

「じゃあ、どこが好きなの? 」

「……ぜ……んぶ……」

彼は小さな声で呟いた。


私は笑った。
なんかこの人面白い。


彼はおでこに手を当てて、顔を真っ赤にしていた。

付き合ったばかりの恋人はこれからどうなっていくのだろうか。

まだ、私の恋はよく分からないけれど、
これから面白いかもしれない。

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