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新たなスタート
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「翠、そっちにガムテープある?」
「え、ガムテープ?あった、ちょっと待って今持ってく。はい」
「ありがとう。よし、これで止めれば完成っと。」
「おーさすが、まさ。頼りになるね~。」
私は大学に通うため田舎から東京にやってきた。
住み慣れたこのアパートから就職のためにまた引越しだ。
「相変わらず、人遣いが荒いよな。
お前そっち終わったの?」
「終わってない。今、詰めてる最中。」
「おい、いい加減にしろよな。
さっさと終わらせないと日が暮れる。」
「だってさ~片付けてる最中に懐かしいものが色々出てきてさ~。
見てよこれ覚えてる?ひろちゃんとさ一緒に行った、あの時の。」
「覚えてるよーもちろん。
だけどね、翠、今の時間も思い出そうか。」
「今何時?」
「15時過ぎた。」
「うわ、やばい。」
「ほれ、急げ。」
「わ~どうしよー」
「片っ端からダンボールに入れてくぞ、向こう着いてから好きなようにしろ。マジで間に合わないから。」
「うん。私もそうすることにする。」
まさに出会ったのは大学に入学してすぐだった。
そして、付き合うことになった。
性格が合うし、とても自然なことで、
恋人同士というよりも兄妹みたいな感じで、一緒にいることが当たり前のようになっていた。
けれど、恋愛をした時の緊張感はなくて長年連れ添ったような安心感ばかりで恋愛でときめくようなものはなかった。
お互いに別れようという話になった時、別れてもこんなに気の合う人はいないと私達は友人に戻った。
けれど、二人とも恋人が出来るわけでもなく、ほぼ毎日メールもしていて、学校でも顔を合わせている。
大きく変わった事もなかったのだ。
でも、これからは違う。
私とまさは別々の街で別々の人生を歩くのだ。
そう考えると不安や寂しさがこみ上げてくる。
「もうすぐ、春日が来る。遅かったな、あいつ」
「もうちょっとで終わるよ」
「それじゃ、パーキングから車持ってくるわ。」
「わかった。その間に終わらせとく」
まさが出て行ってすぐに、インターホンが鳴った。
すぐに玄関に向かう。
おそらく春日くんだ。
扉を開けたら、申し訳なさそうに彼は立っていた。
「ほんとにわりぃ、バイト終わらなくてさ。」
「いいのいいの、ごめんね。忙しいのにありがとう」
「なーに、翠のためならお安い御用。あれ?あいつは?」
「今、車とりに行ってくれてる。すぐそこに停めてあるの。」
「そっか。あいつマメだからな~小回りがきくけど、俺は細かいこと苦手だからパワー系のもんなら任せて。ちゃんとダンボールなら運ぶから」
「ありがとう。」
私は残りの荷物をダンボールに詰めていく。
春日はダンボールを玄関にまとめてくれてある。
「翠、そういえばさ。」
「なに?」
「あいつとちゃんと話した?」
「なにを?」
「いやーそのさー、二人絶対に…いや、なんてか離れちゃうからさ…」
「うん、それで?」
「まさも翠の事、好きだし、翠もまさの事、好きだろ?何ていうの、このままじゃ見ててこっちが辛いんだよな~」
「好きだよ。でも、なんで辛くなるのよ」
「二人が離れてしまうの…おかしいっていうか…もう一回付き合わないの?」
その瞬間、まさが帰ってきた。
「お、春日、やっと来たか。」
「わりぃ、バイト終わんなかったんだよ…」
「そっか。おつかれ。あれ?なんかあった?」
「春日くんが、変なこと言い出した」
「変なこと?お前まさかまたセクハラか?」
「またってなんだよ。そんなの一度も今までないだろうが」
「いや、スケベな春日くんだからさ」
「おいおい!流石に親友の女の子に手は出せないでしょ。さすがに俺でも」
「そうだよな。」
…そうだよな?
私の胸がドキっとする。
何その言い方。そんな言い方今までしたことなかったのに。
「お!翠が好きと?」
「当たり前じゃん。嫌いな奴とはいないでしょ」
友達だもんね。そりゃ、私も嫌いじゃない。
「おお!愛してると?」
「あ、あ、愛してるよ。そりゃ」
ふざけてる。悪ノリしすぎてる。
人の前でそういうこというかな?
「おおお!まさくん、えらく正直じゃない。」
「俺はいつでも正直だもん」
彼らに背を向け私はダンボールに荷物を積んでいた。
でも、会話を聞いていたら私は涙が自然とこぼれ落ちた。
見られないようにしたけれど。
私はやっぱり、まさが好きで離れるのが怖くなっている。
「ね?翠、俺いつでも正直だよな?」
まさは私の顔を突然横から覗いた。
「おい、翠どうした?え、どうしたの?」
「俺、ダンボール積んでるから、じゃあ」
春日は空気を察したのか外に出て行った。
「翠、悪かった。変なこと言って。悪気があるわけじゃなくて…その…」
「 いつでも正直なんじゃないの?」
「そうだったな。じゃあ、その正直に…翠が離れるとなって、色々思ったんだ。やっぱり翠じゃなきゃダメだって。」
「…」
「ちゃんと正式に俺ら、やり直そう。別れてからも変わってない所もあるけれど、もう一度付き合ってほしい」
「愛してる?」
「正面から伝えるの恥ずかしいなぁ」
「だって、正直なんでしょう?」
「愛してる。翠」
私たちはキスをして、私は黙って頷いた。
「俺、そっち引っ越そうかな」
「仕事は?」
「うーん、何とかなるかなぁ?」
「ならないね。」
「うそーまじかよ」
新たなスタートはこれから二人で乗り越えていけるのかもしれない。
「え、ガムテープ?あった、ちょっと待って今持ってく。はい」
「ありがとう。よし、これで止めれば完成っと。」
「おーさすが、まさ。頼りになるね~。」
私は大学に通うため田舎から東京にやってきた。
住み慣れたこのアパートから就職のためにまた引越しだ。
「相変わらず、人遣いが荒いよな。
お前そっち終わったの?」
「終わってない。今、詰めてる最中。」
「おい、いい加減にしろよな。
さっさと終わらせないと日が暮れる。」
「だってさ~片付けてる最中に懐かしいものが色々出てきてさ~。
見てよこれ覚えてる?ひろちゃんとさ一緒に行った、あの時の。」
「覚えてるよーもちろん。
だけどね、翠、今の時間も思い出そうか。」
「今何時?」
「15時過ぎた。」
「うわ、やばい。」
「ほれ、急げ。」
「わ~どうしよー」
「片っ端からダンボールに入れてくぞ、向こう着いてから好きなようにしろ。マジで間に合わないから。」
「うん。私もそうすることにする。」
まさに出会ったのは大学に入学してすぐだった。
そして、付き合うことになった。
性格が合うし、とても自然なことで、
恋人同士というよりも兄妹みたいな感じで、一緒にいることが当たり前のようになっていた。
けれど、恋愛をした時の緊張感はなくて長年連れ添ったような安心感ばかりで恋愛でときめくようなものはなかった。
お互いに別れようという話になった時、別れてもこんなに気の合う人はいないと私達は友人に戻った。
けれど、二人とも恋人が出来るわけでもなく、ほぼ毎日メールもしていて、学校でも顔を合わせている。
大きく変わった事もなかったのだ。
でも、これからは違う。
私とまさは別々の街で別々の人生を歩くのだ。
そう考えると不安や寂しさがこみ上げてくる。
「もうすぐ、春日が来る。遅かったな、あいつ」
「もうちょっとで終わるよ」
「それじゃ、パーキングから車持ってくるわ。」
「わかった。その間に終わらせとく」
まさが出て行ってすぐに、インターホンが鳴った。
すぐに玄関に向かう。
おそらく春日くんだ。
扉を開けたら、申し訳なさそうに彼は立っていた。
「ほんとにわりぃ、バイト終わらなくてさ。」
「いいのいいの、ごめんね。忙しいのにありがとう」
「なーに、翠のためならお安い御用。あれ?あいつは?」
「今、車とりに行ってくれてる。すぐそこに停めてあるの。」
「そっか。あいつマメだからな~小回りがきくけど、俺は細かいこと苦手だからパワー系のもんなら任せて。ちゃんとダンボールなら運ぶから」
「ありがとう。」
私は残りの荷物をダンボールに詰めていく。
春日はダンボールを玄関にまとめてくれてある。
「翠、そういえばさ。」
「なに?」
「あいつとちゃんと話した?」
「なにを?」
「いやーそのさー、二人絶対に…いや、なんてか離れちゃうからさ…」
「うん、それで?」
「まさも翠の事、好きだし、翠もまさの事、好きだろ?何ていうの、このままじゃ見ててこっちが辛いんだよな~」
「好きだよ。でも、なんで辛くなるのよ」
「二人が離れてしまうの…おかしいっていうか…もう一回付き合わないの?」
その瞬間、まさが帰ってきた。
「お、春日、やっと来たか。」
「わりぃ、バイト終わんなかったんだよ…」
「そっか。おつかれ。あれ?なんかあった?」
「春日くんが、変なこと言い出した」
「変なこと?お前まさかまたセクハラか?」
「またってなんだよ。そんなの一度も今までないだろうが」
「いや、スケベな春日くんだからさ」
「おいおい!流石に親友の女の子に手は出せないでしょ。さすがに俺でも」
「そうだよな。」
…そうだよな?
私の胸がドキっとする。
何その言い方。そんな言い方今までしたことなかったのに。
「お!翠が好きと?」
「当たり前じゃん。嫌いな奴とはいないでしょ」
友達だもんね。そりゃ、私も嫌いじゃない。
「おお!愛してると?」
「あ、あ、愛してるよ。そりゃ」
ふざけてる。悪ノリしすぎてる。
人の前でそういうこというかな?
「おおお!まさくん、えらく正直じゃない。」
「俺はいつでも正直だもん」
彼らに背を向け私はダンボールに荷物を積んでいた。
でも、会話を聞いていたら私は涙が自然とこぼれ落ちた。
見られないようにしたけれど。
私はやっぱり、まさが好きで離れるのが怖くなっている。
「ね?翠、俺いつでも正直だよな?」
まさは私の顔を突然横から覗いた。
「おい、翠どうした?え、どうしたの?」
「俺、ダンボール積んでるから、じゃあ」
春日は空気を察したのか外に出て行った。
「翠、悪かった。変なこと言って。悪気があるわけじゃなくて…その…」
「 いつでも正直なんじゃないの?」
「そうだったな。じゃあ、その正直に…翠が離れるとなって、色々思ったんだ。やっぱり翠じゃなきゃダメだって。」
「…」
「ちゃんと正式に俺ら、やり直そう。別れてからも変わってない所もあるけれど、もう一度付き合ってほしい」
「愛してる?」
「正面から伝えるの恥ずかしいなぁ」
「だって、正直なんでしょう?」
「愛してる。翠」
私たちはキスをして、私は黙って頷いた。
「俺、そっち引っ越そうかな」
「仕事は?」
「うーん、何とかなるかなぁ?」
「ならないね。」
「うそーまじかよ」
新たなスタートはこれから二人で乗り越えていけるのかもしれない。
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