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26話
しおりを挟む『あの…婚約の解消って…』
ナ「なんだと?」
オ「まぁ!!」
不敬罪だなんだと騒ぐ2人
(やっぱり不敬になるのか…)
ナ「自ら奴隷に落ちたいのか!?」
オ「あら!いいじゃない!不敬罪で奴隷に落としましょう!こんな醜い女、王太子妃は務まらないと思ったのよ」
盛り上がってる所悪いけどすごく腹が立って
イライラを我慢できなくて声を上げる
『あの!!帰ってもらえませんか!!すっごく不愉快です!!』
今までで一番の声量で伝える
驚いてる2人を置いて続ける
『申し訳ないですが婚約者とか初耳ですし、そもそも王太子殿下好みじゃないですし、結婚したくないです!!』
ナ「なっ!?」
オ「なんて事っ!?」
『本当に結婚しなければならないなら……申し訳ございませんが……』
『自害させていただきます!!!』
ずっと固まったままだったパパも王様も
ゲイルもユリウスシリウスも兄達も
その自害宣言にやっと我に返ったのか
一斉に注目を浴びる
ナ「不敬がすぎる!そんなに言うなら私がここでお前を殺してやる!!」
懐からナイフを取り出し王太子殿下が
立ち上がったと同時に横から腕を引かれ
すっぽりと包まれる
頭を抑えられ視界を遮られた
ナ「何をする!!」
オ「こ、こんな事して陛下が黙ってないわよ!?あなた!!」
(何が起きたのだろうか)
ジ「ゲイルよ」
陛下の声と同時に浮遊感を感じた
抱き上げられ移動しているとすぐに気付いた
ゲ「わりぃな、何も言えなくて」
『…ううん』
その一言だけ交わし2人黙ったまま
移動した先は初めて見る庭園
邸の明かりでうっすら見える花に囲まれたガゼボ
座ったゲイルの膝からボーッと星空を背景にした
花たちを眺めていると
頭を撫でられ無意識に涙が流れた
『ねぇゲイル』
ゲ「ん?」
『私帰ってきて良かったと思う?』
ゲ「あぁ」
『私、パパの子なんだよね?』
ゲ「あぁ」
『王妃様と王太子殿下が言ってたの…本当?』
ゲ「あれは全部自己紹介だと思え」
(自己紹介…?)
言われた言葉を思い返し
あれが自己紹介だと思えば思うほど
笑いが堪えられなくなる
『ぷっ、くっふふっ…あははっ!』
話してる間も笑ってる間もずっと
頭を撫でてくれるゲイル
どれくらい笑ったか分からないが涙も止まり
やっと落ち着いた所で話を再開する
『ありがとうゲイル』
ゲ「……どういたしまして」
『ふふっお礼に愛称で呼ぶ事を許してあげよう!』
ゲ「はっ、なんだそりゃw」
『あ、鼻で笑ったなー?愛称で呼ぶのなんか今の所パパだけなんだからね!』
なんて他愛ない話をする
『ま、いいや!そういえばゲイルは何をやってる人なの?』
ゲ「王宮で騎士やってる」
『へぇ~!強そう!!』
ゲ「死ぬ程強えぞ?今度見に来るかァ?」
『うん!行きたい!!』
肌寒く感じて胸に寄りかかれば上着をかけてくれた
『あったかい』
ゲ「あ?なんか前にも言ってたな」
『ふふっ、うん。ほんとにあったかい』
ゲ「分かんねぇな」
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