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第2部-ファフニール王国・成長編-
038_慰め
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それからというもの、もともと熱心に取り組んでいたラーズの栽培により熱を入れて取り組むようになった。今まで断ることのなかった茶会の誘いも断り、人目を避けて屋敷にこもっている様子を見て、オズウェルは心配そうに声をかけた。
「リリア嬢、僕の部屋で少し話しませんか?」
「……うん」
慣れ親しんだオズウェルの部屋へと二人は向かい、いつもは向かい合って座るところをソファに横に並んだ。
湯気の上がるお茶を差し出され、ふうふうと冷ましながら飲もうとするリリア。しばらくしてようやく口をつけられるようになった頃を見計らって、オズウェルは話を切り出した。
「このところ落ち込んでいらっしゃったでしょう。先日の舞踏会で何かありましたか? レオファルドと話をしたのでしょう」
「うん。でも、レオのせいじゃないよ」
「では一体何が」
俯いたまま口を開こうとしないリリアの肩をそっと抱き寄せると、手が触れた瞬間わずかに強張った体も、すぐに力を抜いて素直に体重を預ける。体温を感じるほどに近い距離で抱き寄せていると、リリアの体が小さく震えはじめる。
「泣いているのですか?」
「……っ……へい、き」
強がる背中を撫で、オズウェルはじっと待った。リリアが話してくれるのを。そして、舞踏会後の出来事を聞くと、眉根を寄せた。
「今後は同じようなことがあればすぐに教えていただけますか?」
「……どう、して?」
「あなたが傷つけられて僕が黙っているとでも思いますか? それに、いくら公爵令嬢とはいえ、あなたとの立場の違いは判らせなければ」
「そんなの、いいのに」
「僕が良くありません。聞かなければずっと我慢するつもりだったのでしょう」
無言は肯定。嘆息して頭を撫でる。そのまま顔をあげさせると、涙でぬれた頬を指で優しく拭った。恥ずかしそうにその指から逃れようとするリリアを捕まえ、まっすぐに視線を合わせる。
「リリア嬢、僕と一緒にいてくれませんか。今度はバーロンド家の一員として、ずっと一緒に」
「え? それってどういう」
「結婚してほしい」
呆気にとられた表情で、見つめ返す。
「レオファルドではないことを確かめてから告白した僕を、卑怯だと思いますか?」
しばらくの沈黙の後、無言でリリアはオズウェルに抱き着いた。顔をうずめるようにして、首を横に振る。
「ううん。オズウェルは無意味にそんなことはしないよ。理由があるんでしょう」
「随分、信用してくださっているようですね。そうです、天秤にかけてほしくなかった。どちらも選ばないという選択肢が失われる気がしたのです」
「きっと答えは一緒だったよ」
「では」
真意を確かめるオズウェルにリリアは表情を隠したまま頷いた。
「私で、いいのなら」
「あなたが良いのです」
力強く抱きしめられ、苦しさをしばらく我慢したリリアもすぐに脱出しようと胸を押し返す。
安堵した表情のオズウェルに、本心を告げる。
「二人にしてもらったことを返すのには、これが一番良かったと思うの」
「十分お返しは頂いていますが」
首を傾げ、不思議そうにオズウェルはリリアを見つめる。
「そうじゃなくて、私でも役に立てることを見つけたから。これが私の生きたい生き方だと思う」
「リリア、嬢……見つけられたのですね」
「うん。みんなのおかげだよ」
良かった、と呟いたオズウェルに抱きしめられて、リリアは照れた表情でそれを甘受していたのだった。
「リリア嬢、僕の部屋で少し話しませんか?」
「……うん」
慣れ親しんだオズウェルの部屋へと二人は向かい、いつもは向かい合って座るところをソファに横に並んだ。
湯気の上がるお茶を差し出され、ふうふうと冷ましながら飲もうとするリリア。しばらくしてようやく口をつけられるようになった頃を見計らって、オズウェルは話を切り出した。
「このところ落ち込んでいらっしゃったでしょう。先日の舞踏会で何かありましたか? レオファルドと話をしたのでしょう」
「うん。でも、レオのせいじゃないよ」
「では一体何が」
俯いたまま口を開こうとしないリリアの肩をそっと抱き寄せると、手が触れた瞬間わずかに強張った体も、すぐに力を抜いて素直に体重を預ける。体温を感じるほどに近い距離で抱き寄せていると、リリアの体が小さく震えはじめる。
「泣いているのですか?」
「……っ……へい、き」
強がる背中を撫で、オズウェルはじっと待った。リリアが話してくれるのを。そして、舞踏会後の出来事を聞くと、眉根を寄せた。
「今後は同じようなことがあればすぐに教えていただけますか?」
「……どう、して?」
「あなたが傷つけられて僕が黙っているとでも思いますか? それに、いくら公爵令嬢とはいえ、あなたとの立場の違いは判らせなければ」
「そんなの、いいのに」
「僕が良くありません。聞かなければずっと我慢するつもりだったのでしょう」
無言は肯定。嘆息して頭を撫でる。そのまま顔をあげさせると、涙でぬれた頬を指で優しく拭った。恥ずかしそうにその指から逃れようとするリリアを捕まえ、まっすぐに視線を合わせる。
「リリア嬢、僕と一緒にいてくれませんか。今度はバーロンド家の一員として、ずっと一緒に」
「え? それってどういう」
「結婚してほしい」
呆気にとられた表情で、見つめ返す。
「レオファルドではないことを確かめてから告白した僕を、卑怯だと思いますか?」
しばらくの沈黙の後、無言でリリアはオズウェルに抱き着いた。顔をうずめるようにして、首を横に振る。
「ううん。オズウェルは無意味にそんなことはしないよ。理由があるんでしょう」
「随分、信用してくださっているようですね。そうです、天秤にかけてほしくなかった。どちらも選ばないという選択肢が失われる気がしたのです」
「きっと答えは一緒だったよ」
「では」
真意を確かめるオズウェルにリリアは表情を隠したまま頷いた。
「私で、いいのなら」
「あなたが良いのです」
力強く抱きしめられ、苦しさをしばらく我慢したリリアもすぐに脱出しようと胸を押し返す。
安堵した表情のオズウェルに、本心を告げる。
「二人にしてもらったことを返すのには、これが一番良かったと思うの」
「十分お返しは頂いていますが」
首を傾げ、不思議そうにオズウェルはリリアを見つめる。
「そうじゃなくて、私でも役に立てることを見つけたから。これが私の生きたい生き方だと思う」
「リリア、嬢……見つけられたのですね」
「うん。みんなのおかげだよ」
良かった、と呟いたオズウェルに抱きしめられて、リリアは照れた表情でそれを甘受していたのだった。
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