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出会い
33話
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「ふぅ~。お店いっぱい回りましたね!とっても楽しかったです。お二人ともありがとうございました。」
あの後リリーは何もなかったかのように明るく振る舞い3人で色々な店を回った。そして沢山の荷物を抱えてミランダの家に帰ってきた。
「私荷物2階に置いてきますね。」
「それなら俺も一緒…」
「いえ、これくらい大丈夫ですよ。」
そう言い切るリリーに今はそっとしておいた方がよさそうだとアシュレイは荷物を持とうとした手を引っ込める。
「そう?じゃあ私たちは下で夜ご飯の準備してるわね。荷物の整理が終わったら降りていらっしゃい。」
「わかりました。」
2階に上がって行くリリーをアシュレイは少し寂しげに見つめていた。
***
「あ゛ぁぁぁ~」
リリーは部屋に入り荷物を置くとベッドに倒れ込んだ。あんなことがあったが町で3人でお店を回って楽しかった。可愛い服も買ってもらって、屋台でご飯を食べたり、村までたわいのない話をしながら歩いて帰るのも全部全部楽しかった……はずなのに…最後に小さな声で自分の名前を呼んだ姉が頭から離れなかった。もう関わらないと決めたはずなのに悶々と考えてしまう。
コンコンッ
しばらくベッドに倒れ込んだまま枕に顔を埋めていると扉がノックされた。枕から顔を上げ返事をするとアシュレイが入ってきた。そしてリリーの顔を見て苦笑いをすると
「やっぱり大丈夫って顔じゃないな。」
そう言いベッドに近寄りリリーの隣に腰掛ける。しばらくお互い口を開かず黙り込んでいたがアシュレイがリリーに語り出す。
「俺には弟がいてな。とある理由で俺が10年前家を飛び出してから会っていなんだ。」
話し出したアシュレイにリリーは顔を上げ話を聞く体勢になる。
「会っていないというかもう会えないと言った方が正しいか。いや、元気に生きてるぞ。…全部投げ出して弟に押しつけて…恨んでいるのかもどう思っているのかも知りたくても知ることは叶わない。何も話さずに家をでたんだ。」
当時のことを思い出しているのか寂しそうに話しを続ける。
「もう会わないと決めたのならそれでも良いと思う。俺もその方がお互いの為な気もするしな。けれど、その事を引きずるのであれば決めた事に固執する必要はないと思うぞ。後悔しない方を選ぶべきだ。たった一人の姉妹だろう?」
リリーは自分は姉とどうしたいのだろうかと考える。
「…私お姉ちゃんとは会いません。けれどお姉ちゃんは酷いことしたけど優しいところもやっぱりあったと思うんです。…だからどうしてもお姉ちゃんが両親の慰謝料を払う為にこのままずっと働かされると思うとモヤモヤしてしまって……ってごめんなさい、なんか自分でも考えがまとまらなくて」
「…両親のことはいいのか?」
確認するようにアシュレイが問うと
「お姉ちゃんも同罪かもしれないけれど最初に私を商会に売るって決めたのはあの二人だから…多分許せないと思うんです。」
アシュレイはリリーの気持ちを聞くと頷き頭をポンポンとすると
「リリーの気持ちは分かった。姉のことは俺に任せてくれないか?悪いようにはしないから。」
「…っありがとうございます。グスッ…お願いします。」
リリーはアシュレイに抱きつき嗚咽を漏らしながらお願いした。
アシュレイもリリーが抱きついてくると思っていなかったので少し吃驚したが優しく抱きしめ返すとゆっくりと背中を撫でる。
「なぁ、リリー。明日から一緒に王都に向かうだろう?そろそろアシュと呼んでくれてもいいと思うんだが…もちもん敬語もとってくれるとなお嬉しい。」
アシュレイは話を変えようとリリーに提案する。
「いや、でもまだ早いというか…恥ずかしいというか…」
アシュレイの腕の中であたふたとしているリリーを更にぎゅと抱き締めた。
「慣れたら恥ずかしさもなくなるさ。」
さらに抱きしめられ逃げ場もなくなったリリーはそっと顔上げてアシュレイを見つめながら小さな声で名前を呼ぶ。
「ア、アシュ…は、恥ずかしいよ///」
アシュレイは一瞬ピタリと固まると手を顔に当てる。よくよく見ると耳まで真っ赤になっていてリリーはふふっと笑ってしまう。笑われたことに少しムッとしながらアシュレイはリリーを膝の上に乗せるとおでこや耳に軽くキスしていく。
「やっ、離して……あっ。」
身を捩って抵抗するが力で敵うはずもなく頭や頬、耳にとアシュレイはキスを落としていく。夢中になっているとコンコンと扉がノックされる。
「夜ご飯の支度ができましたよ。」
ミランダが外から声をかける。アシュレイの腕が緩んだ隙にうでから抜け出すと扉を開けてミランダを迎えた。
「ご、ごめんなさい準備手伝えなくて。私、食事の前にお手洗い行ってきますね」
リリーはそう言うと赤い顔のまま階段を降りて行った。
その後ろ姿を見送るとミランダはアシュレイの方に目を向ける。
「…あの子は明日で16になります。……待てない男は嫌われますわよ。」
ジトっとした目でベッドに座っているアシュレイを見下ろすと気まずそうに目を逸らす。
「……すみませんでした。」
アシュレイは叱られた子どものように謝るしかなかった。
あの後リリーは何もなかったかのように明るく振る舞い3人で色々な店を回った。そして沢山の荷物を抱えてミランダの家に帰ってきた。
「私荷物2階に置いてきますね。」
「それなら俺も一緒…」
「いえ、これくらい大丈夫ですよ。」
そう言い切るリリーに今はそっとしておいた方がよさそうだとアシュレイは荷物を持とうとした手を引っ込める。
「そう?じゃあ私たちは下で夜ご飯の準備してるわね。荷物の整理が終わったら降りていらっしゃい。」
「わかりました。」
2階に上がって行くリリーをアシュレイは少し寂しげに見つめていた。
***
「あ゛ぁぁぁ~」
リリーは部屋に入り荷物を置くとベッドに倒れ込んだ。あんなことがあったが町で3人でお店を回って楽しかった。可愛い服も買ってもらって、屋台でご飯を食べたり、村までたわいのない話をしながら歩いて帰るのも全部全部楽しかった……はずなのに…最後に小さな声で自分の名前を呼んだ姉が頭から離れなかった。もう関わらないと決めたはずなのに悶々と考えてしまう。
コンコンッ
しばらくベッドに倒れ込んだまま枕に顔を埋めていると扉がノックされた。枕から顔を上げ返事をするとアシュレイが入ってきた。そしてリリーの顔を見て苦笑いをすると
「やっぱり大丈夫って顔じゃないな。」
そう言いベッドに近寄りリリーの隣に腰掛ける。しばらくお互い口を開かず黙り込んでいたがアシュレイがリリーに語り出す。
「俺には弟がいてな。とある理由で俺が10年前家を飛び出してから会っていなんだ。」
話し出したアシュレイにリリーは顔を上げ話を聞く体勢になる。
「会っていないというかもう会えないと言った方が正しいか。いや、元気に生きてるぞ。…全部投げ出して弟に押しつけて…恨んでいるのかもどう思っているのかも知りたくても知ることは叶わない。何も話さずに家をでたんだ。」
当時のことを思い出しているのか寂しそうに話しを続ける。
「もう会わないと決めたのならそれでも良いと思う。俺もその方がお互いの為な気もするしな。けれど、その事を引きずるのであれば決めた事に固執する必要はないと思うぞ。後悔しない方を選ぶべきだ。たった一人の姉妹だろう?」
リリーは自分は姉とどうしたいのだろうかと考える。
「…私お姉ちゃんとは会いません。けれどお姉ちゃんは酷いことしたけど優しいところもやっぱりあったと思うんです。…だからどうしてもお姉ちゃんが両親の慰謝料を払う為にこのままずっと働かされると思うとモヤモヤしてしまって……ってごめんなさい、なんか自分でも考えがまとまらなくて」
「…両親のことはいいのか?」
確認するようにアシュレイが問うと
「お姉ちゃんも同罪かもしれないけれど最初に私を商会に売るって決めたのはあの二人だから…多分許せないと思うんです。」
アシュレイはリリーの気持ちを聞くと頷き頭をポンポンとすると
「リリーの気持ちは分かった。姉のことは俺に任せてくれないか?悪いようにはしないから。」
「…っありがとうございます。グスッ…お願いします。」
リリーはアシュレイに抱きつき嗚咽を漏らしながらお願いした。
アシュレイもリリーが抱きついてくると思っていなかったので少し吃驚したが優しく抱きしめ返すとゆっくりと背中を撫でる。
「なぁ、リリー。明日から一緒に王都に向かうだろう?そろそろアシュと呼んでくれてもいいと思うんだが…もちもん敬語もとってくれるとなお嬉しい。」
アシュレイは話を変えようとリリーに提案する。
「いや、でもまだ早いというか…恥ずかしいというか…」
アシュレイの腕の中であたふたとしているリリーを更にぎゅと抱き締めた。
「慣れたら恥ずかしさもなくなるさ。」
さらに抱きしめられ逃げ場もなくなったリリーはそっと顔上げてアシュレイを見つめながら小さな声で名前を呼ぶ。
「ア、アシュ…は、恥ずかしいよ///」
アシュレイは一瞬ピタリと固まると手を顔に当てる。よくよく見ると耳まで真っ赤になっていてリリーはふふっと笑ってしまう。笑われたことに少しムッとしながらアシュレイはリリーを膝の上に乗せるとおでこや耳に軽くキスしていく。
「やっ、離して……あっ。」
身を捩って抵抗するが力で敵うはずもなく頭や頬、耳にとアシュレイはキスを落としていく。夢中になっているとコンコンと扉がノックされる。
「夜ご飯の支度ができましたよ。」
ミランダが外から声をかける。アシュレイの腕が緩んだ隙にうでから抜け出すと扉を開けてミランダを迎えた。
「ご、ごめんなさい準備手伝えなくて。私、食事の前にお手洗い行ってきますね」
リリーはそう言うと赤い顔のまま階段を降りて行った。
その後ろ姿を見送るとミランダはアシュレイの方に目を向ける。
「…あの子は明日で16になります。……待てない男は嫌われますわよ。」
ジトっとした目でベッドに座っているアシュレイを見下ろすと気まずそうに目を逸らす。
「……すみませんでした。」
アシュレイは叱られた子どものように謝るしかなかった。
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