22 / 33
【22】夏合宿スタート!
しおりを挟む夏休みが始まって三週間。
今日からMEBIUSと二泊三日の夏合宿がはじまります⋯⋯!
「はぁ、いい天気ね。合宿日和だわ」
つばの広い帽子にサングラス、手には黒の日傘を持って日焼け対策ばっちりの海音ちゃんが綺麗な髪をさっとなびかせる。
MEBIUSとの合宿にはわたし以外に海音ちゃんも参加するんだ。
他にも律の家のお手伝いさんで二十代女性の山吹さん、五十代男性の真鍋さんがこの合宿に付き添ってくれる。
お母さんとお父さんが合宿への参加を許可してくれたのは、海音ちゃんと大人の人がいるからだ。
「だけど、合宿に参加してよかったの海音ちゃん? 確かファンクラブには抜け駆け禁止のルールがあるんだよね」
MEBIUSのみんなと合宿に行ってることがバレたら大変なことになるんじゃ⋯⋯?
「大丈夫よ。だって今日のわたしはファンクラブ会長としてではなく、咲茉の友人として参加してるんだから」
「それならいい⋯⋯のかな?」
友達と一緒にお泊まりするなんて初めてのことだから楽しみ。
他愛もない会話を続けていると、奏人、新、千里先輩が集合場所へとやってきた。
「あれ? みんな楽器は?」
三人はお泊まりの用意が入った鞄ひとつしか持っていない。
「新の父さんがドラムは持ち運ぶのが大変だからって先に別荘に運んでくれたんだ。ついでに俺のギターと千里のベースも」
「新のお父さん相変わらず楽しい人だったよね」
「うるさいだけだって!」
新のお父さんは昔、バンドマンを目指していて新がドラムを始めたのもお父さんがきっかけなんだって。
新の活動を誰よりも応援してる素敵なお父さんだって千里先輩が話してた。
「あっ、あの車じゃない?」
海音ちゃんの視線の先には白のワンボックスカー。
予想は大当たりでワンボックスカーはわたしたちの目の前で停車した。
運転席側のドアから降りてきたのは白ひげを生やしたダンディーな男性だった。
「みなさん、おはようございます。私は真鍋と申します。今日から二泊三日よろしくお願いします」
真鍋さんは笑顔が素敵でとても優しそう。
わたしたちも全員で挨拶をして、順番に車へと乗り込んだ。
「わたし奏人くんの隣!」
今日はファンクラブの会長じゃなくて、わたしの友達として来たと話していた海音ちゃんは奏人の隣の席に腰を下ろす。
わたしの隣に座ってくれるんじゃないの⁉
海音ちゃんと一緒にお菓子を食べながら話すの楽しみにしてたんだけどな⋯⋯。
でも、海音ちゃんが嬉しそうだからいいか。
「わたしは⋯⋯」
どこに座ろうか考えていると、窓側の席に座っていた律に腕を掴まれた。
「咲茉はここに座れば」
「うん。じゃあ、そうしようかな」
わたしは律の隣に座り、残った席に新と千里先輩が座った。
「みなさんシートベルトは着用しましたね。それじゃあ出発しましょう」
真鍋さんの出発の合図で止まっていた車が動き出す。
ついに始まった合宿。
まだ車に乗ってるだけなのに胸がドキドキするよ。
「咲茉、着いたら起こして」
律はそう言うとわたしの肩に頭を乗せてまぶたを閉じた。
サラサラの髪が首筋に触れて少しくすぐったい。
「わかった。おやすみ」
最初の頃は警戒心の強かった律が最近はこうして気を許してくれるようになった。
年の離れたお兄さんとお姉さんがいるって言ってたし、本来の律は甘えたがりなのかな。
MEBIUSが律にとって居心地の良い場所になっているなら嬉しい。
車の揺れと律の寝顔を見ていたらなんだかわたしもウトウトしてきてゆっくりとまぶたを下ろした。
0
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
左左左右右左左 ~いらないモノ、売ります~
菱沼あゆ
児童書・童話
菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。
『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。
旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』
大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】
旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】
魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。
ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。
「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」
不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。
甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!
【完結】またたく星空の下
mazecco
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 君とのきずな児童書賞 受賞作】
※こちらはweb版(改稿前)です※
※書籍版は『初恋×星空シンバル』と改題し、web版を大幅に改稿したものです※
◇◇◇冴えない中学一年生の女の子の、部活×恋愛の青春物語◇◇◇
主人公、海茅は、フルート志望で吹奏楽部に入部したのに、オーディションに落ちてパーカッションになってしまった。しかもコンクールでは地味なシンバルを担当することに。
クラスには馴染めないし、中学生活が全然楽しくない。
そんな中、海茅は一人の女性と一人の男の子と出会う。
シンバルと、絵が好きな男の子に恋に落ちる、小さなキュンとキュッが詰まった物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる