1 / 1
忘れられない過去
しおりを挟む
時刻は20時を回ろうとしている頃。
オフィスには二人の男がいた。
「おい!! 高坂、この書類明日までにまとめておけよ」
「あ……はい……分かりました」
俺はいつからこんな覇気のない人間になってしまったのだろうか。
毎日上司には仕事を押し付けられ、愚痴を吐かれてはご機嫌を取る日々。
もう、うんざりだ。
そう思っても、今退職するとなると再就職は困難。
こんな中年フリーターを雇ってくれるところなんてほんの一握りだろう。
残業代が出なくても、上司に愚痴を吐かれても我慢する……これが俺が知った社会と言うものだ。
今にして思えば、俺の全盛期は高校時代だっただろうか。
スポーツは万能、顔もそこそこ、性格は不可もなく。
すごくモテたわけでもないが、ある程度はモテていたと思う。
一応、陽キャ……と言われる集団には属していたはずだ。
だが、俺たちのグループは個性が強いやつらの集まりでもあったため、一般的な陽キャとは違ったかもしれない。陰キャとも陽キャとも違う何かだった。
メンバーは4人だった。
金持ちのボンボン(男)、ゲーマな男の娘(男)、病みやすい性格な幼馴染(女)。そして俺だ。
俺たちはいつも一緒だった。
けれど、年齢が上がっていくにつれ、病みやすい性格な幼馴染、柚原莉奈に彼氏ができだした。そこから、後のメンバー達も彼女を作り出す。
勿論、俺も例外ではなかった。
結局はみんな別れて再集結と言うのが俺たちのオチだった。
しかし、高3の冬休み事件は起きた……
幼馴染の莉奈が彼氏とデートに行ったきり、帰ってこなかったのだ。
莉奈の遺体は温泉付近の山奥で見つかった。
首吊り自殺をしていたそうだ。
推定死亡時刻は夜中の2時だったという。
言葉がでてこなかった。
息が詰まる。
涙は涙腺が崩壊したかのように流れ、止まらない。
俺はその時、世界で一番、宇宙で一番大切な気持ちを知った。
『おれ、りなのこと……好き……だったんだ。』
いなくなって気づく気持ち。
ほんとに馬鹿げてる。
なんでもっと早くあいつを助けてやれなかったんだろうって。
彼氏が犯人かと思われた莉奈の事件だったが、取り調べの結果彼氏にはアリバイがあり、どう考えても自殺だったそうだ。
その証拠と言っては何だが、彼氏は精神病院に入院した。
俺達も入院行きだった。
そこから、約一年くらい自暴自棄だった。
莉奈の母親に久しぶりに再会して話し勇気づけてもらった。
彼女の母親も「なんでこんなことになってしまったんだろう」と自身を尋問していた。
そして、一年遅れで大学入試を受け、一応そこそこ有名な地元の会社に腰を据えた。
今になっても、彼女の自殺したわけはわからない。
病みやすい性格もあって相談には乗っていたがどれが死因の原因に繋がるかはわからない。
おそらく全部がそうだったのだろう。
俺たちは、彼女の病みやすい性格を軽視していたのだ。
今になって思うことは、俺は莉奈のことを知っているようで、詳しくは知らなかったのだ。
そして最後に彼女が残していった言葉は
『ごめんね皆、生きるのがつらくなっちゃった……』
それが、莉奈の部屋の机の引き出しにしまってあった。
オフィスには二人の男がいた。
「おい!! 高坂、この書類明日までにまとめておけよ」
「あ……はい……分かりました」
俺はいつからこんな覇気のない人間になってしまったのだろうか。
毎日上司には仕事を押し付けられ、愚痴を吐かれてはご機嫌を取る日々。
もう、うんざりだ。
そう思っても、今退職するとなると再就職は困難。
こんな中年フリーターを雇ってくれるところなんてほんの一握りだろう。
残業代が出なくても、上司に愚痴を吐かれても我慢する……これが俺が知った社会と言うものだ。
今にして思えば、俺の全盛期は高校時代だっただろうか。
スポーツは万能、顔もそこそこ、性格は不可もなく。
すごくモテたわけでもないが、ある程度はモテていたと思う。
一応、陽キャ……と言われる集団には属していたはずだ。
だが、俺たちのグループは個性が強いやつらの集まりでもあったため、一般的な陽キャとは違ったかもしれない。陰キャとも陽キャとも違う何かだった。
メンバーは4人だった。
金持ちのボンボン(男)、ゲーマな男の娘(男)、病みやすい性格な幼馴染(女)。そして俺だ。
俺たちはいつも一緒だった。
けれど、年齢が上がっていくにつれ、病みやすい性格な幼馴染、柚原莉奈に彼氏ができだした。そこから、後のメンバー達も彼女を作り出す。
勿論、俺も例外ではなかった。
結局はみんな別れて再集結と言うのが俺たちのオチだった。
しかし、高3の冬休み事件は起きた……
幼馴染の莉奈が彼氏とデートに行ったきり、帰ってこなかったのだ。
莉奈の遺体は温泉付近の山奥で見つかった。
首吊り自殺をしていたそうだ。
推定死亡時刻は夜中の2時だったという。
言葉がでてこなかった。
息が詰まる。
涙は涙腺が崩壊したかのように流れ、止まらない。
俺はその時、世界で一番、宇宙で一番大切な気持ちを知った。
『おれ、りなのこと……好き……だったんだ。』
いなくなって気づく気持ち。
ほんとに馬鹿げてる。
なんでもっと早くあいつを助けてやれなかったんだろうって。
彼氏が犯人かと思われた莉奈の事件だったが、取り調べの結果彼氏にはアリバイがあり、どう考えても自殺だったそうだ。
その証拠と言っては何だが、彼氏は精神病院に入院した。
俺達も入院行きだった。
そこから、約一年くらい自暴自棄だった。
莉奈の母親に久しぶりに再会して話し勇気づけてもらった。
彼女の母親も「なんでこんなことになってしまったんだろう」と自身を尋問していた。
そして、一年遅れで大学入試を受け、一応そこそこ有名な地元の会社に腰を据えた。
今になっても、彼女の自殺したわけはわからない。
病みやすい性格もあって相談には乗っていたがどれが死因の原因に繋がるかはわからない。
おそらく全部がそうだったのだろう。
俺たちは、彼女の病みやすい性格を軽視していたのだ。
今になって思うことは、俺は莉奈のことを知っているようで、詳しくは知らなかったのだ。
そして最後に彼女が残していった言葉は
『ごめんね皆、生きるのがつらくなっちゃった……』
それが、莉奈の部屋の机の引き出しにしまってあった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜
沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」
中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。
それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。
だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。
• 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。
• 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。
• 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。
• オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。
恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。
教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。
「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」
鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。
恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる