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夏

４．

夏休みに入って、最初の一週間はとにかく大変だった気がする。何だか良く分からない状態が続いた。予備校の夏期講習が思ったよりハードだったのだ。最初の日、予習もせずに言ったら、いきなりミニテストみたいなのをやらされて、散々な点だった。授業は予習が前提で内容は難しかった上に、終わったら終わったで、復習用の課題もたくさん出た。

予備校なので、別に強制では無い。別に点数が悪くて、それで追い出される事も、進級できない何て事もないけど、それではわざわざ夏期講習に通っている意味が無いと思った。だから、必死に勉強した。

夏休みになったら、彼に会えなくなって寂しくなるなと思っていたけど、実際のところは、夏期講習が大変でそれどころではなかったという感じだった。一週間が過ぎたくらいで、ようやくペースには慣れてきた。余裕が出てきたと言うほどではなかったけど、予習復習して、講習を受けるという事がちゃんと出来るようになった。

油断するとすぐに置いてかれそうな気持ちはしていたけど、慣れればそれなりにはこなせるんだなと思って少し安心した。まだ、先は長いけど、どうにかなりそうだなと思い始めていた。

そうなってくると、少し彼の事が気になり始める。今頃、何をしているんだろうか。夏期講習を受けているはずだから、私と同じように大変なのかなと思う。彼が行っている予備校がどういうところなのか、詳しくは知らない。だから、どういう状況になっているのかは良く分からなかった。勉強しているんだから、やっぱり、大変なんだろう。だから、連絡が来ないのも仕方ないと思った。

でも、自分に少し余裕が出てくると、連絡ぐらいして来ても良いのではと思ってしまう。携帯電話と言う物にも慣れてきて、友達とメールを頻繁にするようになっていた私にとって、彼と連絡を取れないというのは、余計に辛く感じる。

そう思っていたところで、彼からの連絡が来た。友達とのやり取りはメールがほとんどで、通話なんて家族ぐらいしかした事が無かったから、ちょっと緊張してしまう。ドキドキしているのが伝わりそうだった。電話越しに聞こえる彼の声はいつもとは違っていて、緊張しているようだった。それが少し新鮮に感じられる。

そして、遊園地デートのお誘いを受ける。想像もしていなかったので、ちょっと浮かれてしまう。すぐにＯＫの返事をしたけど、彼に夏期講習は大丈夫？と聞かれて、慌てて確認する。休み自体はある。ただ、予習とか復習とか考えると厳しいとも思える。でも、それを理由に断ると言う選択肢は私にはなかった。