運命の人

noraneko

文字の大きさ
上 下
2 / 8

思い出した過去

しおりを挟む
昔のことを思い出した。


「ママ?パパは?みかちゃんは?」

病院のベッドの上で私は叔母さんに聞いた。

叔母さんは泣いていて私は何があったか分からなかった。
目覚めた時に叔母さんが隣に座っていたのだ。

「よかった、よかった」
そう口にし叔母さんは泣いていた。
それ以上は何も言ってくれなかった。


その時、看護師さんが慌ててやってきて叔母さんを連れて行き、私は一人ぼっちになった。

嫌な予感がしたのを今でも覚えている。


この時に美香子が意識不明の状態から目を覚まして叔母さんが呼ばれて行ったのだと後から知った。


私も1日眠っていたらしい。
その時の事はここまでしか覚えていない。



どのくらいの入院だったのだろうか、
美香子と二人叔母さんの家に帰った時に私はもう両親には会えないのだと思っていた。


車のタイヤが擦れる嫌な音、お母さんの悲鳴、お父さんが大きな声で「頭をおさえろ」と叫んだ声。

みんなで車に乗っていた事とそこまでの記憶が残っていた。


叔母さんの家に到着し、妹はその夜に一緒の布団に入っている時に「ママは?パパは?」と私に聞いた。

「もう会えないの。ママもパパもいないの。」

暗闇の中、泣きながら私は美香子に言った。

美香子もずっと泣いていた。

それから私達は大人になるまで両親の話は互いに口にすることはなかった。

禁句だと言わんばかりに避けてきたのだ。
でも、お互い両親の事は心では想っていたと思う。


叔母さん、叔父さんは自分の子供のように育ててくれた。
思春期には喧嘩した事もあったし、怒られた事もたくさんある。


二人を引き取り育ててくれるなんて、普通では出来ることではないし、簡単なことでもない。
だからこそ、本当に感謝している。


私達姉妹は特に普通の子と違って手がかかったと思う。

私達には当たり前だったけれど、何もない壁の方に向かいながら話す私達の姿は異常な姿に見えたと思う。

もし私が叔母さんの立場だとしたら、不気味だったろう。

信じて理解してくれたのはきっと叔母さんだからだと思う。
しおりを挟む

処理中です...