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第28話『ジェネレーター・コード:シェリル』
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私はずっとパートナーとなる相手を探している。所長と共に外に出ても、誰も彼も発狂して頭がパーになっちゃう殿方ばかり。ほーんと、嫌になっちゃうわぁ。
そんな中、私と同じジェネレーターのフェルトちゃんはちゃっかりパートナーを見つけちゃってるのよねぇ。しかも、中々の色男ときた。私好みではあるんだけど、もうこの堺直志って人はフェルトちゃんのものだから色々と諦めなくちゃいけない。
さぁて、フェルトちゃんのパートナーさんはどれだけ強いのかな?
「初めまして、堺直志さん!」
「お前の名前はシェリルっていうのか?」
「そうよぉ。フェルトちゃんと同じくジェネレーターのシェリルです。よろしくね」
「俺は、君と戦って勝てばいいんだな?」
「そうなのよねぇ。でも、私にはパートナーがいないの。だから、擬似的にジェネレートするロボットを使うけど、良いかしらん?」
白い空間が歪み、そこからとてもスムーズな動きで歩いて登場したのは人の形をした黒一色のロボット。
本当は嫌だけど、今だけは我慢しないと。
「そんなものがあるのか」
「これも、私が元々居た世界の罪の結晶の一つ。人が扱うより出力される力は弱まるけどね。人が使っているジェネレーターでこれに勝てないようじゃ、禁止領域の知識に立ち向かうなんて無理よん」
「そうか。でも俺は何としてでも君に勝つ。なぜならば――」
彼は剣先を私へと向けて宣言した。
「俺は何でも屋ジェネシスのナオシ=サカイだからだ。何でもするから何でも屋。所長が俺にヘーレジアの知識と戦えと依頼するなら、俺はそれに応えるのみ。そのために、まずは君に勝つ必要があるというならば、俺はそれを乗り越えて見せよう」
ちょーかっこいいーじゃん! フェルトちゃんには嫉妬しちゃうよ。何でこんな良い男を捕まえちゃってんのさ。きっとフェルトちゃんのことだからベタ惚れだろうね。完全にフェルトちゃんの好みのタイプだよ。私は知ってるんだからなー!
「じゃあ、さっそく始めましょう。このロボットを壊すことができれば、ジェネレート状態が解除されてあなたの勝ちになるわよん」
「オーケー。さぁ、やっちゃるぜ!」
「ジェネレート、コード:シェリル」
私の姿は剣の形へと変化する。その剣身は透き通った赤色。つまり、粒子の色も赤色。
私はフェルトちゃんみたいに万能型じゃなくて、射撃特化型ジェネレーター。剣の形も銃剣となっていて、粒子の弾丸を発射できるようになっている。
「それがお前のジェネレーターとしての姿か。いいぜ、どこからでも撃って来い」
くいくいと手のひらを折り曲げて煽ってくる。そんなあからさまな挑発には本来なら乗らないが、攻撃をしなければ戦いが始まらないのも事実。だから、ここはあえて撃ってあげようと思う。
バンッ、バンッ、バンッ、と炸裂音が三回。
粒子によって作られた弾丸が三発ほど堺直志へと向かっていく。それを、彼は目をつぶりながら剣で切り落とした。
なによそれ。パフォーマンスでもしてるつもりなの?
「そんな攻撃なら、音だけで対応可能だってんだよ」
さすがは戦いの神を目指して作られたプロジェクトアレスの完成作品。戦いのセンスだけは一流を飛び越えて化け物クラスね。記憶を取り戻して、その力を最大限に引き出すことができるようになったてわけか。
「じゃあ、次は俺の番だ。ちゃんと防げよ」
緑色の粒子によって作られた杭が、私へ向けて飛んでくる。
大口を叩く割には、その単調な攻撃は何なの?
私は粒子の赤い弾丸を発射し、杭を打ち落とす。そんなことをしていれば、当然――。
「ぐっ……さすがにこんな奇襲は読まれるよな」
懐に入られて斬撃が私を襲うだろう。私は銃剣で受け止め、その隙に空中に粒子の弾丸を作り出す。彼が杭を模しているならば、私は弾丸を模して粒子を固める。
それを勢い良く射出。
弾丸がその身を貫く前に、粒子を爆発させて無理矢理自分の身を吹き飛ばして緊急回避を行うなんて、堺直志は粒子を使いこなしているようね。
「あぶねぇあぶねぇ。射撃特化型なら接近戦に持ち込めば勝機があると思ったのは間違いだったみたいだな。ジェネレーターは何だかんだ言って全ての距離に対応できるのを忘れていた」
彼の言う通り、何かに特化していても、苦手な距離というものが存在しないのがジェネレーター。武器の姿となった私から無限に湧き続ける粒子は、いかなる形をも形成し、様々な機能を持たせることができる、まさに万能物質。
攻撃性を持った形に成形して射出すれば、そこらの拳銃の弾丸より威力を持ったロングレンジ攻撃になるし、剣やナイフといった形に成形すれば、ショートレンジ攻撃に転用可能になる。
また、装備者を守る粒子の防壁が自動的に張られるようなっているから、並大抵の武器じゃ装備者に傷一つ付けられない。
攻撃にも、防御にも、それ以外の支援にも、様々な用途として使える。
無敵にも思えるジェネレーターだけど、弱点が無いわけじゃない。
「フェルト、可能な限り杭を生成。一斉射出」
彼はクールにそう言うと、私の目の前に数え切れないほどの緑色の杭が現れた。
そう――ジェネレーターの弱点。それはジェネレーターが作る粒子の生成スピードを超える連続攻撃には、防壁の生成が間に合わなくなり、無敵の盾が破られるということ。
「やっぱりね、ジェネレーターを使っているだけあって弱点を知ってるわけ」
もっとも、彼がさっきマシンガンとの戦闘で行ったみたいに、弱点を埋める戦いをすればいいだけなんだけどね。
「でも、その杭の何本が私に命中するのかなぁ?」
私は剣を構えて、私に当たるだろう杭を見極めて撃ち落とす。
彼が無数の杭を撃つのなら、私は無数の弾丸で対処しよう。
緑色の杭が私の周りに突き刺さり、霧散していく。
何本かは撃ちもらしているけども、それは粒子による防壁で守るから大丈夫!
「やっぱジェネレーター同士でこの戦法は通用しないか。なら――」
そう言った堺直志は自分が放った杭と共に、その身を吹き飛ばす。おそらくさっきの緊急回避に使った粒子を爆発させて無理矢理に体を動かすテクニックを使ったんだ。
あれはこういう風に接近するのにも使ってくるってわけね。
って、呑気に分析してる場合じゃない! これはちょっとやばいかも……。
「……ッ!!」
一瞬の息遣いが聞こえたかと思えば、緑色の残光が視界に写りこむ。
斬られる……!! そう思った私は、堺直志がやったテクニックを咄嗟に真似した。
赤色の光が炸裂し、体を吹き飛ばす。凄い衝撃が襲い掛かり、緑色の斬撃が目の前を通り過ぎていった。
危なかった。正直負けたかと思った。
「クソッ……パクリやがったなオイ!!」
同じジェネレーター同士なんだもの。別に真似したっていいじゃない。
それにしても、プロジェクトアレスによって出来上がった身体能力と、ジェネレーターの強大な力が組み合わさると、こんなにも厄介な存在が出来上がるのね。これは悪意ある人じゃなくて良かったわ。
これなら、禁止領域の知識の対処をさせても良いかもしれない。
でも……だからといって負けるのは嫌だ!
女の子にも意地があるのよ。これに耐え切れば、合格よん!
「パクって何が悪いのよ! 勝つためなら何でもやるのが戦いの常というもの。戦いの神になった堺直志さん、違うかしらん?」
「いや、違わないな。それと、俺を戦いの神呼ばわりするのはやめろ!!」
「でもでもぉ、次の攻撃は神にでもならないとどうしようもないっていうかぁ」
「なに……?」
「ちゃーんと生き残ってね」
これを耐え切れれば、あなたはこの先、どんなことがあってもきっと大丈夫。
私はずっとパートナーとなる相手を探している。所長と共に外に出ても、誰も彼も発狂して頭がパーになっちゃう殿方ばかり。ほーんと、嫌になっちゃうわぁ。
そんな中、私と同じジェネレーターのフェルトちゃんはちゃっかりパートナーを見つけちゃってるのよねぇ。しかも、中々の色男ときた。私好みではあるんだけど、もうこの堺直志って人はフェルトちゃんのものだから色々と諦めなくちゃいけない。
さぁて、フェルトちゃんのパートナーさんはどれだけ強いのかな?
「初めまして、堺直志さん!」
「お前の名前はシェリルっていうのか?」
「そうよぉ。フェルトちゃんと同じくジェネレーターのシェリルです。よろしくね」
「俺は、君と戦って勝てばいいんだな?」
「そうなのよねぇ。でも、私にはパートナーがいないの。だから、擬似的にジェネレートするロボットを使うけど、良いかしらん?」
白い空間が歪み、そこからとてもスムーズな動きで歩いて登場したのは人の形をした黒一色のロボット。
本当は嫌だけど、今だけは我慢しないと。
「そんなものがあるのか」
「これも、私が元々居た世界の罪の結晶の一つ。人が扱うより出力される力は弱まるけどね。人が使っているジェネレーターでこれに勝てないようじゃ、禁止領域の知識に立ち向かうなんて無理よん」
「そうか。でも俺は何としてでも君に勝つ。なぜならば――」
彼は剣先を私へと向けて宣言した。
「俺は何でも屋ジェネシスのナオシ=サカイだからだ。何でもするから何でも屋。所長が俺にヘーレジアの知識と戦えと依頼するなら、俺はそれに応えるのみ。そのために、まずは君に勝つ必要があるというならば、俺はそれを乗り越えて見せよう」
ちょーかっこいいーじゃん! フェルトちゃんには嫉妬しちゃうよ。何でこんな良い男を捕まえちゃってんのさ。きっとフェルトちゃんのことだからベタ惚れだろうね。完全にフェルトちゃんの好みのタイプだよ。私は知ってるんだからなー!
「じゃあ、さっそく始めましょう。このロボットを壊すことができれば、ジェネレート状態が解除されてあなたの勝ちになるわよん」
「オーケー。さぁ、やっちゃるぜ!」
「ジェネレート、コード:シェリル」
私の姿は剣の形へと変化する。その剣身は透き通った赤色。つまり、粒子の色も赤色。
私はフェルトちゃんみたいに万能型じゃなくて、射撃特化型ジェネレーター。剣の形も銃剣となっていて、粒子の弾丸を発射できるようになっている。
「それがお前のジェネレーターとしての姿か。いいぜ、どこからでも撃って来い」
くいくいと手のひらを折り曲げて煽ってくる。そんなあからさまな挑発には本来なら乗らないが、攻撃をしなければ戦いが始まらないのも事実。だから、ここはあえて撃ってあげようと思う。
バンッ、バンッ、バンッ、と炸裂音が三回。
粒子によって作られた弾丸が三発ほど堺直志へと向かっていく。それを、彼は目をつぶりながら剣で切り落とした。
なによそれ。パフォーマンスでもしてるつもりなの?
「そんな攻撃なら、音だけで対応可能だってんだよ」
さすがは戦いの神を目指して作られたプロジェクトアレスの完成作品。戦いのセンスだけは一流を飛び越えて化け物クラスね。記憶を取り戻して、その力を最大限に引き出すことができるようになったてわけか。
「じゃあ、次は俺の番だ。ちゃんと防げよ」
緑色の粒子によって作られた杭が、私へ向けて飛んでくる。
大口を叩く割には、その単調な攻撃は何なの?
私は粒子の赤い弾丸を発射し、杭を打ち落とす。そんなことをしていれば、当然――。
「ぐっ……さすがにこんな奇襲は読まれるよな」
懐に入られて斬撃が私を襲うだろう。私は銃剣で受け止め、その隙に空中に粒子の弾丸を作り出す。彼が杭を模しているならば、私は弾丸を模して粒子を固める。
それを勢い良く射出。
弾丸がその身を貫く前に、粒子を爆発させて無理矢理自分の身を吹き飛ばして緊急回避を行うなんて、堺直志は粒子を使いこなしているようね。
「あぶねぇあぶねぇ。射撃特化型なら接近戦に持ち込めば勝機があると思ったのは間違いだったみたいだな。ジェネレーターは何だかんだ言って全ての距離に対応できるのを忘れていた」
彼の言う通り、何かに特化していても、苦手な距離というものが存在しないのがジェネレーター。武器の姿となった私から無限に湧き続ける粒子は、いかなる形をも形成し、様々な機能を持たせることができる、まさに万能物質。
攻撃性を持った形に成形して射出すれば、そこらの拳銃の弾丸より威力を持ったロングレンジ攻撃になるし、剣やナイフといった形に成形すれば、ショートレンジ攻撃に転用可能になる。
また、装備者を守る粒子の防壁が自動的に張られるようなっているから、並大抵の武器じゃ装備者に傷一つ付けられない。
攻撃にも、防御にも、それ以外の支援にも、様々な用途として使える。
無敵にも思えるジェネレーターだけど、弱点が無いわけじゃない。
「フェルト、可能な限り杭を生成。一斉射出」
彼はクールにそう言うと、私の目の前に数え切れないほどの緑色の杭が現れた。
そう――ジェネレーターの弱点。それはジェネレーターが作る粒子の生成スピードを超える連続攻撃には、防壁の生成が間に合わなくなり、無敵の盾が破られるということ。
「やっぱりね、ジェネレーターを使っているだけあって弱点を知ってるわけ」
もっとも、彼がさっきマシンガンとの戦闘で行ったみたいに、弱点を埋める戦いをすればいいだけなんだけどね。
「でも、その杭の何本が私に命中するのかなぁ?」
私は剣を構えて、私に当たるだろう杭を見極めて撃ち落とす。
彼が無数の杭を撃つのなら、私は無数の弾丸で対処しよう。
緑色の杭が私の周りに突き刺さり、霧散していく。
何本かは撃ちもらしているけども、それは粒子による防壁で守るから大丈夫!
「やっぱジェネレーター同士でこの戦法は通用しないか。なら――」
そう言った堺直志は自分が放った杭と共に、その身を吹き飛ばす。おそらくさっきの緊急回避に使った粒子を爆発させて無理矢理に体を動かすテクニックを使ったんだ。
あれはこういう風に接近するのにも使ってくるってわけね。
って、呑気に分析してる場合じゃない! これはちょっとやばいかも……。
「……ッ!!」
一瞬の息遣いが聞こえたかと思えば、緑色の残光が視界に写りこむ。
斬られる……!! そう思った私は、堺直志がやったテクニックを咄嗟に真似した。
赤色の光が炸裂し、体を吹き飛ばす。凄い衝撃が襲い掛かり、緑色の斬撃が目の前を通り過ぎていった。
危なかった。正直負けたかと思った。
「クソッ……パクリやがったなオイ!!」
同じジェネレーター同士なんだもの。別に真似したっていいじゃない。
それにしても、プロジェクトアレスによって出来上がった身体能力と、ジェネレーターの強大な力が組み合わさると、こんなにも厄介な存在が出来上がるのね。これは悪意ある人じゃなくて良かったわ。
これなら、禁止領域の知識の対処をさせても良いかもしれない。
でも……だからといって負けるのは嫌だ!
女の子にも意地があるのよ。これに耐え切れば、合格よん!
「パクって何が悪いのよ! 勝つためなら何でもやるのが戦いの常というもの。戦いの神になった堺直志さん、違うかしらん?」
「いや、違わないな。それと、俺を戦いの神呼ばわりするのはやめろ!!」
「でもでもぉ、次の攻撃は神にでもならないとどうしようもないっていうかぁ」
「なに……?」
「ちゃーんと生き残ってね」
これを耐え切れれば、あなたはこの先、どんなことがあってもきっと大丈夫。
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