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冬

１．

二学期の期末テストはあっという間に終わってしまった。去年までだったら、期末テストがあれば、後は冬休みだと無邪気にはしゃいでいたけど、今年はそれよりも大事な受験が控えていて、そんな浮かれ気分にはなれなかった。十二月で、恋人同士と言えば、クリスマスとか、ロマンチックな行事もある。でも、そういう雰囲気でも無かった。私たちがそういう分かりやすい行事で盛り上がれたかは良く分からない所もあるけど、受験生だからという理由は大きかった気がする。

でも、彼氏がいる友達なんかは上手くやりくりして、当日では無くてもクリスマスデートするとか張り切っていたので、私たちも一日デートするぐらいだったら、きっと出来ただろう。でも、そうはならなかった。ちょっと油断すると緊張の糸が切れてしまう気がしたのだ。後から考えれば、まだ、受験までは少し時間がある時期で、そこからずっと緊張しっ放しで持つわけはないのに、でも、そんな事を考えられないぐらい、少しずつ余裕が無くなっていた。この頃の私と彼の関係と言うのも少し緊張感があったと後で考えると思う。

それは一言で言えば、私のせいだった。受験に対するプレッシャーと言う分かりやすい理由だった。期末テストを受けるまでは、割と余裕がある気がした。その直前にあった模試の感触も良く、このままで行けば受験は上手く行きそうだという自信が少しだけ出てきた。でも、それは期末テストの結果で簡単に崩れてしまう。何よりもショックだったのが、自分が出来たと思ったところが出来ていなかったからだ。しかも、ケアレスミスなどでは無くて、自分の理解が足りていなかった事を痛感させられた。そして、感触が良かった模試の結果も良くなかった。

正確に言えば、点数はそこそこ取れた。なので感触は間違っていない。ただ、私だけでなく、その模試を受けた人全員が良かったようで、そうなると、相対的に見れば変わらないというより、少しだけ悪くなっていた。後で冷静に考えれば、そこまで悪くなっている訳では無く、誤差の範囲と言う感じだったけど、その時の私にはかなり心配になる結果だった。そして、彼の方もテストの結果はあまり良くなかった。本番に向けて頑張れば良いと、多分、彼は私と彼自身を励ます意味も込めて言ったんだろうけど、私にはそれが皮肉を言っているように聞こえてしまった。そんな、ピリピリした空気の中で、私は頑張らないといけないと自分自身を追い込むようになった。