正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!

エトーのねこ(略称:えねこ)

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天才の証明

欧州封鎖作戦

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 昭和三十年代、ドイツ第三帝国の総司令部は相変わらず鷲の巣にあるかと思われたが、この時期はゲルマニアが首都として既に定められており、後の新世界問題に関わることから、あまり詳しい場所は特定できていない。
 それは、そんな秘密の場所で行われた会議である。
「フューラー、日本艦隊は攻撃をするわけでもなく、どうやら封鎖のみを行うようです」
 カール・デーニッツ提督。彼はレーダー提督の引退に伴い、遂に司令長官的立場に上り詰めた。即ち、彼が司令長官になったということはドイツ軍に逆らうということは海上に於いて潜水艦に遭遇することを意味した。
「……どういうことだ?」
「我々には見当が付きませんが、おそらくはヒョウロウゼメとやらにでもするのでしょう」
「ヒョウロウゼメ?」
 兵糧攻め。即ち破壊の伴わない通商破壊作戦であるが、それは大日本帝国なりのUボートに対する答えでもあった。孫子曰く、「強い相手とは戦うな、逃げろ」。それは即ち、潜水艦による通商破壊戦といったドイツ軍の得意中の得意な戦法に対処するのではなく、ドイツ軍がいくら兵力や物資を持っていたとしても相対論として優位に立てれば勝ちであること、即ち我々の世界における「”メルト・ダウン”狙い」の戦法であった。もとより、ヨーロッパ地方以外の全ての領域はアラブからアフリカ、元アメリカの大部分に至るまでほぼ全てが大日本帝国に服属している領域なのだ、喩えドイツ軍の技術力が無類の強さといえど、物資や領土の量などは全て大日本帝国の側の方が圧倒的優位に立っていた。
「はい、相手の糧を断ち、徐々に締め上げることによって士気を損なわせ相手が降参することを待つ戦法のようです」
「……ふむ、日本軍といえども、我等精強なドイツ軍相手には苦戦するのであろう、捨て置いても大丈夫か?」
「そうでしょうかね、まあ、捨て置けというのならば捨て置きますが……」

 そして、程なくして欧州連合は徐々に日本軍の「兵糧攻め」を思い知ることになる。おおよそ、ヨーロッパ文明なるものは、諸外地から収奪を行って成立している文明であるが故に、彼らが文明国面をしていられるのはヨーロッパに収奪した品がある間だけであり、喩えイギリス、フランスなどの旧敵国から収奪を行うにしても、限度があると言うことを。


「しかし、宮様らしからぬ、とんでもない手筈だなあ、おい」
 そう漏らしたのは、誰かは最早言うまでも無く。
「まあいい、折角これでヨーロッパが弱っているんだ、お前等、何としてでもアフリカに寄生している白人共を裸一貫で叩き帰すぞ!!」
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