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冬
4.
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待ち合わせ、ピッタリの時間に現れた彼の姿を見て思わず笑ってしまった。私と同じように、いや、私以上に防寒対策は完ぺきだった。私と同じくらい着こんでいて、その上、帽子をかぶって、マスクもしていた。一見すると不審者に見える。彼だとすぐに分かったのが不思議なくらいだった。夏に行った遊園地の事を思い出す。あの時、彼はTシャツにジーンズと言う格好だった。デートのためにオシャレをするという感覚が無いんだなと思う。
今日に関して言えば、私も人の事は言えないんだけど、そういう彼の姿を見ると、安心するとも思う。いろいろと考えている事が馬鹿らしくなる。そんな事を私が思っている事を知っているかどうか分からないけど、彼は私を見つけると、頭を下げて、明けましておめでとうと言う。電話でも言ったけどなと思いながら、私も明けましておめでとうございますと返す。何だか照れくさくて、お互いに笑ってしまった。
挨拶が終わると彼は気合を入れるように良しと言うと手を差し出してきた。思わずその手を握ってしまう。冬だったので、お互いに手袋をしていたけど、何だか、お互いの体温を感じるようだった。そのまま、初詣に向かう。何だか、とても分かりやすく恋人同士みたいな事をして照れくさいなと思ってしまう。
彼の事が気になってチラチラと見ているけど、彼もどこか緊張しているように見える。ちょっと無理しているんだなと思った。
私たちが向かったのは、学問の神様が祀られている神社だった。全国的に有名と言うほど、大きなところでは無かったけど、私と彼が知っているくらいには有名なところだった。合格祈願で訪れる人も多い。私たちと同じ様に受験生らしき人がたくさんいた。でも、そこまで混んでいるという感じではなく、そんなに並ばなくてお参りする事が出来た。お賽銭を投げて、熱心に合格を願った。せっかくだから絵馬も書いてみた。ひたすら合格のお願いをする。
そして、最後におみくじを引いた。今年、最初の運試し。たかが運試し、でもドキドキしてしまう。これで受験の結果が変わるのではないかと、少しだけ本気で思う。出てきた番号のおみくじを貰う。見てみたら、小吉と書かれていた。これは良いのか悪いのか良く分からない。吉が付いているから良いのかと思いながら、でも小だよと思う。考え込んでしまう。思わず彼の方を向く、彼は彼で何とも言えない微妙な顔をしている。見せてもらったら末吉と書かれていた。
どっちのが良いんだろう。小なのか、末なのか、私のも見せて変な風に笑ってしまった。私たちらしい運勢なのかもしれない。
今日に関して言えば、私も人の事は言えないんだけど、そういう彼の姿を見ると、安心するとも思う。いろいろと考えている事が馬鹿らしくなる。そんな事を私が思っている事を知っているかどうか分からないけど、彼は私を見つけると、頭を下げて、明けましておめでとうと言う。電話でも言ったけどなと思いながら、私も明けましておめでとうございますと返す。何だか照れくさくて、お互いに笑ってしまった。
挨拶が終わると彼は気合を入れるように良しと言うと手を差し出してきた。思わずその手を握ってしまう。冬だったので、お互いに手袋をしていたけど、何だか、お互いの体温を感じるようだった。そのまま、初詣に向かう。何だか、とても分かりやすく恋人同士みたいな事をして照れくさいなと思ってしまう。
彼の事が気になってチラチラと見ているけど、彼もどこか緊張しているように見える。ちょっと無理しているんだなと思った。
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