葛城依代の夏休み日記~我が家に野良猫がきました~

白水緑

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8月20日  金曜日 『お祭り前日』

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 8月20日   金曜日 天気:雨

 話があるときに限ってお母さんが帰ってくるのが遅い。私はやきもきしながら待ち、鍵の開いた音を聞きつけて階段を下りた。

「おかえりなさい、お母さん」
「あら、まだ起きてたの。早く寝なくちゃだめよ」
「うん……」

 この時間、出迎えても早く寝なさいしか言われないのは知っていたけど、実際そう返されるとなんとなく辛いものがある。せっかく帰ってくるのを待っていたのに。

「お母さん、あのね」
「なに? 眠たいからご飯食べながらでいいわよね」

 話を遮られ、お母さんの後を追ってリビングへと入った。ご飯を食べながら手帳で予定を確認し始めてしまったのを見て、黙って終わるのを待つ。ご飯も食べ終わろうとした頃、ようやく思い出してくれたのか顔をあげてくれた。

「それで何?」
「明日、神社でお祭りがあるから、遊びに行きたいんだけど」
「ああそんなのもあったわね。友達と一緒?」
「うん」
「そう。ならいいわ。あんまり遅くならないようにね」

 そう言って財布から一枚お札を取り出してくれた。予想外の出資に驚きながら受け取る。今までお小遣いの中でやりなさいとしか言われなかったのに。

「これだけあれば足りるでしょ」
「うん、ありがとう」

「話は終わりよね。早く寝なさい」
 用事は済んだはず、と促されるが、まだ言いたいことを言えていない。

「友達と合流するまで一緒に行かない? 明日は仕事、夜からでしょう?」
「そうよ。でも、その前に約束があるから朝から出かけちゃうわ」
「そう、なんだ」

 残念。そんな気持ちは声に出ていたと思うけど、お母さんは気にならなかったらしい。ようやく話が終わったと食器を片付けだす。これ以上は話してくれなさそうだと判断して部屋へと戻った。


 部屋に戻って財布にお金をしまい、お母さんが帰ってくるまでに準備していたポーチにもう一度入れなおした。
 布団に入ってからも、お母さんが構ってくれないことに対しての悲しさ、不満。それから、明日への期待。

 マオとのお出かけ。どこの屋台に行こうかな。確か花火もあがるから、どこからが一番よく見えるかな。そんな入り混じった気持ちを抱えて寝返りを打っているうち、知らず知らずのうちに眠っていた。
 再びマオと楽しい時間が過ごせる。それだけが今の楽しみだった。
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