恋愛 短編集

noraneko

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明日へ

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ーーこのままどこに行こうか?


ーーどこでもいいよ。一緒ならどこでも。

ーーそっか。


優しい笑顔。愛おしい眼差し。
耳に残る温もりのある声。

ーーどこにも行かないで。



 私は泣きながら目を覚ました。


半年前に亡くなった婚約者の彼が夢の中に時々訪れてくれるのだ。

夢でももう少し一緒にいたかった。


愛する人の死に直面し、私の人生観は変わった。


 人はいつ死ぬか分からないのだから、生きてるうちにやりたい事を後悔しないようにやっておこう。


そう思えたのは彼が亡くなってから半年以上が過ぎてからだ。


その間の半年間は正直記憶が曖昧でどうやって生きていたのか自分でも不思議なぐらいだ。


現実をみたとき、私は改めて孤独を知り。どれだけ彼の存在が大きいものだったか思い知らされた。


そして、気付いたのだ。残された人生を自分の心に素直でいようと。


まず、10年勤めた会社を辞めた。

次に住んでいたマンションの契約を更新せずに両手と背中に背負える荷物以外は全て捨てて、家をでた。


 彼と約束した旅をしよう。
二人で行き先も決めずに新幹線に乗り込み、そのまま気になるところまで適当に行って、そこから先は気の向くままに向かいどこに辿り着くのかやってみよう。
1週間でどこまで行くのかどこに行くのか……。


彼は子供のような表情でその旅をすることを楽しみにしていたのだ。


私は家を出てそのまま駅に向かった。


その彼の望んだ旅を一緒にしたら、次は私の望む仕事をしよう。


不安定と進むことを諦めていたフリーライターをやるのだ。
失敗を恐れていたら、きっと後悔する。


応援してくれるよね?
改札を抜けると、彼の子供のような笑顔を思い出し私も自然と微笑んでいた。

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