正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!

エトーのねこ(略称:えねこ)

文字の大きさ
44 / 58
日はまた昇る

鶴は舞い降りた

しおりを挟む
 1953年、それは世界が大きく動き始めた年だった。
 それを言い出すと「いや、先の大戦争のほうが余程動いたはずだ」というご指摘もあるだろうが、その先の大戦という初動・・があったからこそ動き始めた年とも言えよう。通称、十三年体制である。なぜこの体制を特に歴史の動き始めた年かと指定できるかといえば、この年を最後にして、世界から物理的戦争がなくなったからである。世の中は、着実に動き始めていた。
 では、その代わりに何が代理戦争として起こったかと言えば、経済的戦争である。植民地だった地域に影響力を残したい欧州と、それをはじき出すための努力を惜しまない大日本帝国が衝突するのは時間の問題ではあった。しかしそれでも物理的戦争を終ぞ行わなかったのは双方の理性的判断以外に、そもそもの物理的距離が圧倒的に遠かったからだとも言える。
 まず、最初に始まった衝突点から話していきたい。


 1953年1月、まだ松の内も明けきらぬ早朝からそれ・・は始まった。
 満州に、石油あり。

 諸国の行動は早かった。まず行動を起こしたのはいうまでもなく大日本帝国だったのだが、次の手を打ち出したのは意外にもフランスであった。なぜ彼らが迅速な行動を行ったのかは諸説あるが、ここでは石油を産出する元植民地が少なかったからだという説を採用したい。後の白虎油田はまだその欠片すら見つけるのは困難だったからだ。
 一方で意外な国が出遅れた。イギリスである。彼らも平和に油断をしたのか、あるいは中東の石油地帯を手中に収めているから手が遅れたのかは定かではないが、謀略三枚舌国家イギリスらしからぬ遅さだった。
 そして、まだ梅の花がつぼみの頃。大日本帝国はインド解放を足がかりにして中東石油地帯に駒を進めた。目指すはアラブの石油地帯の権益である。名目上の大義名分としてはアラブ諸侯が枢軸国に掛札をつけたからその配当金を配るためということであった。無論、イギリスは泡を食ったが、もう一国その事態に慌てた国が存在した。ドイツ第三帝国である。そう、NSDAPも戦勝国であるが故にアラブ権益を主張しようとしていたが、大日本帝国が先手を打ってアラブ権益を独占し始めたのだった。無論、大日本帝国にはその意図はなかったのだが、欲深い白色人種には如何にもそう見えたのである。
 しかし、国際協定上ドンパチは行われなかった。大日本帝国は地理的条件から、欧州諸国は軍事的条件からそれが不可能だったということも、あるにはあるのだが。
 そして、アラブ諸国がどちらの手を取ったのか。言うまでも無く大日本帝国であった。彼らは日露戦争の恩義を決して忘れてはいなかったのだ。
 そしてアラブ事変に於いて睨み合いの続く中、第三の事件が発生した。
 ――――アフリカ総一揆である。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

皇国の栄光

ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。 日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。 激動の昭和時代。 皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか? それとも47の星が照らす夜だろうか? 趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。 こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです

小日本帝国

ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。 大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく… 戦線拡大が甚だしいですが、何卒!

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

処理中です...