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08.それぞれの感想 後半
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「雨、ですね」
「雨だね……」
声が重なり二人はまた笑った。しかしすぐに恭佑は表情を曇らせる。
「どうかしましたか?」
「いや、傘持ってきてないなと思って。朝、慌ててたから」
「ご自宅はどちらですか? 良ければお送りしますよ」
「悪いから良いよ。近いし」
「そんなことおっしゃらず。風邪を引いては大変です」
「でも、暗くなるかも」
「遠いのですか?」
「そんなことはないけど……」
「では私の家も近いので大丈夫です。日が落ちるまでには帰れると思います」
案外強情な向日葵に押し切られ、恭佑は向日葵の差した傘に入った。雲で薄暗くなっている空が、黄色とオレンジの混じった傘の下だけはとても明るかった。
向日葵より半歩先に出て自分の家に先導する。
「あれ? この道って」
「どうかした?」
「私の家も、こっちなんです。もしかしたら、私たちご近所さんかも知れませんね」
「まさか。それだったら学校が一緒じゃない? どこかで会ってそうだけど」
「私は寮に入っているので、そのせいかもしれません」
角を曲がるたびに、向日葵がいちいち驚いた様子を見せる。知らなかっただけで、よほど向日葵と近いらしいと恭佑はなんだかむず痒い気持ちになりながら帰路を辿った。
あそこが俺の家だよ。そう言おうと息を吸ったタイミングで、あの……と向日葵が呼び止めた。振り向くと、ある一軒家を指さしている。庭は綺麗に手入れされていて四季の花が咲く。常に綺麗な外観で、二人で暮らすには大きすぎるんじゃないかと常日頃、眺めている家だった。
「ここ、私の家なんです。なので、良かったらこのまま傘を持っていってもらって良いですよ」
恭佑は驚きながらも、その申し出には首を振った。
「じゃあやっぱり送っていきます」
借りることを躊躇しているのかと勘違いした向日葵がそう言うが、恭佑はやはり首を振る。どうしてと困惑している向日葵に、恭佑も向日葵と同じようにある一軒の家を指さす。
「俺の家、ここ」
「え?」
「ここが俺の家」
重ねてそう言うと、ええー!?と向日葵は声を上げた。実はお隣さんだったという事実に、驚きが隠せない。
「偶然ってすごいですね」
「ほんとに。……それだったら、せっかくだし明日から一緒に行く?」
恭佑の勇気を振り絞った言葉は、優しい笑顔で受け止められる。
「そうしましょうか」
雨は夕立だったようで、雲の切れ間から沈みかけた夕日が差す。目を細めて空を見上げている向日葵の横顔は頬が赤い。
綺麗……。
恭佑が見惚れていると、向日葵は門扉に駆け寄り隠れてしまう。顔だけを覗かせる。突然の行動に恭佑が驚いている間に
「じゃあ、また明日」
向日葵はそれだけを言って、玄関にさっと入っていってしまった。扉を閉める直前、一瞬振り向いた顔が真っ赤だったのは、夕日のせいだけではなかったと恭佑は知らなかった。
「雨だね……」
声が重なり二人はまた笑った。しかしすぐに恭佑は表情を曇らせる。
「どうかしましたか?」
「いや、傘持ってきてないなと思って。朝、慌ててたから」
「ご自宅はどちらですか? 良ければお送りしますよ」
「悪いから良いよ。近いし」
「そんなことおっしゃらず。風邪を引いては大変です」
「でも、暗くなるかも」
「遠いのですか?」
「そんなことはないけど……」
「では私の家も近いので大丈夫です。日が落ちるまでには帰れると思います」
案外強情な向日葵に押し切られ、恭佑は向日葵の差した傘に入った。雲で薄暗くなっている空が、黄色とオレンジの混じった傘の下だけはとても明るかった。
向日葵より半歩先に出て自分の家に先導する。
「あれ? この道って」
「どうかした?」
「私の家も、こっちなんです。もしかしたら、私たちご近所さんかも知れませんね」
「まさか。それだったら学校が一緒じゃない? どこかで会ってそうだけど」
「私は寮に入っているので、そのせいかもしれません」
角を曲がるたびに、向日葵がいちいち驚いた様子を見せる。知らなかっただけで、よほど向日葵と近いらしいと恭佑はなんだかむず痒い気持ちになりながら帰路を辿った。
あそこが俺の家だよ。そう言おうと息を吸ったタイミングで、あの……と向日葵が呼び止めた。振り向くと、ある一軒家を指さしている。庭は綺麗に手入れされていて四季の花が咲く。常に綺麗な外観で、二人で暮らすには大きすぎるんじゃないかと常日頃、眺めている家だった。
「ここ、私の家なんです。なので、良かったらこのまま傘を持っていってもらって良いですよ」
恭佑は驚きながらも、その申し出には首を振った。
「じゃあやっぱり送っていきます」
借りることを躊躇しているのかと勘違いした向日葵がそう言うが、恭佑はやはり首を振る。どうしてと困惑している向日葵に、恭佑も向日葵と同じようにある一軒の家を指さす。
「俺の家、ここ」
「え?」
「ここが俺の家」
重ねてそう言うと、ええー!?と向日葵は声を上げた。実はお隣さんだったという事実に、驚きが隠せない。
「偶然ってすごいですね」
「ほんとに。……それだったら、せっかくだし明日から一緒に行く?」
恭佑の勇気を振り絞った言葉は、優しい笑顔で受け止められる。
「そうしましょうか」
雨は夕立だったようで、雲の切れ間から沈みかけた夕日が差す。目を細めて空を見上げている向日葵の横顔は頬が赤い。
綺麗……。
恭佑が見惚れていると、向日葵は門扉に駆け寄り隠れてしまう。顔だけを覗かせる。突然の行動に恭佑が驚いている間に
「じゃあ、また明日」
向日葵はそれだけを言って、玄関にさっと入っていってしまった。扉を閉める直前、一瞬振り向いた顔が真っ赤だったのは、夕日のせいだけではなかったと恭佑は知らなかった。
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