俺だけを見て

まさお

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プロローグ8〜佐久也side〜

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少しすると目が覚めた子供は体を起き上がらせる。

「おい、まだ起き上がるな」

「……」

私の顔をじっと見つめたかと思えば部屋をキョロキョロと見始める。
まだまだ顔色が悪いから寝かせたいのだが、この子供も見知らぬ男と部屋に戸惑っているかもしれない。

「一時的に保護している。君の父親も母親もこちらで預かっている。会いたいか?」

「っ……」

子供はブンブンと頭を左右に振る。その様子を見る限り親には会いたくないのだろう。 
頭を振りすぎたのか、目が回りそのまま倒れた。

「おい、無理するな。
会いたくないなら無理に会わせないよ。」

「腹減ったか?飯を作った。食べるか?」

コクコクと頷く子供に少し待ってろ、と声をかけて作っておいた粥を温め、冷蔵庫に入れておいたすりりんごをお盆に乗せ部屋へ向かう。
テーブルに食事を置き、1度子供を起き上がらせる。
粥をスプーンで掬い、少し冷ましてから子供の口に運ぶ。
が、子供はそれを見つめたまま食べようとはしない。

「どうした?」

「…?」

子供は俺を見ると首を傾げる。
その時俺は何となく察した。
子供はまともに食事をとったこともないのだろう。ましてや親に食べさせてもらうなどしたことがなかった。だからこの状況に疑問を持ってるのだろう。

「口開けろ」

言われた通り口を開ける子供になるべく優しく口に入れる。

びっくりした様子だったがすぐ咀嚼し始める。
飲み込んだのを確認してまた口元にスプーンを持っていく。

口を開けて待つ姿に事務所に作られた鳥の巣の中で餌を待つ雛達を思い出す。
自分が親鳥になったような気分だ。
咀嚼はゆっくりで飲み込むまでに時間がかかる。
ただ食欲はちゃんとあるようで安心した。
粥もすりりんごも全て食べてくれたことに安堵する。

食べ終えた茶碗を洗っているとドアが開く音がした。
そちらを見れば子供がこちらに寄ってくるのが見えた。

「おい、寝てろって言っただろ。」

1度洗い物をする手を止めて子供の手を引いて寝室へ戻る。
ベッドへ寝かせようと抱きかかえると子供は俺を抱き締め返してきた。
そのままくっついて離れないのだ。

「おい、寝ろって。」

フルフルと頭を振り離れたがらない子供にどうしたものかと頭を抱える。

1度ベッドへ座り一息付いた。
思えばこの子供の親の監視や子供の病院、今こうして保護するまでちゃんとした休息を取れずにいた。
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